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btrax Japan設立パーティのご報告と今後の展望
弊社btrax, Inc.は事業の拡大に伴い、東京都内・六本木ヒルズ内にbtrax Japan合同会社を設立いたしました。
これに伴って、日本時間7/16、東京ユビキタス共創広場CANVASにてbtrax Japan Launch Partyを挙行いたしました
新たな東京オフィスを拠点として、これまで以上にスムーズなプロセスでブランディングサービスややクロスカルチャーマーケティング、UXコンサルテーションなどの業務に加え、今後はイベントやセミナー等も多数開催していく予定です。
パーティには、各業界から大勢のお客様にご出席賜りました。まずMCであるbtrax Japan代表の多田からの開会宣言、その後ジェネラルセッションではTelepathyの井口様、電通の中嶋様、またパーティ会場を提供して頂いた内田洋行の村田様に、これまでの弊社との関わりについてお話を賜り、その後弊社CEOのBrandon、及び副代表のTimから、btraxの沿革や今後のbtrax Japanの活動についてご説明させて頂きました。
このパーティでは弊社に関することのみならず、ビジネスとデザインとがどうクロスしていくのかという未来についても大いに語られました。セッション終了後には立食ネットワーキングパーティを取り行いましたので、その様子を運営の1人としてご報告させて頂きます。
“Direct Competitor”
井口 尊仁 氏 – founder & CEO of Telepathy, Inc.
このブログ内でも以前ご紹介させて頂いたWearableデバイスは、今全世界で注目されている新しいデバイスのカタチです。Google Glassを越えると評判のTelepathy One は、世界各地のメディアに取り上げられるなど大変期待が高まっています。パーティでは、Telepathy社CEO の井口様にご登壇頂きました。
このデバイスをご存じない方のために簡単に説明させて頂くと、これはWearableデバイスの一つで、メガネの様に身につけることにより、自分の視点から見えているものを録画・撮影することができるというものです。同時にストリーミング再生なども可能で、遠く離れた知人たちにも同じ景色を見せることができるという画期的な商品です。
Google「Telepathy OneはDirect Competitorだ」
“Kind of Google Glass”という表現に会場は笑いに包まれたものの、彼の眼差しは非常に力強く、自信に満ちたものでした。3.11のSXSWで初めてお披露目されたTelepathy Oneですが、これまでGoogle Glassの対抗馬として多くのメディアの注目を集めて来られました。どれほど命をすり減らしてデザインをしてきたか、という開発秘話もとても興味深く聞かせて頂きましたが、マウンテンビューのGoogle本社に招待された際に「君たちは”Direct Competitor”(直接的なライバル)だ」とお墨付きを貰ったというお話は大変印象的でした。
wear your LOVE
井口氏によると、このフレーズは「“Wearable”とかけている」そうで、Telepathy Oneにはまさに「LOVEを身につける」という想いが込められているといいます。「米国のVCの前では大ウケ」ということでしたが、そういった投資に関わるシリアスな場においても、Launch Partyで発揮されたカジュアルさを見せられるというところは、まさに井口氏の人柄と言えるでしょう。
It’s not a product – it’s rather a movement
「Telepathy Oneは単なるプロダクトではありません。むしろ私達はそれを超えたい。つまり誰もがそれを身につけることによって、その時・その瞬間でコミュニケーションを行うことができる、ライフスタイルの一つとしてそれを提供したいのです」と井口氏。今後はプロダクト自体が、ある事象に対してのソリューションになるだけではなく、そのプロダクト自体が新たな生活環境を提供していく必要があるのです。
井口氏はその言葉通り、投資やビジネスディールを進めていくだけでなく、Telepathy Waveというコミュニティもスタートしておられるそうです。井口氏はTelepathyを通じ、前述のようなライフスタイルの提供に加えてこういった認知活動にも力を注ぎ、日本のエンジニアに活力を与えるべく勢力的に飛び回っておられます。同時にTelepathy Oneの開発環境をオープンにし、テレパシースペースというカンファレンスやTelepathy Summer Campというツアーも予定されているそうなので、ご興味をもたれた方はぜひともご参加ください。
The History of btrax
Brandon K. Hill – CEO, btrax, Inc.
