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アイディエーションのプロセスと気をつけるべき8つのポイント
「どうしたらイノベーションを起こせるんですか?」このような質問を受けることが多々ある。
しかしイノベーションというものは一朝一夕で起こせるものでもなければある日突然脳裏に閃くものでもない。
現在シリコンバレーで成功しているスタートアップはしっかりとユーザーのニーズや市場規模、プロダクトの価値を見極めながら成功を手にしているのである。ではそもそもなぜイノベーションが重要なのだろうか?
今回の記事は弊社CEOが第7回btraxオンラインセミナー「アイディエーションとイバリエーション」にて話した内容である。
イノベーションの重要性
Innovation distinguishes between a leader and a follower
イノベーションを起こしたものが業界の先駆者となり、それ以外は後追いになるだろう。- David Ogilvy
これは大手広告代理店Ogilvy & Matherの創設者David Ogilvyの言葉を借りると、イノベーションを最初に起こした者こそが先駆者になりその業界や市場を引っ張っていく。
簡単な例としてiPhoneを取り上げると、Apple創業者であるスティーブ・ジョブスは電話とコンピュータ、音楽プレーヤーを組み合わせた破壊的イノベーションによってiPhoneを作り上げ、初代iPhone発売時から現在まで、Androidの追撃に遭いながらも業界の先駆者として不動の位置を確立している。
IDEOのイノベーション創出メソッド
以下の図はサンフランシスコ有数のデザインコンサルティング会社であるIDEOが提唱するメソッドである。
このメソッドによると、イノベーションはDesirability(有用性)、Viabilty(ビジネスの妥当性)、Feasibility(技術済的実現性)の3つが交わる点で実現する。
日本の会社が新規事業を始める際に多く見られがちなのは既存のビジネス範囲を中心に実現しやすいものばかりを考えてしまい、本当にその商品が有用であるかどうかを見失ってしまうことがある。
そうした有用性を見失わないためにもユーザー中心にサービス開発をリーン型に進めるデザイン思考が時に必要ではないかと考えられている。
btraxのメソッド
一方でIDEOと同様にサンフランシスコに本社を持つbtraxではデザイン (Design)、テクノロジー (Technology)、ビジネスモデル (Business) の3つの柱からイノベーションが生まれると考えており、そのメソッドを元に新しいビジネスモデル、プロダクト、そしてサービス開発を行っている。
具体的には、弊社btraxが提供するプログラムでは、サンフランシスコとシリコンバレー流のイノベーションメソッドを通じて新たなビジネスモデルや、サービスモデル、プロダクトを作り出すプログラムを提供している。
具体的には、リーンスタートアップ、サービスデザイン、ユーザー中心デザインといった概念を元に、イノベーションを生み出すべくサービスを提供している。
そんなイノベーションを造り出す上で、ファーストステップとも言えるのはアイディア出しのプロセス、アイディエーション。今回はその際に用いられるシリコンバレー的なアイディエーションの方法について紹介する。
優れたアイディアを生み出すアイディエーションプロセス
新たなプロダクトやサービスをアイディエーションする際に考えたいことは、自分が未来に住んでいると仮定して、その中で自分が不便に思うことや、こうなればもっと便利になると思うことから逆算してサービスやプロダクトを考えてみることだ。
Live in the future, then build what’s missing. 未来に住んでいることをを想像して、そこに足りないものを創る。 by Paul Graham(Y Combinatorの創設者)
アイディエーションの際に重要な3つのポイント
アイディエーションを行う上で以下の3つの要素が重要となってくる。
1. User Needs – ユーザーのニーズを考える
実際にユーザーが何を欲しているかを探ったり、自分が暮らしているときに不便だなと思うことからアイディアを出していくことである。
例えばUberは現在地から自分が選択した場所まで車に乗せてくれるTaxiの進化版のような位置づけとされているが、それはユーザーニーズである『安い・早い・スマート』の3点を網羅しているため多くのユーザーに受けいられている。
2. Trending Service Model − トレンドになっているサービスモデルを参考に
一から全てを考えるよりも、時に現在流行しているサービスや受けいられているサービスを基に考えることで良いアイディアが浮かぶことも少なくない。
最近流行しているサービスを参考にしたビジネスが多く世の中に出ているのをご存知だろうか。例えば未上場にして時価総額が5兆円を超えるUberといったサービスを参考にしたサービスが最近増えてきている。
SpoonRocketというランチやディナーを配達してくれるサービスがあるが、これはUberのサービスモデルを参考にして作られたものでメニューは週替りで値段は大体$7〜10。
ランチは10時〜15時までディナーは17〜22時までの間であれば会社や自宅前に運んでもらえる。
