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バリュープロポジションとは?定義とキャンバスの使い方
みなさんが販売・開発されているサービス・商品について、顧客がなぜ購入するのかをしっかりと答えられるだろうか?その理由について顧客の視点にたち、深掘りできているだろうか?
サービス開発をする上で欠かせないのが、あなたの提供する価値、バリュープロポジションだ。バリュープロポジションが顧客の本質的なニーズを捉えていると、彼らに深く刺さるサービスが生まれるということになる。
一方で、バリュープロポジションという言葉を知ったばかり、重要性は認識しているけど使い方などもう少し理解を深めたい、という方も多いと思う。
そこで本記事では、サービス開発の指針となる「バリュープロポジション」とは何か、その重要性を説明し、バリュープロポジションを導き出すために使える「バリュープロポジションキャンバス」のオススメの使い方をご紹介していく。
バリュープロポジションとは何か?
バリュープロポジションとは「顧客があなたの製品を買う理由」
Investopediaの定義では、バリュープロポジションとは「顧客がある製品の購入を決めた時、企業が顧客に提供すると示した価値」と説明されている。言い換えると、「顧客があなたの製品を買う理由」のこと。
上図に示した通り、「バリュープロポジション」とは「自社が提供でき、ユーザーの望むもの」であり、「競合他社が提供していない」領域を指す。プロダクト開発の際は、ここを意識して進めていくのが理想となる。
バリュープロポジションがなぜ重要か?
では、なぜバリュープロポジションがサービス開発者にとって重要なのだろうか。その理由に、作り手と顧客の視点は違うから、という点が挙げられる。
マーケティングの担当者、エンジニア、デザイナーなどの作り手はサービス開発をするにつれ「顧客の視点に立つこと」を忘れることが多々ある。
作り手として考えて開発し続けると、自分たちから見えているものを中心に物事を捉え、決定し、作り上げてしまうことになる。しかし、最終的にそのものを使い、良し悪しを決めるのはユーザー・顧客である。だから、彼らの視点からどうであるかを考え、その視点から開発していく必要があるのだ。
下のイラストでは、一つのモノでも、あなた(作り手)と顧客からみたときに、見え方が異なっていることを表している。顧客にとってどう見えているのか、どのような価値になっているのか、改めて考え、そしてそこから問題へのアプローチをしていく必要がある。
バリュープロポジションキャンバスで、顧客と製品の関係性を理解する
では、バリュープロポジションは、どうすれば見出すことができるのだろうか?ここからは、”Value Proposition Canvas”(バリュープロポジションキャンバス)を活用して、自分たちのバリュープロポジションを明らかにしていく方法をご紹介する。
バリュープロポジションキャンバスにはテンプレートがある。このテンプレートは、顧客の視点を明らかにし、彼らの課題を解決できるようなプロダクトの開発に役立てることができるものだ。
先ほどのベン図にでてきた3要素「コンペティター(競合)」「カンパニー(自社)」「カスタマー(ユーザー)」を意識して使っていく。
ステップ別に理解するバリュープロポジションキャンバスの使い方
このテンプレート(キャンバス)の右側では「ユーザーの視点」を理解し、左側では「自社製品がユーザーの問題を解決しているか」を確認できる。こうした検証を通して、自社の製品をユーザーのニーズに合わせて、改善していくことができるのだ。
キャンバスは以下4ステップの流れて使ってみていただきたい。
STEP 1:ユーザーの視点に立つ
まず、図の右側に書かれているカスタマー(ユーザー)の要素から始める。ユーザーの持つ(あるいはユーザーの周りに存在する)それぞれの項目を埋めていく。
- 顧客の仕事:顧客の目指すゴール
※ポイント:(1) 機能的、(2) 社会的、(3) 感情的、の3つの側面から書き出していく
- サブスティテュート/コンペティター:競争相手
※ポイント: 必ず顧客の視点に立って考える
全く違う業界のサービスであったとしてその状況で顧客の視点に立てばサブスティテュート(代替品)となるものが考えられる。
- ゲイン:顧客が目標に向かうにあたってのメリットや恩恵
- ペイン:それを妨げるリスクや障害
これらの項目は、サービス開発者の仮説として埋めていくこともできるが、より深い理解を得るためにユーザーインタビュー、ケーススタディ、トレンド調査を行うのもおすすめだ。
