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    Brandon K. Hill

    CEO of btrax, Inc

    CEO of btrax, Inc - Design Mentor to Startup Weekend - Contributor to TechCrunch Japan - Guest Speaker at UC Berkeley Asia Business Conference - Guest Speaker at Social Media Week Tokyo - Guest Speaker at 500Startups Japan Day

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  • Nov 27, 2017

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世界最大のテクノロジーカンファレンスに登壇して思ったこと

湧き上がる歓声、怒涛の様に響くうねりの様な轟音。ポルトガル最大のアリーナに集まった20,000人が一つになった瞬間を目の当たりにした。サッカーのW杯や人気アーティストのコンサートではない。テクノロジー系のカンファレンスである。日本でも幕張メッセやヒカリエなどの”大きな”会場でIT系のイベントは行われている。しかし、今回参加したWeb Summitと呼ばれるカンファレンスはその内容、規模、そして参加した人々の一体感がスケール違いだった。

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日本ではあまり知られていない世界最大のテックイベント

WWDCやDreamforceなど、シリコンバレー地域を中心にテクノロジー関連の大型イベントは複数存在する。また、新年早々にラスベガスで開催される世界最大の家電の見本市、CES。音楽、映画、ITを融合させたSXSWなど、アメリカの他の地域でも巨大イベントはいくつかある。そんな中でもポルトガルのリスボンで毎年開催されているWeb Summitも世界最大級のテクノロジー系イベントである。下記の数字を見ればその規模が想像できるだろう。

  • 参加者数: 60,000人以上
  • 参加者出身国数: 170以上
  • 登壇者数: 1,200人以上
  • 投資家数: 1,400人以上
  • スタートアップ数: 2,000社以上
  • メディア関係者数: 2,600人以上
  • セキュリティー数: 2,000人以上
  • イベント会社社員数: 160人
  • 運営スタッフ数: 4,000人

まさにグローバル規模のこのイベントに今回、ヤマハモーターベンチャーズの西城さん、ホンダ・シリコンバレー・ラボの杉本さんと共に登壇者として参加させてもらった。そして実は僕たちのセッションが唯一の”日本人”セッションでもあった。

と、いうのもなぜかこのイベント自体が日本ではまだイマイチ知名度が低い。日本から来ているオーディエンスの数もかなり少なかった。そして、登壇者は企業のCレベル (執行役員以上) に限られ、セッションは英語で進められるため、なかなかハードルが高くなっているのかもしれない。加えてイベント名に”Web”が入っているため、自分の会社には関係ないと思われがちでもある。

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セッションテーマは多種多様

でも実はこのイベント、すでに”Web”だけをメインのテーマとしているわけではない。むしろ、Webにあまり関係のないテーマの方が多いくらい。今回であれば、人工知能、仮想通貨、自動運転、環境問題、グローバル経済など、我々の生活を取り巻くトピックが目白押し。

スピーカーにはアル・ゴアやスティーヴン・ホーキング博士などの著名人や、国連の書記長、ポルトガルの首相、リスボンの市長、ドナルド・トランプのデジタル戦略主任、そしてヴィクトリアズシークレットのモデルや人気DJ、NASAの宇宙飛行士など各分野で活躍してる人たちが登壇している。そしてなんとAIで動くロボットまで”登壇者”として参加しているのだ。

それなのに、なぜかこのイベントは日本では知名度がまだまだ低い。おそらく”シリコンバレー”とか”最新”とか”Apple”とか”Google”などのいわゆるバズワードが入っていないのもその理由かもしれない。

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登壇者が見たイベントの裏側

今回は幸運にも登壇者として選んでいただいたこともあり、イベント自体だけではなく、スピーカー控え室、メディアカンファレンス、VIPイベント等、様々な場所に出入りすることができた。登壇者全員にはイベントの内容やポルトガルの見所が満載されたスピーカーガイドが渡される。

