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動画が“Re・DESIGN”する3つのコト
2019年までに、全インターネットトラフィックの80%以上をビデオが占めるようになる。そんな予想がHubspot社によって公開された。数年前までは検討もつかなかった数字だが、ミレニアル世代やジェネレーションZ(Z世代)の生活における動画の浸透度を考えれば、決して驚くような数字ではないだろう。彼らが溺愛しているSnapchatが火を点けたSNSへの動画投稿も、今やInstagram、Twitter、Facebook、TikTokと主要SNSすべてに広がっている。
幼い時からインターネットが当たり前にある世代の人口はどんどんと大きくなり、社会へ与える影響が加速度的に大きくなることは確実である。
更に、あなたがどんな製品やサービスを提供していていようとも、遅かれ早かれ、顧客の大半が彼らのような世代になるだろう。となれば、従来の仕組みの中には彼らのやりやすい新しい形へと変えていく必要があるものが出てくることにも違和感は無い。
弊社のCEOであるBrandonは「すべて大文字のDESIGNを強いて訳すとすると仕組み作り」だと言う。つまり、人間はその時代を生きている人達にとってやりすいように仕組みの“Re・DESIGN”を繰り返してきたと言い換えることが出来るかもしれない。この記事ではその中でも、ミレニアル世代やZ世代の特徴である動画に焦点を当て、動画に取って代わられることが予想されているものをまとめた。
1. 面接を受ける
最終面接以外はSkypeで
アメリカでの就職活動において、インターネットでのビデオ通信はもはや必要不可欠である。西のカリフォルニアから東のニューヨークまで飛行機で約7時間程かかるアメリカでは、面接の為だけにオフィスへ行くことは稀であり、「最終面接は直接会って行う」ということはあっても、1次面接や2次面接はSkypeを通して行われるのが一般的だ。
書類選考のジレンマ
しかし大企業の場合、仮にSkypeであっても候補者全員と面接をするのは難しい。「書類だけの審査ではスクリーニングの質が保てないのはわかっているが、かと言って候補者全員と面接していたら日が暮れてしまう」これは大企業における人事担当者の永遠のジレンマと言えるかもしれない。
録画動画での選考
そこでApple、NIKE、IBM等の大企業を中心に採用されているのが、書面ではなく録画動画での審査である。日程調整を行う必要が無い上に、パソコン・タブレット・スマートフォンの専用アプリを使うことで時間や場所を問わず面接の評価を行うことが出来る為、Skypeよりも更に負担が少ない。
候補者は書面だけでは伝えきれない企業や仕事に対する思いを伝えることが出来、採用担当にとっては全員と面接するよりもコストを削減出来、書面だけで行うよりも質の高いスクリーニングが可能になる。まさにWin-Winの仕組みだと言えるだろう。
2. 企画書を作る
直接会って話をすることが一番のコミュニケーション手段であることに疑いは無い。しかし、それが出来ない時にどんな手段を使うのかは場面に応じて考える必要があるだろう。
書類と比べた時に、動画の方がより気持ちが伝わりやすいコミュニケーション手段であることを考えると、その特徴を活かせる場面は身近なところにもっとあるはずだ。例えば、企画書も従来の書面という形ではなく、動画の方が適している場面があるかもしれない。
時間が無いなら、小説よりも映画の方がありがたい
企画書の本来の目的とは、その新しい計画について相手に理解してもらうだけではなく、その計画を進める許可など相手にアクションをとってもらうことでないだろうか。その為には、読んだ人の心を動かすことが必須であるし、その手段としてストーリーを語ることは有効であると言える。
であれば、従来のやり方に倣って書面を使うのではなく、その場に応じた方法を考えてもいいはずだ。わかりやすさという観点から見れば、小説よりも映画の方が優れているという方も多いだろう。時間の無い中であれば尚更である。
商品説明よりもデモビデオ
実際にこの動きは特にスタートアップ企業の間で広がっている。例えば、スタートアップ企業がベンチャーキャピタル(VC)に自社のプロダクトを紹介する為にメールをする際には、長々と本文で商品説明をするよりも、短時間で要点がまとめられているデモビデオのリンクを貼付けて送るケースの方が多いという。
