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  • Brandon K. Hill

    Brandon K. Hill

    CEO of btrax, Inc

    CEO of btrax, Inc - Design Mentor to Startup Weekend - Contributor to TechCrunch Japan - Guest Speaker at UC Berkeley Asia Business Conference - Guest Speaker at Social Media Week Tokyo - Guest Speaker at 500Startups Japan Day

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  • Aug 7, 2016

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日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事

以前に「シリコンバレーは何がそんなにすごいのか知ってるか? 日本とシリコンバレーを比較した場合、100倍違う事があるんだ。」という話を曽我 弘さんからお聞きした事があった。曽我さんはシリコンバレーにてDVD制作ソフトの会社を起業し、2001年にスティーブ・ジョブス率いるAppleにバイアウトした経験を持つ起業家の大先輩。

Appleのと商談の際、ジョブスはトップ同士の1対1で行なうことを条件とし、サシによる1時間程の商談の後、ジョブスはメモ帳に手書きで買収条件を記載し、数十億の買収に関する内容をまとめたという。

最終的にAppleが曽我さんの会社の買収に掛けた日数はわずか3日間だった。その体験で象徴されるジョブスの経営スタイルが下記の様に記されている。

目的を決めたらそれに向かって最短で到達するようにことを運ぶ。CEOとして自分で判断し自分で責任をとりながら一切の無駄を省いて進む。一番彼が重視しているのがスピードで、重要なビジネス判断だけをどんどん進めて、その結果には自ら責任を取るというルールでデザイン、開発、販売、ブランディングのやり方も含めて、全て自分で決めて突き進むのが「ジョブズ流」なのです。

出典元: これがスティーブ・ジョブズ直筆の商談メモ

結局何がシリコンバレーが日本の100倍なのか?

で、日本とシリコンバレーでは一体何が100倍も違うのか。それは企業が決断をする際に必要な時間だという。曽我さんによると、とある大学教授の研究結果では、シリコンバレー地域の会社と日本の会社の決断に費やした時間に関する統計を集めたところ、実にそこには100倍もの差があったという。シリコンバレーでは日本の会社よりも決断スピードが100倍も速いというのだ。

そんな大げさな、と思うかもしれない。しかし冷静に考えてみると、上記のような企業買収一つ考えてみても、日本企業が検討から条件交渉、契約書作成、締結に至るまで一年程掛けたとしても不思議ではないだろう。しかし、ジョブスは1/100の3日しか掛けなかった。そうする事によって当時は弱小のAppleでもAdobeやMicrosoftと言った強力な競合にも負けないアドバンテージを得る事が出来た。

決断スピードが速いのはAppleに限った事ではない

でもこれ、ジョブスがいたときのAppleの話だから特異なケースでしょう?と思うかもしれない。しかし、そんなこと無いらしい。1年ちょっと前に日本の某総合商社からSalesforceに転職した友人は、前職との最も大きな違いは決断とゴール達成に対するスピードだと語っていた。

例えば、Salesforceがスタートアップ企業を買収するという決断してから獲得したサービスの自社プラットフォームへのインテグレーションまでの全てのスピードが異次元に速い。実現不可能と思えるような目標を立て、チームで一丸となってその目標を達成する。そこには”検討”をする時間がこくわずかなのである。

これが日本企業だと大きな決定をするには複数のレイヤーとしっかりとした(面倒な)プロセスを経る必要がある。また、期日を守れないと責任問題になるので、アグレッシブなゴール設定がしにくい。この辺は難しい目標を達成すれば大きなボーナスが出るシリコンバレーの企業と、ミスると左遷される日本企業との企業文化の違いだろうか。

シリコンバレーでスピードが遅いのは死活問題

実は、シリコンバレー界隈ではスピードが速いのは特別凄い事ではない。むしろ企業にとっては決断のタイミングを見誤るととっては死活問題になる為、決断スピードを上げざるを得ないのだ。今の時代、物事を決めるのにじっくり検討している程の余裕はない。これは先日のVerizonに買収されたYahooに関する年表データを見ると分かりやすい。

Yahooに関する出来事:

  • 1998年: Googleから100万ドルで買ってくれとのリクエストを見送る
  • 2002年: Googleへ20億ドルで買収オファーを出すが、50億ドルだったらと言われ見送る
  • 2008年: Microsoftからの400億ドルでの買収オファーを見送る
  • 2016年: Verizonに46億ドルで買収される

