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2021年に終了した21のスタートアップとその理由
スタートアップの90%は5年以内に無くなると言われている。新陳代謝の激しいスタートアップ業界では、派手な成功ストーリーの裏では、連日新しい企業が生まれては消えている。 ある意味、スタートアップは失敗するのが当たり前。そこから得るものがあれば、今後の成功へのプロセスに繋がる。
2021年も後わずかということで、毎年恒例、その年に無くなってしまったスタートアップ特集。 その失敗理由やサービス内容を知るだけでも今後の大きな学びになる。
それでは2021年に生き残れなかったスタートアップを紹介する。
1520
事業エリア: 食料品デリバリー
メイン拠点: ニューヨーク
失敗理由: 資金繰り悪化
15分から20分で食料品のデリバリーを行うスタートアップ 1520が2021年12月に閉鎖された。今年1月に立ち上げられた同社は、20分以内の食料品配達サービスを手数料無料で提供することを目指し、当初は成功を収めていた。
4月に投資家から780万ドルのシード資金を調達し、マンハッタン全域にダークストアの新店舗をオープンし、9月にはシカゴにもサービスを拡大した。
しかし、JokrやGopuffといった資金力のある競合に追いつくのに苦労し、最終的には顧客獲得コストがかかりすぎて閉鎖に追い込まれた。また、この新しい領域に対して十分な投資家からの出資を集められなかったのも原因となっている。
Abundant Robotics
事業エリア: ロボテック
メイン拠点: シリコンバレー
失敗理由: 資金繰り悪化とパンデミックの影響
ロボット式リンゴ収穫機の開発会社であるAbundant Roboticsは、7月上旬に同社を閉鎖すると発表した。ベンチャーキャピタルから1,000万ドルの出資を受け、ワシントン州果樹研究委員会から追加資金を得たものの、パンデミックの中で生き残るために必要な市場牽引力を身につけることができなかったと主張している。
この発表に先立ち、同社はすべての知的財産と資産を売りに出したが、その中には、コンピュータ・ビジョンを搭載した果実収穫用ロボットの開発に不可欠な特許が多数含まれていた。Abundant CEOのDan Steereは次のようにコメントしている。
「リンゴ収穫機のプロトタイプで有望な商業試験を重ねた後、開発を継続し生産システムを立ち上げるための十分な投資資金を調達することができませんでした。」
Aerion Corporation
事業エリア: 航空テック
メイン拠点: ネバダ州
失敗理由: 資金繰りの悪化
航空工学のスタートアップ企業であるエアリオンは、2021年5月末に突然の閉鎖を発表した。同社は、超音速ジェット機「AS2」をソニックブームを発生させずに飛行させる特許技術を開発し、注目を集めていた。
ボーイング社、ゼネラル・エレクトリック社、ネットジェッツ社とのパートナーシップを育み、2024年までに最初のジェット機を飛ばし、2026年までに商業サービスを開始する計画を報告していたが、結局、必要な資本の確保に伴う課題に屈した形となった。
Apervita
事業エリア: ヘルステック
メイン拠点: シカゴ
失敗理由: 資金繰り悪化
ヘルスアナリティクスのスタートアップであるApervitaが、2021年10月に閉鎖された。同社は近年、バリューベース契約と代替支払管理ソリューションのプロバイダーであるQcentiveを買収し、MayoやCleveland Clinicといった組織とのパートナーシップを確立するなど勢いを増していたが、事業を維持するのに十分な資金を調達することができなかったとされる。
元Apervitaの最高情報技術・イノベーション責任者のBlackford Middletonによると、第2回目の資金調達で困難にぶつかり、資金が底をついてしまったとのこと。
Aura Financial
事業エリア: フィンテック
メイン拠点: サンフランシスコ
失敗理由: パンデミックによる資金繰りの悪化
ヒスパニック系向け消費者金融のオーラ・ファイナンシャルは、スーパーマーケットなどを通じて300ドルから4,000ドルのローンを顧客に提供していたが、財務上の問題が深刻化したため、1月上旬に事業を停止した。
同社の共同創業者であるJames Gutierrez氏は、同社の消滅をパンデミックと資金不足が原因と説明した。
パンデミック発生当初、黒字化に向けて最後の一歩を踏み出し、新規融資を完了させる寸前だった。しかし、突然、すべての資金が枯渇した。低所得で、ほとんどがヒスパニック系の顧客層が、仕事、健康、財政に不釣り合いな影響を与えるパンデミックからどのように回復するかという不確実性が、投資家からの追加投資を阻んだ。
Beam
事業エリア: フィンテック
メイン拠点: サンフランシスコ
失敗理由: 資金繰りに失敗
