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【やってしまうと逆効果】ブランディング施策7つの問題点
最近活躍している企業やプロダクトは共通してブランディングを重要視している。
ブランディングの最終目的は「価値の向上」である。価値を上げる対象は、商品であったり、サービスであったり、企業だったり、人だったりもする。
ブランド資産は目に財務資料に載らない大きな価値
強いブランドは模倣不可能な「見えない価値」を得ることが可能となる。そしてそれは数字では計りにくいこの価値が実は大きな差別化要素となり、競争で優位に立つことで長期的に成功するためには欠かせない重要な資産となるのだ。
現代では企業のあらゆる側面において、ブランド力の重要性が今までになく高まっており、ブランド力は財務表には載らない大きな財産でもある。逆に、ブランディングを軽視し、短期的な成長だけを考えてしまうと、企業としての価値が積み上がらず成長が頭打ちになる。
現代においてブランド価値が下がる7つのパターン
では、実際にブランド価値を下げてしまういくつかのパターンを紹介する。以下の7つのケースは、以前までは比較的”あり”とされていた施策であるが、デジタル化が進み透明性が上がった現代においては、ミレニアル世代以下の若者に対しては逆効果であることが多い。
1. 商品の問題をリブランディングで解決しようとする
売り上げが頭打ちになったり、ブランドイメージが低下したり、サイトのアクセスが下がってきたりしてくると、ついついリブランディングをすることで解決しようとする。また、予算に余裕があるという理由だけで、リブランディングを検討する企業も少なくはない。
しかし、ブランドを再構築する作業は複雑で繊細だ。まるでこれは、一人の人間のキャラを大きく変える事に近い。
そもそも、業績が下がっている原因の多くが、その商品自体に問題があるか、顧客体験に問題があることがほとんどで、リブランディングするだけで誤魔化すことができるケースは稀である。
解決策: 商品やサービスが持っている根本的な問題を分析する。また、ユーザー体験の改善も進める。
2. 自ブランドを褒めまくる
一昔前には多く見られた“業界最高品質” とか “最もイノベーティブな企業” などの宣伝文句は、現代においては自己満足的な響きがあり、かなりイケてない。
これはまるで飲み会で初対面の人が「自分はこの中で一番頭が良いし、カッコ良いと思います」と言っているようなもので、一瞬にして嫌な奴レッテルを貼られる。
解決策: 周りの人がポジティブなコメントを発するような施策を取る。Appleは以前より「ユーザーが自発的にプロダクトをオススメしてくれるのが最大のブランディングだ」をモットーにしている。
3. 他のブランドを攻撃する
遠い昔にCoke vs PepsiやApple vs Microsoftようなブランドキャンペーンが注目される時代もあった。しかし、現代のトレンドは「みんな仲良く」である。ソーシャルグッドやウェルネスという言葉に代表されるように、人々にとって、世の中にとってポジティブな影響を与えられるブランドに支持が集まる。
比較広告程度であれば良いが、正当な根拠なく同業他社やライバルを蹴落とすような言動は逆効果になりかねない。サンフランシスコでは、Uber vs Lyftの戦いが白熱した時期もあったが、結果としてライバルを攻撃することよりも、ユーザーのメリットにフォーカスしたLyftのイメージが高まった。
解決策: ライバルへの攻撃ではなく、顧客や世の中へのポジティブ・インパクトを前面に出す。また、仲間や従業員を大切にする活動もブランドイメージ向上につながる。
4. 顧客タッチポイントが少ない
以前までは高級ブランドといえば、少し近づきにくいイメージが1つの価値になっていた。しかし、インターネットの普及で、直接やりとりがしやすくなった現代では、なるべく近づきやすく、直接やりとりできるブランドが好まれる。
その為には、ユーザーとのタッチポイントをなるべく増やし、透明性と対話性を担保する。アメリカを中心に注目が高まっている、D2Cブランドなどは、ソーシャルメディアを最大活用することで、ユーザーとの距離を少なくすることに成功している。
解決策: デジタルチャンネルを活用して、ユーザーとの対話のハードルをなるべく下げる。例えば、最新テクノロジーのボットやAIを使えばサポートコストを削減することも可能になる。
5. 過剰に期待値をあげてしまう
これも誇大広告気味なブランドメッセージが原因で発生する問題。ユーザーが実際に受け取る価値が、そのイメージを下回ってしまった際には、そのブランドイメージがことごく下がり、それが多くの人に広がってしまう。
これもあり、最近のブランドの多くが、ユーザーに対して必要以上にポジティブなイメージを持たせすぎないようにしている。
解決策: むしろ、少し控えめなイメージづくりをしておいて、実際にユーザーが体験を受け取った際に予想以上の価値を提供することで、ブランドイメージが一気に高まる。
6. ブランド数が多すぎる
これもついついやってしまいがちなミス。1つの企業で複数の商品やサービスのそれぞれに対してブランドを作ろうとする。結果的に顧客から見ると、何がなんだかわからなくなる。
これはまるで、複数の名刺を持っている人の「結局は何者なのか?」問題に似ている。現代の時流は、一企業一部ブランドが基本。以前に複数のサブブランドを持っていた自動車会社のGMもブランド統一を進めたし、Mazdaも同じ戦略を取っている。
解決策: ターゲットとするマーケットが同じか近い場合は、1つのブランドにフォーカスする。提供する価値やターゲットマーケットが著しく異なる時にだけ、異なるブランド構築を検討する。
7. 会社の代表がブランドアイコンになる
これは意外かもしれないが、かなり危ういブランド戦略。AppleのSteve Jobsやソフトバンクの孫さんなどの存在から、企業名 = 代表者のイメージは決して悪くないように思われる。しかし、属人的になりすぎるブランドは、同時に危うさも持ち合わせる。
これもあり、AppleはJobsが存命の頃から戦略的に少しずつ企業ブランドと個人ブランドの切り離しを行なっていた。逆に、Uberのように、代表者の不祥事が原因で実際にブランドイメージが下がったケースもある。
一人のカリスマが人々を心を掴む時代から、ユーザー起点で物事を考える時代への変革が進んでいる。
解決策: 代表者や特定の個人に注目するよりも、ユーザー体験にフォーカスし、ブランドイメージの構築を進める。
デジタル世代に受け入れられるブランド構築を
上記のように、時代の変化とともに効果的なブランド構築方法も変化し始めている。新しい世代や、グローバル市場では、これまでの方法が通用しなくなることも多く、ブランディング戦略のアップデートも求められる。
我々btraxでは、日本発グローバル向けを中心に、ユーザー体験を通じたブランド構築サービスを提供しています。興味のある方は、是非こちらよりお問い合わせください。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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