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Adobe Stockから学ぶ、2022年の世界のクリエイティブトレンド予測
2022年のAdobe Stock Creative Trends Forecastが公開された。
Adobe Stockとは、あらゆるクリエイティブプロジェクトに利用できる高品質なロイヤリティフリーの写真、ビデオ、イラスト、ベクター、3D、テンプレート数千万点を厳選して、デザイナーや企業、教育機関、官公庁向けに提供するストックフォトサービスだ。(参考)
毎年、世界と地域のクリエイティブトレンド予測(Creative Trends Forecast)を発表している。
Adobe StockのCreative Trends Forecastは、Visual Trends、Design Trends、Motion Trendsの3つのセクションに分かれている。2022年は世界と日本のクリエイティブトレンドを対象としていた。
btraxは日本のCreative Trends Forecastのうち、ビジュアルトレンドの制作において協業させていただいた。
今回は世界のビジュアルトレンド予測について、AdobeのPrincipal of Consumer and Creative Insights、Brenda Milis 氏にインタビューした内容をまとめてお伝えする。
この記事を読んでからAdobe Stockを見ると、企画者の視点でビジュアルを楽しむことができ、新たな発見があるだろう。
Q: 簡単に自己紹介とご経歴をいただけますか?
Brenda Milisです。現在Adobe Stockにおいて、年間のAdobe Stock Creative Trends Forecast作成、公開のイニシアチブを取っています。
私のキャリアの始まりはフォトディレクターでした。様々な業界のディレクションを担当していました。
仕事を始めてからずっと「ビジュアル」に関わる仕事をしてきたので、日常的にフォトストックを使ってビジュアルや、アイコンの使い方などをリサーチしてきました。リサーチが私のキャリアにおいて強みであり、情熱を持てることでした。
Adobe StockのCreative Trends Forecastは、かなり影響力のあるものだと感じています。なぜなら、クリエイティブトレンドをグローバル規模で、年間を通して、あらゆる業界の広告やメッセージをもとに予測するからです。
私たちのクリエイティブトレンド予測は、将来的に主流のトレンドとなっていきます。
Q: 今では、SNSなどのオンラインでもビジュアルが見られる時代になりました。しかし一方で、ビルボードなど、オフラインの世界にももちろんビジュアルは溢れています。この変化は、現代のクリエイティブトレンドのリサーチにどのように影響していますか?
全てのプラットフォーム、場所、チャネルで、全ての人がある時は意識的に、またある時は無意識的に画像を見ています。
ビジュアルトレンドが大変重要だと思う理由として、現代のビジュアルは本当に目まぐるしく変化していることが挙げられます。
というのも、いつ何時も私たちはどこを見ても何らかの画像を目にしていて、その画像を「消費」しているからです。
人々が四六時中携帯を見るようになる前、私たちは道を歩いていたり、地下鉄の広告を見たり、店舗のウィンドーディスプレイを見たり、そのようにして画像を発見していました。
それは今も続いていることです。しかし今では家でプライベートの時間を過ごしている時も、SNSを介して画像を見ています。それに伴って、私のリサーチはかなり幅広くなりました。
なぜなら、SNSの活用によって今までの時代よりもはるかにビジュアルを目にする機会が増えたからです。
これは企業にとっても重要な変化で、ビジュアルを変えることで常にブランドを進化させ、自社が顧客に対してどのような関わり方をしたいのかを示すことが以前よりも容易になったということです。
Q: 2022年のグローバルのビジュアルトレンドを制作した印象をお聞かせください。
特に興味深く感じたことは、ここ数年のコロナウイルス感染症による厳しい状況に反して、ポジティブな雰囲気のビジュアルがトレンドになりやすいということです。
そして今年は、どの国でも同じようなビジュアルがトレンドになっていることが印象的でした。Adobeはグローバル企業ですので、トレンド予測を完成させるまでに、各国のスタッフと密に連携しながら綿密なリサーチを行います。
2022年のトレンド予測を作る際初めて地域ごとのスタッフに自分が考えたグローバルトレンド予測を発表した時に、どの国でもすぐに賛同が得られました。
パンデミックによってどの国でも行動範囲が縮小してライフスタイルが似てきているので、同じようなトレンドになりやすいからだと考えます。
Q: 今のお話より、各国のチームとどのように協業しているのかを知ることができました。毎年このStock Trendのプロジェクトを牽引されていますが、毎年どのようなプロセスとスケジュールでリサーチを行っているのでしょうか?
