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btraxリサーチャーが本音で語る!アメリカでゲリラインタビューをやってみた
少し前にゲリラでインタビューをする機会があり、気付きも多かったため、今までに行ってきた他のインタビューの違いとともに紹介する。
筆者は普段UXデザイナーとしてリサーチ案件がある際にはユーザーインタビューを行っている。
リサーチの手段は様々あるが、定性調査をしたい際に最も王道なのは、1対1で話を聞くことで、Zoom等のオンラインでインタビューをセットすることが多い。
ゲリラインタビューとは
ゲリラインタビューとは、外にいる人にその場で声をかけて話を聞くインタビュー形式のこと。普段行うユーザーインタビューとは全く違う形式で、よりスピード感を持って初期段階の仮説を検証したいときなどに便利な手法である。今回は北米展開を検討している日系企業がクライアントだったためアメリカでインタビューを実施した。
誰にインタビューするか
普段のオンラインインタビューの場合は、ユーザーを探すために事前にスクリーナーをかけるので話を聞きたい人にピンポイントに狙いに行くことが可能だ。
しかし、ゲリラインタビューでは当然だがまず人を捕まえなければならない。
急いでいるからと断られてしまったり、2-3分なら良いけどそれ以上は無理と言われてしまうことはよくある。もっと言うと、せっかく立ち止まってくれた人がぴったりのインタビュー対象者でない可能性もある。
ある程度インタビュイー対象であるかを確認するためには、声をかける最初のタイミングでキーとなる質問を聞くことがポイントだ。そしてインタビューにかかるおおよその時間を相手に伝えてあげると親切だ。
いかに聞き出すか
そして今回ゲリラインタビューを実施して特に大変だったこととして挙げられるのが、1人あたりに深く話を聞くことである。
想像できると思うが、事前の約束も無しにいきなり話をするのだから、長い間立ち止まってもらって根掘り葉掘り話をするのはハードルが高い。おしゃべりが好きなアメリカ人も多いが、それでも普段のユーザーインタビューで得られる情報量との差は出てしまう。そのため、ある程度聞きたい質問の優先度をつけて聞くことが大事になってくる。
また、インタビュー環境を整えることも大切だ。今回は会話を録音しつつ、インタビュースクリプトを見ながら、同時に商品サンプルも相手に見せて話した。普段デスクでインタビューをすることに慣れてしまっていると立ち話に不便さを感じる。
工夫の余地の例としては、すぐ近くのカフェに誘導するということが挙げられる。カフェへ行く提案をすると話が長くなってしまうのではと人によっては警戒されてしまうのが厄介だが、これができるとインタビューもスムーズである。
また、天候に左右されてしまう点にも注意が必要である。別プロジェクトで、悪天の中、外に出てインタビュイー探しをしたこともあったが、そもそも外にいる人が少なくなることが多いのと、みんな立ち止まりたがらなくなってしまう。

インタビューに答えてくれたユーザー
ゲリラインタビューの利点
色々と大変な側面の話をしてしまったが、良い点もある。
ゲリラインタビューの特徴は、リアルな声を聞けることだ。その場にいる人にその場で話してもらうため、属性関係なくサービスに対してのリアルなフィードバックを得られる。最初にも書いた通り、クイック且つカジュアルにサービスに対するフィードバックを得たいときには有効な手段である。
また、通常のユーザーインタビューは1人あたり1時間〜1時間半程度のものが多く、たくさんの人数に聞くには時間がかかる。インタビューのトピックがすごくニッチなものでなければ、フットワーク軽くより多くの人に話を聞くことができる。
他にはどんなユーザーリサーチ方式があるのか
ゲリラインタビューについて色々とお話しをしたが、他のインタビュー体験で言うと、筆者は今までにホームビジット形式のインタビューを行ったこともある。これもユーザーインタビューの類に含まれるが、オンラインでのインタビューが最も多い中でホームビジットはまた全然違った経験だ。
一番の特徴は、ユーザーの家の中でインタビューするため、その人の生活の雰囲気がわかりやすいことだ。以前瞑想サービスについてのインタビューを行った際には、実際に瞑想をするときの部屋でインタビューをさせてもらったことで、よりリアルにユーザーのサービスの使い方を知ることができた。
インタビュー中に出てくる話題も、「あれのことだよ」とその場で教えてもらえることもあるのでよりユーザーの理解がしやすい。

ホームビジットインタビューの様子
ユーザーの家にお邪魔することで、言葉では出てこない情報がたくさん散りばめられているのがホームビジット形式のメリットであり楽しいところだ。部屋の雰囲気やインテリアからユーザーの価値観が垣間見えたり、ユーザーの表情やリアクションから細かいニュアンスが伝わる。
普段のオンラインのユーザーインタビューでは相手が映った画面しか視覚情報はないため、得られる情報量はかなり違う。
一方でホームビジット形式は、ユーザーからすれば他人(インタビュアー)を家に入れるため、ユーザーにとってはハードルが高い可能性はある。通常インタビューする際にはリードとアシスタントの2人体制で行うのだが、加えてクライアントも同行したいという要望もあれば人数は増えるので、ユーザーからすると少し緊張してしまって本音を引き出しづらくなる可能性もある。事前にインタビュイーへの同行者確認は大事だ。この点オンラインインタビューは双方にとって気楽ではある。
まとめ
ゲリラインタビューは不特定多数をクイックに調査したいときにはおすすめだが、1人あたりにじっくり話しを聞くことが目的のときには使い方を工夫する必要がありそうである。例えば、サービス開発の初期段階等で立てた仮説に対してざっくりとしたフィードバックが欲しい際にはゲリラインタビューも選択肢となりうる。
筆者は個人的には、一番生活者のリアルを覗けるという観点でホームビジットが好きである。リサーチャーとして得られる情報が多く、ライフスタイルと密接なサービスを作っているときには相性の良い形式だ。
リサーチしたい内容やプロジェクトによって形式の向き不向きがあるので使い分けることが大事だ。
ビートラックスではブランディングやマーケティング、新規事業創出の基盤となるユーザーリサーチを手掛けている。
ユーザーインタビューやユーザーリサーチにご興味ある方はぜひお問合せいただきたい。
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