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思い込みを解消して斬新なアイディアを引き出す「聞く」技術とは
AIが発展するにつれて、筆者のようなデザイナーは「手を動かす」部分が減り、「戦略」を考えることが増えていく傾向にあると考えている。
というのも、AI技術によって、ビジュアルデザインや開発が自動化されていくからだ。
もちろん、現状としてクオリティを高めていく際にはデザイナーの最終調整が必要だが、今後よりAIの精度が高まれば、必要でないケースが増えてくるのではないか。
そうなった時に、デザイナーが真価を発揮するのはアイディアを生み出す時だと筆者は考えている。つまり、他者とは違ったユニークなアイディアを発想することが求められる。
この斬新なアイディアを生み出す上で重要なことは、「他者とは違った角度で物事を見ること」であると考える。
つまり、無意識に感じているバイアスを見つけて、そのバイアスをなくすことで、独創性の高いアイディアを生み出すことができる。しかし、バイアスをなくすことはかなり難しい。というのも、そもそも自分が持つ前提や思い込みに気づきにくいからだ。
本記事では、デザインの活動に限らずビジネスの現場においても簡単に取り入れられる、思い込みを解消するための効果的なアプローチの一つ、「聞く」技術を紹介する。
バイアスや思い込みを解消する簡単な方法「聞く」
思い込みを解消する方法として、最も簡単な方法は他者に意見を求め、その意見を「聞く」ことである。
人間は自分のことを把握しているようで把握できていないものだ。
例えば、自分が映った動画を撮って見返すと、想定したものと違っていたという経験はないだろうか。このように、「自分で自分を知る」ことは案外難しい行為なのだ。
それに対して、他者の視点は自分のことを客観的に把握する助けになる。というのも、他者は自身に関する前提情報が少ないため、よりフラットに自身の情報を把握することができるからである。
これが、他者に聞くことで思い込みを解消できる簡単な仕組みである。
特に関係性が遠い人間ほど思い込みの解消度合いは大きくなる。例えば、短い期間で会っている人に比べてあまり会っていない友人や知人と再会した方が「変わった」と感じることが多いのではないだろうか。
このように、現在の自分から遠い人ほど新しいことに気づきやすいく、思い込みを解消できる可能性を秘めている。
「聞く」技術で得られる3つの発見
「聞く」技術を駆使して思い込みの解消を行うことで3つの発見が得られる。
聞く技術で得られる3つの発見
1. 新しい糸口の発見
「聞く」技術を駆使して思い込みを解消することで新しい糸口の発見をすることができる。
つまり、他者の意見や経験に耳を傾けることで、自分の視点では思いつかない、新たな解決策やインサイトを発見することができるのだ。
特にバッググラウンドが違う異業種/異文化の方に話を伺うと違った角度から物事を見つめ直すことができ、新たな発見を得られる可能性を高めることができるだろう。
「新しい糸口の発見」における聞く時のポイント
相手の言動に注意する: 人は話していることが全てではない。
そのため、言葉だけでなく、表情やボディランゲージにも注意を払い、相手の意図や感情を読み取ることで、本人が自覚していない発見をすることができる。
共感とエンパシーを示す: 相手の意見や感情に対して共感し、エンパシーを示すことで、信頼関係の構築を容易にし、より相手が自分の考えや感情を言葉にしやすい状況を作ることができる。
2. リスクの早期発見
「聞く」技術を活用して思い込みを解消することでミスやエラーを早期に発見できる。
もし、自身の思い込みや偏見に気づかずに行動してしまうと、コミュニケーションの齟齬によりミスやエラーの原因となる。
そのため、他者の意見やフィードバックを積極的に聞くことで、自身の思い込みや誤った認識を早期に発見してリスクを回避することができる。
「リスクの早期発見」における聞く時のポイント
正しい情報をクリアに伝える:「主張」「根拠」「事例」に分けて正しい情報をクリアに伝え、フィードバックをもらうことで、自分のミスやエラーを客観的に捉えることが可能となる。
あなたの行動に関わっている人を把握する:ミスやエラーはステークホルダーとの意識の違いによって生じる。そのため、あなたの行動に関わっている人を把握して積極的にコミュニケーションを取ることで、ミスやエラーを早期に発見することが可能になる。
3. 新しい価値観の発見
「聞く」技術を駆使して他者の意見や価値観に耳を傾けることで、自身の価値観をアップデートする機会が得られる。
思い込みを解消し、異なる視点や経験に敏感になることで、より包括的で開かれた価値観を持つことができるのだ。
例えば、最近筆者は「聞く」技術を用いて幸せの定義をアップデートできた。
具体的には、以前までは、努力した結果成功することをを幸せと考えていた。しかし、ビジネスメディアでとある書道家の話を聞いたことによりリフレーミングすることができた。
番組の中で彼は「成功は資本主義が生み出した一時的な幸せであり、変わりやすいものだ(色即是空)」と述べていた。
それから、幸せの価値観が変化し、日々の小さな出来事に感謝する重要性に気づくことができた。
このように「聞く」技術によって、あなたの生活が豊かになることもあるだろう。
「新しい価値観の発見」における聞く時のポイント
関心と興味を示す: 相手の話に対して関心を持ち、興味を示すことでより多くの情報や洞察を得ることが可能になる。
オープンマインドを持つ:相手の視点や背景を尊重し、新しい情報や考え方に対して受容する姿勢を持つことで、自分の固定観念にとらわれずに新しい概念を受け入れやすくなる。
まとめ
本記事では簡単なバイアスをなくす方法として「聞く」技術を活用することで得られる3つの発見とその際のポイントを整理した。
AIが発達している中で、一人で解決できる問題が増え、人と話す機会が昔より減ってきているのではないだろうか。
ぜひ、外に出てあまり合っていない友人や知人と「聞く」技術を用いて会話をしてみてほしい。そこで生まれる新たな気づきは仕事だけでなく人生を豊かにしてくれるに違いない。
Written by Ryusei Anzai, btrax Japan UI/UX Designer, Innovation Researcher
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