デザイン会社 btrax > Freshtrax > Studio O+A に学ぶ ...
Studio O+A に学ぶ 生産性を上げるオフィスデザイン4つの原則
太陽と海がきらきらと輝き、街にはおしゃれなカフェが多く立ち並ぶ街、サンフランシスコ。そんな街のオフィスで仕事をすることを夢見る人も多いのではないだろうか。最近では、有名デザイナーに委託し、おしゃれでクリエイティブなオフィスを持つことがトレンドとなっている。
最近Facebook、Microsoft、SquareやEvernoteなどの多くの企業がオフィスデザインを依頼し、注目を集めているのが空間オフィスデザイン会社 Studio O+A。今回は彼らにインタビューを行いその意見も参考に、生産性を上げるオフィスデザインについて考えていく。
私は、オフィスが給料をもらうために拘束されるのではなく、第二の家のような場所になればいいと思う。社員にとって快適なオフィスとは何だろうか。おしゃれで、すてきなオフィスで働ければ、社員のモチベーションがあがるのではないだろうか。
アメリカの企業がオフィスデザインにこだわる理由
カルチャー生成のためのオフィス
デザイン会社だけがおしゃれなオフィスを持つ。そんな考え方は時代遅れ。最近では世間に対する企業のイメージがブランド戦略の鍵を握っている。また、オフィスに企業イメージを取り入れることでより企業にとって適切な人材獲得を期待できるのだ。
- ブランドイメージ向上
- 適切な人材確保
オフィススペースと従業員満足度の関係
また、オフィスにこだわる理由は社外への“アピール”のみではなく、社員にも大きく影響しているからである。
アメリカでは昔は「お客様」向けのオフィス作りをしていたが、今では「従業員満足度」に重視したものへと変化している。例えば、オフィスのレイアウトを変えるだけで、無駄な移動時間が短縮され、ストレスを軽減できる。
- 従業員満足度アップ
- 無駄な移動時間短縮
- 社員のイライラ軽減
リフレッシュスペースを設置することで得られる効果
オフィスデザインのメリットは実際に働くスペースだけではなく、リフレッシュスペースからも生まれる。
リラックスして心身ともに切り替える場であるとともに、そこは最高のコミュニケーションの場でもある。また、リフレッシュしたときにこそ、ぽっと新しいアイディアが浮かぶものではないだろうか。
- リラックス&気持ちの切り替え
- コミュニケーション促進
- アイディアが生み出される
それでは上記のメリットを生み出すための4つのポイントを考えてみよう。
- 企業カルチャーを反映させる
- ワークスタイルに合ったオフィスレイアウト
- リフレッシュスペースを活かす
- コミュニケーションを促す空間作り
1. 企業カルチャーを反映させる
○●オフィスは会社の“顔”●○
オフィスはお客様を受け入れる企業の”顔”である。ブランドを言葉や文章で説明するよりも、視覚的に“魅せる” 方がより効果的である。つまり「百聞は一見に如かず」。またブランドらしさを取り入れたオフィスにより、優秀な人材ではなく、その企業に適切な人材を確保できるのである。
オフィスは企業を選ぶ際に最も重要な要因のひとつではないだろうか。入社後、1日の大半を過ごす場所になるため、誰もが快適で”自分のスタイルに合った”オフィスで働きたいと思うのは当然だろう。つまり、ブランドイメージをオフィスに取り入れることで、より適切な人材が集まる可能性が高まるのである。
○●一体感を生み出すオフィス●○
また外部へのイメージ効果だけではなく、自社のブランドを意識したオフィスは、社員への企業イメージと方向性を浸透させることもできる。自社のブランドカラーやロゴを意識したオフィス環境で働くことで、社員の「企業の一員であるという一体感」を深め、知的生産性の向上が期待できるのだ。
Facebookでは単にロゴを貼っただけではなく、ハッカー向け企業カルチャーを反映するように“Hackers gonna hack”や“Move fast and break fast” などいたるところにハッカー向けの標語が書いてあるなど、社風や働き方に合ったオフィスとなっている。
2. ワークスタイルに合わせたオフィスレイアウト
今や企業での働き方は多様化し、まさに“十人十色”。何十年も前の働き方に合わせたオフィスでは効率が下がるのは当たり前。今の企業の働き方に合わせたオフィスレイアウトを一度考え直してみてはいかがだろうか。
以下の3STEPで「コンセプト考慮」「動線」と「ゾーニング計画」をおさえれば、社員にとってより快適で、さらに生産性も上がるオフィス作り。オフィスのリフォームはコストや手間ではなく、投資ではないだろうか。
STEP 1 ★コンセプト考慮
オフィスを新しくするときにはまずコンセプトを考える。自社のワークスタイルにあったものはどのようなものなのか。自社のオフィスは何を目的としたものなのかを考える。
例えば、エンジニア主体の企業であれば個人で集中スペースが必要だろうし、常にチームで働くような企業であれば、コミュニケーションを促進するようなオフィスが適切ではないだろうか。また、「年齢や地位に関係なくみんなで働けるオフィス」や「リラックスして働けるオフィス」など社員が何をオフィスに求めているかを事前に調査する必要もある。
STEP 2 ★ゾーニング計画
ゾーニング計画とはオフィス内にある様々な機能スペースを、オフィス全体に割り当てることを言う。オフィスに会議室や一般執務スペースなど、様々なスペースをその役割や、ほかのスペースとの関連性を考慮して配置する。
STEP3 ★「導線」整理でストレス解消
導線とは人の流れのことであるが、狭いオフィスであってもポイントを押さえた導線づくりをするだけで、イスを何度もひいてイライラすることは少なくなるだろう。ここで押さえるのは以下の3つ。
①メインの通路は1.2m
②壁と社員の間は1.4m
③デスクとデスクの間は約1.8m
3. リフレッシュスペースを活かす
リフレッシュスペースを設けるのは、企業が社員を大事にしているという証。社員のためにもそんな空間を作ってみてはどうだろうか。 リフレッシュスペースの持つ大きな役割は3つ「ひらめきの場」「情報収集の場」「リラックスの場である」