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空港では最新のBMWがお出迎え

リスボン空港についてまず驚いたのが、BMWのスポンサードによるスピーカー送迎サービス。事前に入力していた目的地に最新のBMWの車両で送り届けてくれる。このサービスが便利で2回も利用させてもらった。

そもそもスピーカーは影響力が大きいので、車両の写真をFacebookやインスタにアップするだけで十分なマーケティング効果が得られるだろう。日本で大きなイベントを開催する際も、日本の自動車会社がこの様な粋なサービスをぜひ行って欲しい。

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それ自体がイベントになっているスピーカー控え室

そして通されたスピーカー控え室は、下手なイベント会場よりも大きい。そこで他のスピーカーやスポンサーの方々と交流したり、メディアインタビューを受けたりすることができる。そこでは朝ごはん、ランチ、ディナーが提供され、好きな時間に出入りすることも可能。

また、控え室だけでも、Forumと呼ばれるトークセッションが4箇所で開催されている。主に政治や経済、メディアのあり方などが有識者によって語られる。こんなイベントの裏側に入れたのも非常に幸運だった。

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勝負はインナーサークルに入れるか

“Web”という言葉自体が”つながり”を表している。その点でもWeb Summitは人と人のつながりを大切にしているのだろう。特に登壇者のほとんどが有名企業のCレベルの人たちであり、投資家だけでも1,400人も一つの場所に集まっている。シリコンバレーではよく”インナーサークルに入れるかが勝負”という表現があり、これはどれだけキーパーソンと繋がっているか、の意味である。

Web Summitに参加、それもスピーカーとして参加させてもらうことで、インナーサークルに入りやすくなる。こんなチャンスは滅多にはないだろう。実際、乗り換えで立ち寄ったボストン空港のラウンジでシリコンバレーではトップクラスのVCであるTim Draperと会った。お互いの地元のシリコンバレー地域でもなかなか会うことができないのに、フライトが一緒だったりするので、この様なチャンスも多くある。

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キーワードは”オープンなつながり”

このイベントが面白いのはその”一体感”だろう。通常カンファレンスというものは参加者がそれぞれの目的を持ち、展示ブースやセッションをみる。そこから得られるものを持ち帰るだけで十分なのだが、Web Summitでは、より人と人がオープンに繋がる仕組みを提供している。オーディエンスをアリーナに集めて一気に盛り上がるのもそうだし、会場横で開催されている音楽フェス。そして各スポンサーが開催するナイトイベントが毎晩開催され、スピーカー同士や参加者たちが、肩書きやバックグラウンド抜きに盛り上がることができる。

セッションの内容自体も、ものより人や社会にフォーカスを当てているのが多くて、より実感が湧きやすい。最新テクノロジーがどうだこうだではなく、我々は今後どの様にテクノロジーを自分たちの幸せに活用するべきかを語り合うのがテーマ。やっぱりどうしても名刺交換がメインとなる日本では、この様なイベントはなかなか無いなー、と感じてしまった。

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これまでの分析よりもこれからの可能性に夢を見る

通常、カンファレンスのセッションのその多くが、今までのデータをもとに将来の展望を語ったり、各業界のエキスパートがテクノロジーをビジネスに活用するノウハウを説明してくれたりするだろう。しかしこのイベントでの多くのセッションでは、登壇者が自分たちが考えている”根拠のない未来像”を熱く語っている。

Uberのプロダクト主任は空飛ぶ車の話をするし、Google JigsawのCEOはサイバー戦争の防ぎ方を語り出す始末。5年以内に世の中の貨幣が全て仮想通貨になるって主張する事だって全然アリなのだ。重要なのはオーディエンスにより多種多様な夢を見させる事。より実践的で役立つ知識を伝授する日本の真面目なイベントと比べてもやっぱりノリが違う。

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国をあげての一大イベント

Web Summitが開催されているのはポルトガルのリスボン。観光地としては有名であるが、テクノロジー的なイメージは全くない。なのになぜここで世界最大のテクノロジーイベントが開催されているのだろうか?