モバイル貯蓄アプリBeamが、連邦取引委員会との和解に基づき停止された。2019年に登場したこのアプリは当初、「99%のための初のモバイル高金利貯蓄口座」と銘打ち、7%という高金利を提供しながら、預金への「24時間アクセス」を可能としていた。
しかし、2020年のCNBCの調査により、数十人の顧客が口座からお金を引き出せなかったことが明らかになり、最終的にFTCはこれを閉鎖し、今後同様の事業を行うことを禁止することになった。
Clickety
事業エリア: 業務改善系SaaS
メイン拠点: ポートランド
失敗理由: 不明
2021年8月末、プロジェクト管理ツールClicketyがサービス終了を発表した。顧客には、「グループメンバー、マニュアルコメント、人物メモ、マージされたエイリアス」に関するデータを含むファイルを入手するために同社に連絡するよう伝えられ、さもなければ10月1日に永久に削除されるとのことだった。
創業者のルーク・ケイニーズ氏は、閉鎖の具体的な理由を示さず、ただこう述べた「私たちは、自分たちが作り上げたものを非常に誇りに思っています。自分たちで使うことができなくなるのは寂しいことです。そして、私たちが作ってきたもの、つまり、人を中心とした仕事をしている人たちを助ける強力なツールが、今なお必要とされていることを、これまでと同様に確信しているのです。しかし、私たちはその努力を継続することができません。」
Hey Tiger
事業エリア: エシカルチョコレート
メイン拠点: オーストラリア
失敗理由: 利益確保が難しいビジネスモデルだった
エシカルチョコレートブランド “Hey TIger” が、オープンから3年後の2021年5月上旬に閉店を発表した。同社のミッションは、高品質のチョコレート製品を生産すると同時に、カカオ産業における不公平を認識し、対処するという2つの側面を持っていた。
原料の倫理的な調達を約束しただけでなく、カカオ農家の児童労働や貧困を撲滅するための慈善寄付も行った。同社は熱狂的なファンを獲得したが、社会的な目標に沿った形で事業を拡大し、利益を確保することが困難であった。
Houseparty
事業エリア: ビデオチャットアプリ
メイン拠点: サンフランシスコ
失敗理由: マネタイズが難しかった
2021年9月初旬、Epic Gamesは10月にHousepartyを廃止することを発表した。EpicはFortniteのゲーマーにライブビデオチャット機能を提供するため、2019年に$35Mでこのビデオチャットアプリを買収した。同社は閉鎖の明確な理由を挙げていないが、財政的に持続不可能であることが証明されたのだと推測している。
Epicはブログの投稿で、Housepartyの従業員を他のチームに再配分し、「メタバース規模」でのソーシャル機能の開発に注力すると述べ、Epicがより大規模な仮想環境の開発に移行することを示唆している。
Hubba
事業エリア: Eコマース
メイン拠点: カナダ
失敗理由: 利益確保が難しいビジネスモデルだった
カナダに拠点を置くEコマースのスタートアップ、Hubbaが2021年2月に閉鎖された。公開された株式資金で$59Mを調達していた同社は、独立系小売業者とブランドを結びつけ、新商品に注目を集め、卸売購入を促進することを目的としていた。
この発表は、同社の以前の業績やIPO計画を知る人々にとっても、全員参加のZOOMで即座に解雇された従業員にとっても衝撃的なものだった。
JAAK
事業エリア: 音楽テック
メイン拠点: ロンドン
失敗理由: スケールを急ぎすぎて資金が枯渇した
英国に本拠を置くブロックチェーン音楽スタートアップのJAAKは、2021年3月末から自社のサービスの大半をクローズすると発表した。JAAKが試験的にブロックチェーンネットワーク「KORD」の狙いは、知的財産権と支払い情報を透明化することで、アーティストが権利所有権を管理し、ロイヤリティ支払いの矛盾を是正できるようにすることであった。
同社の企業アカウントの一連のツイートでは、破たんした理由として、規模や十分な資金確保などの課題が指摘されてる。
Katerra
事業エリア: 建築テック
メイン拠点: シリコンバレー
失敗理由: 資金繰りの悪化
モジュール建築のスタートアップであるKaterraは、2021年6月上旬に終了した。ソフトバンクが支援するこのユニコーンは、2018年の最終評価額が$3Bで、Khosla VenturesやGreenoaks Capital Managementといった投資家から総額$1.5B近くの資金を調達していた。
同社は原因の一つとしてマネージメントの問題を挙げたが、そのわずか3カ月前に融資先のGreensill Capitalが破綻したことも一役買っている。ソフトバンクはKaterraに直接出資していたが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(15億ドル)の出資先であるグリーンシルはKaterraにも出資しており、ソフトバンクのポートフォリオが相互に関連していることを浮き彫りにしていた。
