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【2021年予想】5のスタートアップトレンドと注目サービス25選
2020年がスタートアップにとってジェットコースターのような年にだったことは間違いない。パンデミックの影響で一部のテクノロジー系スタートアップは閉鎖を余儀なくされたが、多くのスタートアップが成功したのは、時代の変化に合わせて事業戦略や製品をピボットしたからだ。
人々の生活としても、リモートでの仕事、ショッピング、ソーシャルなどへの大規模なシフトが伴った。それに合わせ、多くのデジタルサービスへの需要が高まった。ある意味、パンデミックが多くのサービスに対してのストレステストとなった。
大型IPOと資金調達
2020年はLemonade, Snowflake, Airbnb, Unity, DoorDashに代表される大型IPOが達成された年でもある。また、世界の混乱の陰で着々と資金調達を行なったスタートアップも少なくない。その総調達額の合計は136億ドルにも達する。
2020年のスタートアップ資金調達額ランキング
- Yuanfudao (中国) – 教育系: 32億ドル
- Ke.com (中国) – 不動産系: 24億ドル
- WM Motor (中国) – モビリティ: 15億ドル
- Gojek (シンガポール) – 教育系: 12億ドル
- Ryaen Holding (シンガポール) – 投資系: 10億ドル
- MGI Tech (中国) – ヘルスケア系: 10億ドル
- Wandian Yunwang (中国) – eコマース系: 9億ドル
- Grab (シンガポール) – ライドシェア系: 8.56億ドル
- JD Health (中国) – ヘルスケア系: 8.3億ドル
- Resilience (アメリカ) – バイオ医薬品製造系: 7.5億ドル
2021年からのスタートアップトレンド予想
2020年に引き続き2021年もスタートアップに対しては、さらなる変革が求められている。ほとんどの企業は、既存のテクノロジーと将来のテクノロジーを吟味し、生き残るための方法を模索している。その一方で、ニューノーマルにおける新しいニーズに対して参入するサービスもどんどん出てくると考えられる。
2021年も確実に繁栄を続けるであろうスタートアップ業界のトレンドをいくつか紹介する。このトレンドをもとに商品やサービス開発の参考になれば幸いである。
- リモートワーク関連
- デリバリーロボット系
- 遠隔医療関連
- オンライン教育関連
- 5Gを活用したスタートアップサービス
1. リモートワーク関連
パンデミックで話題になった新しいワークスタイルには、まだまだ大きな成長の余地がある。2020年に多くの企業がリモートワーキングモデルに移行する中でも、多くの課題が見えてきた。そして、現在のサービスやツールでリモートワークが完全に解決したとは言えない。
もちろん、セキュリティは大きな課題となるが(例:Zoomのセキュリティ懸念)、それ以外にも、オフィスで働いている人たちとのコラボレーションや、個人のリモートプロセスの自動化などの機会も十分残されている。
パンデミックが落ち着いてからも引き続きリモートワークを続けると答える企業は多く、この市場はまだまだ黎明期で、スタートアップがこれらの問題に取り組むための大きなチャンスがあることを意味している。多くのスタートアップは、2021年に向けてリモートワークツールの分野での成長が期待されている。
リモートワーク関連で注目のスタートアップは:
- Spatial: ARを活用したコラボサービス
- Abodoo: ノマドワーカーのためのプラットフォーム
- Miro: バーチャルホワイトボードツール
- Figma: コラボレーション型デザインツール
- Bluescape: 大企業向けコラボツール
Spatial: ARを活用したコラボサービス
リモートワークが進む中で、ホワイトボードや付箋を利用したコラボやディスカッション、ワークショップの必要性も高まっている。その相反する2つのニーズをARと3Dテクノロジーを活用して実現するサービスを提供しているところが注目ポイント。
Abodoo: ノマドワーカーのためのプラットフォーム
リモートワークやフレキシブルな仕事を探している人が、無料でスキルプロフィールを作成してチャンスにマッチするようにするためのプラットフォーム。新しいワークスタイルに求められるタイプのサービスである。
Miro: バーチャルホワイトボードツール
リモートワークの最大のデメリットである、複数でのコラボレーションワークをオンラインで再現したサービス。ビートラックスでも、2020年よりオンラインワークショップの際に利用している。付箋機能も充実しているため、ワークショップの際の使用に適している。