Uberのようにランチボックスを沢山積んだ車が配達範囲内を周遊していて、配達のリクエストが来るとリクエストされた場所まで届けるといったビジネスモデルである。
3. Market Size − マーケットサイズから考える
マーケット規模がある程度あるものからアイディアを考えることも一つのアイディエーションの要素になる。
Uberはサービス開始当初は高級車(リムジン)を時間割で乗れるといったサービスを展開をしていたが、マーケットサイズからサービスを改めて考え、市場規模が段違いに大きいタクシーマーケットにシフトしていった結果、マーケット規模を10倍〜20倍に増やすことに成功した。
また、マーケットサイズを考える際は自国の規模だけでなく国外へ展開した際にはどのように作用するのか等を検討する必要がある。
この点でUberは今や55カ国250以上の都市でサービスを展開し、仮に全ての国で成功しなかったとしてもマーケットサイズは計り知れない大きさとなっている。
一方でアイディエーションを行う上で、気をつけなければならないことは意外と多い。仮に、素晴らしいアイディアが生まれたとしても以下に当てはまる場合には辞めた方が良い可能性すら否めない。
アイディエーションの際に気をつけるべき8つのポイント
1. 実際に実現ができるか見込みがあるかどうか
例えばタイムマシンを開発したらと考えたとする。実際にニーズがあって、沢山の人が乗ってみたいというマーケット規模もあるだろう。
しかし、現在の技術で実際に開発ができるかどうかを考えてみると難しいことが沢山ある。これはかなり突拍子もない例えだが実際にアイディエーションをしてみると意外にこのような想像になってしまうことはよくある。
2.違法性がないかどうか
いくら良いサービスであっても、明らかに法律に違法しているサービスは考え直した方が良いかもしれない。また法律のグレーゾーンを利用するサービス(UberやAirBnB)もあるが、違法性があるものは避けるのがベター。
3. 金銭的に実現できるかどうか
最近のハードウェア制作をしているスタートアップに言えることであるが、ハードウェアを創る際にどうしてもお金がかかってしまうため、どのようにお金を集めるかや、現実的にコストをカバーできるほど収益をあげられるかどうかを確認する必要がある。
4. マーケットのニーズに合ってるか。そもそもマーケットがあるか
アイディエーションをしている制作側がどんなに欲しいプロダクトでもマーケットのニーズに合ってるかや、マーケットに需要はあるかを確認し、ニッチマーケットでもニッチな分野で本当に必要とされているかを確認する必要があるだろう。
5.どのようにサービス/ プロダクトをユーザーに届けるか
作ったものの価値をユーザーにどう届けるかを考えること。アプリやソフトウェアで価値を提供するのか。
ハードウェアであればEcommerceにおいて展開するのかなど物流面において可能かどうかを考える。物によっては重すぎたり大きすぎたり物理的の配送が難しい場合があるため物流で価値を届けるのが厳しければそのアイディア自体も難しいかも知れない。
6. 同じアイディアが既に失敗しているかどうか
自分が閃いたアイディアがすでに開発されていてサービスの普及に失敗している可能性を考えることも肝心となってくる。
特に、近い時間軸での失敗であれば展開が難しい可能性がある。一方で、数年前に失敗しているようなプロダクトやサービスであれば現在のテクノロジーに適合し実現できる可能性を秘めている。
例えば、10年前に多くの日本電化製品メーカがユビキタス社会をめざし、スマート家電の開発にトライした。しかしながら、家庭内でのインターネットインフラが整っていなかったことが主な原因となり、なかなか上手く行かなかった。
しかし、それから10年たった現在では屋内でのインターネット環境が整いスマートホームの流れがもう一度来ている。
このように同じアイディアでも時代のテクノロジー状況、普及具合にに大きく左右され、その時代に上手く適合するものもあれば、受けいられずに失敗してしまうものもあるのだ。
7. 進出するであろう業界にメジャープレイヤがいるかどうか
すでにメジャープレイヤーがいる場合それに打ち勝つことは難しいだろう。
例えば、今から検索エンジンやネットオークションのプラットフォームを打ち出そうと思ってもすでにGoogleやYahooなどの大手企業が掌握しているためそこに勝つのは極めて厳しい。
新しいものを生み出すのであればなるべく圧倒的勝者がまだ生まれていない分野を選ぶのが好ましいだろう。
8. 大きな企業が同じようなサービスを展開したとしてもマーケットシェアを獲得できるかどうか
まだ市場に存在してなくても大きな企業が同じようなサービスを展開したとしてもシェアを獲得出来るかどうか考えておきたい。
また、仮にそういった大きな企業が今現在リリースしてなくても将来的にローンチした場合自分のプロダクトがそれまでに市場獲得が出来るかどうかを考える必要がある。
以上の8つのポイントはアイディエーションを行う際の1つの目安となってくるだろう。
先日行われたオンラインセミナーでは、弊社CEOがアイディエーションだけでなく、そのアイディアの評価方法(エバリュエーション)も説明しています。
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