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2022年にリブランディングを行った12のブランド
2022年もそろそろ終わりに近づいている。
今年も多くのブランドが、ロゴのリデザインやリファイン、そして大幅なリブランディングを行った。
その中でも著名な12のブランドを紹介する。
その前に、ブランドやブランディング、そしてロゴの役割などをざっとおさらいしてみよう。
ブランドにおけるロゴの真の役割とは?
リブランディングや、ロゴの進化の真のインパクトは、会社の進化と新しいサービスの価値が消費者に受け入れられるかどうかで決まってくる。それがうまくいけば、誰も新しいロゴに文句を言う人はいないだろう。
一方で、期待値に応えられない場合は、新しいロゴと一緒にブランド価値が大きく下がる可能性もある。
現状における新しいロゴは、それ自体のクオリティーや価値に関係なく、新しい時代の明確なシンボルでもある。
それは、最近のネガティブな情勢に対して、より軽く、楽しく、明るい未来を連想させる、ブランドの意思表示としても読み取れる。
リブランディングを行う主な理由
そもそもなぜリブランディングをする必要があるのだろうか? 主に下記の理由が挙げられるだろう。
- デジタルデバイス普及などの時代の変化
- ブランドやサービス価値の変化
- ターゲットユーザーの変化
- 世の中のトレンドの変化
- 会社のフェーズの変化
- 主要プロダクトの変化
- 予算が余ったから
2022年にリブランディングを行った12のブランド
それでは本題の今年リブランディングを行ったブランドを紹介する。
Audi
以前に「自動車メーカーのリブランディング分析: Nissan, VW, BMW」で紹介したように、ここ数年で自動車メーカーのリブランディングがどんどん進んでいる。
そんな中で、2022年もいくつかの自動車ブランドがアップデートを行なった。まずはAudi。Audiといえば4つの円で構成されるロゴが象徴的であるが、今回はそれをより一層洗練させた。
90年にわたるブランドの歴史の中で、どのロゴもリングの形は変わっていないが、今回のアップデートでは、リングの光沢のあるクローム色を取り除き、ホワイトまたはグレーに細いブラックの縁取りを施している。
よりシンプルでフラットにすることで、デジタルへの対応とサステイナブルなブランドへの進化を表現している。
今回のリブランディングに対して、Audiのデザイン主任のMarc Lichte氏は “Good design is Less design” と語っている。
インスタも2022年にさりげなくロゴをアップデートしたのをご存知だろうか?おそらくほとんどのユーザーが気づかないレベルでのアップデートを施している。
具体的には全体のデザイン要素はそのままに、アイコンにおける線の太さと場所、そしてグラデーション部分の色味加減と角度を変更している。
Instagramの公式発表によると、新しいブランドアイデンティティは、「より没入感のある包括的な体験を生み出すために…継続的な進化を受け入れるようにデザインされています」とのこと。
些細な変更でも進化を続けている良い例だろう。
Baskin-Robbins (サーティワンアイスクリーム)
日本では31(サーティワン)の名前で知られているBaskin-Robbinsも今年リブランディングを行った。本国のアメリカでは “BR” の名称が浸透しているため、よりその二文字を強調し、ちゃんと “31” と見えるような工夫も施されている。
新しいロゴの全体の雰囲気は何かレトロな感じがする。同社によると、ロゴを刷新することで、新しいオーディエンスをこのブランドに惹きつけるのが狙いだとのこと。
実はこの新しいロゴのモチーフとして、1953年の広告キャンペーンで使用されたピンクとブラウンを採用している。原点に立ち返り、ブランドの活性化を図っている。
Citroen
欧州の大手自動車メーカーであるシトロエンは、世界中の大手自動車販売会社にならって、デジタルファーストを目指す自動車ブランドとして、ロゴを一新した。
同社もAudiと同様に、新しいロゴをデザインするのではなく、初代のロゴモチーフを再活性化させることを選択した。元々あったロゴシンボルをモチーフに原点回帰し、より洗練したアイコン的デザインに進化させている。
アンドレ・シトロエンの楕円形のロゴが再び登場したことで、シトロエンのクルマに使われるロゴがより現代的になり、旧ロゴの雑多な印象が薄れ、より幾何学的な形に置き換えられている。新しいロゴは、よりスマートな美しさを備えている。
Sprite
スプライトの新しいロゴは、コカ・コーラグループの第2位の飲料ブランドとしては初めてとなる、グローバルなブランド刷新の一環として発表された。
新しいロゴは、過去の象徴的なフラッシュロゴを簡略化したもの。それまでもかなり認知度の高かった旧ロゴを一新する決断力は半端なかったのではないだろうか。
新しいロゴは、ユニークなフォントデザインなど視覚的な魅力はそのままに、ワードマークは従来のボーダーから脱却し、文字の躍動感を高めることで新たな次元に到達している。
ちなみに、スプライトはこのリブランディングに合わせ、ボトルの色も従来の緑から透明に変更し、よりサステイナブルなブランドの実現を目指している。
Zapier
世界中の何千もの企業に利用されているアプリケーション統合プラットフォームであるZapierは、2022年、同社の10年の歴史の中で初めてブランドとロゴを更新した。
