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B2B企業こそブランディングが重要な理由と優れた7つの事例
「B2B企業にブランディングは必要か?」これは最も聞かれる質問の一つ。日本国内ではどうかはよくわからないが、アメリカ市場や、グローバルでみると答えは完全にYES。
というのも、InterBrandが毎年発表している世界のブランドランキング「Best Global Brands」を見てみると、そのTop 20のうち4社がB2Bビジネスである。
これは波いる競合を勝ち抜いて、B2B企業がしっかりとブランディングに力を入れていることがわかる。
しかし、B2B系の日本企業の多くがブランディングを蔑ろにしがちである。
日本でB2B企業はブランディングが必要無いと思われがちな理由
そもそも日本ではなぜB2Bならブランディングに力を入れる必要がないと思っているのか?おそらくヒントは日本の商習慣にあると考えられる。
多くのB2B系の企業は、営業こそ頑張るが、一度顧客を獲得してしまえば半永続的にその取引が続く。
それが自動車のパーツ製造であれ、下請けサービス企業であれ、企業同士の関係性を重要視する日本では、取引が始まれば「結婚」したのも同然な感じで別れにくくなる。
しかし、これが例えばアメリカだと頻繁に取引先の見直しがされ、価値がなければ短期間で切られることも多い。より良い取引先が現れれば速攻顧客を失う。なので「恋人」っぽい関係。
具体的な例としてApple。同社はしばらくの間MacのパソコンにIntelのプロセッサーを利用していたが、自社開発のM1, M2チップに変更した。また、コカコーラやマクドナルドなどの大手企業も、毎年広告代理店を比較検討し、定期的に変更している。
参考: Appleの復活と躍進のシンボル iMacの進化をデザイン視点で振り返る
このように、例え長い間取引が続いていたとしても安泰ではない。
逆にいうと新規のB2B企業にもいくらでもチャンスがある。それを活用したのがSalesforceだろう。彼らは卓越したブランド力で、既存のCRMソフトウェアベンダーをバッタバッタと薙ぎ倒してきた。
B2B企業にとってブランド資産はかなりの財産
このように、アメリカをはじめとした海外市場では、例えB2Bモデルであってもブランド力がかなり重要になる。むしろ誰も知らないような企業がB2B市場を開拓するのはかなり難易度が高い。
ここで基本となるブランド力の4レベルを見てみよう。下記のようにブランド力の強さによって4つのレベルに分けられる。
誰も知らないLevel 1だと、営業をするにもマーケティングを行うにしてもかなりしんどい。言い換えるとコストがめっちゃ高くなる。
そこでブランディングを行うのだが、もちろん目指すのはもちろんLevel 4。ここまで行くと「この製品はこのブランド」という代名詞な存在になれる。具体例だとXerox, FedEx, Zoomなど。これらは英語の動詞になるレベル。
- Xerox it
- FedEx it
- Let’s Zoom
B2Bブランディング事例紹介
では具体的にB2B企業が行った優れたブランディング事例を紹介する。注目したいのはどれも一般消費者が見ても面白い、楽しいレベルにまで研ぎ澄まされているところ。一つのエンタメとしても十分見れるクオリティーで、話題になりやすい。
1. 3M – $3m (300万ドル) 強奪チャレンジ
バンクーバーのバス停で透明のケースに300万ドル。どうにかして割ることができれば現金がもらえる。
これは3Mの強化ガラス (スコッチシールド) の強さを示すキャンペーン。ルールは道具を使わないこと。挑戦者の様子を映すカメラも設置された。
結局誰もガラスを破ることが出来ずに 3M製品の安全性を証明する結果となった。
このキャンペーンが話題になり、3M社は1日で100万ドルを売り上げと3ヶ月の受注待ちオーダーを達成した。
2. nVidia – トリックアートでその高性能を表現
パソコンなどのデジタルデバイス向けチップを開発するnVidiaがテクノロジー系カンファレンスイベントの会場で行ったトリックアートのキャンペーン。
多くの来場者が本当に地面に穴が開いているのかと思い、集まってきた。
nVidiaの知名度が上がっただけではなく、そのクリエイティブな発想からビデオチップブランドとしての地位を築き上げるきっかけにもなった。
Adobe – 日本のおじさんが頑張って大量のオンラインオーダーに対応
Adobeが提供する企業向けデジタルマーケティングプラットフォームのブランディング動画。
