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【こんなにも凄い】色が人の心理と行動に与える影響とは
私たちの生活は色に囲まれているが、なぜ一つ一つにその色が使われているのか考えた事はあるだろうか。色は私たちが思っている以上に人の心の働きに影響を与えている。
世の中にあるもの全てには色がついていて、物作りに携わる人が決めている。人々はその色をデザインとして受け取るが、作り手は色の心理学をもとに配色を選んでいる。
無意識に私たちは色に誘導されているが、逆をいえば色彩の作用を知っていれば色で人々を誘導する事が可能である。ファッションなどでもその効果は発揮できるので、その時の場所や状況、モチベーションに合った色が選べるように色彩を学んでみるのもおもしろい。
それぞれの色の働きやどのように人に影響するのかを知っていれば人々を目的の方向へ誘導することができる。
1. 色はどんな影響力があるか
【心理的な影響】
暗記力、回想力、認識力を増す。また、色によって簡単に理解•学習•誘導ができる。
【生理的な影響】
神経に影響を与える。研究によって、明るい赤は交感神経系に刺激を与えるので血圧をあげるともいわれている。逆に、青や緑はリラックスさせる生理作用がある。
【感情的な影響】
私達の感情や気分は色に大きく影響されている。例えば、黄色を見ると人は明るい気分になる。観葉植物など緑を見ると人は安心する。
【文化的な影響】
文化は人に基本的な価値観や感覚を与える。なので、文化によって色が人に与える印象も異なる。例えば、西洋文化では黒は死を象徴するのに対して東洋文化では白が死を象徴する。この様に文化はデザインに影響を与え、さらにユーザーの文化によっても受け取り方が異なる。
2. それぞれの色の働きと色彩心理
色は国際的に同じだが、文化によって心理的に受ける影響は多少異なる。また、生理や心理作用を共に把握する事が色を上手く使うコツとなる。
【赤】警戒心、注意力を喚起し、人間の感情的興奮や刺激をもたらす。赤は色の中で最も長い波長を持ち、交感神経に刺激を与え体温•血圧•脈をあげる。
【オレンジ】楽天的な印象をあたえ、陽気にみえる。消化、新陳代謝をよくする作用があるため、食欲を増進させる。血管や自律神経を刺激し身体を活動的にする。
【黄】明るさや希望を与える。運動神経を活性化させる。脳の活性化がよくなり頭の回転が早くなる。集中力がアップする。
【緑】情緒の安定、安心感の増加。身体を癒す色。筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせてくれる。また、筋肉や骨その他組織の細胞を作る力を促進したり、暖和効果があるので血圧を下げる。
【青】爽快感、冷静を与える。鎮静作用があり、精神的に落ち着かせる作用がある。体温の低下、痛みの暖和などの作用もある。
【紫】高貴さ優雅さを表す。集中力アップ、鎮静効果。リンパ管や心筋、運動神経の働きを抑制する。
【黒】力強さ、高級感を与える。相手を威圧し、力を象徴する。
【白】純潔さや純真さを表す。過去を清算してリセットする色。
3. 日々色にどんな影響をうけているか
私たちは日々、色に心理的、生理的影響を与えられている。例えば、暖色と寒色の温度感。同じ温度でも赤、橙、黄などの暖色は、青や青緑などの寒色に比べて人は暖かさを感じる。色彩で人は暖かさまでも違った判断をしている。さらに温度感だけではなく色はさまざまなところで人に色彩以外に情報を与えている。
【進出色と後退色】
同じ平面にあっても色が違うだけで飛び出してみえたり、後ろにさがってみえたりする。赤、橙、黄などが進出色といわれ前に飛びでてみえる。反対に、青、青緑、青紫は後退色と呼ばれ後ろにさがってみえる。右の青の長方形の方が左のオレンジの長方形よりも奥に入って見える。
【膨張色と収縮色】
よく白の服を着ると黒の服よりも膨張して見え、太ってみえるといわれるがこれは錯覚によるもので、色の明度によって起こっている。小さく収縮してみえる色が収縮色(明度の低い色)で大きく膨張してみえる色を膨張色(明度が高い色)という。中の長方形は同じサイズなのに左の白の方が右の黒より大きく見える。
【陽気な色と陰気な色】
明度(色の鮮やかさ)、彩度(色の鮮やかさ)ともに高いと陽気な感じになり、明度、彩度が低いと陰気な感じになる。色合いでいえば、暖色が陽気で寒色が陰気な感じである。
【興奮色と鎮静色】
