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もう人は必要ない!? 海外で流行しつつある物流のトレンド
近年、世界各地でオンライン販売が顕著に伸びを見せている。オンラインショッピングの大きな魅力は何であるだろうか?それは「時間の有効利用」であると言えるだろう。
私たちは早朝、深夜関わらず携帯端末もしくはパソコンとインターネット接続環境さえあれば世界中のオンラインストアから買い物ができる。暇な時間に自分の持つ端末の画面上で買いたいものを選び、数日後には自宅に商品が届けられるのである。
そんなオンラインショッピングの世界にも大きなイノベーションが起ろうとしている。オンラインでショッピングをするのが一般的になってか20年も経っていないが、既に物流面から新たな確信が始まっている。
まずはECの主な市場である米国、日本、中国、そして世界のEC市場の伸び率について紹介する。米国の2012年のB2CのEC市場規模は、前年比15.8%増の2255億ドル(約22兆5000億円)となり、小売売上全体に占める割合(EC化率)は5.2%と前年比0.5ポイント上昇した。
日本における2012年のB2CのEC市場規模は9.5兆円、EC化率は3.1%と前年より0.3ポイント上昇を見せ、2013年のEC市場規模は前年比17.4%増の11.2兆円を記録した。また2013年のEC化率は3.7%と前年より0.6ポイントアップしている。
中国では2009年のB2CのEC市場規模はたったの約220億元(約3000億円)だったの対し、2012年には約4800億元(約6兆5600億)という約21倍以上の伸びを見せている。
さらにeMarketerによると、2014年には全世界のB2CのEC市場規模が前年比20.1%増の1兆5000億USドル(約150兆円)に達すると予想された。
世界の市場が急激に伸びている2つの理由
そして、このようなEC市場での売上が今急激に伸びているのには大きく分けて2つの要因があると言われる。
1つ目の要因は、スマートフォンでオンライン購買をする消費者の増加である。多くの消費者の中で今、自分の端末を使ってインターネットにアクセスしてオンラインで商品を購入する動きが広がっている。
Googleがリサーチ会社Ipsosなどと共同で提供している、世界のスマートフォン利用状況に関するデータ「Our Mobile Planet」によると、2013年時点で中国では73%、米国では55%のスマートフォンユーザーがモバイル端末を使ってオンライン上で商品を購入したことがあると答えた。
日本の場合だと44%のスマートフォンユーザーがモバイル端末でオンライン購買の経験があると答えている。
2つ目の要因は、大手小売店がどんどんオンライン販売のシステムを開発し、導入していることである。世界最大のデパートメントストアチェーンのメイシーズ、大手アパレルストアチェーンのギャップ等は2011年の夏から、世界の90カ国以上に向けてオンライン販売を始めている
。米国では2001年から2011年のオンライン販売の平均伸び率は19.8%にも及んでおり、総小売業の平均3.1%の伸び率を大きく上回っている。
物流システムにもイノベーションが始まっている
今、このようにオンライン販売が伸びを見せている中、Eコマース業者にとって物流は非常に大切である。なぜなら最終的に、消費者がオンライン上で購入したモノを彼らの手元に届けないといけないからである。物流業界で近年、消費者が購入した商品が自宅に届くまでの物流において2つの新たなテクノロジーがヒトに取って代わろうとしている。
1.ドローンによる配送の機械化
今、物流業界を驚かせているドローンをご存知だろうか?ドローンとは小型無人飛行機のことであり、スマホ等の端末で遠隔操作したりAI(人工知能)を組み込んだりすることによって、今までにないような物流が可能となる。そして、ドローンの登場はいわゆる物流革命の始まりとも言われている。
米国Amazon社は2013年にドローンを用いた、宅配サービスの開発を進めていると発表した。そのサービスとはGPS機能により位置情報を把握して最寄りの物流センターから半径16km以内の家までなら注文をした後30分以内に玄関先まで届けるというものである。その名も「Prime Air」というもので、Amazon社は最も早くて2015年の実用化を目指している。
同じく2013年にドイツの物流・郵便大手のポストDHLは、ドローンを使い配達実験をスタートした。実験に使われたドローンは、最大時速50kmという速さで重さ3kgまでの荷物を運ぶことができる。配送が難しい地域への緊急輸送(医薬品)などを想定して実験が行われた。
このように世界各国で注目を浴びているドローンではあるが、まだ完璧に実用化はされていない。しかし、ドローンが従来の物流の方法とは全く異なるイノベーションとなり、将来、人間に代わって各地の消費者にモノを届ける存在となる可能性は大いにあると言えるだろう。
2.キヴァシステムによる物流現場の効率化
上の物流現場の写真を見て、何か気がつくことはないだろうか?
