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ブランドの遺伝子 – ブランドコードとは?【ブランディング入門#3】
「相手に自分をどのように思われたいか」これがブランドを構築する際の最終的なゴールとなる。
それが企業の場合もあれば、商品やサービス、都市や個人に至るまで、人々受け取るすべての事柄はブランディングのプロセスにおいて達成するべきイメージをクリアにしておく必要がある。
それが曖昧になっていると、誤解を招いたり求める結果が得られにくくなってしまう。
人に例えてみるとわかりやすい。自分が周りの人たち、特にあまり親しくない、もしくは知らない人に対して”このようなタイプの人”に思われたいを最初にクリアにする事で言動や服装、ソーシャルメディアにおけるポスト内容が自ずと定まってくる。
フレンドリーに思われたいのか、クールに受け取られたいのか。気軽に連絡して欲しいのか、手が届きにくいイメージにしたいのか。インテリに見せたいのか、庶民的な雰囲気を醸し出したいのか。
その方向性をまずは定め、それに応じたビジュアルやエクスペリエンスを提供する事で、一貫したブランドの構築プロセスがスタートする。
ブランドコードはブランドの遺伝子設計図
ほぼすべてのデザインプロジェクトに対しbtraxでは一番最初のステップとしてブランドコードの作成をゴールとしたワークショップを行なっている。
こちらのワークショップでは経営層を含めたクライアント企業の主要メンバーを集めで、それぞれの方々にアイディアを出してもらっている。
このプロセスを経る事でその後のデザイン工程を非常にスムーズに進めることが可能になってくる。
そのブランドが持つ真髄を定義し、それを最大化するプロセスがブランドコードの作成である。
ブランドコード (Brand Code) の”Code”とは遺伝子を表す英語の (Genetic Code) が語源であり、それはブランドの遺伝子をデザインする工程である。
一度遺伝子を決めてしまえばその後のロゴやパンフレット、サイト、広告、店舗デザイン、接客方法などの”子供たち”のはっきりとした方向性を定めることが可能になるので、もっとも基本的かつ重要なプロセスになる。
ブランドコードの中身を紹介
ではそのブランドコードなるものの中身はどうなっているのか。一昔前なら企業秘密とも言えるその構成内容を公開したい。
なぜならば、ブランドコードにおけるbtraxのブランドバリューが”グローバルブランドを育てる”ことにあるからであり。そのプロセスをより多くの人に知ってもらい、グローバルブランドが育つためのコンテンツの提供がその一部にもなっている。
今回の例ではbtrax自身のブランドコードをサンプルとして紹介する。
1. Brand Value – ブランドバリュー
ブランドが顧客やユーザー、相手に対して与えるべき価値
最初のステップて最も重要なのはような価値を提供するブランドでありたいか。最終的にブランドと触れ合うことで相手がどのような価値を受け取ることになるかの定義。
例) btraxのブランドバリュー
Designing the Future by Bridging the Gaps
- デザインを通じて世の中に存在する様々なギャップを埋めることで未来を作り出す。
- 最適なユーザー体験を通じてそのプロダクトが求めるブランドを構築する。
- 革新性と普遍性を共存させる事によりビジネスへの新たな価値を創造する為の替えの利かないパートナーとしての存在であり続ける。
2. Brand Target – ブランドターゲット
ブランドのイメージ牽引役となる代表的なユーザー像
ブランドメッセージを届けるべきターゲットとなる顧客やユーザー、人々を定義する。
それによりターゲットではない人たちに対しての余計は配慮を極力減らす効果がある。ここでのポイントはなるべく具体的に、企業やグループ単位ではなく”人”にフォーカスを当てること。
例) btraxのブランドターゲット
デザインをビジネスに活用して
イノベーションを生み出したい企業
- 企業の経営層
- 企業の事業担当者
- 企業海外事業担当者
- スタートアップ企業
- 今後イノベーションを起こしたいと考えている若手や学生
3. Brand Keywords – ブランドキーワード
