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事例あり:成功するブランド名やサービス名の共通点とは【ブランディング入門#4】
ビジネスアイディアを考え、プランを作成したは良いが、商品やサービス、そして会社名などのいわゆる“ブランドネーム”を何にするかで悩んでしまうケースは意外と多い。
響きが良く、海外の人達にも覚えてもらいやすい。そして、時間が経っても色あせない、そんな優れたブランド名を考えるのは容易ではない。一方で、成功する名前を付けるのは、グローバルブランド構築の第一歩でもある。
有名ブランド名の由来
まずは、現在著名になっているブランド名の由来を見てみよう。有名な内容から、全く知られていないネーミングの秘密もあり、面白い。
ナイキ: Nike
ギリシャ神話の勝利の女神の名前から。
アップル: Apple
創業者のスティーブ・ジョブスが果実食主義者であり、それまで勤めていた会社「ATARI社」よりも電話帳で前にくる名前にしたかったため。
パンドラ : Pandora
音楽サブスクリプションのPandoraは由来は、ギリシャ神話のアポロが音楽のプレゼントをPandoraに与えたことに由来する。
ニベア : Nivea
ニベアはラテン語で雪の白さを表す単語。白いスキンクリームを表す名前として選ばれた。
キャディラック : Cadillac
デトロイト市を設立したフランスの冒険家の名前が由来。
レゴ : Lego
デンマーク語の“leg godt (よく遊ぶ)”から。
ソニー : SONY
ラテン語で音を表す“Sonus”から
ハーゲンダッツ : Haagen-Dazs
“ハーゲンダッツ”という響きからヨーロッパのブランドっぽい。しかし、それは大きな勘違い。ブランド名自体は全くの造語であり、意味は全く無い。実は創設者が“ヨーロッパ風”のブランド名を狙い、デンマーク語っぽい響きの名前を考案したのである。
プロによるネーミング方法を公開
ビートラックスでは、ブランディングサービスの一つとして、新しくサービスを作る際や、日本で展開しているプロダクトを海外展開する場合のブランドローカリゼーションの一環として、サービスやブランドのネーミングを行っている。
今回はその場合のプロセスとして気をつけているポイントや具体的な手法をご紹介したい。
偶然ではない!成功するブランドやサービス名に共通する3つの法則
世界的なブランドをそのブランド価値を包括的に分析しランキングする、InterBrandが発表しているブランドランキングを統計的に分析し、成功事例を元に分析したパターンを元に、成功するブランド名に関する3つの法則を紹介する。
世界のブランドランキングのTop 30のうち、60%が下記の2つ以上の条件を、そして、実に86%がいずれかの条件を満たしているという結果になった。
1. 長さはアルファベットで5文字から10文字以内
歴史的に見て成功しているブランド名のその多くが英語のアルファベット表記で、5文字以上で10文字以内である。これは短くて覚えやすい、書きやすいだけではなく、最近ではメールやTwitterなどのデジタルメディア上でもメリットが大きい。
例:
- HONDA (5文字)
- Disney (5文字)
- Microsoft (9文字)
- Starbucks (9文字)
- Facebook (8文字)
2. 同じアルファベット文字が2回以上繰り返されている
英語圏の人達から見ると、ブランド名に同じ文字が2回以上入っていると、なんとなく可愛いイメージがあり愛着が湧きやすい。
例:
- Apple (pが2回)
- Google (oが2回)
- CocaCola (Cが3回、oが2回)
- Toyota (oが2回)
- Canon (nが2回)
3. 子音 (硬音) の文字を最低でも1つ含んでいる
子音文字とは、発音した時に「ア・イ・ウ・エ・オ」の音以外になる文字で、その中でも硬音は、英語で発音した際に硬い印象がある文字。具体的なアルファベットで言うと、“Z, B, T, G, Y, H”がそれにあたる。
例:
- SONY (Y)
- IBM (B)
- Uber (B)
- BMW (B)
- Amazon (Z)
ネーミングの際に気をつけたい6のポイント
上記踏まえて実際にネーミングをする際には、いくつか注意するべきポイントがある。特に、最終的に海外でも知名度を上げたい場合は、これらをきっちりと押さえておきたい。
1. 外国の人にも発音しやすい
日本国内では解りやすく、サービス内容を想像しやすい名前であっても、外国では発音しにくい場合がある。日本語で多く見られる英単語ではなく、かつ複数の母音が含まれている名前。
例えば、サイボウズ、ドコモ、アラタナなどは日本語を話さない人々にとっては、とても発音しにくく、覚えてもらいにくいので注意が必要だ。
2. 他言語で他のものを連想させる名前は危ない
