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多様な経歴のUXデザイナーが語るユーザー中心デザインの重要性【btrax voice #11 KJ Kim】
btrax社員の生の声をお届けする「btrax voice」シリーズ。
今回のインタビューは、UX DesignerのKJ Kim 。今回KJには、『ユーザー視点のデザインの重要性』というテーマで、ユニークなキャリアパスを歩んできたKJがどうしてUXデザイナーになったのか、また様々な環境でキャリアを積んできたからこそ気づいたユーザー視点の重要性について伺いました。
Who is KJ?
K.J. Kim (金匡宰)
btrax, Inc. UX Designer
Pratt Institute (プラット インスティチュート 美術大学) 建築デザイン専攻修了。日本の伝統的な木造建築から現代的な鉄骨高層ビルまで、幅広く国内各地に赴き大工・測量・設計・墨出し工として物作りに従事。
木工職人のホームページ作成を引き受けたことがUXデザイナー職に深い興味を抱くきっかけとなり、現在はアナログとデジタルを融合したイノベーションの境に立ち、橋渡し役として貢献すべく、btraxへ入社。
-btraxでは具体的にどのような仕事をしていますか?
UXデザイナーです。クライアントとお会いして、一緒に新規開発のプロトタイプを作ったり、アイディア作りをしたり、デザインを提案したり、会社の課題の本質的な問題を探して、解決策を形にしています。
多様なキャリアを積んできたからこそ見えたUXデザインの重要性
-これまで携わってきたのは、建築、ボクシング、英語教師からデザイナーの仕事まで様々。 異なる環境に身を置きキャリアを積んできていますが、それはどうしてですか?
「キャリア」という言葉を聞くと「仕事」と思う人が多いと思いますが、私は人生の一部分だと捉えているので、キャリアは経験だと思っています。
そのため僕は、常に何か新しい機会がないか探しながらいろいろなことに挑戦しています。例えば人が自分に何かをしてほしいと頼んできたとき、その課題を解決できるスキルを持っていなかったら、それを挑戦だと受け止めて、もしその挑戦をしてみたいと思ったらとにかくやってみるんです。
周りの人が提示してくれるチャンスに対して、それに乗っかるか乗っからないかを決める。今まで思いもしなかったようなチャンスを引き受け、楽しむことによって、様々な分野でキャリアを築くことになりました。
私はもともと日本で生まれ育ちましたが、高校までインターナショナルスクールに通っていたため、あまり自分の中に日本のバックグラウンドを感じることがなかったんです。アメリカの東海岸の建築の大学に進学し、そのあと日本の建築の現場で働きたいと思ったのは、日本での経験が物足りないなと感じたからです。
あとは、この分野とこの分野を融合させたら面白いんじゃないかな?と思ったら、試してみますね。UXデザイナーになったきっかけも、今までの様々な環境で仕事をした経験を活かせるのがUXデザイナーなんじゃないかと気づいたからです。
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今までの多様なキャリアがUXデザイナーの仕事に活きる
-特に長く携わっていた建築と現在のUXデザイナーの2つに共通点はありますか?
2つの共通点は、深いユーザー理解が必要なところです。建築もUXデザインも、ユーザーを深く理解した上で仕事をします。ユーザーが求めるものをリサーチして、検証したりセオリーを立てたり、解決策を練ってそれを組み立てる、という点で通じるものが多くあります。
しかし批判的思考だけでなく、ユーザーが望むものや、彼らがどのように生きたいかなど、論理的ではない感情に同調する能力も必要です。そのために、ユーザーの心理や感情などを研究しますね。
私は個人的に、創造的な表現が人々の暮らしをどのように変えるかに興味があります。この興味は建築とUXに共通していますね。
私のデジタル領域での仕事のモチベーションは、デジタルの分野に携わる人々やそれらを享受する人々とつながることができることです。建築の世界からUXに範囲を広げることで、表現をするための「道具」としてのスキルが増え、問題を解決するアプローチを増やすことができました。
-様々な環境で培ったキャリアは、現在のデザイナーの仕事にどのように活きていると思いますか?
