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生成AIを支えるテクノロジー【生成AI Vol. 3】
*本記事では2024年1月現在の情報をお伝えしています。
これまで「生成AI 」シリーズのFreshtraxでは、生成AIの基本(Vol.1)とプロンプト(Vol.2)に関してできるだけ分かりやすくまとめてきた。
今回はVol.3として、生成AIのその “裏” にあるテクノロジーに焦点を当て、なぜ生成AIでこんなにも凄いことが実現できているかの謎に迫りたいと思う。
もちろんその背景には数多くのテクノロジーが複雑に絡み合っているが、今回の趣旨はできるだけわかりやすく説明することなので、焦点を絞って基本的な部分だけを抽出した。
よく聞く”LLM”とは
さて、生成AIのテクノロジーと聞いて真っ先に思いつくのが “LLM” と言う単語。ニュースやSNSでもAIとセットのように語られることが多い。
LLMとはLarge Language Modelsの略。
日本語で簡単に表現すると、たくさんの言語データを集積した「かたまり」のようなものとでも言えるだろう。
LLMは何をしてくれるの?
膨大な言語データを集めたモデルの主な役割としては、
リサーチ (Research)、分析 (Analyze)、翻訳 (Translate)、予想 (Predict)、変換 (Transform) である。
一言で表現するとLLMは生成AIが動くためのコアの部分、すなわちエンジンのようなものである。
LLMはどんな企業が強いの?
では、そもそもこのLLMは、どのような企業が提供しているのか?そして、どの企業が現在のところLLMをリードしているのか?いくつかの企業の例を挙げてみよう。
・OpenAI – まずは皆さまご存知のChatGPTを提供しているOpenAI社。現在のところMicrosoftのバックアップもあり、画像やビデオを処理する能力も備えているGPT-4をリリースなどかなりリードしている。
・Google – 次に、これまた皆さまご存じのGoogle社。”Bard“と呼ばれるLLMチャットボットを保持している。Googleの膨大な世界中のデータセットにアクセスし、より広範囲のプロンプトや質問に対応できるようになっている。
また、”PaLM“というプライバシーとデータセキュリティを考慮した大規模言語モデルも開発している。
・Meta – そしてもう一社注目したいのがFacebook改めMeta社。新しいオープンソースの大規模言語モデル”LLaMA“を現在開発している。FacebookやInstagram、そしてWhatsappといった、さまざまなフォーマットのデータが多くのユーザーから集められるサービスを武器に、LLMを作り上げている。
・Technology Innovation Institute – UAEのアブダビに位置し、”Falcon“と呼ばれる複数の言語と方言をカバーし、テキストとコードの膨大な組み合わせを含む高品質のデータセットを用いてトレーニングされたLLMを開発している。
“Falcon”はHugging Face Open LLM LeaderboardでMeta “LLaMa”を上回り最高のLLMと呼ばれている。
上記の3社(OpenAI, Google, Meta)が今のところ「LLM三国志」のような感じだが、今後この勢力図も”Falcon”の事例のような新規参入を含め、どんどん変化する可能性もあるだろう。
もう一つ、トランスフォーマー
生成AIのテクノロジーを語る上でLLMに加え、もう一つ覚えておきたいのが “トランスフォーマー”と言われるもの。このトランスフォーマーの登場が現在の生成AIを格段に進化させた起爆剤にもなった。
トランスフォーマーは、データを処理するための技術のひとつで、機械学習や強化学習に用いる技術のことだ。これにより、AIによる出力生成の精度が上がる。自然言語やDNAのような連続的なデータを処理するために利用される。
また、機械学習の一種である教師なし学習にも利用される。教師なし学習とは、データセットの構造を学習するために、人間がラベルをつけなくてもデータを分類し、パターンを見つけ、推奨を行うことができる手法のこと。それにより、大規模モデルの作成が簡単になりGPT2 -> 3 -> 4のように開発速度が向上した。
生成AIの裏には”LLM”と”トランスフォーマー”というテクノロジーが利用されていると考えれば、基本中の基本は抑えられているのではないだろうか。
いきなりAIサービスが急増した理由は?
生成AIに関連するサービスは日進月歩。毎週のように新しいサービスがリリースされている。
昨日できなかったことが急に今日可能になることも少なくない。それをキャッチアップするだけでも大変だ。
そもそもなぜ2022年後半から2023年明けにかけてこんなにも生成AIとAI関連のサービスが怒涛の発展を遂げたのか?
おそらくAI系のテクノロジーが世界の複数の場所で水面下で研究開発が進んでおり、ここ数年で一気に花開いたのであろうと考えられる。
その要因の一つが、ネット上の膨大なるデータ収集によるもの。GPT-3などは Common Crawl のデータ(世界中のWebサイト)がメインの学習元としてデータの収集を行なった。
また、テクノロジーの発展はその性質上、指数関数的に一気に進み、どこかのタイミングでビッグバンのように世の中に広がる。そして、その直前まではあまり気づかなかったりもする。
そしてもう一つの説。それはコロナ禍がAIの発展に大きく貢献したというもの。これは、Future Today InstituteのCEO, Amy Webbが提唱する説で、SXSW 2023における彼女のキーノートプレゼンテーションでも説明されていた。
皆さんも記憶に新しいと思うが、2020年初頭にパンデミックが始まった直後から仕事も学校もリモートになり、世界中がオンラインでミーティングや授業を行っていた。
そうなるとどうなるか?文字だけではなく、画像、映像、声、ロケーションなどなどのさまざまなデータが収集される。
AIはどれだけのデータを収集できるかでその精度が左右されることもあり、コロナ禍の3年で急激にデータが集まったことで、その精度がどんどん高まっていったらしい。
今後の展開は?
こんなにも毎日急激に発展している生成AIだが、今後どのように展開して行くのだろうか?
おそらく我々が現在目の当たりにしているのはまだまだ序盤で、今後は文字や画像だけではなく、音、声、動画、そして映画などもAIによって生成されて行く可能性が高い。
そしてディープフェイクなど、さまざまな著作権、プライバシーの課題が出てくる。それに対する法整備も急ぐ必要がありそうだ。
次回は生成AIの発展が仕事に与える影響に関してまとめていく。
参考: お〜いお茶 カテキン緑茶TV-CM「未来を変えるのは、今!」篇 (生成AIによって作成されたAIタレントを起用)
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