これを見ればスピーディーな決断が出来なかった事がYahooを窮地に追いやった事がよくわかる。逆にスピード重視でしっかりとタイミングを掴んでいたとしたら今頃Googleを超える企業になっていたかもしれない。しかし時既に遅し。本家も爆速で進む必要があったようだ。

このようにシリコンバレーでは速い決断が出来ない事が企業を死に追いやってしまう。スピードが速いのが凄いのではなくて、速くしないと存在すら出来ないのだ。

Googleは平均で1.5週間に1社を買収

そして、今をときめくGoogleであるが、やはりその決断スピードは凄まじく速い。例えばは2014年の1年間で同社は実に35社の企業を買収している。これは平均すると1.5週間に1社のペース。約10日間の間に1つの会社がGoogleのものとなっている事になる。こうする事で新しいテクノロジーや人材、サービスの獲得、そして競合を減らす事を可能にしている。

以前にGoogleで働く友人に聞いたところによると、社内の買収チームではある一定の金額までであれば上司に相談しなくても担当者レベルで買収の決定が出来る様になっており、それぞれのディールに費やすスピードアップに対しての意識とプロセスが徹底しているという。

スピード自体が一つの戦略

実は企業にとって決断スピードが速いのはそれだけでも一つの大きな強みとなる。冒頭の例の様に、2001年当時は弱小企業であったAppleでもスピードとタイミングを味方につければ、MicrosoftやAdobeといった大手を出し抜く事も出来る。逆にスピードが遅ければYahooといった大企業も沈みかねない。スピードの速さは企業に力を与える。

スピードも速い事が強みとなるのは、企業買収だけではない。マーケットインに関しても同じ事が言える。日本企業が完璧なプロダクトを1つ出す間に、シリコンバレーの競合は20%の完成度のものを5つ出し、ヒットしたものだけを残し改善すると言われる様に、例え不完全だったとしてもリリースタイミング主導の戦略が功を奏す事も多い。

例えばGoProはシンプルな機能で無骨なデザインのプロダクトをとりあえず発売し、ユーザーを集め、その後に改良版を次々にリリースし、小型カメラの代名詞となり、上場企業となった。技術的には大した事無いプロダクトであるが,そのスピードをビジネスの一つの戦略とした。これには、“あの時うちもさっさとやっておけば良かった”と感じた日本のメーカーも少なくは無いはずである。

人材獲得の面でもスピードが重要になってくる。先日うちの会社で数名のUXデザイナーの採用面接を行なったが、ベストな候補者は面接の3日後に他の会社からのオファーを受け入れ、採用する事が出来なかった。人事担当者からは、”だからさっさと決めないとこうなりますよ”との警告をもらった。この辺では、良いと思ったらさっさと動く、が基本である。

Facebook社のオフィスにはいたるところ、”Move Fast Break Things”と書かれている。これはマーク・ザッカーバーグのモットーである”素早く行動し破壊せよ。もし、何も変えられていないのであればそれは行動が遅かったからだ” からの抽出である。Facebookの機能がころころ変わるのはこれが一つの理由かもしれない。

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アメリカ企業をいらつかせる日本企業のスピード感

日本企業と取引をしているアメリカ企業の人達によると、彼らが最もストレスに感じているのがスピードの遅さだと語る。サンフランシスコ市内の某デザイン会社のCEOは、日本企業からの問い合わせとミーティングのリクエスト自体は増えているが、実際に商談に繋がるケースの少なさと、複数に及ぶヒアリング、提案書に必要な情報量の多さ、承認プロセスの複雑さなど、案件が決まるまでに費やされる時間の多さに悩んでいると語る。

アメリカでは一般的にデザイン会社などの発注をする場合は、最初に要件定義を行なう為の”ディスカバリー”と呼ばれる期間を一つの案件として発注する。そこで、細かな用件やゴール、チーム編成、KPIなどを設定する。そうでもしないと最初の見積もり/提案書を作成するだけでも永遠時間がかかってしまうからだ。

このディスカバリーフェーズでは、大まかなプロジェクトの目的だけを設定し、2週間から1ヶ月の期間でプロジェクト提案書を作成する。しかし日本にはそのような文化がまだ根付いていないので、クライアントが承認するケースはまだ少ない。

また、米国企業が悩むのが日本独自の”納品”制度。特にデジタル化の波とリーン型プロセスが主流となって来ているアメリカ西海岸の企業にとっては、日本企業の”納品”、”検収”、”翌月末支払い”のスピード感の無さは理解出来ない。

