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絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンド
新しいソーシャルメディア、サービス、キャンペーンが日々登場し、マーケティング業界は目まぐるしく変化をし続けている。一方、マーケティングのトレンドは、突如現れるというよりも、徐々にその傾向が見てくるというのが通例だ。
絶対に外すことができない4つのマーケティングのキードレンドと、それらに対して取り組むべきことについてまとめてみた。統計データも多数紹介しているので、上司やクライアントへの提案資料作成の際の参考にして頂ければ幸いだ。
1. 動画(オーガニック・広告)
動画を使ったマーケティングの台頭については、ここ数年ずっと言われて続けているが、その勢いはより一層加速することが予想される。今まで動画マーケティングに本腰を入れていなかった企業も、もはや動画を無視することができなくなるだろう。
IGTVの登場とTikTok
2018年の動画マーケティングのハイライトといえば、instagramのスタンドアローン動画プラットフォームIGTVの登場と中国発の動画投稿アプリTikTokの大流行だ。
IGTVはモバイルデバイスからの視聴に特化した、縦型の長時間の動画に対応したプラットフォーム。Instagram Storyは15秒までの動画しか投稿できないのに対して、IGTVでは最大で10分の動画投稿が可能になった。(フォロワーが多いアカウントや公式アカウントなら最大60分の動画投稿が可能)
TikTokは中高生を中心に人気の動画投稿アプリで、リップシンキング(音楽に合わせて口パクで歌っているように見せるパフォーマンス)やダンスなどの動画が投稿されている。
数字で見る動画マーケティングトレンド
- 一般的なアメリカの消費者は平均で毎日1.5時間の動画コンテンツを視聴する(Wyzowl)
- 2020年までに、インターネットのトラフィックの80%以上がオンライン動画の視聴になる(Cisco)
- ライブ動画市場規模は、2016年302億ドルに対して、2021年までに700億ドルまで拡大する見込み(Research and Market)
- 2018年6月の時点でInstagram StoryのDAUは、全世界4億人で、2016年から増え続けている
2019年に取り組むべきは、ユーザーと繋がるための動画配信
Online Publisher Associationによると、80%のユーザーは、過去30日に視聴した動画の内容を覚えているという。オーガニックの動画コンテンツの配信はもちろん、動画広告にも積極的に取り組む必要があるだろう。特に、Instagram Story, Facebook Story, IGTV, snapchatなど縦型動画フォーマットも増えてきていることを考えると、モバイル視聴を前提とし、かつメディアの特性にあった動画コンテンツの制作が必要となる。
また、企業に透明性を求める動きや、FOMO(Fear of Missing Out、重要なイベントを見逃してしまうことを恐れる感情)、リアルなつながりへのニーズから、ライブ動画に対する人気も見落すことはできない。リアルタイムでユーザーからの質問に答えたり、商品のライブデモ、イベントの「舞台裏」を公開したりするなど、その時しか見ることができない、限定感のあるコンテンツ制作に取り組みたい。
加えて、一対一ののパーソナルな動画の活用にもチャレンジしたい。Eメールや電話ではなく、クライアント一人ひとりに合った動画コンテンツを届けることで、より深いエンゲージメントを得ることが期待される。クライアントの疑問に対して動画で説明するのでも良いし、感謝の気持ちを伝える手段としても有効だ。
btraxでも弊社主催のイベント「DESIGN for Innovation 2018」にお越し頂いたクライアント一人ひとりに、CEOのBrandonとデザインディレクターJensenからお礼のメッセージ動画をお送りしたところ、非常に好評を頂いた。
2. オーディオメディア
この数年でオーディオメディアが充実しているが、この傾向は2019年も続くことが予想されている。ニールセンの調査によると2018年第二期四半期の時点で、アメリカの24%の家庭がスマートスピーカーを保有しており、そのうちの4割が1台以上持っているという。
ポッドキャストやボイシーなど、耳で楽しむコンテンツが充実
2018年の6月、ついにGoogleがスタンドアローンのポッドキャストアプリ『Google Podcast』を発表した。このアプリは、Google アシスタントと連動しているので、Googleアシスタントが搭載されたすべてのデバイスでコンテンツを聞くことが可能だ。例えば、スマートフォンで通勤中に聞いていたポッドキャストの続きを、自宅に帰ってリビングルームのGoogle Homeスピーカーで聞くことができる。