そのらしさを表現するキーワード
ここで伝えたいブランドのイメージを”言葉”にして表現する。キーワードの数は5から10程度で可能な限り簡潔な短い表現が望まれる。
そして、これまですでに持ち合わせているイメージと今後育んでいきたいブランド価値の両方をそれぞれ数種類並べ、近いキーワードを統合し、ファイナライズし、並べていく。
例) btraxのブランドキーワード (すでに持ち合わせている→これから育みたい価値の順)
- Diverse 多様性
- Unique 独創性
- Fun 楽しさ
- Curious 興味深い
- Flexible 柔軟性
- Clear 無駄が無い
- Essential 本質的
- Integral 軸がぶれない
4. Brand View – ブランドビュー
上記のブランドキーワードがロジカルな左脳だったとしたら、こちらは右脳、ロジックで考えたキーワードに対して、直感的な感覚でそのブランドを表現する。
その方法として、一般的に”ムードボード”と呼ばれるビジュアルイメージを使った表現。それにプラスし、そのブランド”らしい”曲も選ぶことで視覚と聴覚を活用したイメージを構築していく。
例) btraxのブランドビュー
1. ポルシェによる未来のコンセプトカー
- 機能的で洗練されている
- 無駄が少ない
- 見た目のかっこよさと実用性を兼ね備えている
- 必要充分な性能を保持している
- 切り捨てている顧客層が少ない
2. ダイアモンド
- 透明性が高い
- 強固である
- 多面的な輝きがある
- 誰もが認めるトップの座
- 様々なアクセサリーに利用可能
3. 多様性のあるチーム
- 多様性が高い
- 楽しい
- 異なる文化を認めある
- オープンな雰囲気
- 明るく活発
4. 闇を速いスピードで進む光
- 未来を見据える
- 速いスピード
- 明るい将来
- 自らが突き進む
- 無限の可能性
5. 日本刀
- 鋭い
- 軽い
- 早い
- 研ぎすまされている
- 精進し続ける
6. オープンな雰囲気のオフィス
- 透明性
- 開放感
- 明るい
- 楽しい
- リラックスできる
7. 草原でお茶タイム
- リラックス
- 気持ちが落ち着く
- 考えが整理される
- 無駄が無い
- クリアな思考
8. 希望を持った少年
- 力強い
- 成長性
- 可能性
- 希望
- 積極性
9. パズルの最後のピース
- 整理されている
- ユニーク
- Just fit
- 完結する
- くみ上げられる
10. ふわふわの犬 (Cooper)
- 親しみやすい
- 活発
- 能動的
- 優しい
- 可愛らしい
11. 風船で浮き上がる
- 浮遊感
- 将来性
- サポート
- チームワーク
- 可能性
12. Home of the Brave – TOTO
- アメリカ的
- 活力のある
- 勇気付ける
- カリフォルニアっぽい
- センスが良い
4. Brand Positioning – ブランドポジショニング
近いフィールドにおける他のブランドと比較して目指すべき”位置”を定める
もっとも強いブランドの特徴の一つとしてそのユニークがあげられる。
言い換えると、その価値や印象が他のブランドとかぶる状態では、ブランドポジショニングが定めれれていない。
これから目指すべきブランドポジショニングを指定することで、よりユニークなブランドを目指す。現在の位置 (半透明)から目指すべき場所を矢印で表示する。
ここで重要なのは、この図があくまで”相手が受け取る印象”であり、サービス内容や企業競争力などに基づいていない事。その点においては事業計画における競合比較とは大きく異なる。
まとめ
“ブランディング”と聞くと何か敷居が高い感じがするが、手始めに上記のプロセスにそって自分自身のブランドコードを作成してみると非常に面白いかもしれない。
ちなみに、より詳しい方法を知りたい際やワークショップのリクエストはtokyo@btrax.comまで。
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筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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