Figma: コラボレーション型デザインツール
2015年にリリースされ、すでにデザイン業界ではよく知られているFigmaは、リモートワークを中心としたワークスタイルに最適なツールになった。多くの場合、UIのデザインやプロトタイプ作成に利用されるが、一般的なドキュメント作成などでも利用可能。現在、ビートラックス社内でもメインのデザインツールの一つになっている。
Bluescape: 大企業向けコラボツール
コラボレーション系ツールを提供するSaaS企業の中でも、Bluescapeはより視覚的に理解しやすいツールを充実している。複数のチームメンバーで作成するコンテンツや、会話内容をオンラインの仮想ワークスペースで一元管理できるようになっている。また、大企業向けにセキュリティーにも力を入れている。
2. デリバリーロボット系
コロナウイルスの流行以前から、eコマース需要の増加や宅配業の人手不足解消のため、配送ロボットやドローンの開発や実証実験は進められていたが、コロナウイルスの流行に伴い、非接触の宅配サービスとしても大きく注目されている。
そのマーケットの年平均成長率は19%以上と言われ、大きく成長すると見込まれている。
加えて、ここにきてコロナウィルスの拡大により、非接触系のサービスとして大きな注目が集まってきている。ニューノーマル時代では、日常生活で他人との接触をいかに減らすかが感染リスクを減らすポイントになる。
2020年には、eコマース経由での食料品のオーダーがほぼ倍増したと予想されており、デリバリーロボット系のスタートアップは、2021年の需要拡大に対応するために開発を急いでいる。
デリバリーロボット関連で注目のスタートアップは:
- Nuro: SoftBankも投資する日用品配達向け自動運転ロボット
- Starship Technologies: 歩道を自動走行するミニデリバリーロボット
- Zipline: ドローンによる医薬品のオンデマンド配送サービス
- Kiwibot: B2B向けデリバリーロボットプラットフォーム
- Digit: 二足歩行によるデリバリーロボット
Nuro: SoftBankも投資する日用品配達向け自動運転ロボット
Starship Technologies: 歩道を自動走行するミニデリバリーロボット
Zipline: ドローンによる医薬品のオンデマンド配送サービス
Kiwibot: B2B向けデリバリーロボットプラットフォーム
Digit: 二足歩行によるデリバリーロボット
https://www.agilityrobotics.com/meet-digit
3. 遠隔医療関連
パンデミックはヘルスケア系の中でも、遠隔医療のニーズを拡大させた。患者との接触を極力減らすために、多くの公的・民間病院や開業医が、遠隔医療を提供開始している。おそらく今後も、ユーザーはこの技術をより受け入れるようなると考えられる。
マッキンゼーの報告書によると、2020年の遠隔医療の消費者採用率は49%上昇するという。ちなみに、2019年の導入率は11%にとどまっていた。
サービスプロバイダーは、提供サービスを急速に拡大し、現在ではパンデミック前と比較して50~175倍の患者数を遠隔医療を通じて診ているとされる。
さらに、Statistaの調査によると、世界の遠隔医療市場は、2019年には4550万ドル。2026年までには1億7550万ドルになると予測されてる。ヘルスケアに焦点を当てたスタートアップにとって、このトレンドは成長し、競合他社が提供していないものを提供する絶好の機会である。
遠隔医療関連で注目のスタートアップは:
- 98point6: アプリ内メッセージ機能を利用したオンデマンド診断
- K Health: AIを搭載した遠隔医療プラットフォーム
- Eden Health: 企業の従業員向け遠隔医療サービス
- SonderMind: メンタルヘルスのためのセラピストを繋ぐプラットフォーム
- Modern Health: 従業員のためのメンタルヘルスプラットフォーム
98point6: アプリ内メッセージ機能を利用したオンデマンド診断
患者と医者をアプリで繋ぎ、メッセージ機能を利用して診察を受けられる仕組みを提供。同社の報告によると、患者数は1月から200%増加し、訪問の40%はコロナに関連したものだという。
K Health: AIを搭載した遠隔医療プラットフォーム
患者と医者を繋ぐコミュニケーションアプリケーションを提供している。そのアプリを利用し、医師は患者の症状をAIによる分析を検討し、適切な診断・処方・紹介を行う。同社は1年間でユーザー数は100万人増加し、会社全体で10倍の成長を成し遂げたとK Healthのマーケティング主任は語っている。
