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デザイナー目線で選ぶ、アメリカの有名企業の斬新なロゴリデザイン5選
2021年は変化の多い年であった。コロナ禍がもはや生活の一部になり、多くの企業がリモートを前提にした働き方をするようになった。Web3.0やメタバースなどが流行り、その領域への進出を本格的に始めた企業もあった。
そんな中、デザインもビジネスや社会の変化に合わせてさまざまな試みが行われていると感じる。特にこの2021年は面白い試みのロゴデザインが多く発表された年だと感じた。
今回はそんな2021年に発表されたリブランディングの中でこれまでにない新しいロゴのアプローチだと感じたものを取り上げる。
1.「レトロ感」で美味しさを表現したBurger King
2021年1月ハンバーガーチェーンのバーガーキングは20年ぶりのリブランディングを発表した。デザインしたのはLondon、NY、Shanghaiに拠点をもつクリエイティブエージェンシーのJones Knowles Ritchieである。
これまでの赤と青が目立つ、スポーティーな印象のものから打って変わってレトロな印象を受ける柔らかい雰囲気のロゴになった。モダンでクリーンなロゴが流行っている中であえてレトロな印象のロゴを採用したところが新しいと感じた。
また、これまでのロゴにあった青色を「食べ物に青色は存在しない」という理由で排除したことで従来のものよりも食品を扱う企業らしさが出ている。
ロゴ以外にもカラーパレットや制服のデザインを見ても、どれもハンバーガーショップらしい、ハンバーガーの素材から抽出したかのような色使いになっており、オーガニックで安心できる印象を受ける。
この事例を見てわかるように、色から受ける印象は非常に大きい。特にそれがパレットとして複数色並べた時にそのブランドで作りたい世界観を感じられるものになっているとそのブランディングは優れていると言えるだろう。
2.事業領域を3Dを用いて表現したMeta
旧Facebookがよりメタバース領域へ踏み込むことの現れとして社名の変更に合わせた新しいロゴが発表された。
今後、Metaがメタバース領域を推進していくということがよりわかりやすくロゴとして表現されている。なおかつ旧Facebook時代の初期のロゴの名残を感じさせるような青色を再び採用している(Facebookの頃の最も新しいロゴはグレー一色だった)。
そのため、社名とシンボルマークが変わっても旧Facebookだとすぐに受け入れられたのではないだろうか。
また、ロゴとアニメーションの関係も大変興味深い。これまで多くのデジタルプロダクトの企業はフラットなロゴを採用することが一般的であったが、Metaのロゴは、ロゴが立体的に見えるように青色をグラデーションとして使っている。
またアニメーションでもそのように奥行きがあるものとして表現されている。おそらく新しいロゴでメタバース空間における3次元的な空間の広がりを表現しているのだろう。
奥にあるラインの方が明るい色になっている。
この事例からも今後デザイナーは平面に囚われることなく3次元的な発想と2次元的な発想を行き来する力も必要になるのではないだろうか。
3.素材感を用いたBLOCK(旧Square)
決済サービスを提供していた旧Squareが社名をBLOCKに変更した際のリブランディング。Metaと同じく3Dを前提としたロゴなのだがBLOCKの場合は常に動き続ける。
Metaの場合は複数のプロダクトをメタバース軸1本へと統率するための社名変更だが、BLOCKの場合は事業領域をブロックチェーン技術をベースに広げていくための変更になる。
この特定の形を持ち続けず動き続けるように見えるロゴから、ブロックチェーン領域にさまざまな形で挑戦するという意識が読み取れるのではないだろうか。
また、このロゴからは3次元やアニメーションに加えてテクスチャーの発想を感じ取ることができる。BLOCKのホームページを見ると、背景は赤色と水色のグラデーションになっている。
それがまるで鏡に反射するかのようにロゴの色が変わっていく。
4.映画作品との協調を目指したWarner Bros
サンフランシスコのデザイン会社Pentagramによって行われたWanner Brosのリブランディングで優れている点は、ロゴの活用方法までしっかりと考え込まれている点だ。
Warner Brosが今後のデジタルへ本格的にシフトするためにロゴをフラットにしただけではなく、本業である映画の映像に移った際にしっかりと存在感が出るように立体のロゴも残している。
他にも映画事業という会社の特性を活かせるように、各映画作品とのコラボ方法のフォーマットも提案されている。
どんな映画でもこの印象的な盾の形を模したロゴのアウトラインのなかに映画のキャラクターを入れることで、映画の世界観を壊さずに、うまくロゴをアピールできるようにしている。
このようにデザインするロゴの企業がどんな事業を持っているか、その特性を理解しロゴのアピールの作法まで踏み込み提案することがよいブランディングを行う上では重要だろう。
そのためデザイナーはロゴをデザインする企業の事業内容をしっかりと把握し、より踏み込んだ提案をすることが今後はより求められるのではないだろうか。
5.目の錯覚を用いたRENAULT
車メーカーのルノーも立体的な造形のロゴからフラットなロゴへとリデザインした。このリデザインに置いて優れている点は立体だった頃持っていた図の奥行き感が、目の錯覚を利用して表現され残されている点だ。
特に旧ロゴに見られる重なる部分の奥行き感が新しいフラットなロゴでも感じ取るとこることができるだろう。
このように目の錯覚といった人の目の見え方を学ぶこともロゴをデザインする上で重要な知識になる。
特にこの見え方を知ることはロゴの完成度を上げる上でも重要な知識になる。
まとめ
このように、一口にロゴデザインと言ってもその表現手法や運用方法はとても奥が深い。
特にこの記事で紹介したロゴのリデザインはどれも斬新な表現手法を取っているだけでなく、企業の理念やヴィジョンをうまく反映していると言える。
デザイナーはロゴをデザインする際にはクライアント企業の事業内容やヴィジョンへの深い理解をすることに加え、それをヴィジュアルとして表現するための幅広い表現手法を知っておく必要があるのではないだろうか。
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