いつも私は前半の半年で広く浅くリサーチを実施します。そして、1年の後半に差し掛かった辺りで、範囲を広げるというよりは、今までのリサーチをもとに深掘りするようなリサーチに切り替えます。
例えば、Adobe Stockのユーザーが何を検索しているか、ファッション、美容、ビデオゲーム、メディア、エンタメ、テクノロジー…など、さまざまな領域を総合的に見て、全ての領域においてどんな画像が検索されているかをリサーチします。
私自身も日々人気のカルチャー、年代別のトレンド、アート、などリサーチをたくさんしています。
全ての領域に共通して見られる特定のビジュアルがないかどうかを求めて、他地域のチームやAdobe Creative Cloudチームにリサーチに行き、彼らの視点からのフィードバックを求めることもあります。
このように、私はAdobeの他地域のチームや、Adobe Creative Cloudチームなど、たくさんのチームと連携し、協力を仰ぎながら進めています。
そして、大体の時期については、6月の終わり頃から9月までの間で、全ての広範囲のリサーチを終わらせて、発見したことに関してAdobeの他地域のチームや、Adobe Creative Cloudチームにフィードバックをもらいに行くようにしています。
そうすることで、これらのトレンド予測はより確からしいものになっていきます。そうして、全世界に公開できるようなトレンド予測は出来上がっています。
Q: トレンドを常にリサーチされていると思いますが、一旦スイッチを切って、全ての情報をシャットアウトしようという気分になることはありませんか?例えば、森に入って何もしないでテントに籠る時間を作るとか。
私はきっと森に入っても、その中で見えたものに関して考えてしまいますね笑、アウトドアはご存じのかもしれませんが今のトレンドだから。
全ての公式なリサーチから離れようと思ったら全てのデバイスからシャットアウトして、記事を読んだり、情報を比較したりすることから離れなければいけないと思います。
でも私は個人的に、世界がビジュアル的にどのように動いているのかをリサーチしたり、パズルのピースをはめていくような作業をするのが本当に面白いと感じている人なんです。
なので、もし私がキャンプに行ったとしたら、私はきっと自然の中にいることや、外で活動することがどれほど大切かを実感すると思います、そしてやはり、どこからかトレンドを見つけ出そうとしてしまうかもしれません笑。
Q: 次の質問は、トレンド予測の正確性に関する質問です。例えば、2020年の予測は、どのくらい正確に当たっていたのでしょうか?というのも、2020年に感染症が広まり、あのような状況になるなんて誰も予測できなかったですからね。
2020年ですか、かなり前ですね!リサーチしていたのが2019年になるから、2020年は正直思い出せないのですが、コロナ期間中のトレンド予測として挙げるのであれば、2021年のトレンド予測は、本当に的を得ていたのではないかと思います。
2021年の実際の広告やブランドが発信していたメッセージは似ていました。私たちに語りかけるようなメッセージでしたね。例えば、「この状況を一緒に乗り切りましょう!」とか。
2020年に、私は2021年のトレンドを見つけ出せるか不安でしたが、いつも通りのプロセスを踏んでリサーチをしたところ本当に正確だったと記憶しています。
なので、結論としては、私たちのトレンドは時代や私たちの生活を急激に変化させるもの(例えばパンデミックなど)が現れない限り、本当に正確だと思います。
コロナという状況の中でも、人生の中にポジティブな瞬間を見つけ出すのは必要なことですね。
ええ、本当にそう感じます。2022年のトレンドのうち1つに、”Powerfully Playful”というものがあります。これは2022年の一番強力なトレンドであり、メッセージではないかと推測しています。
いろいろな物事が確実にストレスフルな方向に進んでいて、人々は楽しい想像を掻き立てられるような、美しくてポジティブなメッセージのビジュアルを求めているのではないかと思います。
全てのモチーフのトレンドには、なぜそれが人気なのか、理由があります。この世の中を生きる私たちの心に余裕や安心をもたらすからだと考えています。
過去2年間のパンデミックの時代の中で、メンタルヘルスや感情に関係するビジュアルが重宝されるようになりました。
全ての人の状況は違いますが、私たちは皆メンタルを健康に保つことは大切だと痛感していると思います。前向きなメッセージを発するビジュアルは、それを助ける要素になっていると思います。
2022年のビジュアルトレンドの一つに”The Centered Self”というものが挙げられます。これは落ち着いて、自分を労わる時間をとることを意味します。
ビジュアルは本当に大きな力を持っていて、他の人と相互にリアルタイムで交流する機会の減った現代だからこそ大きなパワーを持つようになりました。
Q: 今回のトレンドで驚いたことはありますか?
私は毎年その年のトレンドに驚いています。毎年、どうやってトレンドの予測をしようか?と思うのです。
なぜなら、明らかになっていることなんて一つもないから。しかしリサーチをし続けるうちに、トレンドは姿を表すものなんですよ。
2022年のトレンドにも驚きました。毎年、地域ごとに少しづつ違うのですが、世界的にほぼ一律に同じようなビジュアルがトレンドになっていたので驚きました。
まとめ
今回はAdobe Stockの制作の過程やリサーチの過程をお聞きした。
今後 Creative Trends Forecastを参考にしたり、Adobe Stockの素材を用いる際は、沢山の人の努力の賜物だと思い出していただけたら幸いだ。
次回は、btraxもリサーチに携わった日本版Creative Trends Forecastの作成秘話をご紹介する。
2022年の日本特有の2つのビジュアルトレンドは、グローバルトレンドと似ていたのか、違ったのか?そして、btraxがどのように関わったのか?
ぜひJapanese Trend編もお楽しみに!
2022年度のCreative Trendsに関して、より詳しく知りたい方はこちらの動画もご覧ください。
2022 Creative Trends from Adobe Stock | Adobe Creative Cloud
インタビューの様子はこちらからも視聴いただけます。インタビューの全貌が気になった方は是非ご覧ください。
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