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保険業界の常識を変える最新インシュアテックスタートアップ3選
生命保険や自動車保険など、保険は我々にとってとても身近なものであると同時に、検討から実際に使うまでのプロセスは複雑で、頭を抱えさせるものでもある。
保険はお金がかかるものだからこそ慎重に選びたいが、複雑であり、選んだ後もプランや支払いについて理解しきれず、損をした気分になる読者の方も多いのではないだろうか。
そんな悩みを解決するのが、インシュアテックのスタートアップだ。インシュアテックとはInsurance(保険)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、現在テクノロジーを活用した保険事業を行うインシュアテックスタートアップが増加している。
(グラフはFinTech Globalより)
上のグラフをみてわかる通り、インシュアテックへの投資額は2014年には約5億ドルだったものの、次の4年で約6倍ほど跳ね上がっている。合計すると、この4年間のうちにインシュアテック分野への投資は、8,500億円、600件の投資取引があった。
さらに今年2019年の9月には、ラスベガスでInsure Tech Connect(ICT)という世界最大級のインシュアテックに特化したトレードショーも行われるなど、インシュアテックは今後注目の分野とされている。
そこで今回は、数あるインシュアテックのスタートアップの中で、アメリカにおける特筆すべき成功事例を3つ紹介する。
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1. 家を借りる際の保証人を請け負うサービス:The Guarantors
アメリカ、ニューヨーク発のスタートアップThe Guarantorsは、家を借りる際に必要な保証人を請け負うサービスを提供している。これは、特に家を借りるのが難しいとされるニューヨークを始め、東海岸の州を中心に展開をしており、部屋を借りる手続きの負担を圧倒的に減らすことができる画期的なサービスだ。
(写真はThe Guarantorsのホームページから)
実際、アメリカの都市部で家を借りるのはそう簡単ではない。多くの場合、家を借りるのに保証人が必要となるほか、保証人になる条件が非常に厳しい。保証人の条件として、保証人が自分自身の生活を補えるほどの資金を持ち合わせていることが大前提となる。
それに加え、保証人は賃借人の家賃も賄えることを証明する必要があり、それには賃借人の1ヶ月の家賃の数十倍もの給与があることが条件となる。
このような厳しい条件があるため、アメリカには保証人の候補が見つからない賃借人が数多く存在する。The Guarantorsは、そんな賃借人のために保証人の代わりを請け負うサービスを提供している。The Guarantorsが賃借人に保証人を紹介するのではなく、The Guarantors自体が法的な保証人になるというサービスだ。
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簡単でわかりやすい手続きと、ユーザーが損をしない仕組み作り
保証人を依頼すると聞くと、面倒な手続きや多額のコストがかかるのではないかと思う方も多いだろう。しかしながらThe Guarantorsは、簡潔な手続きとわかりやすい価格設定という点で人気を得ている。
The Guarantorsに保証人になってもらうために必要な手続きは、The Guarantorsにユーザー登録し、ウェブサイト上でわずか5分ほどのアンケートに答え、必要書類を提出するだけだ。
The Guarantorsが賃貸人の保証人となることを許可し、その証明書が発行されたら、希望する物件の大家との契約を行う、といった簡単な流れで物件を借りることができる。また、保険料は契約した物件の月額の4~10%(賃借人の財務状況によって割合が異なる)を請求するのみで、価格設定もわかりやすい。
2. 住居の故障を直すサブスクリプションサービス:Super
Superは、住宅の様々な故障を直す保険のサブスクリプションサービスで、現在3千万円の投資を受けているスタートアップだ。Superは、水道工事や家具の組み立て、冷暖房の修理等、家に関する様々な故障の修理業者を電話一本ですぐに手配してくれる。
Superの利点は、修理箇所に応じて毎回別の業者に頼む必要がないことだ。カスタマーは家のどこかに故障を見つけたら、電話もしくはアプリ内のチャットにてSuperに連絡し、修理業者の手配を依頼することができる。
Superのサブスクリプションには3つのプランがあり、月に一定額払うことで金額相応の手当が受けられるのが特徴だ。一番ベーシックなプランは毎月20ドルで、冷蔵庫や洗濯機の故障などをカバーしている。最も高額な月90ドルのプランだと、家のほとんどの家電の修理が保証される他、年間に業者をを依頼する回数の上限がないなどといった優待がある。
(写真はSuperのホームページより)
サブスクリプションの手軽さが人気の理由
本来、住宅における問題が起こった時には、数ある修理業者の中から評判のいい業者を探したり、万が一業者に問題があった際は連絡し直したりと、面倒なプロセスがつきまとう。しかし、Superのサブスクリプションサービスに加入していれば、全てSuperのプラットフォーム上でプロセスが解決し、毎回支払う必要もないのだ。
3. 簡単な質問に答えるだけでオススメの保険会社を紹介:The Zebra
自動車保険を選ぶ際、値段や保証内容を参考に、数あるサービスの中でどれが自分にとって最適かを決める必要がある。このプロセスを手軽に、かつオンラインで提供するのが、The Zebraというサービスだ。
The Zebraはテキサス州オースティン発のスタートアップで、2012年に設立された。6300万円の投資を受けており、200以上の保険会社からユーザーに最適な自動車保険会社をレコメンドするサービスを提供している。
ユーザーは自動車保険を選ぶにあたって、ユーザーの運転記録、信用情報、保険歴、自動車の利用状況、さらには教育レベル、配偶者の有無や年齢などの個人情報をアンケート形式で記入する。The Zebraはその情報に基づいてユーザーの「保険スコア」を提示し、そのスコアを参考にユーザーにぴったりの保険会社を提示してくれるのだ。
(The Zebraの提供する保険スコア。写真はThe Zebraのホームページから)
鍵となるのは保険の「透明性」
The Zebraは独自のアルゴリズムを用いてユーザーの保険スコアを算出しているが、このような保険会社が加入者に対してつけるスコアは本来、保険業界に携わるものだけが知ることのできる情報であり、これまでユーザーにスコアが開示することはなかった。
The Zebraのスコア開示によって、ユーザーは自分のスコアを実際に確認し、それに基づいた最適なオプションを知ることができる。これにより最適な選択に対する納得感が得られ、情報不足による必要のない保証を組み込まれてしまう心配を減らすことができる。
また、The Zebraは保険のスコアを上げるための予備知識なども提供している。スコアが上がると、より安く保険に加入できるようになるのだ。このような透明性への取り組みがユーザーの信頼を得る鍵と言えるだろう。
参考記事:走った分だけ払う自動車保険 – Metromile (メトロマイル) を試してみた
まとめ
今回例に挙げたスタートアップの提供するサービスは、従来の保険サービスを超えて、ユーザー視点が取り入れられているところに着目すべきだ。ただテクノロジーを導入するだけでなく、ユーザーを中心に考えられた、わかりやすく、最適なオプションを提供する仕組み作りや、保険業界の透明性への取り組みなどを行なっている。
インシュアテックスタートアップの成功は、そのビジネスモデルの特異性やテクノロジーの目新しさだけでは成り立たない。やはりユーザーの心を掴むのは、どの分野でも一貫して、ユーザーを中心に設計されたサービスなのだ。
ユーザーが「欲しい」と言葉にしていること以上の価値を与える、そんなスタートアップが今後も成長することが今後も期待できるだろう。
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