Eden Health: 企業の従業員向け遠隔医療サービス
急性期医療、アレルギー、糖尿病、旅行医療、物理療法、予防医療などのパーソナルヘルスプラットフォームと医療サービスを提供している。2015年からサービスを提供しているが、2020年はコロナ関連の利用が急伸した。それもあり、2020年にはシリーズBで2500万ドルの追加資金調達を行なった。
SonderMind: メンタルヘルスのためのセラピストを繋ぐプラットフォーム
患者と行動医療の専門家を繋ぎ、主にメンタルヘルス領域でのサービスを提供している。現在、コロラド州でコミュニティ行動医療専門家の統合ネットワークとして運営されており、アリゾナ州やテキサス州などの新しい市場にも進出している
Modern Health: 従業員のためのメンタルヘルスプラットフォーム
サービスを利用している企業の従業員は、燃え尽き症候群からうつ病に至るまで、認定されたコーチやセラピストにオンデマンドでアクセスすることができる。2020年には、そのニーズの高まりに対応して、人種社別や社会的孤立に対処するためのグループを作成し、一般の人々にリソースを公開している。
https://www.joinmodernhealth.com/
4. オンライン教育関連
オンライン教育がここ数ヶ月で大きな成長を遂げているのは間違いないだろう。アメリカでは多くの学校がいまだにオンラインで授業を提供している。
学校、大学、さらにはコーチングセンターがオンラインツールをを介して授業を行うと、市場に巨大な機会がある。これらの機関の多くは、すべてが通常に戻った後も、カリキュラムの一部をオンラインで完了することを予定している。
企業から中等教育、高等教育まで、オンライン教育には大きなチャンスがあります。この成長は2021年以降も続くと予想している。
オンライン教育関連で注目のスタートアップは:
- GO1: 従業員向けスキルトレーニングコース
- MasterClass: オンライン習い事プラットフォーム
- Outschool: リモート課外活動サポートプラットフォーム
- Zuoyebang: 小中学生向け学習プラットフォーム
- Brainly: 宿題を助けてくれるオンラインプラットフォーム
GO1: 従業員向けスキルトレーニングコース
世界のトップトレーニングプロバイダーが提供する最大規模のeラーニングライブラリ。従業員のスキルアップ、再教育、維持のための適切なトレーニングコースが用意されている。
ユーザーにはオックスフォード大学、スズキ、アサヒ、など、3,000社以上。全体で150万人以上のユーザーが、100社以上の厳選されたコンテンツパートナーが提供する17万以上のコースやその他のリソースにアクセスできるようになっている。全体の利用率は過去12ヶ月間で5倍に増加している。
2020年には、シリーズCで4000万ドルの資金調達を行い、事業の拡大を継続している。
MasterClass: オンライン習い事プラットフォーム
多くの人々がMasterClassを利用して、シェフのトーマス・ケラーの料理の腕を磨いたり、カルロス・サンタナのギターを弾いて時間を過ごしたりしている。
パンデミックの拡大後、購読者数は急増し、ユーザーは年初に比べて2倍の時間をこのサービスに費やしている。動画ベースの学習プラットフォームを提供するMasterClassは5月に1億ドルを調達し、同社の評価額は8億ドル以上となった。それに合わせレッスンの量と頻度を拡大していく見込みだそう。
Outschool: リモート課外活動サポートプラットフォーム
パンデミックの影響で多くの生徒が家から授業に参加する中で、課外活動が犠牲になっている。そんな中でOutschoolが提供するサービスへのニーズが飛躍的に高まっている。
同サービスでは、レゴチャレンジを通じたエンジニアリングレッスンから、テイラー・スウィフトの歌によるスペイン語指導まで、さまざまな学びを得ることができるようになっている。
そのニーズの急激な拡大により、Outschoolは2020年に4,500万ドルのシリーズBラウンドを調達した。
Zuoyebang: 小中学生向け学習プラットフォーム
Zuoyebangは、中国発のモバイル学習プラットフォーム。学校の課題検索、効率的な演習、学習、ディスカッションのための総合的な学習ツールも提供している。
幼稚園児から12年生までの生徒にオンラインコース、ライブレッスン、宿題のヘルプを提供しており、月間アクティブユーザー数は約1億7000万人、そのうち約5000万人が毎日サービスを利用している。
2020年には、アリババグループを含む投資家から16億ドルのシリーズE+を調達しました。その他の参加者には、帰国投資家のTiger Global Management、SoftBank Vision Fund、Sequoia Capital China、FountainVest Partnersなどが含まれている。
