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世界の投資家が注目 グリーンテックの展望と先鋭スタートアップ3選
日本で連日続く記録的な猛暑や豪雨、カリフォルニアで相次ぐ山火事など、自然災害という形で地球の変化を目の当たりにすることが日々増えている。
気候変動の問題が世界各地で浮き彫りになるなか、このような問題を改善するため「グリーンテック」に代表される持続可能な考えを持ったビジネスはますます需要が高くなることが予想される。
実際に世界のグリーンテック市場は、その規模が2019年時点で約$8.8 billon (約9千億円)であったが、2027年には $48.36 billionまで伸びると予測され、グリーンテック市場への成長の期待が高まっていることが見受けられる。
グリーンテックとは?
再生不能である資源(石油、石炭、天然ガス、ウランなど)は私たちの日常のあらゆる面で使われている一方で、それらに依存し続けると二酸化炭素の増加など地球にはマイナスな影響をもたらすと言われている。
グリーンテックとは、再生不能な資源を使うのではなく、再生が可能な資源やサービスを使い持続可能な社会を実現することを目的としている。化学やテクノロジーを用いながら再生が可能であるサービスや事業創出を行う。(またはクリーンテックとも呼ばれている。)
例えば、ソーラーパネル·バイオガスなどの自然のエネルギーを用いて燃料や電気を再生可能にする新しいエネルギーの創出という壮大な事業から、リサイクルやアップサイクルに着目し日常生活にアプローチした事業など、グリーンテックと一括りにしても、非常に範囲が広く新しい事業創出の可能性を秘めている。
今回はグリーンテック分野で活躍するスタートアップの紹介と彼らがもつ今後の可能性について解説をしていく。サンフランシスコ·シリコンバレーのスタートアップ事情について知りたい方や新たなサービスアイディアを求める方の参考になれば幸いだ。
1. Imperfect Foods
2015年創業、食料廃棄の問題に食品D2Cサービスの視点から取り組むスタートアップだ。
サステナブルかつ手頃なフードシステムを作ることを目標に、品質に問題がなくても見た目や規定のサイズに合わないなどの理由などで廃棄されてしまう食品を集め、顧客の食品の希望やライフスタイルに沿った食品を毎週届けるサービスを提供している。
新鮮な肉類、魚介類、野菜、果物をはじめ乳製品や植物性の食品なども取り扱う。また食料廃棄の問題だけではなく、廃棄や食品の輸送によって排出される温室効果ガスを削減する取り組みも行なっている。
D2Cは食品流通にも広がり近年では数多くのサービスを目にするが、食品廃棄の問題に着目しているサービスは食品流通とグリーンテック両方において斬新である。
2. Carbon Lighthouse
2009年設立。気候変動を止めることをミッションに掲げ、大規模な商業ビルへ電力の効率化を独自のAIを用いて測定できるサービスを提供している。
莫大な量のセンサーからデータを収集することで、各ビルがどのくらい経費を電力に使用ていたのかとこれまでのエネルギーの消費量を踏まえて、それぞれに合った無駄のない最適な電力量のプランを提供を実現している。
商業、オフィスビルの消費電力量と炭素排出量は非常に多く、アメリカ全ての大規模なビルが電力を効率的に使うことができればアメリカ全体の40%もの炭素排出量が削減できるとされている。
Carbon lighthouseの注目点としては、高度な初期費用設備や建設費を請求しない点だ。独自のテクノロジーを使いエネルギーの効率化を支援するスタートアップはいくつかあるが、サービス利用のハードルが低いことは彼らのユニークセリングポイントと言えるだろう。
またソフトウエアやサブスクリプションのみを提供するのではなく顧客に代わりエネルギーの監視ができる機器を導入し、導入後のサポートも行う。
彼らの顧客に寄り沿ったサービスは拡大し続けており、2019年には3,260万ドルの増資が完了している。
3. Aclima
Aclimaは、公共衛生を守り大気汚染を削減することで気候変動の問題に挑むテクノロジー系のスタートアップである。
独自のソフトウエアを使い何十億ものAclimaのデータから大気汚染と温室効果ガスの量を測定し、瞬時に世界中の値を可視化できるというこれまでにない新しいサービスを開発。集積されたデータは企業、政府、地域コミュニティに提供され、大気汚染の問題を改善するために使用されている。
Aclimaはサービスをローカライズすることに力を入れていて、地域ごとにより精度の高いデータを提供することに尽力している。
今後Googleと連携を果たしながらベイエリアの地域全てのブロック(約7.6億人が住むエリア)の大気汚染と温室効果ガスを可視化できるようにすると発表している。
大気汚染や温室効果ガスなど空気中に潜み、これまで目に見えなかったものが、データ化され私たちの生活にどの程度密接しているものか可視化できるようになれば、人々の環境への意識が高まるだけではなく大気汚染、温室効果ガス削減の明確なゴール設定が可能になるのではいだろうか。
グリーンテック業界へ増える投資
グリーンテック市場の伸びを見越して、すでに様々な企業がグリーンテックスタートアップに対して投資を行い始めている。その動きの中でも注目を集めているのがBreakthrough Energy Venturesだ。
2050年までに温室効果ガスの増量を止め将来的に排出量をゼロとすることをミッションに掲げた、グリーンテックを行うスタートアップへ投資を行うベンチャーキャピタルである。
Breakthrough Energy Venturesに所属する投資家たちは、世界の著名なテクノロジー業界のリーダー20名であり、ビル・ゲイツを筆頭にジェフ・ベゾスやジャック・マー、孫正義など名だたる投資家たちが参加している。
ビルゲイツによると、何よりもBreakthrough Energyが成功するためには彼らに関わるパートナーとのネットワークが重要であると述べている。
これほど世界から著名な投資家を集めている背景には、革新的なサービス単体だけではなくそれをサポートするために、世界中の企業を巻き込むことが温室効果ガスの抑制を実現する鍵になると考えているのではないだろうか。
投資額は1Billion(約110億円)という巨額な投資額で現在は45のスタートアップが投資を受けている。世界の二酸化炭素排出量の1%に当たる年間5億トン以上の二酸化炭素を削減することが投資を受ける条件の1つとなっている。
最後に
汚染され続ける大気、非効率的に使用される大切な資源の数々、歯止めが効かない二酸化炭素の排出量。環境問題と聞くと、どこか果てしない大きな問題かつネガティブなイメージを持ってためらいを感じてしまう。
しかし、これらの問題を改善するための手段や取り組みは開拓の余地がまだまだあり、そこに広がるビジネスチャンスもまた残されている領域だと考えることもできる。。
環境問題という避けては通れない、人々にとってかつてない大きな課題の糸口には、グリーンテック のような環境問題に全うする事業の発展が鍵を握るのではないだろうか。
ビートラックスは、サンフランシスコにオフィスを持つ強みを生かし、現地のスタートアップの最新動向を踏まえたサービス開発や事業コンセプトの創出のご支援を多く手がけてきた。グローバルな事業展開やサービス開発にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考記事
- Green Technology and Sustainability Market to Hit USD 41.62 Billion by 2028; Increasing Investment to Promote Sustainable Energy Worldwide to Augment Growth: Fortune Business Insights™
- Carbon Lighthouse Raises $32.6M to Expand Sensor and Software-Driven Building Efficiency
- Bill Gates-Led Fund Raises Another $1 Billion to Invest in Clean Tech
Written by Himawari Nemoto
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