この景気悪化のドミノ効果は、特にソフトバンクが主要投資家であったコワーキングユニコーン WeWork の2019年の下落に続いて、ソフトバンクのビジョンファンドの実行可能性を疑問視する声も出ている。
KupiVIP & Mamsy
事業エリア: eコマース
メイン拠点: モスクワ
失敗理由: 資金繰り悪化
ロシア発のディスカウントEコマースのKupiVIPとその関連会社Mamsyは、7月にYandexが同社を買収する取引から手を引き、閉鎖された。2008年に設立されたKupiVIPは、かつてロシアのトップ10に入るEコマースサイトで、2012年には4億ドルと評価されていた。しかし、競合の増加により順位が下がり、最終的に2020年には売上高が前年比10%減となった。
KupiVIPは1億2,000万ドルの資金を調達したにもかかわらず、WildberriesやLamodaといった新興の巨大ECサイトに太刀打ちできず、親会社のPrivate Tradeは事業を縮小する結果になった。KupiVIPの取締役であるDavid Waroquierは次のように述べている。
「KupiVIPは、Webサイト、モバイルアプリ、実店舗を横断的に運営するオムニチャネルに挑戦しています。そのためには、ロシアの市場規模を考えると、大きな資本が必要だった……。国際情勢が不利な中、十分な投資を集めることができなかった」
LOON
事業エリア: ネットインフラ
メイン拠点: シリコンバレー
失敗理由: 商業化と安全性への懸念
Alphabet (Googleの親会社) のイノベーションラボ、Google Xからスピンアウトした高空飛行のインターネットバルーンプロジェクト、Loonが1月に閉鎖された。
責任者であるAstro Tellerによると”過去9年間のチームの画期的な技術的成果にもかかわらず、商業的実現への道は期待よりもはるかに長く、危険であることが証明された “とのこと。
https://x.company/projects/loon/
Madefire
事業エリア: デジタルコミック
メイン拠点: バークレー
失敗理由: 競合に負けた
デジタルコミックスタートアップのadefireは、2021年4月上旬にサービスを停止した。Madefireのアプリは、Archie UnlimitedやIDWなど、多くのデジタルコミックスアプリを提供していたが、これらも停止された。
これまでに著名なアーティストや投資家が参画していたが、競合の前にフェードアウトせざるを得なくなった。結局多くのユーザーは、無料サービス、製本されたもの、アマゾン(comiXology)を好む結果となった。
Mastree
事業エリア: eラーニング
メイン拠点: インド
失敗理由: 親会社の決断
Unacademyは、オンライン学習プラットフォームMastreeの株式の過半数を$5Mで取得した後、1年後に同社を閉鎖した。Mastreeの240人の従業員のうち、190人は閉鎖後に他の事業に再配置されるとUnacademyは述べているが、Mastreeの共同設立者のShrey GoyalとRoyal Jainは完全に離れることを選択した。
Orthrus Studios
事業エリア: ゲーム開発
メイン拠点: イギリス
失敗理由: ゲームがヒットしなかった
スコットランドに拠点を置くゲーム開発会社Orthrus Studiosは、5月に発売したファンタジー系ビデオゲーム『Distant Kingdoms』を最後に閉鎖した。創業者のオリバー・V・スミス氏を含む10人の従業員からなる同社のチームは、全員解雇された。
https://www.orthrusstudios.com/
Payvision
事業エリア: フィンテック
メイン拠点: オランダ
失敗理由: 不正取引の発覚
INGは、カードアクワイアラーや決済プラットフォームを手がける子会社Payvisionの閉鎖を11月上旬に開始すると発表した。INGは2018年、オムニチャネル決済と加盟店サービスを強化するため、スタートアップの株式の過半数を取得。その直後、同スタートアップは論争に巻き込まれていた。欧州資金回収イニシアティブは、同スタートアップが買収前に160Mドルの不正取引を処理していたと公に主張した。
INGは2020年にPayvisionの事業の半分を1ユーロで売却し、2022年までにPayvisionのサービスを完全に終了させる予定であることが発表されている。
SuperData Research
事業エリア: eスポーツ向けデータ調査・分析
メイン拠点: ニューヨーク
失敗理由: パンデミックによる市場の伸び悩み
ニールセン・スポーツは自社の製品強化のために、2018年に買収したマーケットインテリジェンスを提供するSuperData Researchのサービスを021年3月に停止した。
