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フェムテック先進国アメリカの最新サービス & 注目の国内事例6選
日本でジェンダーの平等観の浸透や女性の社会的権利に声をあげることが広がる一方で、女性の健康面までその声の広がりは行き届いているだろうか。
女性の権利に対する運動が盛んなアメリカでは女性のヘルスケアへの意識も高くフェムテックのサービスやプロダクトが広がりを見せている。
実際に私自身アメリカでの学生生活を通して、ここ数年でフェムテックが日常レベルまで浸透してきたと感じている。
特に低容量ピルと吸収サニタリーショーツのD2Cを周りで使う学生も多く、フェムテックのサービスを使うことが当たり前になり始めている。
今回は拡大を見せるアメリカでの最新のフェムテック事情と、日本国内でも先駆的に利用者を伸ばしているサービスについて解説をする。
アメリカのトレンドから新たなサービスアイディアを求めるヒントになるだろう。
また、幅広い年代に対応したサービスを紹介しているため、それぞれの体の悩みへアプローチする方法が見つかると同時に、サービス開発をする側にとっても参考になれば幸いだ。
フェムテックをリードするアメリカ
広がりが見られるアメリカのフェムテックだが、実際に数値で見ると、圧倒的にフェムテックの数が世界で多いことがわかる。
また2020年には、フェムテックを行うスタートアップへ投資された額は$376.2 millionと多額の額が投資されそのうちの半数以上はアメリカの投資家によるものであった。これらから世界的に見てもフェムテックをリードしている国と言えるだろう。
アメリカで注目のフェムテックサービス紹介
1. Future Family
不妊治療を行う際に立ちはだかる大きな壁として、多額の費用がかかることが挙げられる。アメリカの場合、不妊治療は初診料でけでも20万円近くかかり、体外受精の平均費用は150万円から200万円にも及ぶ高額な治療である。
しかし Future Familyはこの課題を解決するべく、サブスクリプションを導入し月に$250から始まるプランで不妊治療に必要なIVF(体外受精)と卵子凍結のサポートを行う。
プランにはユーザーに合った細かい不妊治療のプランの捻出から医療機関の紹介、いつでも専門医に相談できるコーチングのサポート等がある。
高額かつ通院が必須なイメージがある不妊治療を、月額制にしたことで患者の金銭的な負担を軽くし、各ユーザーにカスタマイズされたプランをオンラインで提供している点が革新的である。
2. The Pill club
The Pill Clubは低容量ピルのD2Cブランドである。病院に行かずに低容量ピルの受け取りが保険なしでも可能である。その利便性が支持を得て2016年にスタートし、現在ではアメリカ国内の47州にサービス展開を広げている。
注文までのステップはとてもシンプルで、いくつかの質問に答えた後に医師が自分に合ったピルを選択してくれる。費用は保険がある場合1年間のサブスクリプションで月額$6と手頃になっている。
また注目の点としてはただ薬が自宅に送られてくるのではなく、ピルと一緒に毎月お菓子や可愛いデザインのステッカーなどが同封され配達されることである。
毎月送られてくるのを楽しみながら注文できることもポイントだ。利便性を追求しただけだなくUXやユーザー心理も考えられているのが伝わる。
3. FLO HEALTH
FLO HEALTHは全ての女性のライフステージに合った健康や体の悩みに関する情報の提供とサポートを行うヘルス系のアプリである。
2019年には世界のアップルストアのヘルス系カテゴリーで最もダウンロードされたアプリであり、その認知は国外にも広まっている。
具体的には、AIを用いたアプリ上での生理周期のトラッキング、また生理による頭痛や体の痛みなど、どのような体の変化が出るかを周期毎のリマインドだ。
妊活のためにはカレンダー作成や赤ちゃんの名前選びに関する知識のシェア。また婦人科系の病気に関する多数の記事をアプリ上で閲覧できるなど、幅広い年齢のユーザーに合うようにと様々なコンテンツが用意されている。
これまで、女性のヘルス系アプリだと生理周期のトラッキングのみ行うものであったり、年代ごと、カテゴリーごとに分けられたヘルス系のアプリが多くあった。
しかし、例えば10代の若い女性がが年齢を重ねても、ライフステージに合ったコンテンツを1つのアプリで利用し続けることができるのは目新しく便利である。
日本でも広がりをみせる国内発のフェムテックサービス
1. ファミワン
ファミワンはLINEを活用した妊活コンシェルジュサービスであり、専門家である不妊症看護認定看護師、臨床心理士、助産師、培養士、ピアカウンセラーから妊活に対する様々なアドバイスを受けることができる。
費用は無料で、治療を開始する場合は、自分に合った病院を紹介してくれる。また画期的な取り組みとして、LINEを通じたサポートの他に、企業に向けて妊活・不妊治療を福利厚生として導入するための支援も行っている。
2. Truly
Trulyは、日本で初めて更年期に重点を置いたオンライン相談サービスである。
個人向けには女性特有の悩みに特化した様々な記事の提供と体のセルフチェックを、法人向けには月額制で女性社員の負担がなく更年期、性の悩み等のチャット相談が行えるサービスを展開している。
女性は年齢を重ねるごとにホルモンが低下し、その影響は生活や仕事に影響しかねない。女性の起業家や管理職に就く女性が増える中で、女性の健康面とその取り巻く環境を企業側と共に支えることは重要な点である。
3. fermata
fermata (フェルマータ) は世界初のフェムテックオンラインストアとしてフェムテックのプロダクト販売するD2Cブランド。世界中のブランドからプロダクトを集めセクシュアルウェアネス、月経、妊娠産後ケアなどの用品を取り扱う。
従来ではひとつのサイトで女性のヘルス系の商品を一挙に閲覧し購入することができなかったが、fermataはそれを可能にした。また商品の豊富さだけでなく、レビューを参考にしながら商品を比較したりできることも利点である。
fermataのビジョンに“あなたのタブーがワクワクに変わる日まで”とあるように、Webサイトのデザインがポップで親しみやすく、性や体の悩みへポジティブな印象を持たせているところも魅力的だ。
まとめ
今回紹介した全ての会社が同様のミッションを掲げ、それぞれのサービスやプロダクトを展開していた。それはフェムテックを通して女性が女性特有の健康問題をオープンにし、理解や支援を得られる場を創るということでもある。
それだけまだまだ女性の健康問題によって生きにくい場面が生活の中であると同時に、フェムテックの広がりの需要性もあるということではないのだろうか。
フェムテックの今後の広がりによって、女性自身も自分のヘルスケアについて正しい知識や方法が広がり、またそのようなヘルスケアの意識が高まればどの性別においてもお互いの体の悩みについてよりオープンな環境や場所が増えていくことが望まれる。
Source:
- Femtech is expansive—it’s time to start treating it as such
- 令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に 与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)
Written by Himawari Nemoto
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