Brandonがサンフランシスコの大学を卒業した2004年に、btraxは設立されました。設立当初は、たった3人のチームと$5,000の資本金でスタートしました。しばらくの間は給料さえも出すことさえもままならず、大変苦しい時期が続きましたが、あることがきっかけとなり、大きくステップアップすることができました。その契機となったのは、2006年のExpedia社のWebデザインプロジェクトを手掛けさせて頂いたことです。
Brandonと当時のスタッフは3週間シアトルに滞在し、クリエイティブチームとしてその事業を担当しました。当時彼自身は向こう見ずな性格で周りのスタッフを振り回していましたが、ビジネスの師ならびに人生の師となる元Expediaの佐藤氏と出会ったことで、デザイナーとしても、またビジネスマンとしても大きく成長することになりました。
「クソ生意気」な会社|佐藤 秀丸 氏 – 元Expediaマネージャー
Expedia Japan設立当初の課題は、日本にローカライズしたWebサイトのデザインでした。佐藤氏がそういったWebデザイン会社を探しておられたころ、出会ったのがbtraxだったのです。
当時のbtraxに対して佐藤氏が持っていた印象を伺うと、返ってきたのは「クソ生意気」。「自分たちはセンスがいい。仕事もできる。だから私たちに任せるべきだ!」それが当時のBrandonの営業文句でした。平気で高い金額を提示し、少しもまけられないと言う。日本語を話せるにもかかわらずそれを言わない。クソ生意気にも程がある—もはや横暴とも言えるべき態度だったかもしれない、と佐藤氏はおっしゃいます。
佐藤氏には何とか「センス」を買って頂き、いつも仕事に対しては泥臭く、何としても喰らいついていく姿勢を持ち続けるようご指導賜りました。今でもBrandonやbtraxを温かく見守って下さり、感謝の気持ちは書き表せません。
Disasterを経て – Evolution
2007年、Expedia社とのプロジェクトで大きく飛躍したbtraxでしたが、その後Disaster(大災害)とも言える大きな試練を経験することになりました。従業員の総退職でスタッフがゼロになってしまったのです。当時のことをBrandonはこう振り返ります:「会社が成長を遂げる中で、自分自身がビジネスマンとしても人間としても成長できていなかった」と。
このような大問題の中、btraxは新たなメンバーを迎えました。初めてのアメリカ人スタッフ、そして現在の副代表Tim Wagnerです。彼はチームをまとめることだけでなく、マーケティングや戦略面をも担当しています。そんな彼の入社後、btraxは様々なことに挑戦することができました。その一つが2010年に開催されたSF Japan Nightです。
当時のスタッフが、サンフランシスコ・シリコンバレーのスタートアップ業界とのつながりを持っていたこともあり、日本のスタートアップをなんとか世界へ送り出すことができないか、という想いを持ってスタートしたSF Japan Night。イベントはご好評を頂き、現在第6回(2013年10月開催予定)のプレゼンター募集を開始しております。ぜひご参加賜りますようお願い申し上げます。
これからのbtrax|Innovate Globally Through Inspiring Experiences
「心揺さぶるエクスペリエンスを通しグローバル・イノベーションに貢献する」これが私共の新たなビジョンです。これまでWebデザインを中心に、デジタルメディア等のデザインも行なって参りましたが、これからはWebデザインやインターフェースデザイン、グラフィックデザイン、広告のみならず、ユーザーに与えるエクスペリエンス(経験・体験)のデザインにも注力して参りたいと考えています。具体的には、以下の3つのフィールドを軸としたサービスを展開して参ります。
1. Global Branding
日本企業の多くは、海外でも十分に戦えるような素晴らしいプロダクトを確かに送り出しています。ところがその良さは他国企業のマーケティング・ブランディング戦略のアグレッシブさに押され、ユーザーや消費者にはそれが伝わっていないことが多くあります。私共はそれを「もったいない」と感じており、市場調査やユーザーテスティング、ブランディング戦略の提供を通して、世界に伝えて行きたいと考えております。
2. User Experience Design
近年サンフランシスコはユーザーエクスペリエンスデザインのメッカになっており、ハードウェアとインターネットを結びつける企業も多く増えてきています。代表的な例を挙げれば、AppleはiPodを生み出すことにより、音楽を持ち運ぶという生活スタイルを全世界に広めていきました。そういった「ユーザーの体験」を大切にしていきたいと考えております。
3. Global Business Support
ブランド力を高めるだけではなく、ブランドを守ることを請け負うのが私共の使命であると考えております。日本の大企業の多くは「面白いことをやりたい」という想いを持っていますが、事業の失敗にも大きな恐れを抱いており、なかなか踏み出せないという場合も多くあるといいます。そこで私共は、日本と連動しながらサンフランシスコを中心にスタートアップ・プロジェクトを進めるというプログラムを用意しております。成功/失敗に関わらずクライアント様のブランドを守る、そんな「おもしろいこと」を後押しするサービスを提供したいと考えています。