今までもGoogle Play Store経由やサードパーティーのアプリを使って聞くことは可能であったが、Androidデバイスにおけるポッドキャスト環境はAppleデバイスほど整ったものではなかった。このGoogle公式アプリによって、世界のスマートフォン市場の8割を占めるAndroidユーザーが快適にポッドキャストを楽しむ環境が整った。
日本では、「声のブログ」として知られる音声メディアVoicyが今年の2月に2800万円の資金調達を行った。ポッドキャストは誰でも配信することができるのに対して、現在Voicyでチャンネルを持つことができるユーザーは、審査に通った人のみとなっている。また、Googleアシスタント及び、Amazonアレクサへのコンテンツ配信も行っており、スマートスピーカーを使ってVoicyのコンテンツを楽しむことができる。
数字で見るアメリカの音声メディアトレンド
- 18歳以上の16%、人数にして約3900万人がスマートスピーカーを保有している(Edison Research)
- 58%の消費者が、過去12か月に音声検索を使い身近なお店についての情報を調べている (BrightLocal)
- 46%の音声検索ユーザーは、身近なお店を検索するのに日常的に音声検索を使用している (BrightLocal)
- 2020年までに検索の30%が音声検索に置き換えられる(Gartner)
- スマートスピーカーを保有する71%が、以前より頻繁に音声コンテンツを楽しむようになった(Edison Research)
- 月間のポッドキャストリスナーは、2019年には8,700万人、2021年には1.12億人に達する(Activate Tech & Media Report in 2018)
2019年に取り組むべきは、目的に合った音声メディア選び
多くのユーザーが日常的に音声検索を利用していることは、音声検索を意識したコンテンツ作りを行う必要性を意味する。
SEO専門会社Yoastによると、ウェブサイト上のコンテンツを制作する際に5W+1H(Who, What, When, Where, Why, How)を意識することが必要だという。
なぜなら、ユーザーが音声検索を行う際には、キーワードではなく話し言葉、すなわちフレーズで検索を行うからだ。例えば、近くのコーヒーショップをテキスト検索する場合は、「コーヒー 渋谷(地名)」というキーワードを使用する。その一方で、音声検索は、「渋谷にあるコーヒーショップはどこ?」とフレーズで検索する。
加えて、耳で楽しむための音声コンテンツをどのように提供するのが、自社の目的を達成するのに最適であるか見極める必要がある。特に、ポッドキャストはリスナーのエンゲージメントの高さ、ニッチなユーザーにリーチをできることから、新しい広告メディアとして注目されている。
また、自社オリジナルのポッドキャスト番組を制作する動きも盛んだ。デートアプリのTinderや、D2CマットレスブランドのCasper、オフィス用チャットアプリのSlack、Eコマースプラットフォームを提供するShopifyのポッドキャスト番組は、番組そのものが広告であるにもかかわらず、人気の番組となっている。
3. ダイバーシティー・インクルージョン
メッセージを伝えるには、消費者に「自分ごと」としてメッセージを捉えてもらう必要がある。マーケティングキャンペーンにおいて多様性を取り入れることが、ここ数年重要視されており、その傾向は2019年も続くことが予想されている。
インクルージョン・マーケティングの広がり
ダイバーシティーとは、必ずしも人種や性別、年齢のことだけではない。宗教や食事制限、体型、健康状況、性的志向、コミュニティーなど、消費者が持つ様々な価値観やバックグラウンド、究極的には彼・彼女たち一人ひとりの個性を意味する。
これらを企業の活動(商品開発やマーケティング、採用活動に至るまで)に含めていくことを、インクルージョン(「Inclution」は「含める」の意味)といい、この考え方を採用したマーケティング手法のことを、インクルーシブマーケティングと言う。
障害のある女性をモデルに起用した女性用下着ブランドaerie
女性用インナーウエアブランドのaerieは今年、様々な健康状態にある女性や障害を持つ女性をブランドのモデルとして起用した。
同ブランドは、多くの企業に先駆け、画像にレタッチを一切加えていない、多様な体型・人種のモデルを起用した、Body Positiviy(ありのままの自分を受け行ける)を支援する『#AerieReal』キャンペーンを2014年から実施している。最近ではEverlaneやThirdLoveなどインナーウエアを展開するブランドの多くがaerieに追随しているが、aerieはさらに先を行った。
2018年の#AerieRealキャンペーンでは、インスリンポンプを背中につけた糖尿病を患う女性、車椅子に乗った女性、皮膚の色が抜け白い斑点ができる皮膚疾患、尋常性白斑を持つ女性などが起用されている。
ステレオタイプは、ビジネスに悪影響を与える
インクルーシブネスを支持する機運が高まってきている今、特定の属性に対するステレオタイプをマーケティングキャンペーンに反映させてしまうと、大炎上する恐れがある。日本でも某飲料メーカーが、同社商品のユーザー女性像をシニカルに描いたキャンペーンを行い、顧客を馬鹿にしている、と多くの批判の声が上がった。
