デザイン会社 btrax > Freshtrax > 舞台裏から見たJapanNig...
舞台裏から見たJapanNightⅦ Finals
11月5日に、第7回JapanNightの決勝がサンフランシスコのAutomattic Loungeで無事開催された。オーディエンスの数、会場の大きさ、出場チームのレベル、どの要素をとっても過去最大規模。そしてサンフランシスコという起業家の聖地で、日本のプロダクトが450名を超えるオーディエンスを魅了した。そんなJapanNightⅦ Finalsの舞台裏から振り返る。
理想の会場を獲得 – Automattic Lounge –
これだけ大きなイベントを開催する上で、間違いなく必要不可欠だったもの、それは最大規模のイベント会場。いくらイベントが毎日開催されているサンフランシスコといえど、400人を超えるオーディエンスが簡単に入る会場を見つけることは簡単ではないはずだった。
しかし、そんな会場になったのはサンフランシスコで最もイケてるオフィスを持つうちの1つAutomattic。ひょんなきっかけからWordpressなどのサービスを運営するAutomatticのHQを使わせていただけることになり、JapanNight開催にあたり幸先の良いスタートを切る。ちなみにAutomattic Loungeのオフィスはとても洗練されていて、様々なメディアからお洒落なオフィスとして紹介されるほど。
開催2日前 – 現地の投資家による怒濤のピッチレッスン –
現地の投資家のご協力をいただき、出場チームへピッチレッスンを行った。どのチームも、セミファイナルのときと比べて圧倒的にプレゼンが上手くなっていたように個人的に感じたのが、現地の投資家の目は予想以上に鋭い。ウィークポイントを鋭く指摘し、厳しく、かつ的確なアドバイスを全ての出場チームがいただいていた。
それによって火がついたのかほとんどのチームがピッチに使うスライドを変更、そしてプレゼンの練習を必死に行っていた。出場チームの1つ、Akerunの登壇者に至っては、プレゼンを練習する場所を貸して欲しいと個人的に連絡をいただき、btraxのオフィスへ2日連続やってきては、余っていた個室を借りて練習していたほど。
開催前日 – 米国発スタートアップとのピッチバトル –
JapanNightのプレイベントして昨年に引き続き行われた、シリコンバレーの著名VCファーム、DFJ/Draper Nexus主催でアメリカ発と日本発スタートアップのピッチバトル。
日本のスタートアップはプレゼン慣れしている米国発のスタートアップに負けず劣らずのピッチを行い、惜しくも総合優勝を逃しはしたもののKaizen Platformはマーケット分野で同率1位、またAkerunはDraper Nexusの代表であるTim Draperによる特別賞を受賞。14名の審査員、150名のオーディエンスを前に、プレイベントとは思えないほどの盛り上がりを見せ、JapanNight Finalへ向けた全ての準備が整う。
そしてJapanNight Final当日を迎える…
チケットが完売、来たくても入れない人が続出
東京で開催されたセミファイナルでもチケットは完売、300人以上に訪れていただけたのだが、ファイナルは450人以上のオーディエンスが集まるほど。本来、400人までしか入らない会場であったが、前日には既にチケットが売切れチケットをまだ購入できていない人からメールや電話で問い合わせが殺到。
急遽、会場のキャパシティぎりぎりまでチケットの枚数を増やし、出来るだけ多くの人が来れるように心がけたが、それでもチケットが購入出来なかった人がいたほどの大盛況となる。
btrax代表がスマートウォッチアプリを開発・披露
当社btraxではウェアラブルの未来に注目しており、サンフランシスコオフィスにてAndroidのスマートウォッチ「moto360」を入手し、UXの検証と自社アプリの企画・開発を行っている。そこでJapanNightの決勝のために専用アプリを試験的に開発し弊社CEOが450人の観衆の前で披露
。
壇上から”OK Google, Start JapanNight”と時計に呼びかける事で、アプリを起動。その後出場チームのリストを画面に順に表示していく。シンプルなアプリではあったが、注目されている新たなウェアラブルデバイスを用いての発表ということもあり、オーディエンスからの反応は良い。
東京予選6位通過だったFOVEが優勝
世界初の視線追跡型ヘッドマウントディスプレイ、”FOVE”。ピッチでは実際にアシスタントがプロットタイプを着用し、目の動きでシューティングゲームなどを行うデモを披露。実際にゲームをリアルタイムで体験しているかのような演出で会場をざわつかせる。