例えば、サンフランシスコでハードウェア製品のプロトタイピングを行なうAlloyは日本で言うところの”町工場”であるが、クライアントから2週間おきに支払いを受け取る支払いタームである。プロジェクトをスタートしたら、プロダクトが納品される、されない関係無しにプロジェクトのコストを2週間ごとに割り出し、請求書を発行する。この会社はBeatsのヘッドフォンやJawbone,などを主な顧客としているが、この支払いタームを受領する日本企業はまだ無いという。

また、そもそも日本企業はプロジェクトを始めるスピードも遅い事が多い。そこまで大きく無い額の案件でも、担当者レベルでは決められず、その上長、そして場合によっては社長からの決裁が必要な場合も少なくは無い。また、年度予算の関係で来年度の案件としての検討になるなど、かなりゆったりとしたスピード感だと思われている。

しかし、今の時代、じっくり検討してスタートしたプロジェクトも、そのタイミングを逃してしまったのが理由で、始めた頃には時代が合わなくなっているケースも少なく無い。前出の様にビジネスにおけるタイミングを逃すことは命取りになる。

このあたりも、担当者に権限を振り分け、これまでやった事の無い事にも果敢に取り組み、上手くいけばラッキー、そうでなくても失敗から学び前に進む加点方式のシリコンバレーの企業の感覚と、前例を元にじっくり検討し、失敗したら責任問題になる減点方式の日本企業との差でもある。

もちろん最近では2週間の商談スピードでARM社を買収したソフトバンク/孫正義さんのケースや、”スピード!!スピード!!スピード!! 重要なのは他社が1年かかることを1ヶ月でやり遂げるスピード”を社訓の一つとして掲げている楽天社など、日本企業でもスピードを重視する企業も増えては来ている。しかし、それ自体がニュースや話題になるぐらいなので、そのような企業はまだまだ少ないのかもしれない。

実は時間をかける事はリスク回避にはならない

では、日本企業はなぜ決断が遅いのか? 一つの決断を下すのにしっかりと時間を掛け、リスクを想定し、確実なリターンを求めようとする事が一つの理由となっている。しかし、実は最近では決断に掛かる時間量と、その決断が生み出すリスクは比例している様に思われる。

例え検討にじっくりと時間を掛けてやっとのことで決断したとしても、その頃にはもう遅い。市場のニーズも、競合の状況も短期間で大きく変わっている。今日検討している内容は、数ヶ月後には全く状況が変わっていて該当しない事も多い。変化が激しい現代では決断スピードが原因でタイミングがずれてしまうのが一番大きなリスクとなってしまう。

むしろ、検討している暇があったら前に進めた方がリスクが少ない。例えそれが間違った決断であったとしても、そこから得られる情報や教訓を活かす事が出来れば、その後の財産ともなり得る。上手くいってもそうでなくても速いスピードで進める事のメリットは大きい。

これまでは時間を掛けリスクを回避、リスクを取る事で時間を短縮できたが、逆にこれからの時代は、時間をかけるとリスクが上がるであろう。重要なのはやるかやらないかを決める事。一番ダメなのは決めない事。保留。ビジネスにおいてはのらりくらりは百害あって一利無い。

企業もYOLOの時代

最近のミレニアル世代と呼ばれるアメリカの若者の間ではYOLOがキーワードとなっている。これは、”You Only Live Once” の略で、どうせ一度っきりの人生怖がらずにどんどんチャレンジしよう、という意味。もしかしたら企業にとってもYOLOがキーワードになるかもしれない。

また、アメリカで老人を対象にアンケートをとったところ、人生で最も後悔している事の第一位は”チャレンジしなかったこと”だという。検討はしたがチャレンジしないのは後の後悔に繋がる。

参考: 死ぬ前に一番後悔するのはチャレンジしなかった事

決断スピードとロードスピードは速いに超した事は無い

検討に掛ける時間が長かったり、いつまでたっても物事を進めないのは企業にとって大きなデメリットとなる。“検討中”の状態は”ロード中”のページみたいなもの。企業にもユーザーにもメリットが無いので出来るだけ短い方が良いだろう。

関連記事: 日本でイノベーションが生まれにくいと思った3つのポイント

 

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.


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btraxはサンフランシスコを拠点とし、世界の市場をターゲットにデザインソリューションで3つのサービスを提供しています。

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    グローバル人材育成から新規事業開発までイノベーションに関するノウハウとメソッドを提供
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私たちはイノベーションを創造し社会に新たな変化をもたらすことを社会的使命とし、お客様に最良のパートナーとして選ばれることを目標にこれからも挑戦し続けます。

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