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“タダでやってくれませんか?” 問題への正しい対応方法
デザイナーであれば一度や二度は言われたことのある「タダでやってくれませんか?」というセリフ。もしかしたらデザイナーでなくても、エンジニア、アーティスト、著名人などでも、同じ経験があるかもしれない。
もしくは、友人から「仕事請けたんだけど、支払ってくれるかわからないんだよね」と相談されたことがある人もいるかも。それらはクリエイティブ系に起こりやすい、いわゆる「これタダで問題」。
このリクエストは、サイトの制作や更新、ロゴデザイン、文章書き、翻訳、アドバイス、スピーチなどのいわゆる“手に職”を持つ人が受けることが多いと思われる。
なぜ “タダでやってくれる”と思ってしまうのか?
技術のある人からの価値を得る。それなのになぜこのこのセリフがなくならないのか?逆の立場から考えてみると理解しやすいかもしれない。頼む方からすると、恐らく意外と“無邪気な”理由だったりすると思われる。
サクッと終わるよね?
その仕事自体に掛かる時間が短い = 簡単にできる、と思っているケース。でも多くの場合は大間違い。例えその作業自体が数分で終わるものであったとしても、それまで長年培ってきたノウハウを活用することに気づいていない。
好きでやってるんでしょ?
技術系の人の多くは、その仕事内容が大好きであることが多い。それもあって「趣味みたいなもんでしょ」的に頼んでくる人もいる。「好きでやってんだから、お金取らないでよー。」というのが彼らの感覚なのだろう。
だって友達だよね?
かなり厄介なのが、このパターン。結婚式のパンフレット作成だったり、卒業式の動画作成だったり、友達からの依頼だから断りにくい。かといって手抜きした作品を作り出すわけにもいかない。そして、作った作品にダメ出しされたりなど、こじれるとかなり厄介。そして実際、めっちゃこじれやすい。
良い実績になるよね?
まだ経験が少ない人たちが言われがちなセリフ。「だってまだ駆け出しだし、今後の実績として見せられるんだから気合い入れてやってよ。」というロジック。しかし実は、実績を見せる際には、どのくらいの期間でどのくらいの予算でやったかも聞かれることが多く、間違ってもタダでやったとは言えないため、良い実績にはなりにくい。
いつか儲かったら払うつもり
本当は対価を払いたいんだけど、今はお金がないから儲かったら払おうと思っているケース。そのように言われて実際に後日払ってもらった話は未だ聞いたことがない。
成功報酬の落とし穴
サービスを提供している方の中には、成功報酬型やパートナーシップ的なノリで仕事を請け負っている場合もあるかもしれない。例えば、現金での支払いをもらう代わりに、利益の%とか、スタートアップの株式とかを受け取る形の契約手法。これは一見理にかなっているように思われるかもしれないが、実際にやってみると下記のようなデメリットが発生することが多い。
- プロジェクトに対してクライアントの真剣度が低い
- どこからどこまでが仕事の範疇かが曖昧になる
- 現金で支払ってくれるクライアントを優先せざるを得ない
- クライアントが個人的な感情で物事を決定する
- なんでもやってくれる都合の良い存在になってしまう
- クライアントの一存でプロジェクトが中断される
- 期待していたリターンが得られない
フリーランサーはフリー (無料) でやってくれる人という意味ではない
ちなみに、このようなリクエストを受けるのはフリーランスの方々が多い。自由な生活スタイルで時間に余裕があり、原価もかかってないから気楽に頼みやすいと思われがち。もしかするとフリーランサーの“フリー”は“無料”という意味だと思われているのかもしれない。
提案段階だからといってサンプルデザインを出させようとする企業もヤバい
企業からの依頼の場合でも “とりあえずタダでやってくれますか?” 問題は後を絶たない。例えば、案件の提案段階で一度サンプルとしてのアイディアやデザインを提出させるという事をやっている企業が未だに存在する。
これはデザイナー業界では普遍的な課題で、無料でやってしまう人がいる限り根絶は難しい。この問題をよりわかりやすく理解してもらうために、なぜ試しに無料でサービスを提供するべきではないのかをわかりやすく表現した動画がこちら。
タダでやらないと伝えるのはプロの責任
この問題は、頼む方ばかりの問題に思われるかもしれないが、実はしっかりと対価をもらうこともプロの仕事であり、頼まれる側にもそう主張すべき責任が存在する。というのも、頼む方は悪気なく無料だと思っている場合があるからだ。そんな時は、ちゃんと伝えればちゃんと支払ってくれることも。
ちなみに、一番良くないのが、「いくらでも良いからね」や「払える金額で良いよ」といった曖昧な答え。これは変な期待値を生み出し、お互いモヤモヤしてしまう。
どのように対応すれば良いのか?
この問題に対しての対応方法として、相手の気持ちを害せずにやんわりとタダではできないことを伝える方法がいくつかあるので紹介する。相手との関係性やコミュニケーションスタイルに合わせて使い分けたい。
- 「今は無料で請ける余裕がないんですよ。恐れ入りますが、時間が限られているので有料になります。」
- 「ご検討いただき、誠にありがとうございます。私が提供しているサービスや料金パッケージについてはこちらをご覧ください。」
- 「現在、忙しくて新しいプロジェクトを引き受けることができませんが、そのプロジェクトにぴったりのデザイナーを知っています。」
- 「とても素晴らしいプロジェクトですね。差し当たり、有償での案件であることを確認させてください。」
- 「お声がけいただき、大変嬉しいことではありますが、これで生計を立てていますので、無料ではできかねます。」
- 「私は通常3万円+材料費ですが、材料費を負担いただければ、人件費分を半額にして納品します。」
- 「ありがたいお話です。今のところ無給の案件は受けられませんが、また機会があればお世話になろうと思います。」
- 「家族や友人からの仕事は受けないポリシーです。満足してもらえない場合、気まずくなるし、費用を請求するのも気まずくなってしまいます。無料でやるわけにもいきませんしね。」
- 「ご連絡ありがとうございます。この種のアドバイス提供には一律料金をいただいておりますので、DMではお答えできません。コンサルテーションをご希望の場合は、下記のリンクよりご予約ください。」
- 「無料でやるべき理由を教えていただければと思います。」
- 「費用に関してはマネージャーから連絡させますね。」
アーティストがなぜ金儲けしちゃいけないの?
by 矢沢永吉
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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