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成功した海外起業家達の給料はいくら?
ビジネス大国のアメリカでは、大手企業の重役ともなるとかなりの報酬が得られる事でも知られている。例えば米国大手上場企業の300社をリサーチしたところ、2015年におけるエクゼクティブの年間報酬の中央値は$10.8mで約12億円にものぼる。
先日のメディア報道でもYahooのCEOであるMarissa Mayerの2015年度の報酬合計額が$36m (約38億円) と発表された。2014年と比べると約$6mのダウンになるが、かなりの金額である。
これは、まさに巨額の富を得る事が出来るこの国の一つの象徴にもなっている。では一獲千金を狙うスタートアップのCEOの報酬はいくらぐらいなのであろうか?
スタートアップ時のCEOの報酬は?
立ち上げ時や上場前でも、スタートアップが大型資金調達をしていれば外側から見るとCEOはかなりの給料をもらっていると感じてしまう。では、実際の現状はどうなっているのか。
先週の記事のアンケートによると、実にケースバイケースである事が分かる。特に初期のスタートアップのファウンダー達は極力自分たちへの報酬を少なめにし、会社の成長の為にお金を使う事が多い。
今回はより幅広い範囲で、幾つかのリサーチを元に一般的に考えられるアメリカでのCEOの報酬具合をまとめてみた。
一般的なスタートアップCEOの報酬額
アメリカでのスタートアップCEOの平均年間給与は一般的に$100,000 から $250,000が相場とされている。
この報酬額は会社の存在している地域にも大きく左右されがちで、シリコンバレーなどの生活コストの高い地域では、自ずと報酬も高めに設定している。これは、お金を稼ぎたいというよりも、ストレスの無い生活を送るための金額設定となる。
また、この金額はその状況によっても大きく左右される。例えば、Zero to Oneの著者でもあり、VCのPeter Thielは、投資するスタートアップにはCEOが年間で$150,000以上を受け取らない事を条件としている。彼によると、”投資先のスタートアップのCEOの給料は少ない方が成功しやすい”との事。
また、ニューヨーク在住の個人投資家、David S. Roseも、”スタートアップのCEOは自身の報酬を決める際に取締役会にお伺いを立てる必要があるが、通常は$100,000から$200,000が一般的。個人的には$150,000程度がちょうど良いと思う”と語っている。
もちろんスタートアップのステージに毎に報酬として得ることの可能な金額は変化する。中には資金調達ごとに報酬をアップさせている起業家もいる。
資金調達ステージとCEOの報酬の関係を知る一つの基準としては、以前Foundry GroupのVCであるSeth Levineが自身のブログに下記の様に示した:
- 調達額が$500,000以下の場合のCEOの適正報酬は最大でも$75,000程度
- 調達額が$500,000から$1mの場合のCEOの適正報酬は$75,000から$125,000程度
- 調達額が$1mから$2.5mの場合のCEOの適正報酬は$125,000程度
- それ以上の場合はもっと払えばよい
また、彼によると “無駄にCEOの給料をケチって苦しい生活を強いられると経営に悪影響が出るのでそれなりにもらった方がよい” とも説明している。
上場後のCEOの報酬はいくらぐらいになるのか
では、いわゆる”成功した”スタートアップの場合はどうなるのか?上場後のスタートアップ企業のCEOの基本給とボーナスを含めた報酬に関しての最近の数字を調べてみた。
Nick Woodman, GoPro
- 2013年報酬合計: $1,852,791 (約2億円)
基本給: $800,000 + ボーナス額: $1,052,791 - 2014年報酬合計: $77,427,175 (約69億円)
基本給: $800,000 + ボーナス額: $76,627,175
James Park, Fitibit
- 2014年報酬合計: $7,835,088 (約8億円)
基本給: $222,179 + ボーナス額: $7,612,909 - 2015年報酬合計: $1,905,840 (約2億円)
基本給: $525,000 + ボーナス額: $1,380,840
Renaud Laplanche, Lending Club
- 2014年報酬合計: $518,208 (約5,200万円)
基本給: $314,583 + ボーナス額: $203,625 - 2015年報酬合計: $11,630,040 (約12億円)
基本給: $438,750 + ボーナス額: $11,191,290
Matt Maloney, GrubHub
- 2014年報酬合計: $3,590,928 (約3.7億円)
基本給: $400,000 + ボーナス額: $3,190,928 - 2015年報酬合計: $8,277, 116 (約8.4億円)
基本給: $600,000 + ボーナス額: $7,667,116
Aaron Levie, Box
- 2014年報酬合計: $189,670 (約2,000万円)
基本給: $150,833 + ボーナス額: $38,837 - 2015年報酬合計: $194,022 (約2,100万円)
基本給: $155,0000 + ボーナス額: $39,022
Jack Dorsey, Square
- 2014年報酬合計: $3,750 (約40万円)
基本給: $3,750 + ボーナス額: $0 - 2015年報酬合計: $6,000 (約62万円)
基本給: $6,000 + ボーナス額: $0
お金を稼ぐ事が目的ではない起業家の増加
上記を見て驚くのが、上場企業のCEOでありながら年間報酬2千万円程度のBoxのAaron Levie. そして、SquareのJack Dorseyに至っては、なんと62万円程度。これだと最近日本で話題のワーキングプアよりも低い。むしろ下手なバイトの方が儲かる。
と、いうのは冗談で、彼らはもちろん元々保有していた自社株があるので、資産として考えればかなりの額になるだろう。加えて、給料やボーナスの形で報酬を受け取ってしまうと課税率が高いので、敢えて下げているケースもある。
しかし、その一方で、サンフランシスコを中心に最近報酬額にこだわらない若手起業家が増えている。Squareのジャックもそうであるが、元々お金を稼ぐ事を目的に起業しないケースもあり、大成功の後でも生活レベルを変えないケースも珍しくない。(実際ジャックはバスで通勤する事も珍しく無い) この辺はそれぞれの価値観次第なのであろう。
起業家の夢? $1クラブ
生前のスティーブ・ジョブスがAppleに復帰した後の会社からの報酬は$1だった事は有名。最近だとFacebookのマーク・ザッカーバーグ も自身の報酬を$1に設定している。これは、アメリカではの$1(ワンダラー)クラブとよばれており、お金以外の夢を追い求める成功者のシンボルとして多くのフォロワーを集めている。
他に$1クラブの会員は、Tesla, SpaceXなどを経営するイーロン・マスクや、Googleのセルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジ、エリック・シュミッド、Oracleのラリー・エリソン等、多数存在する。
もちろん自社株の市場価値だけでも相当な資産になる事もあり、あえて現金での報酬を受け取る必要の無いという事で可能になっていることは間違いない。そもそもアメリカでは給与に加算される税率が高いこともあり、無駄に自分に高額の給料を払わないケースも少なくは無い。
同時に、実は彼らは報酬を$1に設定する事で、”金の為にやっているわけでない”という思いを世間にアピールしている。今では1ドルクラブに入るのがサンフランシスコ・シリコンバレー地域の多くの起業家の一つの夢になっている。
墓場で一番の金持ちになることは私には重要ではない。
Being the richest man in the cemetery doesn’t matter to me. – Steve Jobs
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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