総合的なエクスペリエンスデザイン、それがグローバル・イノベーションに結びついて欲しい。そういった想いを持って、今後も精進してゆく所存です。以上3つのサービスを柱に、クライアント様をサポートして参ります。
“btraxとの関わり-イノベーションキャンプ”
中嶋 文彦 氏 – 株式会社 電通 コミュニケーション・デザイン・センター
中嶋様には、btrax Japan設立のお祝いとこれまでのbtraxとの関わりについてお話頂きました。当初Brandonが中嶋氏を「孫さんに似ている人」と思っていたことや、電通を「怖い」と感じていた、というエピソードを披露して頂き、楽しい時間を演出して下さいました。「サンフランシスコのTechカルチャーやマーケティングと、日本企業や新プロダクトとをつなぎ、新しいユーザー価値を生み出せること」これがbtraxの強みであるとのお言葉を賜りました。
これまで、電通とbtraxは様々なプロジェクトやサンフランシスコでの開発キャンプなど、多くの分野で公私共に交流を深めてきました。特に開発キャンプでは、プロダクトの骨格だけでなく、企画戦略やUIをを考えるなど、毎日朝から晩まで内容の濃い時間を過ごすことができました。サンフランシスコでの思い出話にも触れられ、会場が和気あいあいとした雰囲気に包まれました。
こういった開発を経て、このたびaquoria(アクオリア)という写真共有アプリを実現することができました。ブログをお読みの皆様も一度お試し頂ければと思います。
btraxとUCHIDA – SmartRoomsを通してのグローバルUX
村田 義篤 氏 – 株式会社 内田洋行
内田洋行様のビジョン「Work Placeを情報技術の力で革新していく」には、弊社チームも非常に共感する部分が多く、現在は一緒に仕事をさせて頂いている上、今回のパーティの会場もご提供頂きました。私自身も今回このパーティを通じ、多くの社員の方々にお世話になりました。こちらからの無理なお願いにも快く応じてくださり、心からお礼申し上げます。
売れ筋商品も多く提供されている中「もっと楽しく売れるものが欲しい!」というのが近年の内田洋行のニーズでした。筆者がサンフランシスコに勤務している際には、毎晩酒を酌み交わしていたデザイナーの人間が担当していたプロジェクトであったので、私自身も非常に愛着を持っています。そのプロダクト名はSmartRooms。
社内や貸し会議室の効率的な運用を提案してくれるのが、このSmartRoomsです。今回、弊社はこのプロダクトの運用の際に必要なタブレット端末に表示される画面のデザイン、ムービー製作やマーケティングに関するコンサルテーションを担当させて頂きました。
弊社CEOのコメント
“今回のパーティーを通して、3つの事柄に気づかされました。一つめは「感謝」。弊社の自己満足とも言えるようなこのイベントに、当日は合計約150名もの方々にお越しいただき、心より感謝しております。また、それにも増して、この9年間とても多くの方々にお世話になり支えられてきた事を再認識し、深く感謝する次第です。自分及びこの弊社はまだまだ小さく、微力ですが皆様の多大なるご支援があってこそ存在出来ている事にこの場を借りて今一度お礼を申し上げたいと思います。
二つ目は「挫折」。短いながらも会社の歴史を振り返ってみると、まさに挫折の連続だった事に気づきました。これまで順調だった時期の方が珍しく、めまぐるしく変化する環境の中で、今でも日々生き残りを掛けて必死に挫折を乗り越える為の試行錯誤の連続です。
そして最後は「希望」。挫折の連続だったこの9年間の中でも、心暖かい皆様のおかげで大きな希望を持つ事が出来ています。今後は東京にも拠点を置き、よりよいサービス提供を通じ、仕事を通しクライアントの皆様にも希望を伝えられるような会社作りを進めていきたいと思います。
みなさま、この度は本当に有り難うございました。”
– btrax, Inc. CEO, Brandon K. Hill
最後に – 筆者後記
こうしたパーティに迎える側として出席し、かつ出席者の多くに喜びや応援の言葉を頂けたことは筆者自身だけでなく、btraxチーム全体にとってこれ以上ない素晴らしい門出となりました。誠にありがとうございました。
東京オフィスの開設により、今後btraxは更にお客様に近い位置で事業拡大のサポートが可能となり、またシリコンバレーに興味を持つ方々、どんな領域であってもイノベーションを起こしたいと考える方々とも、よりスムーズにコンタクトして頂けるようになりました。私共に仕事の依頼を考えて下さっているクライアント様だけでなく、何らかの形でbtraxと関わりたいと思って下さる方々のためにも、私達btrax Japanは日本でその窓口となる所存でございます。ぜひお気軽にお声掛け下さいますようお願い申し上げます。
パーティの模様はFBページにも詳しく公開されております。ぜひご覧ください。
CES 2025の革新を振り返りませんか?
1月11日(土)、btrax SFオフィスで「CES 2025 報告会: After CES Party」を開催します!当日は、CEOのBrandonとゲストスピーカーが CES 2025 で見つけた注目トピックスや最新トレンドを共有します。ネットワーキングや意見交換の場としても最適です!