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なぜ日本人は英語が苦手なのか? 6年以上学んでも話せない理由と英語がもたらす3つの大きな可能性
みなさんは英語をいつから学び始めただろうか?多くの人が小学校、遅くとも中学校から始め、少なくとも6年間以上は英語を学んでいるはずだ。それにもかかわらず、日本では「英語なんて必要ない」「どうせ話せないし」といった言葉を大学や社会人になってからよく耳にする。
確かに、日本で暮らす限り、英語を日常的に使う機会は少ない。ビジネスでも一部の業界や外資系企業を除けば、英語を必要とする場面は限定的だ。しかし、世界に目を向けると、日本人の英語力は決して高いとは思われていないのが現実である。
では、なぜ長年学んでも英語が身につかないのか?そして英語ができると、私たちの人生にどんな可能性が広がるのか?今回は、3つの視点からその問いに迫ってみたい。
英語が出来る事で得られる3つのメリット
なぜ英語身につける事が重要なのか?以下の3つに理由があげられると考えられる。
1.インプット力:圧倒的な情報格差を埋める鍵
まず最初に知っておきたいのが、英語と日本語の間には圧倒的な情報量の差があるということだ。
例えば「スタートアップ」に関する情報をGoogleで検索してみると、2025年時点では日本語では約5,000万件、英語では実に10億件以上がヒットする。この差は単に言語の違いにとどまらず、世界中の一次情報や最新の研究成果、業界の知見など、英語でしか得られない情報がいかに多いかを示している。
特にテクノロジー、ビジネス、アカデミック分野では、最先端の情報の多くが英語で発信されている。つまり、英語を読む力があるだけで、世界の第一線の知にアクセスでき、自分の学びやキャリアを大きく広げることができる。
しかしながらそれを考慮した上でも、英語と日本語にははっきりとした情報量の差がある。あなたが今勉強している分野でもきっと英語でしか得られない論文が多くある。
趣味の分野でも、日本語では得られない知識がたくさんあるだろう。もちろん、日本に関する情報に関しては、日本語の情報量の方が多いだろうが、英語で検索する事で、その事柄について外国人の目から見た意見などを英語で読む事もできる。
2.アウトプット力:世界に届けられる「声」になる
優れた考えや思考力を持ちながらも、「伝えられない」という壁にぶつかっている日本人は少なくない。実際、留学や海外ビジネスの現場では、発音や文法に多少難があっても、臆することなく自分の意見を伝える学生や若者が多くいる。一方、日本人は完璧さを求めすぎて口を開けないまま終わってしまうケースが多い。
これは非常にもったいない。
あなたの中にあるアイデアや情熱が、もし世界中の人々に届いたなら、どれほど多くの人に影響を与えるだろうか。英語はそのための“橋”になりうる。あなたの言葉が、国境を越え、より多くの人に届いたとき、あなたの活動は日本だけにとどまらず、グローバルに広がっていく。
3.生活レベル: 英語は高収入につながる
上にあげた2つの理由はあまり直接的には自分たちの生活に関わってこないと思うかもしれない。
そこで直接的な要因も紹介する。英語を学ぶ最大のモチベーションの一つは、「生活がよくなる」可能性があることだ。
下記のグラフは調査結果を図示したもので、ビジネスパーソンを英語力の高さにより4つのグループに区分し、6つの年収帯で色分けしたもの。

出典:「英語レベルと年収実態調査」エンワールド・ジャパンより引用
人材紹介サービスを手がけるエンワールド・ジャパンが自社サービス登録者1,928名を対象として、2020年に行った調査によれば、英語力が高い集団では高所得者の割合が大きくなると明らかになった。
この結果からは英語力の高い集団ほど高所得者の割合が大きくなり、挨拶レベルでしか英語を話せない集団において1,000万円を超える人の割合は12%であるのに対し、流暢に英語を話せる集団では58%と4倍以上の割合であることがわかる。
また、THE NATIONにあがった記事によると、英語能力は人々の所得にも関係するそうだ。

英語力と収入の相関関係図 (国別)
世界の国別データを見ると、英語能力と国民の平均所得、さらに生活満足度には強い相関があることが示されている。たとえば、ノルウェー、オランダ、デンマークなどの国々は英語能力が非常に高く、同時に経済力・生活水準も高い。
「英語能力が高いこと」と「国民総所得が高いこと」の関係の理由の1つが、英語は今でも商業、科学、テクノロジーの分野においての共通言語であるからである。つまり世界共通語+日本語という強みがあることにより、所得にまで好影響が出るということだ。またこのような見方もある。
Harvard Business Reviewによると、「英語能力が高い」ことにより、好循環が生まれているのだそう。
英語能力が高いと収入が高くなる。つまり順繰りに政府や個人個人が英語能力をさらにあげるために英語教育に投資する→そして英語能力がさらにあがるというサイクルだ。例えばもしも英語が話せたら、就職先の幅も広がる。つまりそれだけ得られるチャンスも増えるということだ。
さらに驚くことに、この記事によると英語能力が高い国に住んでいる人々は生活に対する満足度も高いということだ。

英語力と生活に対する満足度の相関関係図 (国別)
なぜ日本人は英語が「話せない」と感じてしまうのか?
それでは、なぜ日本人が英語を話せない、ではなく、話せないと感じてしまうのかを考えてみよう。
減点式の英語教育
日本の英語教育は間違いを許さない。正解が一つ、文法ミスは即減点。このような教育は「ミスを恐れる」マインドを植え付けてしまい、英語を“使う”ことよりも、“間違えない”ことを優先してしまう。
しかし現実の英語環境では、多少の間違いはまったく問題ではない。文法が不完全でも、相手に伝われば英語としては“成立”しているのだ。
発音への過剰な意識
「ネイティブのように話さなければならない」と思っている人は多いが、それは誤解だ。アメリカの都市部では、英語が母国語でない人も多く、それぞれが訛りのある英語で堂々とコミュニケーションをとっている。
重要なのは、「うまく話すこと」ではなく、「伝えたい」という意思を持って話すこと。机上の勉強だけではスピーキング力は身につかない。まずは小さな一歩として、話しかけてみることから始めよう。
ちなみに、英語の発音を指摘する人の多くはネイティブではないケースが多い。むしろ、日本人が日本人の英語をディスることが少なくない気がする。
今こそ、英語とどう向き合うかを考える時代
2025年現在、AI翻訳や音声認識技術の進化により、英語を話せなくても「なんとかなる」時代が到来しているのは事実だ。しかし、それでも「自分の言葉で伝える力」がある人の方が、圧倒的に信頼され、チャンスに恵まれている。
英語は単なる言語スキルではなく、「未来をひらくツール」だ。読み、書き、話し、聞く。すべてが完璧でなくてよい。まずは「自分の世界を広げたい」という気持ちさえあれば、きっと次の一歩が見えてくる。
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