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【失敗から学ぶ】消えたシェアリングサービスの倒産理由
※この記事の内容は2022年3月に最新の状態に更新されています。
『シェアリングエコノミー』は社会に変革を生み出すイノベーションとして2016年非常に注目を集めたビジネスモデルである。実際代表格であるUber、Airbnbは10年もしないうちに時価総額が兆を超える企業へと成長し、既存のビジネスを脅かす存在となっている。
上記のように10年間で20倍近く増加すると考えられているシェアビジネス。なぜ成功できたかというと使用されていない資源とユーザーを繋ぐプラットフォームを作ることによって、安い値段で快適なサービスを提供することに成功したからである。
このようにシェアリングエコノミーの成功ばかり注目されていたが、今回はそんな中陰でひっそりと消えていった企業とその理由を紹介する。
シェアリングエコノミーの経済規模の推移
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消えたシェアリングサービス例
FlightCar:空港駐車の貸し出しサービス
FlightCarは自社のサービスを「Airbnbの車版」というように位置付けていた。サービスとしては、旅行へ行く人が空港まで車へ向かい、そして旅行中使わないその車を他の人へ貸し出すというモデルである。
FlightCarは2016年7月突然12の空港で行っていたすべてのサービスを停止することを決定し、持っている技術をメルセデスベンツへと売却することを決定した。革新的なビジネスモデルであるともてはやされ45億円近くの出資を受けていたのにもかかわらずなぜ倒産してしまったのだろうか?
1. 拡大への焦り
Trinity VenturesでTuroという別のシェアライドに投資をしていたPatricia Nakacheは「FlightCarは多額の出資を受け事業の拡大に注力しなければならず失敗する企業の典型例である」というように語っている。事業の可能性を検証する間もなく拡大を続けたことが倒産につながったのである。
FlightCarの良さはお金を稼ぐことではなく、非常に高い空港への駐車料金を払わなくていいところである。だからそこにフォーカスして利益を稼ぐことが事業の存続には必要であった。しかしながら投資家からのプレッシャーもあり、拡大をやめるという決断は彼らにとっては難しくなってしまった。
2. 質の低いサービス
空港に駐車するユーザーは、駐車代を払わなくてよいだけでなく洗車・ワックスがけ・オイル交換・洗濯サービスまで受けることができた。しかしユーザーの満足度は非常に低く、Yelpの評価では2.5(5が最高)であった。実際にFlightCarは満足なサービスを提供することができなかったことを公式に認めている。
3. 劣悪な労働環境
ユーザーからだけでなくFlightCarは社員からも満足度は非常に低い評価を受けている。職場環境の評価サイトの大手GlassdoorによるとFlightCarは1.5(5が最高)であった。社員は実際にZapardeのマネジメント経験のなさを指摘している。
加えてY Combinator Incubatorに参加するまでは正規雇用で人を一切雇わずビジネスを行っていたため、雇用条件も悪く、社内から反発が頻繁に起こった。
Washio:洗濯物代行サービス
Washioは「世界の洗濯物を綺麗に」というシンプルなミッションの元立ち上げられた。そして数年のうちに世界最大のラウンドリーサービスへと成長した。Washioの強みは洗濯物をいつでもどこでも24時間365日受け取ってくれ1日以内にユーザーの元へ返却が可能であることだ。
しかしながら2013年にサービスを開始したWashioは2016年8月でサービスを中止することを決定した。Websiteには「Washioでのサービスはこれ以上行いません。現在受け取っている洗濯物はできるだけ早くユーザーの元へお返しします」と掲示がされた。
2015半ばごろには既に米国6都市までビジネスを拡大し、月9000万円近くの売り上げを達成していたのにもかかわらずなぜこのような結果になってしまったのか。その原因は主に2つある。
1. オンデマンド対応のための無駄なコスト
洗濯物を一気に各家庭から一気に預けられるために、まず洗濯物を仕分けするという作業をしなければならなかった。そこでWashioは仕分け作業のためのフル社員を雇っていた。加えて洗濯物をいつでも運べるよう洗濯物デリバリーのドライバーに対して運んでいないときにも給料を支払っていた。
このタイプのビジネスは規模が大きくなければ利益が上がらない。そのため、投資家からは規模を大きくするように強い圧力がかけられ、マーケティングへの費用も削ることができなかった。しかし値上げをすると誰も使わないようになってしまうため、値上げはできず赤字を垂れ流すしかなかった。
2. 投資の打ち切り
近頃オンデマンドのサービスは注目を集め投資を受けやすい状況になっていた。2014年から比較をしてみるとそれは明らかである。しかし2015年Homejoy(掃除代行サービス)が倒産したときにこの状況は一転した。
Homejoyは掃除作業員に正規雇用を求められる訴訟を起こされ、スタートアップ企業にその費用負担が重すぎたため倒産した。これを見た投資家たちはオンデマンドのサービスシステムに疑問を抱き出資を渋るようになってしまった。Washioもこの影響を強く受け投資を受けられなくなってしまった
利益が出るビジネスモデルを作らなくても投資家から出資を受け続けることによってサービス提供を続けられれていたオンデマンドサービスの脆弱性が出てしまった一例といえるだろう。
消えたシェアリングサービス例から学ぶこと
この2件の例からスタートアップが重要視しなければいけないことは3点あると考える。
- 顧客の満足度を上げるための努力を怠らない
- ビジネスモデルの確立→拡大を目指すというのをベンチャーキャピタルに理解してもらう
- 投資の資金を使わなくても成り立つ収益モデルを作る
顧客満足が低ければ誰も使ってくれなくなるで1点目は当然であるが、2、3点目については軽視されがちだが重要である。経営者の力量にもよるが、スピードだけを求めて拡大を続けると今回挙げたような例の一つになりかねないので注意したい。
関連記事:
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参照:
・FlightCar shuts down peer-to-peer airport car rentals
・Washio on-demand laundry service shuts down operations
・The ultimate symbol of the Uber-for-X bubble is out of business
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