そう、荷物を運んでいる人が見当たらないのである。
ボストンに本部のあるKiva System社が開発したネットワーク化されたロボット物流「モバイル式フルフィルメントシステム」により、物流の生産性が最大で4倍にも改善されている。
このオレンジのロボットの仕事内容とは在庫棚を持ち上げて運び、床にあるバーコードを読みながら作業員のところに運ぶことである。そして、在庫棚を元に戻すのではなく呼び出し頻度が高い順番に作業員に近い距離に戻して、生産性を上げるという仕組みになっている。
2012年、米Amazon社はこのKiva Systemを7億7500万ドルで買収した。これによりAmazon社は物流センターでの商品ピックアップ、梱包、発送プロセスの更なる効率化、人件費削減と配達の更なる迅速化を目指している。
そしてAmazon社はKiva System社を買収して、このロボットを使用することにより年間最大9億1600万ドル節減できる可能性があると述べている。
また米Gap社や米トイザラス社など他の大手小売業者も倉庫管理の省略化を進めるために、Kiva Systemを使用している。
今回紹介したドローンとKiva System社のモバイル式フルフィルメントシステムは今後、海外でトレンド化する可能性の高い、物流におけるイノベーションである。従来のような物流における人件費は大きなコストのかかる部分であり、これからそれを機械に置き換え、その費用を節減しようという動きは自然に起こるものだと予想される。
そして、従来の物流のように仕入れや運送等の過程で不可欠だった人間の存在は、新開発された新しいテクノロジーの出現により、下記の図のように機械にとって代えられるのかもしれない。
今後の展望
ドローンは小型ではあるが、飛行機であるため米国でAmazonのプライム・エアーなど商用として使うときに最大のハードルとなるのが、FAA(米連邦航空局)による規制だろう。今のところFAAは民間のドローンを米国空域に飛ばすことを許可していないからだ。
これについては2015年にFAAは何らかの結論を出すとしている。また安全性、盗撮、またはハッキングなどの問題もあるため、商用としてドローンを使うにはこれらの問題を解決することが求められる。
これは米国だけでなく、他の国にも言えるだろう。もしドローンの使用が許可された場合、あなたが普段、何気なく外で上を見上げたときに複数の小型飛行機が飛び交っていることに違和感なく過ごす日が来るのかもしれない。
キヴァシステムのモバイル式フルフィルメントシステムに関しては既に、様々な企業が既に導入を進めており、今後、物流業界で人件費削減のために導入する企業が続々と増えるだろうと予想される。そして人間は機械にとって代わられ、物流現場から人が消える日が来るのかもしれない。
参考記事:
- http://cmmninc.com/asia-mobile-commerce-smartphone-data/
- http://www.logistics-costdown.com/professional/2012/12/1203.html
- http://www.economiapersonal.com.ar/digital-distribution-channels-how-to/
- http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304468904579249163695741786
- http://sankei.jp.msn.com/world/news/131210/erp13121008120000-n1.htm
- http://cmmninc.com/global-b2c-ecommerce-sales-1-5-trillion/
- http://hq-inc.jp/china/scalenetecb2c.html
- http://news.mynavi.jp/news/2014/08/28/151/
Photo by: Don McCullough, Daniel Foster, Samuel King Jr
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