今までのキャリアで培ったスキルは、クリティカルシンキングだと思います。あとは、問題解決能力ですね。プロジェクトプロポーザルでも、リーンキャンバスを作るでも、モバイルアプリを作るでも、どんな形であろうが、自分の今までの経験から答えを導き出しています。
大工をやっていた時は、材料を置くにも、なぜそこに置くのか、どうやって素材を選ぶか、どうやって建てるまでのプロセスを踏むかなど全てがクリティカルシンキングでした。そのため、常になぜ、いつ、誰が、どこで、、、など、頭だけでなく体を動かしながら考える癖がつきましたね。
特にアナログな仕事をする時は経験が生かされていると思います。先日私はクライアントのSXSWの出店をお手伝いするためにブース設営に携わりましたが、イベントのデザインやブースのデザインなど、見たり、感じたり、触ったりということを大工の時に日常的にしていましたから、こういったお仕事は得意ですし、特に以前のキャリアが活きていると思います。
デジタルの領域ではまだ経験不足ですが、クリティカルシンキングが身についていることで、現在の仕事にも活きている部分があると感じます。
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(2019年のSXSWのブースにて)
大工というアナログの世界からデジタルのUXデザイナーへの転身
-アナログの世界からデジタルへ移った動機はなんですか?
アナログとデジタルの違いは時間と空間だと思います。その違いが、人々をデジタルで働きたいと思わせる理由なんじゃないでしょうか。デジタルは効率重視で、アナログで行うプロセスの何倍もの速さで行なったり、繰り返したりすることができますよね。
私がデジタルの分野に移ったのは、アナログには無駄があると感じたからです。建築でも、無駄になった材料が出てきたり、空き家が増えていたりする中で、なぜ新しい家をつくっているんだろう?本当に必要なんだろうか?などと考えることがありました。
こういったアナログの欠点を見ていたことが、デジタルやオートメーションに魅了させられた理由です。もちろんデジタルでも、これは本当に必要だろうか?と考えながら仕事をしています。
どちらの方が優れているという考え方をしているのではありません。アナログとデジタルはどちらも表現の道具で、例えるなら、私たちの表現やクリエイティビティのパレットとなるものだと思います。本を読むにも、アナログとデジタルどちらの良さもありますよね。デジタルの利便性はもちろん重要ですが、本を触る感覚も捨てがたい。それと一緒で、どちらの良さもあるということです。
-クライアントが求めるデザインを提供するためにどういった工夫をしていますか?
クライアントの一人一人が、どういった視点を持っているのか深く理解し、共感することですね。それを知ることで、もしかしたら彼らが持っている根本的な課題はこれなんじゃないか?と推測したり、伝えたいことを言葉にしてあげることができます。
日本では人々が中立的な立場をとりがちなため、意見を持っていてもそれが生かされにくい環境が生み出されてしまうと思います。しかし、本来誰もが物事に対して何かしらの意見を持っていると思います。私はそういった、隠れた大切な意見を引き出したいです。
そのため、彼らに質問をするんです。彼らの気持ちを理解するための「公式」はないので、質問することは非常に重要です。誰しも人間なので、口に出すことが本心とは限らないですからね。
また、クライアントのみなさんの中には「私はデザインの知識がないからわからないです」という人が多いですが、本当はみんなデザインの知識を持ってるんです。だからそれに気づいてもらうために、こうしたらこう見えませんか?こうしたらこう感じませんか?などといった質問を投げかけます。
それによって相手も、自分の中の潜在的なデザインのセンスを感じることができたり、お互いに学ぶことができます。気づきを与えながら、自分が気づかされることも多いのです。
デザイナーの持つべき「失敗を楽しむ」マインドセットとは
-デザイナーとして大切にしている価値観はなんですか?
