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ダヴィンチに学ぶ 優れたデザイナーに必要なこと
どのようにしてデザインを学べば良いのか?
今まで聞かれた質問の中で最も多いのがこれ。特に、どこでUXデザインを学べが良いか?という質問は、答えに困ることが多い。
なぜなら、デザインは奥が深く、最近様々な分野で求められるUXデザインになるとその幅もとても広くなり、異なる領域の理解とデザインだけではなく、エンジニアリングの知識も求められることも少なくない。
例えば、「【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる」で紹介されているように、自分が設計したものは自分が動かす時代になってきている。
これまでは、デザイナーとエンジニアは2つの異なる職業とされて来た。しかし、テクノロジーが進むにつれ、エンジニアの経験やバックグラウンドを持つデザイナーは非常に重要な人材となるだろう。
逆にデザイナーからエンジニアに転身する事も珍しくはない。この2つの職業の境界線はどんどんなくなり始めている。これからは、僕はエンジニアだから…, 私はデザイナーだから… などの言い訳はできなくなる。
ダヴィンチは史上最強のデザイナー?
このように、近代ではデザイナーに求められる知識や能力は実に幅広くなってきている。
しかし、この次世代のデザイナーに求められる能力を、実に500年以上も前に持ち合わせていた人がいる。レオナルド・ダ・ヴィンチである。
ダヴィンチは、1452生まれのイタリア人芸術家で、その才能は多岐にわたり、通称、万能の天才とも呼ばれている。彼の作品である、モナリザはあまりにも有名で、画家としての知名度が高いだろう。
その一方で、彼のスキルと考え方を現代に当てはめてみると、彼こそが史上最も優れたデザイナーの一人であることが理解できるであろう。
異なる領域を融合
冒頭の説明からも分かる通り、デザイナーに求められる領域は非常に広い。
その点においても、ダヴィンチは、美術、医学、化学、科学、数学、音楽、建築、そして哲学に至るまで、実に幅広い分野を学び、隔たりなくそれぞれを融合し、新しいソリューションを生み出していった。まさに、ルネッサンス=イノベーションである。
このことがデザインにとってどれほど重要であるかは、NYMOMAの建築デザイン部門のキュレーターである、パオラ・アントエリの下記の言葉からもうかがうことが可能であろう。
“優れたデザインとは、テクノロジー、認知科学、人間のニーズ、そして美を組み合わせ、今までそれがなかったことに世界の誰もが気づかなかったようなものを無から生み出す、ルネッサンスにも似たものなのです。”
絵に描くことで細部の仕組みを理解する
ダヴィンチが特に重要視していたのは、興味の持ったものをとことんスケッチすること。
それが自然であれ、動物であれ、人間であれ、建築物であれ、その細部を理解するために、まずは詳細までスケッチに落とし込んでいった。その経験がのちに彼を偉大なる画家にしたのである。
現在のUXデザイナーも、まずはすでに存在しているプロダクトをスケッチやトレースすることで、その仕組みを理解することができるようになるだろう。そして、それを元に自分なりの設計ができるようになる。
造形と機能の両方を習得
上記のスケッチを見てみて一つ気づくことがある。それは、絵の横に詳細な注釈がついている点。これは、ダヴィンチが物の見た目だけではなく、機能性も非常に重要視して、コンセプト立案していた事が伺う事ができる。
彼は、造形 (Form) と機能 (Function) の両方をしっかりと理解し、自身の作品に投影していった。彼が作り出す造形は、単純に見た目が美しいだけではなく、しっかりとした機能的な根拠も持ち合わせいるが故の結果なのである。
コウモリの仕組みからグライダーを発想
彼のアプローチを元に作られた作品の一つが、自然や動物の仕組みをとことん研究することで、複数の科学的発明を生み出した事実だろう。
例えばダヴィンチは空飛ぶコウモリの仕組みを徹底的に研究し、現代におけるグライダーの原型をデザインした。
もっともこれは、その当時のテクノロジーでは実現できなかったが、デザイナーとしての発想は時代を大きく先取りしていた。
文系?理系?そんなのカンケーねー
彼が異なる領域をクロスオーバーする事で優れたデザイナーになったことを考えると、いまだに日本の教育システムにしっかりと組み込まれている、文系、理系の概念は弊害でしかなくなる。
優れたデザイナーになるためには、文系や、理系の概念を一切取っ払って、異なる学問分野からインスパイアされることが重要なのである。
これは、ダヴィンチが、サイエンスとアートのクロスオーバーすることで、新しいプロダクトを生み出した事からも、その重要性がわかるだろう。
デザインとアートすらもクロスオーバー
実は、デザインとアートは似て日なるものであり、むしろ結構異なるはずなのである。
これは、それらの最終目的が、問題解決と自己表現であることからも分かる。
しかし、ダヴィンチに至っては、それを超越するぐらいのレベルまで到達している。世の中の課題を解決するような発明をしながらも、人々の心に響くような芸術作品も残している。
実は、UXデザインの領域では、使いやすさと心に響くデザインの両方が求められる事からも、デザインとアートの両方を会得する重要さが理解できるだろう。
優れたデザイナーはアートの力も活用し、デザインとアートの間を縦横無尽に行き来し、最適なプロセスやアウトプットを生み出しているように感じる。
右脳と左脳の行き来
優れたデザイナーになりたいと思うのであれば、これからは左脳と右脳をバランス良く使うことが求められてくるだろう。
おそらく現在の日本の教育や企業での評価システムの中では、ほとんどが左脳の動きにフォーカスがされていると感じる。その一方で、新しいものを作り出したり、ユーザに共感するためには、右脳の動きが重要になってくる。
ダヴィンチは、何を作り出すにしても、まずはそれを受け取る人々の気持ちを重要視したとされている。例えば、最後の晩餐のユダの表情一つとっても、どのような表情になると見る人が違和感を感じるかの調査を徹底的に行ったとされる。
これは、現代におけるユーザー理解にも通じる概念。それを踏まえて、左脳ベースのロジカルな考え方も活用する事で、バランスのとれた作品が生み出される。
常に”Why”から始める
ダヴィンチの最も優れた素質を一つ挙げるとしたら、その好奇心の強さであろう。
自然の摂理から人間の言動に至るまで、なぜそのようになっているかに疑問を持ち、徹底的に調査していた。それを元に、仕組みを分析して、新しいものを作り出したとされている。
そして、その結論を、今で言うモックアップやプロトタイプにして作成をして、実験をしていた。彼の多くの発明作品は実現されていないが、今でもそのコンセプトは、現代でも通用するレベルのものも多い。
ちなみに僕の誕生日は彼と同じ4月15日なこともあり、今回の記事を書いてみた。(同日は、東京ディズニーランドオープン日でもある)
Simplicity is the ultimate sophistication.
シンプルさは究極の洗練である
– レオナルド・ダ・ヴィンチ
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