リフレッシュスペースはサボリではなく、ひらめきの場
“喧噪から離れて脳がリラックスした状態のときに想像力は働き、今まで思いつかなかったアイデアが生まれる” と Microsoft の Internet Explorerチームで働いていたScott Burkun氏が語るように、手が離せないほど仕事があるからこそ休息は必要なのではないだろうか。
特にサンフランシスコ周辺の会社は性善説に基づき、スタッフが自主的にくつろぐスペースが多く設けられている。これにより、スタッフも会社から信用されている気持ちになり、より企業ロイヤリティが高まる。
人が集まる=情報が集まる
また、リラックススペースは絶好の集いの場である。人が集まり、会話をすることで情報が集まる。さらには新しいアイディアが生まれてゆく。
リフレッシュスペースただの休憩場所ではなく、アイディアを生み出す貴重なスペースなのである。会社によってはよりスタッフ同士のコミニュケーションを促進するためにビリヤード台や卓球台などを設置するケースも少なくない。
会社でお昼寝は常識?集中力アップ
日本ではサボリと見られがちなお昼寝は、アメリカではPower-nap( nap=昼寝)として知られ、その効果が実証されてる。15分程度の短いお昼寝をすることで、頭がリフレッシュし仕事の生産性を上げることができる。
Squareには“避難所”と呼ばれるスペースがある。ここはリラックスするもよし、会議に使うのもよしといった機能的なスペースである。またこのデザインはまさに社名通りSquare(四角形)である。
あなたの会社にもほっと一息つくリフレッシュスペースを置いてみるのはどうだろうか。
4. コミュニケーションを促す空間作り
今はオフィスは黙々と単純作業をする「作業場」ではなくなっている。確かに技術の進歩により、Skypeや会議電話などオンラインベースでもコミュニケーションは可能であるが、それでもそれを動かすのは私たち人間である。よい人間関係を築けなければ、生産性の高い仕事どころか出勤すら憂鬱であろう。
そこで注目されているのが face-to-faceのコミュニケーションを促す職場作りである。個人の机を持たない制度を利用したり、社内にカフェを置くなど工夫は様々であるが、有効な情報を会社内できちんと共有することが業績、生産性に直接影響する。
Twitter社などは、社員向けのカフェにてスタッフが好きな時間にビールが飲めるようになっている。これからの企業はコミュニケーションにもっと重点を置くべきではないだろうか。
Evernoteでは事業拡大に伴い、2012年より新しいオフィスに引っ越しをした。元々銀行が所有していたビルを改装し、フロアの中央に2階と3階を結ぶ大きな階段を設置。
そしてキッチンの場所とリラックススペースを敢えて別のフロアにおくことで、よりスタッフ間のコミニュケーションの促進を目指している。写真からもわかるようにオープンでよりコミュニケーションの取りやすいオフィスとなった。
【btrax】 社員の声がどこでも聞こえるオフィス
btrax社でも2013年の中旬に大々的にオフィスのリニューアルを行った。よりスタッフ同士のコラボレーションを生み出すのが目的。オフィス内のパーティションを取り払い、よりオープンでコミュニケーションの取りやすいオフィスへと改装した。そして壁にアイディアペイントという特殊なペンキを塗り、壁をホワイトボードとして利用可能にした。これまではプライバシー重視のレイアウトでとても静かな雰囲気のオフィスであったが、オープンスペースに変更された現在ではオフィスのどこにいても、社員の声が聞こえてくる。
btrax オフィス改装前
↓
btrax オフィス改装後
以前から勤務している社員の声によると、障壁がなくなったことによるメリットは、物理的にコミュニケーションが取りやすくなったこと。また他人が自分に関わっている仕事について話している声が聞こえると、すぐに会話に参加したり、訂正したりできることなども大きな利点である。さらに、誰がオフィスにいているかが一目で分かることも仕事をする上では大切であるということが分かった。
このようにオープンなスペースはコミュニケーションを促し、お互いのコミュニケーションから生まれるアイディアも多く、このBtrax改装は大成功であったといえる。
★ おわりに
オフィスデザインと生産性は深く関係しているが、この方法で必ず生産性が上がるという答えは存在しない。各企業にはそれぞれ独自の企業カルチャーがあり、それに合わせたオフィスがその企業にとってのベストなオフィス。
企業が社員のためにリフレッシュスペースを作らなければいけないという決まりもない。しかし、リフレッシュスペースは毎日必死で働く社員への思いやりのようなものではないだろうか。
1日の大半を過ごすオフィスが、給料をもらうための”作業場”ではなく、”第二の家”のように快適で“仕事が好き”と思えるような空間になればいいなと私は願う。
今回の記事を書くにあたりStudio O+AのチーフデザイナーDenise Cherryさんにお話を伺った。その中での彼女のオフィスデザインに対しての熱い思い、オフィスを作る側からのプロフェッショナルな意見を聞くことができた。インタビュー記事はこちらから。
筆者: Akane Sako
【イベント開催!】Beyond Borders: Japan Market Success for Global Companies
日本市場特有のビジネス慣習や顧客ニーズ、効果的なローカライゼーション戦略について、実際に日本進出を成功に導いたリーダーたちが、具体的な事例とノウハウを交えながら解説いたします。市場参入の準備から事業拡大まで、実践的なアドバイスと成功の鍵をお届けします。
■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
- 対面申し込み:luma
- Email(英語):sf@btrax.com
世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。