また無意識のうちに、特定の属性に対するバイアスをかけたマーケティングキャンペーンは多数存在している。とある調査によると、映画やテレビ番組にネガティブなステレオタイプが使われていると感じた場合、66%の女性が観るのを止めると回答している。
数字でみる広告におけるステレオタイプ
広告におけるジェンダーバイアスを調べるために、2006年から2016年のカンヌライオンズフィルム及びフィルムクラフト部門における受賞作及び、最終候補に選ばれた英語の2,000作品を分析した共同調査は、下記のような非常に興味深い結果を示している。
- 広告内で起用される女性キャラクターの数は、男性の約1/3。2006年から2016年の調査機関においてその数字は、ほぼ変わらず
- 男性キャラクターのみを描いた広告は、全体の25%であるのに対して、女性のそれはたったの5%
- 男性キャラクターがセリフを話す時間は、女性のそれの約3倍
- 「Power(力・権力)」や「Achievement(功績)」に関する内容は、男性キャラクターによってより多く語られている
- 女性が語るセリフには、男性のセリフより若干簡単な語彙が使用されている
2019年に取り組むべきは、多様性のある組織作り
ダイバーシティー・インクルージョンを取り入れるためには、まずは自社の組織を見直すことから始めたい。インクルーシブなキャンペーンを行いたいのであれば、まずはチームに異なる属性、多種多様なバックグラウンドのあるメンバーを迎えよう。
例えば、女性を広告キャンペーンに起用するだけではなく、そのキャンペーンを企画・制作するチームやディレクターに女性を起用することで、今までとは違う視点の新しいアイディアや成果物ができるはずである。
4. パーソナライゼーション
2019年はAIの力によって、マーケティング活動のパーソナライゼーションがより一層加速することが予想される。
2018年5月にGDPR(EU一般データ保護規則、EEA内の全ての個人のプライバシー保護を強化するために2018年5月25日に施行された法律)が施行され、個人情報の取り扱い方法の見直しに奔走された企業のマーケティング担当者は少なくないはずだ。
個人情報に対する消費者の懸念が高まる一方で、サービスやマーケテイングプロモーションを、カスタマー一人ひとりにパーソナライズすることは、カスタマーにも企業にもメリットをもたらすことが明らかになっている。
数字でみるパーソナライゼーション
- アメリカとイギリスの消費者のうちの73%が個人趣向や属性を理解しているブランドから商品を購入したいと思っている。(Digital Trends)
- 不十分なパーソナライゼーションによって、アメリカの消費者のうちの41%が競合ブランドに移っている (Accenture)
- アメリカ消費者の22%しか、現在のパーソナライゼーションに満足していない (Segment)
また、消費者はいつでも、ブランドの「ターゲット」ではなく、特別な個々の顧客として扱って欲しいと感じている。上述のパーソナライズド動画の例で触れた通り、コミュニケーションを顧客一人ひとりにカスタマイズすることで、より深い繋がりや信頼を得ることができるようになる。
2019年に取り組むべきは、AIを使ったより深いカスタマーの理解
年齢や性別、居住地、購入金額など基本的なCRM情報だけでは、カスタマーの本当の姿を理解することは難しい。そこで、AIを活用したツール使い、リアルタイムの位置情報や、コンテクスト、行動、価値観など、より動的なカスタマーの情報取得し、カスタマーの理解を深めたい。
また、これらの情報に基づいて、適切なタイミングで、適切なメッセージ、商品、サポートをカスタマーに届けるためのAIツールも、ぜひ取り入れていきたい。カスタマーが求めているものを正しく提供することで、ユーザー体験の向上に繋がり、結果的にブランドへのロイヤリティーを向上させることができるからだ。
まとめ
2019年に無視できないキーとなるマーケティングトレンドを4つ挙げたが、どれも目新しいものではない。むしろここ数年、来るぞ、来るぞと言われてきたものばかりだ。トレンドが最高潮に達した時にその波に乗るのでは、時すでに遅し。競合の先を行くには、流行の兆しが見えた際に、いち早く始めることである。
新しい取り組みであれば、上手くいかないこともあるだろうが、他社に先行して始めれば世間が騒ぎ始めた頃には、十分にノウハウが溜まっていたり、業界内での存在感を確立しており、キャンペーンの効果を最大限に活かすことができるだろう。
btraxでは、デザイン思考やデザインスプリントの手法を使い、新規サービス開発に必要なマインドセット習得から、プロトタイピング、ユーザーテスト、そしてマーケティングキャンペーン等のエクスパンションまでをサポートしている。2019年、上記トレンドに対応すべく新たな施策が必要な企業もしくは、ブランド担当者はぜひお問い合わせを。
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