健康的な食事をすること、幸せでいること、モチベーションを高く保つこと、人に優しくすること、仕事が始まる前にクライアントの人柄をよく知ること、人が心から楽しんでいるところと、そうではないところを見ること、そして彼らを受け入れる努力をすることなど。
あと、特に今年から意識し始めたのは、一日一回は失敗をすることです。一般的に考えられている失敗とは、避けるべきものであるとか、辛いものという意識が強いですが、僕にとっての失敗は、これ以上はできないと思うところからもう少しだけ頑張ることを意味します。
例えば筋トレでも、これ以上は無理だと思ったところで呼吸をして、もうちょっとだけやれるところまで頑張る。この「あともう少し」の努力が体を鍛えていきますよね。
それはデザインでも同じで、これでいいんじゃないかと思うところを、もうちょっとやろうか、もう少し考えてみようか、違うアングルでやってみようか、もう少しシンプルにしようかなどと意識しています。
そして、その失敗のプロセスを楽しいと感じていることが大切です。クライアントには、デザイナーがどんな気持ちでデザインを行ったかが作品を通して伝わる気がするのです。
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-btraxでの働きがいを教えてください
間違いなく、人ですね。btraxは、私に新しい機会を提示してくれたとともに、自分らしくいられる場所でもあります。私は今まで変わったキャリアを積んできているけれど、それを強みとして活かせる環境で働くことができるのは嬉しいです。
また、仕事を通して出会う人たちも、btraxでの働きがいです。関わる人たち全てが今まで会うことができなかったような人たちで、新鮮ですし、そういった方々と真剣に考え抜いたものを形にできるのは楽しいですね。
(デザインスプリントを行う様子)
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-今後btraxでやっていきたいことはなんですか?
私は、クライアントには”Fun experience” を届けたいと思っています。現状は、クライアントが持つ課題の本質を探り、それに対しての解決策を提供するだけにとどまっていますが、私はもっと「LOVE & JOY」をクライアントに届けることを大切にしたいですね。
クライアントの方々の中には「問題を解決すること」だけに価値を置いている場合があり、抽象的な概念である「LOVE & JOY」の大切さは理解されにくい時もありますが、この付加価値をもっとたくさんの人に感じてもらいたいなと思います。
「LOVE & JOY」はただのフィーリングではなく、物事をよりサステイナブルにすることができるクリエイティブなプロセスの源だと思います。これは私が今まで携わってきたプロジェクトなどから得た自信でもあるし、今までに出会った人たちから感じた、人生における大切なことです。
例えば、イベントのデジタル化も面白いと思います。今はイベントを行うにも、スタッフ同士で情報共有するために当日のタイムラインをプリントして配ったり、当日も参加者に紙とペンを支給してアンケートを書いてもらうことが多いですよね。
でも、これを完全にデジタルに移行することで、参加者が驚くような体験を提供したいです。空間とデジタルの融合ですね。それには、私が建築現場で働いてきたバックグラウンドが活きると思います。
あとは、私は人が大好きなので、もっとたくさんの人と繋がりたいですね。私は、より多くの人に世界は思っているよりもっと広大だということを知ってほしい。それと同時に、人と人との関わりが、より深くなれるということを感じてほしいんです。
自分のコンフォートゾーンを抜け出し、新しい可能性を開くことで、貴重な経験ができると思います。私はデザインとクリエイティブな表現を通してこの橋渡しをしたいのです。
私がbtraxでしている仕事や、これまでの経験を彼らとお話しすることで、彼らの視野を広げるとともに、深い関係を築いていきたいです。それに、私を通してたくさんの人にbtraxのことを知ってもらえれば、まだ会っていない人と会ったり、そんな彼らや彼らの会社が抱える問題に働きかけることができると思うんです。そういった可能性を広げたいですね。
-btraxでは一緒に挑戦したい仲間を募集中です!
btraxは新しいユーザー体験を生み出し、ビジネスにおけるイノベーション創出に貢献するデザイン会社です。そこにはチーム一丸となって挑戦し、成長できるグローバルな環境があります。我々のミッションに共感する方、一緒に働きたいやる気溢れる方を随時募集しております。
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