もちろん数字ベースでいかに計画が練られているかをアピールすることも大事である。しかしその前にすべきなのはその製品・サービスで実現される次の世界をVCに想像させ、ワクワクさせることだ。その為には、書類作成ソフトより動画編集ソフトを使いこなせる方が有利かもしれない。
3. テレビ番組・テレビCMを観る
NHKの約10倍の予算を持つNetflix
動画配信サービスである、YouTubeやHulu、Netflix等、がテレビの代わりをし始めていることは皆様もご存知だろう。この動きは特にアメリカにおいて顕著である。例えばNetflixは”Netflix and Chill”(家でいちゃいちゃする意味のスラング)という造語が頻繁に飛び交うくらい若者の生活に浸透しており、今や190カ国に9300万人もの会員を抱える。
番組の制作費が年々増してきていることもその勢いを証明する証拠だろう。
昨年のオリジナル番組に費やしたお金はトータルで約50億ドル。今年は更に約60億ドルもの資金を制作費として使用するという。これは日本円換算で約6.7兆円に相当する。日本で一番の制作費を持つNHKの17年度予算でさえも約7000億だということを考えると、制作費=面白さではないにしろ、規模の差は歴然である。
テレビCMへの影響
このテレビからインターネット動画へのシフトはテレビ局以外にも大きな影響を及ぼす。テレビCMである。Netflixの台頭により、アメリカ人1人あたりの視聴者がCMを観る時間が年間160時間も減ったという統計データが出ている。これからは従来の形に囚われることなく、顧客目線に立ったよりフレキシブルな広告の制作が求められるようになってきているのにも納得である。
録画だけではなくLive配信も
さらにここ最近、この“代替”の動きはより激しくなってきている。なぜなら主要SNSがこぞって”Live配信”に力を入れ始めたからである。かつてはインターネットで観る動画といえば、何度も繰り返し再生することの出来るものがほとんどだった。しかし今やそれだけではなく、その場限りの”Live配信”をもインターネット上で視聴することが出来る。
SNSでスポーツ中継を観る時代
テレビがLiveで放送していたものがどんどんネットでのLive配信に置き換わっている。例えば、Live配信の代表であるスポーツ中継。Facebookは先日MLB(アメリカ大リーグ)と今シーズンの20試合をライブ配信することで合意したと発表した。
これはFacebookユーザーであれば、誰でも無料で視聴することが出来る。Facebookは今年の3月にMLS(サッカーのアメリカプロリーグ)の試合を配信すると発表したばかりであることを考えると、今後スポーツの試合をSNSで観る機会はどんどん増えることになるだろう。
Facebookが示したこれからの新しいテレビの形
スポーツ観戦だけではない。アメリカではアカデミー賞やグラミー賞といったアワードは数年前から公式ホームページ上でLive配信されているし、ニュースもどんどんSNSで見れるようになってきている。その中でも、Facebookが中継したアメリカの大統領選は記憶に新しいだろう。開票中継時、赤と青に染まっていくアメリカの地図上に視聴者の喜怒哀楽を表したスタンプが何千と飛び交ったあの光景は、アメリカ人のみならず多くの人にとって衝撃的な映像であっただろう。これからの、より簡単でインタラクティブな、新しいテレビの形と言えるかもしれない。
読者の中には、TwitterやFacebookのタイムラインに流れてくる記事を読むようになった一方、新聞を読む頻度が減ったという方も多いだろう。同じことがテレビにおいても起こり始めている。もはや「うちはスポーツの試合と朝晩のニュースしかテレビは観ない」という方にも関係の無い話ではなくなってきているのだ。
まとめ
遅かれ早かれこれからの社会は、様々なところで“DESIGN”され直されることは間違い無い。もしかすると、幼稚園生の時にiPadでアニメをYouTubeを見て育ち、教科書もノートもタブレット一台で済ませ、上半身だけスーツを着てSkype面接に臨み、毎朝SNSのタイムラインでニュースを流し読みし、企画書を動画編集サイトで作るような時代になるのかもしれない。
今回ご紹介した動画が他のものを代替している動きは、社会の“Re・DESIGN”のほんの一例でしか無いだろう。
参考:
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