Zapierのユーザーに対する価値である “magic and motion (魔法と動き)” をより適切に捉えるための取り組みの一環として、古いロゴから一新し、真新しいロゴと刷新されたブランドアイデンティティを手に入れた。
Zapierは、赤いアンダースコアをロゴマークに加え、大胆でレトロなフォントを採用することで、インパクトの薄かったロゴをよりパンチの効いたものにした。
Hootsuite
ソーシャル管理ツールのHootsuiteも大胆なリブランディングを行った。
新しいブランディングは、ブランドアイコンである「Owly」をより中心的なキャラクターとして位置づけ、よりフレンドリーなソーシャルプラットフォームと世界のビジョンを強調している。
ここ数年のスタートアップロゴのトレンドであったシンプルかつプレインなデザイン、言い換えるとかなり没個性なデザインをあえて避け、より個性的なキャラクターを利用したデザインを採用しているのが面白いと感じる。
Lufthansa
ドイツの大手航空会社であるルフトハンザのブランディングの変更はごくわずかで、見分けるのが難しいほど。ヒントは、アイコンと書体の違いにある。
ルフトハンザの旧デザインは約100年前に作られたもの。そこで今回のリブランディングでは、ルフトハンザを洗練された現代的なデザインにすることが目指された。
その業界柄、大きな変更をしてしまうと全ての機体を塗り直さなければならなくなるため、旧ロゴでも認識できるように、あまり大胆なアップデートは行われなかった模様。
その一方で、細かなデザイントリートメントを洗練させたことで、現代的なイメージを生み出している。
m&ms
新しいM&M’sのロゴは、進歩的な世界のためのデザインアップデートとされる。
デザインを担当したマース社によると、角度のあるロゴから直線的なロゴへのわずかな調整により、視覚的な焦点が”&” マークに集まり、ブランドが帰属意識と一体感を重視していることを表しているとのこと。
また、M&Mのキャラクターセットも変更され、特に一部のMsが履いている靴がアップデートされている。
新しいロゴは、デザイン的な観点から見ると、”&” マークに目が行く。また、文字の間隔など、さりげないデザイン要素で視線を集め、コンセプトを構築している点も素晴らしい。
Aston Martin
先日、2021年からF1シーズン参画しているアストンマーティンは、2003年以来の大規模なロゴの更新を行った。
ピーター・サヴィルがデザインしたアストンマーティンの2022年のロゴ更新は、自動車大手がブランドの活性化のために伝統的なロゴの要素を弾き出したもうひとつの例だろう。
アストンマーティンの新しいロゴは、ロゴを大幅に改善するためにゼロから始める必要がないことを示す良い例だ。
古いグラデーションを捨て、翼とフォントに重みを加えるなど、いくつかのシンプルなデザインの変更により、アストンマーティンはより洗練されたロゴを手に入れた。
HotJar
データ分析プラットフォームを提供するHotJarは、マッチングアプリTinderに似すぎているブランドアイデンティティから脱却するために、アップデートが必要だった。
両社のロゴに使われている炎が類似しており、カラーリングもほぼ同じであるため、差別化を図るために切り替えが求められたのだ。
2022年のこの時期に、HotJarは未来に向けたブランドを作り上げるためにリブランディングを行った。
製品やインサイトを正確に紹介することに注力することが重要であり、ロゴをかなりシンプルにすることが必須だった。
新しいロゴは旧ロゴで採用してたJの上のピンク色の炎の代わりに、Hの前に2つの熱波が描かれ、ピンクではなくレンジ色を採用。
これにより、HotJarのメイン機能であるユーザー行動の特定に役立つヒートマップを連想させるデザインとなった。
Bugatti
欧州の高級スポーツカーブランドであるブガッティの新しいコーポレート・アイデンティティは、自動車業界の枠を超えるというブガッティの野望を示すものである。
これまでのクラシックなスタイルを捨て、よりモダンなモビリティーカンパニーへの進化を感じさせるデザイン。
2022年のロゴは、パンチの効いた、パワフルで、プレステージ性の高いデザインに仕上がっていいる。
2022年のリブランディングから見るロゴデザインのトレンド
これらの事例全体を通じて下記のようなブランディングにおけるトレンドが見えてくる。
- よりインクルーシブな世の中になったのに合わせ、多くのブランドがより包括的なロゴを採用している
- 既存のロゴの細部をより洗練させたアップデートを行なっている
- 派手な装飾をなくし、より見やすく、親しみやすい 「透明性の高い」ロゴにリデザインされている
ブランドもDX化が進んでいる
リブランディングを通じて多くのブランドのロゴがシンプルになってきている。
それまでは利用されていた、グラデーションやエンボス等の立体エフェクトなどの “装飾” を廃止し、よりフラットでシンプルなデザインを進めている。
その大きな理由として、デジタルサービスの普及がどんどん進むにつれて、ロゴが利用されるシーンが紙媒体よりも、スマホやパソコンを中心としたデバイスの画面が中心になっているのが挙げられる。
これはテクノロジー系だけではなく、ファッションブランドでも見られ、下記のようなブランドロゴがアップデートされている。
これは、現代においてブランドのDX化が進んでいるといえるだろう。
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