日本では何の問題もなく通用していても、海外に出ると使えない商品やブランド名がある。例えば、“カルピス”は英語圏だと “Cow piss (牛のおしっこ)” に響きが近いので、「カルピコ」に名前を変えている。また、ポカリスウェットの“スウェット”は、英語では“汗”という意味であるため、微妙なイメージと感じる人もいる。
3. 複数のスペル方法がある名前は避ける
同じ響きでもアルファベットでのスペルした時に、他の単語が存在するような名前はなるべく避けたい。例えばフェーザーは、Phaser、Fazer、Faserとも書くことが出来る。聞いた際に簡単に文字列が想像できる名前が望ましい。
4. ドメイン名獲得は考えすぎない
プロダクトの名前を考える際にはどうしても、.comが空いているものを探そうとしてしまいがち。
しかしながら、最近では良い名前に対して.comが空いているケースはほぼ無い。そんな場合は、.coなどの可能性を考慮したり、About.me, Last.fm, Bit.lyなどドメイン名自体が名前になるようにすることも出来る。
5. 名前に数字を入れるのは極力避ける
日本国内ではベネフィットワンや17LIVEなど、企業やプロダクトに数字を入れたケースがあるが、海外向けにはあまり薦められない。なぜならば数字をタイプする際は、“1”と“One”のように書き方が複数あり、紛らわしくなってしまうから。
6. 名前の由来にストーリーがあるのは良い
響きがキャッチーであると共に、その名前の裏に何かしらのブランドストーリーが隠されているのが望ましい。
例えばAmazonはAからZまで(すべての商品を販売する)。Zyngaはファウンダーの犬の名前、エドウィンは欧米に対抗して江戸が勝つ、など。このストーリーは後付けでもOK。
7. 困ったときは自分の名前を入れてみる
ふざけたアイディアに聞こえるかもしれないが、困ったときは思い切って自分の名前を入れてしまうのもありだ。
良い例は、創設者の石橋さんを英語にしたブリジストンや、鳥井さんを逆にしたサントリーなど。例えば、田中さんが作った会社であればTanak、伊藤さんならばItowow!など。海外でも意外とイケてると思われるかも。
6つのタイプ別ネーミング例:
それでは具体的に知名度のあるサービス名を例に幾つかのネーミング方法を見てみよう。弊社でクライアントのブランドやサービス名を考える際にも、これまでのポイントと、下記の6つのパターンを参考にして幾つか候補を考える場合が多い。
タイプ1: 存在していない造語
長所:ドメイン名をとりやすい。上手くいった場合固有名詞になりやすい。
短所:サービス内容を想像しにくい。名前を覚えにくい。
- Zappos
- Hulu
- Uber
タイプ2: 既存の単語を合わせる
長所: サービス内容を想像しやすい。スペルしやすい。
短所: 良い名前は既に使われているケースが多い。
- Pinterest = pin + interest
- WhatsApp = Whats up + App
- Instagram = Instant + photogram
- Durex = Durable + Reliable + Excellence
タイプ3: 既存の単語の再定義
長所: 名前を覚えやすい。
短所: 商標やドメイン名を取るのが難しい。
- Square
- Slack
- LINE
- note
タイプ4: 英語以外の言語の活用
長所: ブランドストーリーを作りやすい。
短所: 発音しにくい。覚えてもらいにくい。
- Gengo (日本語の“言語”から)
- Prezi (ハンガリー語の“プレゼン”から)
- Cooori (ファウンダーの出身地アイスランド“氷”から)
- Heroku (日本語っぽい響きの名前)
タイプ5: 動物の名前を使ってみる
長所: 可愛いくてフレンドリーなイメージを与えられる。
短所: 若干ふざけているような感覚を持たれる可能性がある。
- SurveyMonkey
- Hipmunk
- MailChimp
- Foodpanda
タイプ6: 既存の単語のスペルを変えてみる
長所: 既に利用されている可能性が低い。ドメイン名が取られていない。
短所: 定着するまでは正しいスペル、既存のスペルで検索されてしまう。
- Flickr← Flicker
- Netflix ← Net flicks
- Tumblr ← Tumbler
- Etsy ← etc.
これからの時代の最初からデジタル対応のグローバルブランドを目指して
特にインターネットが発達した現代では、最初からブランドを世界発信することが可能である。その一方で、ネーミングに関してもこれまでの方法論がなかなか通用しなくなっていていることも事実。
既に世界のどこかで利用されている名前は使うことが難しく、日本語では発音出来ても、英語圏の人達には発音しにくい名前は定着しにくい。
そして、今後はデジタルネイティブと呼ばれる若者達にも受け入れてもらえるように、モバイルアプリやソーシャルメディア上での利用に対しても相性が良く無ければならない。
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