Brainly: 宿題を助けてくれるオンラインプラットフォーム
生徒、保護者、教師が宿題の質問をしたり答えたりするためのP2Pの学習プラットフォームを提供している。このプラットフォームには、モチベーションを高めるポイントやランクの形でゲーミフィケーションの要素が含まれている。
他のユーザーの質問に答えることで、ユーザーがオンラインコミュニティに参加することが可能になる。2020年11月現在、Brainlyのユーザーベースが2019年の1億5000万人から今日では3億5000万人にまで成長、世界で最も人気のある教育アプリとなっている。
2020年には8,000万ドルを調達し、インドネシア、ブラジルなどのいくつかの主要な新興市場での拡大を狙っている。
5. 5Gを活用したスタートアップサービス
数年前からテクノロジー業界の最も大きな話題の一つだった5Gネットワークの普及であるが、昨今のコロナ騒ぎでいつの間にか話題に登ることが少なくなってきていた。むしろ、5Gがパンデミックの拡大の原因であるとの都市伝説すら出るくらいの存在になっていた。
しかし、時代は確実に動いている。世界中ではすでに35以上の国で商業用に5Gの利用が開始されている。エリクソン社のレポートでは、2026 年までに世界人口の約60% を5Gがカバーすると予測している。
そんな中で、5Gネットワークを活用し、スマートシティー、AR/VR、自動運転、オンデマンド型サービスなど、さまざまな領域のサービス展開を目論んでいるスタートアップも少なくない。
5G関連で注目のスタートアップは:
- Novalume: スマートシティー向けセンサーサービス
- Nido Robotics: ドローンを使った海底探査サービス
- Seadronix: 自動運転船舶用のテクノロジー
- James Fisher Technologies: 遠隔デバイスコントロールシステム
- HAAS Alert: スマート車両・交通システム
Novalume: スマートシティー向けセンサーサービス
デンマークのスタートアップであるNovalumeは、自治体が公共照明ネットワークとスマートシティデータをセンサーで管理するのサポートするサービス。このシステムは、自治体が公共照明ネットワークとセンサーからのスマートシティデータのリアルタイム管理を可能にしている。
Nido Robotics: ドローンを使った海底探査サービス
水中分野を対象とした効率的で低コストの水中ロボットの開発・製造・販売を行っている。2012年にスペインを本拠地としてスタートしたNidoは、水中ドローンを利用した海中の検査、データ収集作業、メンテナンス、研究活動を効率的に行うことを実現している。
Seadronix: 自動運転船舶用のテクノロジー
AI技術をベースにした自律型ナビゲーションソリューションを提供している。複数の学習データソースに基づいて、コスト効率の高い高度な危険予測を行う。同社の自律航法システムは、バルク船、コンテナ船、タンカー、船舶など、あらゆる船舶に搭載可能だ。
James Fisher Technologies: 遠隔デバイスコントロールシステム
5Gは重機の遠隔制御を可能にし、危険な環境での効率性を高め、リスク低減にも貢献する。アメリカに拠点を置くJFTは、危険な環境内や高い整合性が要求されるアプリケーション向けのリモートソリューション、特殊エンジニアリング、技術サービスを提供しており、労働者の安全を確保し、目の前のタスクを成功裏に完了できるようにしている。
HAAS Alert: スマート車両・交通システム
5Gネットワークは、道路、飛行場、鉄道、車両に埋め込まれたセンサーがリアルタイムで相互に通信するための高いカバレッジとデータ交換レベルを提供し、メンテナンスの改善と業務効率の向上を実現する。
HAAS Alert社のソリューションは、緊急車両や他の自治体のフリートが接近すると、リアルタイムのデジタルアラートの形でドライバーやコネクテッドカーに安全情報を配信し、車載システムやスマホアプリを介してドライバーに提供する。
変化は大きなチャンスになる
時代の大きな変革期であった2020年に引き続き、2021年も大きな変化があることは間違いない。我々btraxは、優れたサービスデザイン、UXデザイン創出のサポートも行っている。ご興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせいただきたい。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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