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「日本の夜」に起業家の競演が魅せた夢 —舞台裏から見たJapanNight—
JapanNight Tokyo Semi-Finals。あの興奮の「一夜」から数日、後片付けに奔走されながら、ぼんやり思いを巡らせて、こうして筆を取っている。JapanNight Tokyo Semi-Finalsとは一体どのような意味を持つのだろうか。
日本国内で英語ピッチコンテストを行う意味
JapanNightは全編を通じて英語で行われる。ここで敢えて言及するのであれば、日本で実施するSemi-Finalsを英語で開催する必要は無いのかもしれない。日本語開催の方が応募企業の数は増え、出場企業の負担も少なくなるだろう。サービスの開発やセールスといった売上に直結する業務に割く時間が増えるかもしれない。それでも、JapanNight Tokyo Semi-Finalsは英語で開催された。そして、そのことに、密かに大きな意義を感じている。
日本に集結した、本場Silicon Valleyのフロントランナー
今回のJapanNightには、数多くの見識者に参加していただいた。皆、日本に縁があると同時に、本場Silicon Valleyの戦いを切り抜けている世界水準の起業家・投資家達だ。そんな彼らがJapanNightという場で、激論を交わし、新進の起業家達を見極める。つまり、出場企業は国際基準で審査されることになる。
国際色溢れる出場企業
日本はもちろん、中国、フランス、アイスランド、アメリカ。出場企業のバックグランドは多様性に富み、国籍は全く関係ない。中には英語圏の出場者もいる状況で、今回のJapanNight Tokyo Semi-Finalsでは日本人が開発者を務める、Ringというサービスが見事優勝を果たした。世界各国の精鋭としのぎを削り、世界水準の審査をくぐり抜け、日本人が優勝を収めたのだ。言語の壁を超え、国籍の線引きを跨ぎ、サービスの本質的な提供価値が世界に評価された瞬間であった。
グローバルからユニバーサルへ
これらの結果は一重に英語が可能にしたことであった。出場企業も、パネリストも、審査員も、オーディエンスも、当日は英語という一つのプラットフォームの上に皆が乗っていた。この意義は非常に大きい。アメリカはもちろん、アジアやヨーロッパでも、英語という国際的なツールを用いることで、同じ価値基準に則って評価することが可能になり、地理的区分や人的ギャップが解消される中で、包括的なアリーナが現出することになる。これまでのような国家区分を前提としたグローバルな競争環境ではなく、ユニバーサルな競争環境とでも言うべき広大なインフラが整うのだ。そこでは、人の心に訴える普遍的な価値こそが評価の対象になる。(グローバル市場は存在せず、ローカライズも難しいという言説もふまえながら。)
各国が世界の開拓者に
輸送技術、情報技術、そして、共通言語。人類の歴史的な努力によって、世界が一体化し、個人に大きな力が付与された、幸運な時代。それが現代である。国家の上下も存在せず、少しの才能と多くの情熱に恵まれた人間に大きな機会が与えられる時代になりつつある。それはここ日本も、例外ではない。模倣を超えて、創造へ。価値創造という、最も困難で、最高に心躍る地平に、欧米からの学習を終えた日本は今、立っている。その役回りを十分に果たし切ることで、自ら次代の絵を描き、技術と産業を革新し、世界をリードしてもいいのではないか。そんなことすら思ってしまった。
地位も、名誉も、関係なく、ただ自らの好奇心に従った、才気溢れる若者達が、その知的興奮を分かちあう場として選んだ、あの小さなガレージから始まったアントレプレナーの聖地に、日本の若きビジョナリーが力強く旅立つ姿を眺めていて、そんな途方も無い夢を、抱かずにはいられなかったのだ。
決勝が楽しみだ。
【第6回 JapanNightセミファイナリスト結果発表】
筆者: Hiroyuki Tsujino
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