そしてQ&Aでは、ゲーム分野だけでなく、体を動かすことが出来ない患者が目を動かすことでコミュニケーションを可能にする医療分野での活用法や、今ではネットショッピングという2Dの買い物が主流になってきているが今後はVR空間で3Dの買い物が行えるようになることなど、FOVEを用いた将来の展望を熱く語り、審査員を魅了。見事優勝を勝ち取った。
2位はAgIC, 3位はSansan
紙とペンで簡単に電子回路を作る事が出来るAgiC。優勝したセミファイナルに引き続き、熱のこもったプレゼンでオーディエンスを惹き込み、、実際に動いている電子回路を審査員に渡して楽しませていた2連続優勝には惜しくもならなかったが、準優勝を手にした。
3位は名刺をスキャンするだけでオペレータの手入力でほぼ100%正確にデータ化し、クラウド上で名刺整理が行えるSansan。ジェスチャーを大きく使ったエネルギッシュなプレゼンでオーディエンスや審査員を湧かせた。
また卓越したプレゼンスキルで「家や自動車、写真や動画、いろいろなモノがシェアされる時代になった、次にシェアされるべきは名刺ではないのか。」と熱弁し、会場からの大きな拍手を受けながら最高のプレゼンを締めくくった。
JapanNightの開催を終えて
1000人規模のイベントを開催するということ
正直、実際にイベント当日に至るまで、様々な苦労や焦りがあったのもまた事実である。開催回数を増すごとに、規模、イベント自体のクオリティ、周囲からの期待が上がってきていた。それらは大きな重圧でもあったが、ここまで大きなイベントを、
本気で世界へチャレンジしている日本のスタートアップのために開催できたことは日本企業の海外展開を応援するbtraxにとって計り知れないほどの喜びであった。
イベントプロデューサーのAyaka MatsuiはJapanNightをこう振り返る。
JapanNight東京予選からSF決勝戦まで、終始気を緩めることが許されませんでした。日本から遥々サンフランシスコまで挑戦に挑んできたスタートアップの方々が、各々ビジネスにおける熱い想いをぶつけ合えるような最高のピッチができるよう、私たちはその勝負の土壌を作るというミッションを完璧に追求しようとしていました。
常に細々なチャレンジが絶えませんでしたが、2大イベントを大盛況のうちに終わらせることができたという達成感は格別です。最後の最後に気が緩み、成し遂げた達成感と嬉しさで涙ぐんだほどでした。
日本企業が秘める海外への可能性
JapanNightは2010年に第1回目を開催して以来、今回で7回目を迎えた。初回開催からの4年間、スタートアップを取りまく環境は世界中で大きく移り変わっている。最近では特に日本国内でもスタートアップが注目されるようになってきており、決してシリコンバレーだけが世界を変えるスタートアップが生まれ続ける聖地ではなくなってきているかもしれない。
やはり、こうやって日本の素晴らしいプロダクトがシリコンバレーの投資家をわくわくさせている様子を目の当たりにすると、日本のベンチャーに大きな可能性を感じられずにはいられなかった。
イベント終了後、btrax代表のBrandon Hillは日本のサービス、プロダクトの海外進出についてこう語った。
最近のハードウェアやIoT関連の産業が活性化してくるに連れて、日本が本来得意であったもの作りにおける品質の高さが世界でも再度評価される時代になって来たと考えている。
しかし、その一方でサービス全体のデザインやプレゼンテーション方法においては、アメリカの企業が非常に得意としている部分であるので、プロダクトの品質に加え、見せ方や利用シーンの提案等、全体的なブランディング面を強化する事でグローバルに注目されるスタートアップが今後日本から輩出される事に期待している。btraxとしても、出来る限りのサポートを通して日本産業の世界での成功に導きたいと思っている。
最後になりますが、イベントへ向けて準備をしてきたbtraxチーム、協力いただいたスポンサー様、そして英語でのプレゼンテーションに挑んだ参加チームを含む関係者方全員に感謝申し上げます。ありがとうございました。次回、2015年には第8回JapanNightをより規模を拡大させて行う予定です!どうぞ楽しみにお待ちください。
CES 2025の革新を振り返りませんか?
私たちは1月11日(土)、btrax SFオフィスで「CES 2025 報告会: After CES Party」を開催します!当日は、デザインリーダーたちがCES 2025での注目トピックスや最新トレンドを共有します。ネットワーキングや意見交換の場としても最適です!