ニールセンは同部門を閉鎖した理由を明示していないが、ゲームサービスを独自の事業体として提供することから離れ、代わりにニールセン・スポーツの主力製品に追加機能として追加するとしている。また、市場競争とCovid-19関連の複雑さがこの決定に関与した可能性があるとも法事されている。
V1 Interactive
事業エリア: ゲーム開発
メイン拠点: ニューヨーク
失敗理由: ユーザー獲得に失敗
ビデオゲームデベロッパーのV1 Interactiveは、デビュー作「Disintegration」をリリースしてからわずか9カ月後の2021年3月に閉鎖を発表した。同社は閉鎖の具体的な理由を挙げていないが、これまでの報道によると、同社が提供するマルチプレイのオーディエンス拡大に苦戦していた様子。
2020年9月にDisintegrationのマルチプレイヤーモードをオフラインにし、11月にはゲーム全体をオフラインにした。
We are sad to inform you that V1 Interactive is officially closing.
We want to thank all the talented people at V1, both past and present, who helped make the last 5 years wonderful.
And a heartfelt thanks to the amazing community that supported us. pic.twitter.com/XX6Sxtc32o— V1 Interactive (@V1Interactive) March 8, 2021
YCloset
事業エリア: ファッションレンタル
メイン拠点: 北京
失敗理由: 資金繰り悪化
中国のアリババも出資する、ファッションレンタルのスタートアップであるYClosetは、2015年の創業以来、総額$70Mの公開資金を調達したにもかかわらず、7月上旬に閉鎖された。その際、同社は8月15日までに販売とオンラインチャネルのサポートを終了する計画を発表している。YClosetは、米国に拠点を置く同業他社であるRent the RunwayやStitch Fixと同様に、サブスクリプションモデルを使用して運営し、ユーザーはブランドのアパレルをレンタルすることができた。
中国のテックメディア、Technodeによると
「YClosetの破綻は、かつて人気を博したファッション・レンタル市場に対する投資家の心理が悪化したことに起因しており、この市場は資本集約的であることが判明している。YClosetは規模を拡大するにつれ、配送やクリーニング、最新のファッショントレンドに遅れないようにするための高い費用を維持するのに苦労していた。」と記されている。
Yelo
事業エリア: フィンテック
メイン拠点: バンガロール
失敗理由: パンデミックによる業績悪化
2021年7月、主にギグワーカーを対象としたオンラインバンクであるYeloが閉鎖された。2019年にシードラウンドを調達し、その後4Mのアプリダウンロードを獲得した後、同社はビジネスモデルの複雑さに直面し、パンデミックの発症によってさらに悪化した。最終的には Avail Finance によって買収される形でサービスを終了した。
Yunniao
事業エリア: 物流テック
メイン拠点: 北京
失敗理由: パンデミックの影響による資金繰り悪化
Same-cityの物流会社であるYunniaoが10月末に倒産した。閉鎖前には、2017年2月に$100MのシリーズDラウンドを最後に$210Mの資金を獲得していた。しかし、激しい市場競争の台頭とパンデミックの大流行により、同社は資金繰りに窮し、下降線をたどることになった。
10月30日、不満を持つ従業員が同社の公式Weiboアカウントから「数カ月間、従業員に給料が支払われていない」や「同社の金融商品を買わされた」「ドライバーは仕事に就く前に4,000元(626ドル)の保証金を払わされたが、返金されたことがない」などと投稿し、同社の財政状態が明らかになった。また、この投稿は、従業員に対して、CEOのHan Yiに対して法的措置を取るよう促している。
スタートアップの失敗理由 Top10
その95%が失敗すると言われているスタートアップでは、その失敗に関するデータはかなり多い。数ある理由の中でダントツなのは、作り出したプロダクトが市場のニーズに合っていないケース。
このデータを見てもわかる通り、自分たちが作り出したものが本当にユーザーに求められているのかを繰り返し検証するのがとても大切。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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