デザイン会社 btrax > Freshtrax > 日本の誇り: 和食のブランドロ...
日本の誇り: 和食のブランドローカリゼーション
「和食 日本人の伝統的な食文化」が先月4日ユネスコの無形文化遺産へ正式に登録されたことはまだ耳に新しいことでしょう。この吉報は1人の日本人として非常に嬉しく誇らしいものでした。
この登録へと至ったのには、京料理を誇る京都市が京都府やNPO法人日本料理アカデミーなどと連携して働きかけ、取り組んだのもユネスコ登録への大きな推進力となったようです。
海外でも日本食はヘルシーで美味しいと高い評判を得ています。特に最近では豆腐や味噌はアメリカの大型スーパーでも簡単に手に入るようになりました。和食のユネスコ登録はますます日本食ブームに火をつけ、より日本食の “ブランディング” に効果を添える形となること間違いありません。
食べ物の「ローカライゼーション」
以前に “Western Brands, Asian Flavors” (英語記事) でケンタッキーフライドチキン (KFC) やスターバックスなどの海外のファーストフードやカフェなどのチェーン店がいかにしてアジア市場で成功したかというテーマで紹介しました。こ
れらのチェーン店が成功した最も注目したい理由の1つは、海外では目にしない、その土地にあったメニューへ「ローカライズ」したという点です。例えばKFCは中国市場向きにお米を取り入れたメニューを多く提供し、日本のスターバックスでは海外では目にしない抹茶を使ったドリンクなどを提供し、成功を収めました。
同様にして、その土地にあった食べ物のローカライゼーションは、アメリカにおいての日本食、特に “SUSHI” が大ブームになったきっかけについても同じことが言えます。「カリフォルニアロール」を皆さんも目や耳にしたことがあるでしょう。
字を見て通り、カルフォルニアで誕生し、初めて寿司を食べるアメリカ人にも抵抗がないよう、アボガド・カニかま・キュウリといった生の魚を使わずに調理されるロール寿司のことです。
その他にもエビの天ぷらが入ったロール寿司のように、アメリカではカルフォルニアロールを始めとして日本では目にすることのないアメリカナイズした寿司が絶大なる人気を得ています。
近年ではそのアメリカナイズした寿司がまるで本来の伝統的な日本食としてアメリカで親しまれつつあるのが現状です。
このように他の国の食べ物であってもその土地の人々の口に合うように変えるのが自然でもあり海外で成功を収める近道であることに間違いはないのですが、今回の「和食」のユネスコ登録は本来の味そのままを海外へ広めていくことを可能にする初めの一歩でもあるのです。
この和食という「ブランド」がより根強く海外の地でも認識されれば日本食もどきの日本食ではなく、本来の伝統的な日本食がより価値のあるものになるチャンスです。
今回のユネスコ登録にあたり日本政府は「正月や田植えなどの年中行事と密接な関わり」、「四季や地理的多様性による新鮮な山海の幸」「自然をあらわした美しい盛り付け」らを和食の特色として取り上げています。
これらの特色をみれば分かるように味付けで醤油や酒などの日本食特有の調味料、そして鰹節や昆布などの乾物を日本から仕入れることが出来れば世界中どこでも新鮮な野菜、肉、魚を使った本来の和食を世界中どこでも広めることができるのです。
海外でも本来の「和食」を広める活動
ここサンフランシスコでも本来の伝統的な和食を広めようと活動する人がいます。京都生まれ、カリフォルニア州育ちで日本人とアメリカ人のハーフであるシルバン・ミシマ・ブラケットさんはPEKOPEKOと呼ばれるケータリングサービスで本来の伝統的日本料理を提供しています。
シルバンさんはChez Panisseというバークレー、カリフォルニア州にある高級フランス料理レストランで6年働き、今はスペシャルイベントやディナーのクリエイティブディレクターを務めています。しかしながら、日本料理に惹かれたシルバンさんは日本の蕎麦屋さんで勤めた経験も生かし現在は和食のケータリングに力を注いでいるようです。
PEKOPEKOで取り扱われる食材はホームページによると地元で育てられた野菜と肉、カリフォルニア産の新鮮な魚を使用しています。日本から輸入しているのは乾物だけでその他は全部地元の食材で賄われています。
公式Facebookページを訪れるとよく分かるようにシルバンさんの提供する料理は見た目もとても美しい本来の和食の数々です。去年はおせち料理もケータリングしたようで、これからもより多くの人に日本食の魅力を伝え続けて頂きたいものです。
クックパッドも海外向けにサイト開設
また豊富なレシピの倉庫として人気のクックパッドも和食のユネスコ登録を機にWhat is “Washoku”?という英語サイトを開設しました。世界中の人に和食を知り作ってもらおうという試みです。
基本的なダシの取り方や白米の炊き方を含め25の和食料理のレシピが掲載されています。作り方や必要な食材だけでなく、その食べ物の背景なども含め和食の知識も記載されています。
また、Facebookページにも日本の食文化やその食材にまつわる豆知識が英語と日本語のバイリンガルで紹介されています。今やFacebookやTwitterを含めソーシャルメディアマーケティングで多くの集客数を獲得できる時代です。
料理といった特に身近なトピックに関してはFacebookのようなカジュアルなアプローチがより多くの人に知ってもらうのに適しているのかもしれません。
これからも日本食ブームが続くのか?
「和食」のユネスコ登録をきっかけに和食というブランドが確実に築かれつつあります。海外で伝統的な和食を広める料理人やクックパッドのようなレシピコミュニティーサイトが後押しとなって、家庭でも日本食を当たり前に作られるような身近な料理になる日が来るのもそう遠くはないかもしれません。
東京オリンピックの開催、そして「和食」のユネスコ無形文化遺産への登録も決まり、ますます文化や経済を含め日本という国全体が海外から注目される年となりそうです。
【イベント開催!】Beyond Borders: Japan Market Success for Global Companies
日本市場特有のビジネス慣習や顧客ニーズ、効果的なローカライゼーション戦略について、実際に日本進出を成功に導いたリーダーたちが、具体的な事例とノウハウを交えながら解説いたします。市場参入の準備から事業拡大まで、実践的なアドバイスと成功の鍵をお届けします。
■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
- 対面申し込み:luma
- Email(英語):sf@btrax.com
世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。