STEP 2:自社製品の機能・特徴をあらいだす
次に、図の左、プロダクトへ移ります。プロダクト&サービスの枠に自社製品の基本的な機能や特性などをリストアップしていく。
STEP 3:ユーザーがプロダクトから得るものを明らかにする
そして、プロダクトの枠のゲインクリエーターとペインリリーバーを埋めていく。ゲインクリエーターとは顧客が「ゲイン」を感じる原因となったもの、プロダクトの長所のこと。また、ペインリリーバーとは顧客の「ペイン」を軽減できる解決策のことだ。
STEP 4:製品の利益と顧客の求めているものが一致しているか確認する
最後に、記入した「ゲインクリエーター」が顧客のために利益を生み出せているか、また「ペインリリーバー」がペインを軽減しているかをチェックしていく。
キャンバスの左右に書いたカスタマーとプロダクトの利害を確認すれば、顧客により価値を与えられる製品を作っていくことができる。さらに「バリュープロポジション」を改善のために自社プロダクトの改善をどのように行うべきかがわかってくるのだ。
バリュープロポジションキャンバスを使ってみる。例:ジムのチェーン店
バリュープロポジションキャンバスの使い方の例をご紹介する。大手ジムチェーン店のサービス開発チームが、バリュープロポジションキャンバスを使ってみた場合を想像してみていただきたい。こちらも上述したステップに沿ってみていく。
STEP 1:ユーザーの視点に立つ
まず、右側の顧客のゴールを(1) 機能的、(2) 社会的、(3) 感情的、面から埋めていく。
機能的には、「毎日ジムに通う」こと
社会的な面では、周り(社会から)「褒めてもらう」ことを求めている
感情のゴールは、「自分に自信・誇りを感じたい」
次に、顧客は何を恩恵と感じるのか、何を辛いと感じるのかを、「ゲイン」と「ペイン」にそれぞれ入れていく。
彼らの競合は、「YouTube」とした。エクササイズなどを自宅でやる場合に、実はYouTubeで動画を見る、といったことがわかったりすると、YouTubeが隠れた競合となるのだ。
STEP 2:自社製品の機能・特徴を洗い出す
プロダクト側に移ります。自社のジムチェーンにどんな特徴があるのか、基本的なものからリストアップします。ここでは、「店舗が多い」「プログラムが豊富」などを挙げた。
STEP 3:プロダクトによってユーザーが得られるものを明らかにする
顧客のゲインとペインに対して、ゲインをより促すもの(ゲインクリエーター)と、ペインを和らげるもの(ペインリリーバー)を明確にします。
「アクセスが良い」ことを求めているなら、家から近いジムというのが、それをより強調するポイントとなる。また、「ジムはキツい」というペインがあるなら「キツすぎないプログラムの提供」が回避させてくれる。
STEP 4:製品の利益と顧客の求めているものが一致しているか確認する
ゲインとゲインクリエーター、ペインとペインリリーバーが、顧客に対して価値あるか、ベネフィットがあるものになっているかを見定めていく。
このようにして、もともとはプロダクトの特徴として「プログラムが豊富であること」を挙げていましたが、顧客にとっては豊富であることよりも、「キツすぎないプログラムがあること」が価値となるというバリュープロポジションに導き出すことができるのだ。
まとめ
自社のバリュープロポジションを決定するとき「顧客が本当に必要としている価値」や「競合が提供していない価値」を検討することは欠かせない。
これを明らかにしていく1つの手段として「バリュープロポジションキャンバス」が有効になる。新規サービス開発・改善を行う企業や、新しい市場に参入する企業にとって、顧客のもつ価値観・視点を知る必要があるのは言うまでもないだろう。
当たり前に思われるかもしれませんが、サービスを作っていくうちに、企業は顧客の気持ちを理解することを忘れてしまいがちなのだ。
本記事で紹介した情報・知識をぜひみなさんのサービス開発やサービス拡大に役立てていただきたい。btraxでも、このバリュープロポジションの考え方を用いて、みなさんのイノベーション創出をグローバル規模で支援している。
バリュープロポジションについてもっと詳しく知りたい、自分たちも導入したいけどどこから始めれば良いかわからないなどご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。
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