百科事典を販売する企業にオンラインから大量のオーダーが入る。
同社らそれを印刷しているのは日本で、印刷工場のおっちゃんが必死に本を刷りまくる。そして国際船便でアメリカに発送し、会社は大成功。のはずだったが、そのオーダーをしていたのは実は…。
笑えるオチと、最後の “御社のマーケティング、ちゃんと出来てますか?” のメッセージがかなりシュールで、ちゃんとツールを導入しなきゃ、という気にさせてくれる。
4. Volvo Trucks – トラックの強靭さを往年のアクションスターが表現
欧州自動車ブランドVolvoの法人向けトラック部門が作成したブランド動画。
エクスペンダブルズなどにも出演している往年のアクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムがエンヤの曲に合わせ自身のこれまでの苦労話と、それによって鍛え上げられた心身のストーリーを語りながらズームアウト。
実は2台のトラックの上に乗っていて、それらがバックしながら少しずつ離れていく…。という展開。
アクションスターの強さとトラックの強靭さを結びつけ、ラストシーンでその凄さを映像で表現するのは素晴らしい。
5. Salesforce – B2BとB2Cの壁を超えた存在を表現
B2B企業として最もブランディングに成功した例の一つがSalesforceだろう。一般消費者もその名前を一度は聞いたことがあるくらいに、知名度は高い。
その理由は、毎年サンフランシスコで開催されるDreamfoceのイベントと、著名アーティストを招いたアフターパーティー。そして、各メディアで展開されるブランドキャンペーンである。
今回紹介するのは、”We Bring Companies and Customers Together” キャンペーンで、B2BとB2Cの垣根を超えて、企業と消費者を繋ぐ役割を表現している。利用する側も、受け取る側も両方が喜ぶサービスであることが伝わる。
これにより、企業にも消費者にも価値のあるブランドである事を伝えることに成功。
Intel – 250体のドローンがラスベガスの上空にアートを描く
ラスベガスで開始されている世界最大のテクノロジーカンファレンスであるCESで、毎年メインのイベントを提供しているのが、半導体で有名なIntelだ。
日本だと以前より「インテル入ってる」のキャッチコピーで有名だが、本国のアメリカでは「脱半導体メーカー」を目指している。
5年ほど前より同社CEOが「我々は今後半導体ではなくAIテクノロジーのブランドとしての認知度を高めていく」と宣言している通り、データとAIテクノロジーの開発と、それに伴うブランディング施策を急激に進めている。
その一つが2018年に行った、250台のドローンを活用したエアアート。事前に作成したプログラムに応じてドローンが動き、ベラージオホテルの噴水の上空でパフォーマンスショーを行った。
これには大きな話題を呼び「Intel = 半導体メーカー」のイメージ脱却の足がかりとなった。
Yanmar – 歴史あるキャラクターがブランドの未来を導く: ネオヤン坊マー坊
日本が世界に誇る技術の一つが、農業建機。その中でも、Yanmerはブランディングに力を入れている。
佐藤可士和氏によるCIや、コーポレートブランドの構築や、セレッソ大阪を通じたスポーツブランディング。そして、最近ではこだわりの食材を活用したレストラン事業など、より良い未来のために、複数のタッチポイントを通じた、ブランディングを行っている。
そんなYanmarのお馴染みのキャラクター、ヤン坊マー坊。1959年(昭和34年)にテレビを通じて初代目が登場し、定期的にアップデートが行われている。
そしてこの度、8代目の「ネオヤン坊マー坊」が登場した。
我々btraxより、サステイナブルな未来、そしてグローバルなブランド認知のために、大胆なリニューアルを行なった。
まとめ: B2B企業こそしっかりとブランディングを
グローバル企業は、B2Bのビジネスが中心でも、しっかりとブランディングを行っている。それもかなり見ていて楽しいストーリーやコンテンツを提供し、一般消費者の記憶にも残るレベルになっている。
海外ではどんな商材であっても、常に競合との差別化が重要で、その辺を怠ると、どんなに営業やマーケが頑張ったところで結果が出にくい。という教訓に基づくものだろう。
我々のクライアントの過半数がB2B企業である。そのことからも、今後はB2B向けブランディングの重要性がどんどん高まってくると思われる。
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