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大企業でもイノベーションを生み出す5つの方法
一般的に、大企業では、いわゆる「イノベーション」を起こす必要性を感じていても実践が難しいと考えられている。「イノベーションのジレンマ」を抱え、革新的な取り組みが難しいという声も実際によく耳にする。
今回は、海外の企業の例を交えながら、大企業がイノベーションを起こすためのヒントを探っていきたい。
そもそもイノベーションを起こす上で大事なものは何か。
革新的な取り組みをしていると例に出される企業や専門家の多くは、「イノベーションを起こせるカルチャー」を生み出すことが最も難しく、最も重要と考えているようだ。
IBMのCEOのLou Gerstner氏 は、「多くの企業は、イノベーションを起こすための戦略策定やリサーチに多くの時間を使いがちだが、企業のDNAとしてイノベーションを起こす文化が定着していなければそれらは成功しえない」と口にする。
それでは、イノベーションを起こせるカルチャーとは、大企業の中でどうすれば育めるのか。
以下の5つはその大きなヒントになるだろう。
1. イノベーションを起こしうる領域の多様性を理解する
多くの企業では、イノベーションを起こすアイディアを考えるために、新規商品のブレストのみに人員を割きがちだ。その際、顧客と直接の接点のない社員はチームから外されるか、無理やりブレストに参加させられる傾向がある。
しかし、イノベーションを起こしうるのは何も新規事業の領域に限った話ではない。
事業以外の領域についても、その分野に専門性の高い社員を抜擢することで、イノベーションを起こせる可能性がかなり高くなる。
例えば、マイクロソフト社のイノベーションチームでは、商品、ビジネスモデル、会社の方針の3つの領域に分け社員を割り当てることで、これまでに考えられなかった方向性の施策を生み出している。
フリーバージョンのAndroidやiOSのOfficeの開発もこうしたやり方によって実際に生み出されたものだ。自分の経験の深い領域のチームに入ることで、取り組む社員の意欲やパフォーマンスが大きく変わるのだという。
2. 既存事業のある中でもアイディアを承認されるようにする
大企業では、イノベーションを起こす必要を示されつつも、実際の部長層においては日々の既存業務に追われ、結果を出せるかわからない新しい取り組みに対して避けるキャパシティが非常に少なくなりがちである。
その結果、社員がこれまでと違った取り組みをしようとしても、早々に却下され、イノベーションの起きる余地がなくなってしまう。
デザインストラテジストのBrett Bishop氏は、自身のチームがこのジレンマに打ち勝った方法として、「上司の見ていない間に素早く動き、上司に承認してもらう根拠を固めていった」という。その上で、社内のチームメンバーが、自身のアイディアを洗練させる大きな助けになったという。
自分のチーム内で素早くアイディアに磨きをかけることで、既存事業に責任を持つ上司に早々に却下されるのを防ぐことができるのだ。
3. 評価方法、インセンティブを再定義する
上で述べたのは社員がイノベーションを起こすための方法だが、評価方法やインセンティブを変えることで、イノベーションへ時間を割ける体質へと組織を変えることができる。
新しい取り組みがされ始めても、既存の評価制度が変わらなければ、効果が現れ始めるまでにその取り組みはたち消えてしまう。
こうした評価制度を見直す企業は増えてきており、マイクロソフト社などでも報償システムに工夫がなされている。
イノベーションや新しい施策の実験が評価され、実際の報償に反映されることで、社員が新しい取り組みに時間を割く後押しができるのだ。
4. 安心して失敗できる場を提供する
失敗を恐れず挑戦する姿勢を奨励する文化の重要性は多くの企業に受け入れられているが、実際に失敗できる場を提供できている企業は多くはない。
そのような環境では、失敗が本質的に重要な学びの場と捉えられず、イノベーションの実験に対する恐れが生まれてしまう。
ボストン州庁内の The New Urban Mechanics teamでは、日々の固定の業務のない者を集め、他部門の新規の取り組みの支援だけを行う。
そのプロジェクトが成功すれば、プロジェクトが賞賛され、失敗すれば、支援したMechanics teamが賞賛されるのだという。
こうして、信頼、安心して失敗できる場を提供することで、本質的に失敗が奨励される文化を生み出している。
5. アイディアの実現に対して支援を強化する
多くの企業では、アイディアを出すところに対して投資はしても、そのアイディアを実現する過程に対する支援はしていない。多くのイノベーションの種はこれにより、芽を出すことなく消えてしまっている。
3Dデザイン・エンジニアリングのソフトウェアのリーディングカンパニーであるAutodeskでは、イノベーションのアイディアよりもそれを実現する方法に重きを置いたワークショップを行うことで、イノベーションを起こすカルチャーを育んでいる。
Autodeskの社員は、トレーニングだけでなく、実現に必要なリソースも与えられる。これによってイノベーションを種で終わらせず、実現確率を高めているのだ。
まとめ
イノベーションが最優先事項と言う企業は多くとも、本当にイノベーションを起こすことのできる文化が育まれている企業はそう多くはないと感じる。
イノベーションを起こすことのできる対象を広く捉え、社員が実践に時間を使うことのできる制度、安心して失敗できる環境を作ることで、社員の内なるアントレプレナーを存分に発揮させることができるようになるはずだ。
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