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世界の舞台で戦う【インタビュー】 指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」の開発者、吉田卓郎氏
今回は世界を舞台に活躍している株式会社ログバーのCEOである吉田卓郎氏のインタビューを紹介する。彼は、指輪型のウェアラブルディバイスRingを開発したLogbar.IncのCEOであり世界をターゲットにプロダクトを開発、販売を行っている。
Ringは弊社btraxが主催するスタートアップのためのピッチコンテストJapanNightの第6回目(2013年開催)で準優勝した後、Kickstarterで目標額の25万ドルを一日半で達成、最終的に88万ドル以上の資金獲得に成功した。
アイディア発表の場を日本以外にすることで世界への繋がりがどんどん増えていく
ー世界をターゲットに商品を販売しているのは何故ですか?
自社のプロダクトは指輪型ウェアラブルディバイスという、今までにないものなので日本人にすぐに受け入れられることは難しいと考えました。なので、日本をターゲットとするよりも海外で話題を作ってから日本でも売れるようになればよいと思っています。
高校と大学はアメリカので教育を受けていたため、日本だけで何かをするという考えがあまりなかったです。学生時代にはカリフォルニア州に住んでおり、サンフランシスコは好きな街でよく訪れていました。
5年前からサンフランシスコで開かれているいくつかのピッチイベントに参加するようになり、そこで3回ほどピッチを行いました。その中でlogbarのアイディアを思いつき、発表したところ、イギリスとフランスから声をかけて貰い現地でプロダクトのプロモーションすることになりました。
そういったイベントでピッチすることで世界各地から声をかけられるようになり、これはいけるなと思いました。アイディア発表の場を日本以外にすることで世界への繋がりがどんどん増えていく。そう思いました。
ーRingではどのようなマーケティング施策を行っていますか?
アメリカに留学していた当初、語学力の問題で授業のプレゼンテーションに苦手意識を持っていました。語学力をカバーするためにプレゼンテーションに動画を取り入いれて、伝える工夫をしたところクラスメイトから認められるようになり、授業でよい評価を貰うことができたんです。
そのことから、非言語でイメージを伝えられることに動画のメリットを感じています。その経験が今のRingの動画制作とマーケティング施策に繋がっているんだと思います。
ーJapanNightで入賞して何か変わったことはありますか?
製品のイメージ動画がJapanNightのセミファイナルをきっかけに広まり、プロダクト開発に必要な技術と情報が自然と集まってきました。資金調達前の段階で、JapanNightのプラットフォームでプロモーションを行えたことがその後の成長に繋がったと思います。
対等な立場で現地のコニュニティーに入る
ーサンフランシスコのオフィスではどういった業務を行っていますか?
アメリカでのマーケティング、プロモーション、VC(資金調達)まわりで、特にアメリカでプロダクトを売る際に販売代理を通したセールス活動を中心に行っています。代理店との交渉はルールや契約基準が違ったため、契約を進めることに苦労しました。
初期段階では、コミュニケーションを円滑にするために日本語と英語ができる人材を採用していたんですが、販売契約の知識や地域コニュニティのネットワークが必要であったため、現在は現地でプロフェッショナルのエージェントを雇い、ほとんどの責任を彼に与えています。
現地(アメリカ・中国・ヨーロッパ)で販売を行うことにハードウェアならではの難しさがあり、現地でのコニュニティ作りや地域にそった交渉方法、コミュニケーションスキルが必要であると痛感しています。
ー現地採用でどんなことに苦労しましたか?
販売のプロフェッショナルを見つけるのが困難でした。ほしい人材を探すためには現地でのネットワーク作りが必要で、現地のコニュニティへ入るための高いレベルの英語力と、英語力に負い目を感じない精神的な強さを持つことが本当に大事だなと思いました。
ー現地の人をマネジメントするにあたり、気をつけていることはなんですか?
日本の文化を押し付けないように注意を払っています。日本には気を使う、空気を読む文化があります。日本人は優しいです。しかし、アメリカで本気でビジネスをしようと思うと、その考えは邪魔になります。どんどん自分で前に出ていき、戦おうという気持ちを強く持たなければいけません。
想像を制限しなくてもよい、そういった環境が社内にあることにわくわくしている
ーなぜ、ハードウェアを開発しようと考えたのですか?
プログラミングやWEBデザインは全てできるので、上限がある中でやるよりも、もっと上のフェーズで何かできないかと試行錯誤していました。
6年間、WEBサービスとアプリを作る仕事に従事するなかで、WEBサービスとアプリ内でやれることに限界を感じ、これ以上新しいアイディアは生まれないと思ったんです。生まれたとしても世界中で使われるものはできないという結論に至りました。
どうしようかと考えていたその時期に、新しい技術が出てきて、ものづくりができる環境が整ってきたんです。それをきっかけに、ハードウェアを中心とした他のサービス展開のことについて考えはじめました。できることの幅が広がることに魅力を感じ、ハードウェアを作りはじめました。新しいフィールドで戦おうと思ったらハードウェアしかなかったです。
ーハードウェアを開発するにあたり、一番苦労したことはなんですか?
プロダクトを開発するのは、オンライン上だけで完結するものよりもリードタイムがかかるため、時間間隔の違いに戸惑いました。データ上のバグやデザインなら数秒で変更できるものが、ハードウェアになるとデザインを変更してから商品ができるまで、1ヶ月以上の時間がかかります。その部分ですごく苦労したし、知らないことだらけだったのでたくさん勉強しました。
現在は知見を得たので期間を予想してスケジュールをたてることができるようになりました。その経験のおかげてアイディア、プロダクト、アプリを全て自分たち作れるという自信がつきました。これからどんどん新しいものを生み出せることが楽しみです。
世界で戦うサービス、プロダクトを作るために「できそうなレイヤー」ではなく「できなさそうなレイヤー」へ一歩踏み出してアイディアを考えて欲しい
ーこれから起業しようと考えている人、世界で活躍したいと考えている人、若いスタートアップのCEOに向けて一言
すぐにできそうなものを作るのではなく、できなさそうだけど、できたらすごいよね!というものを考えて、形にして欲しいと思います。日本人は批判されていることに慣れていない人が多いと思います。
アイディアを批判されても負けずに、「できなさそうなレイヤー」を考えるクセ付けをするといいと思います。そういうアイディアを一度時実現させると、自分に自信がもてるし、まわりも期待して見てくれるようになります。
【イベント開催!】Beyond Borders: Japan Market Success for Global Companies
日本市場特有のビジネス慣習や顧客ニーズ、効果的なローカライゼーション戦略について、実際に日本進出を成功に導いたリーダーたちが、具体的な事例とノウハウを交えながら解説いたします。市場参入の準備から事業拡大まで、実践的なアドバイスと成功の鍵をお届けします。
■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
- 対面申し込み:luma
- Email(英語):sf@btrax.com
世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。