理由は簡単、ポルトガルとリスボンが国と街をあげてこのイベントを誘致しているからだ。このイベント、元々はその運営会社が位置するアイルイランドのダブリンで開催されていた。その規模が大きくなるにつれ、他の都市に移動しなければならなくなった時に、真っ先に手をあげたのがリスボンだった。

リスボンとしては、その都市の未来として観光に加え、起業、スタートアップ、テクノロジーをもう一つの産業の柱として築き上げたいという強い思いがある。その意気込みは空港についた瞬間から感じることができる。そこには大きなWeb Summitのサインがあり、イミグレを抜けたところでイベントのチケット登録が可能。

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イベント会場に到着すると、その警備はなんとリスボン市警がおこなっている。そして、街のいたるところにWeb Summitのサインが掲げられ、全ての地下鉄駅と車両内にはWeb Summit会場への行き方がその期間だけ貼られている。

これだけを見ても、街が一体となってこのイベントを盛り上げようとするリスボンの気合いが伝わってくる。この辺に関しても、リスボンより何倍も都会で、グローバル都市であるはずの東京がそこまでの熱意を持っているかと聞かれるとどうしても疑問が残ってしまう。

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日本だけが置いてきぼりな感じ

さて、ここまでイベント自体のことを書いてきたが、では”日本”はどうなっているのだろうか。確かにオーディエンスの中に日本の方々はちらほらいたが、アメリカでの同様のイベントと比べるとその数は格段に少ない。おそらく知名度の低さと自分から行こうと思う人が少ないこと、そして今更”Web”がついているイベントに行くことに対して会社から経費がおりないなど、理由は様々あるだろう。

より大きな問題なのは、冒頭にも説明した通り、日本から登壇している人たちが僕たち以外に全然いないこと。まあ、我々もシリコンバレー在住のことを考えると、”日本から登壇した”ことにはならないが…。スポンサーにも日本企業の名前はない。もちろんイベント会場での日本のプレゼンスはほぼゼロに等しいのが非常に残念であった。

実は正直いうと今回日本からこのイベントに一緒に登壇していただける方を頑張って探そうとした。しかし”会社的に承認が下りない”, ”前例がない”, “英語に自信がない”といった様な理由で、なかなか登壇者を見つけることが難しかったのも事実。

それぞれに事情と理由があるのだろうが、世界の舞台に立って、多くの人とも繋がることのできる滅多にないチャンスなのに、なぜそれをしないのか。個人的には理解に苦しむ。 外から見るとこれはまるでまだ鎖国を続けているかの様なイメージすら受けてしまう。

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黄金の国に返り咲けるか?

今回初めてのポルトガルということもあり、直前の機内でポルトガルの歴史を読んだ。大航海時代、エンリケ航海王子やヴァスコ・ダ・ガマといった英雄が未知の世界を目指して船を出した。そしてその周りには彼らをサポートする人々や資金を提供する投資家、冒険をバックアップする国家の存在が大きかったという。一攫千金を成し遂げればみんなで山分けし、失敗すれば恨みっこなし。これが現代のスタートアップの原型ともされている。

その当時、ポルトガルの船乗りは黄金の国ジパングという国があることを聞き、それに憧れてこぞって船出をした。しかし、結局日本には黄金がないことがわかり一気にテンションが下がった、的なことが書いてあり、一瞬ハッとさせられた。現代でも世界中に日本に憧れている人は多い。彼らに自分が日本で育ったことを伝えると目を輝かせて質問をしてくる。本当にそこに黄金はあるのだろうか。今度こそは本物の黄金が見つかる国であってほしいと願っている。

関連記事: アジアの中心から見た日本の危うさ

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【おしらせ: 世界の舞台に立ちませんか?】

btraxでは来年Web Summit登壇していただける方を募集しています。登壇資格はイノベーションに取り組んでいる企業のCレベル職の方。ご興味のある方はtokyo@btrax.comまでお問い合わせください。

 

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

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