赤みのある色で明度、彩度が高い色は興奮色といわれ、青みのある色で明度、彩度が低い色は鎮静色といわれる。赤みのある色は心拍数を上げる作用があり、青みのある色は気持ちを落ち着かせる作用がある。
【派手な色と地味は色】
彩度が高いと派手な印象を受け、低いと地味な印象を受ける。
【重い色と軽い色】
明度が低いと重い印象を受け、高いと軽い印象を受ける。
【強い色と弱い色】
鮮やかで濃い色ほど強いイメージ。反対に、パステルカラーなどの淡い色は弱いイメージを受ける。色相では色の強い弱いは影響せず、彩度、明度で決まる。
【柔らかい色と硬い色】
また、強い色と弱い色と同じように明度が低いと硬く見え、高いと柔らかくみえる。
実際に、色を変えただけで人に生理的、心理的影響を与えた例がある。学校の教室の壁の色をオレンジから青系に変え、じゅうたんの色もオレンジからグレーに変えたところ、子供達の行動に変化があらわれた。
調べてみると、血圧が120から100に下がり17%も色によって血圧が下がっていたことがわかった。血圧が下がったことによって、子供達はいつもより落ち着きがでて、話を良く聞くようになった。
またウェブサイトのバックグラウンドの色なども読み手にストレスを与える色だと、読み手がサイトをリビューする時間が減る。
人は目から得た情報によって生理、心理的に影響をうけている。
4. 色で人は誘導されるか
色彩は様々な印象、感情、錯覚を与えるが、これらの作用は部屋の空間から広告やファッションなどあらゆるところで使われている。心理や生理的に影響を与えるので言葉で伝えられるのとは違い、自分が感じた印象として素直に受け止められる事が多い。
また人間関係や自己の向上にも色は関係していて身につけている色によって人に与える印象も変わる。
一番身近な例で言えば道や室内にあるサインである。信号機は青、黄、赤の色が変わる事によって人を上手く誘導することができている。また飛行場などサインがないと多くの人が混乱する場所などではサインが目立つように黄色と黒の組み合わせを使って目立つように工夫している。
また初対面の人に会う時は、服を選ぶ時に色に気をつけて選ぶと効果的である。例えば、黒色の服を着ているとクールで知的に見える。重圧感や自立している印象を与えるので交渉などの場面では有効な色である。
逆に白は、誠実さや上品な印象を与えるので初対面の人に会うときなどは好印象を与える効果的な色である。青はまじめさや落ち着いた印象を与えるので面接の時などに適した色である。
さらに服の色は着ている人自身にも影響する。例えば、赤色は興奮する色なので身につけるとやる気になり行動力がでたりする。また、「自分の好きな色」というのは癒しの効果があるといわれていて、好きな色の物を身につけると人は安心する。
女性の人ならば、アイシャドーやチークの色でも印象を変える事ができる。ピンクのチークだったら優しく暖かいイメージで、オレンジのチークは活発なイメージである。
食べ物の写真では加工する際には全体的に明るくして緑や青を抑えて赤みを際立たせる。そうする事によって美味しそうな食欲をさそう写真になる。
これだけではなく、私たちはもっと色々な所で日々影響を受けている。
それぞれの文化で異なる色の解釈
そして、異なる色に対しての捉え方も国や地域によって異なってくる。日本の生活では雑誌の表紙や街の看板に様々な色が利用されているケースが多いが、アメリカでは同じ系統の色でまとめるのが一般的である。これも、アニメを見て育ったかどうかなどの社会的背景に関係すると考えられる。
ちなみに、日本、アメリカ、フランス、中国、エジプトのそれぞれの国で、青、緑、赤、黄色のそれぞれの色がどのように捉えられるかは下記の通り:
さいごに:
色はただの色として認識されている事が多いが、人の心や気持ちに大きく影響している。色相の特徴を知ってから改めて商品やロゴなどを見ると、理由があってその色が選ばれている事がわかる。またその日の気分で自分が選んだ服も、その時求めている感情に合った色を自然に選んでいたりもする。
色は文字とは違い見て感じるものなので、自分でも気づかないところで様々な影響をうけている可能性がある。一度身の回りの色を見てどんな影響をうけているか考えてみるのも面白い。
筆者:中山芽衣 Mei Nakayama – デザイナー btrax, Inc.
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