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現代の日本企業に必要なのはクリエイティブな組織だ
AIやロボットの発達で、人間の仕事がどんどん奪われていく。おそらく、暗記や、計算、データ分析などでは既にコンピューターにお任せした方が良い。単純作業系も、ロボティックスが発展するに合わせて、人間が行う部分は減っていくだろう。
しかし、自動化に関するテクノロジーが進むことで無くなる仕事があると一方で、新しい仕事も生み出されると予測される。
マッキンゼーの調査によると、新たに創出される仕事の7割は「人間的な仕事」が占めている。直感的な意思決定、創造的な成果、芸術的なデザイン、顧客や取引先との複雑な交渉。企業にとって多くの価値創造は人間にしかできない仕事に支えられている。
産業革命によって労働の基準も大きく変化した
歴史的に見ても、時代の大きな変革期には働き方や労働の価値も同時に大きく変化してきた。近年では、インダストリー4.0と呼ばれる第四の産業革命が進んでいる。それぞれの産業革命について、Wikipediaでは下記の通り定義している。
第一次産業革命では水や蒸気を動力源とした機械を使った生産を指し、第二次産業革命では電気を使い機械を動かして分業の仕組みを取り入れたことにより大量生産(マス・プロダクション)が可能となり、そして第三次産業革命ではコンピュータ制御(プログラマブルロジックコントローラ)により生産工程の自動化(コンピュータ統合生産)が実現された。インダストリー4.0はそれに続く「第四次産業革命」という意味合いで名づけられたものである。
それぞれの産業革命における労働対価の変化
それでは、それぞれの時代における労働者が給与の対価としてどのよう価値、もしくは犠牲を払ってきたかを分析してみる。
第一次産業革命: 健康をお金に変える
蒸気機関や内燃機関を活用した産業が台頭したことにより、従業員は炭鉱や肉体労働に従事することが増えた。それにより、健康被害や怪我が増え、自身の健康を犠牲にお金をもらっていた。
第二次産業革命: 時間をお金に変える
工場などでの大量生産が進んだ、第二次産業革命後は、単純作業やオペレーション業務が急増し、従業員は仕事に対して人生の時間をより多く捧げる対価としてお金をもらっていた。そこでは、平日に加え週末も時間を捧げればより多くのお金がもらえた。
第三次産業革命 – 情報をお金に変える
ITやコンピューターが発達した第三次産業革命後は情報が価値となり、それの対価としてお金をもらうことが労働者の価値となり始めた。業務内容としては、パソコン操作、リサーチ、知識の獲得が中心となる。
第四次産業革命 – クリエイティビティをお金に変える
そして現代は、コンピューターやAIが多くの作業を自動的に行っているために、人間に求められる価値にも大きな変化が訪れ始めている。具体的には、新しいものを作り出すことこそが最も大きな価値となり始めているということだ。
機械には真似のしにくい、人間が持つ強みは何だろうか?
インダストリー4.0の時代において、人間が最も価値を出せるエリアはどこだろうか?それは、おそらくクリエイティブな能力になってくると思われる。
0から1を作り出すこと。これは機械には出来ない。AIは過去のデータを元に未来を予測することは出来るが、全く新しいものを作り出すことは人間にしか出来ない。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方であろう。
クリエイティブなスキルの構成要素
では、このような人間が持つ0から1を生み出すクリエイティブな能力の構成要素にはどのような内容が含まれるのか。おそらく、下記のスキルだ。
- Curiosity(探求心)
- Empathy(共感)
- Imagine(発想)
- Create(創作)
- Play(遊び)
- Share(共有)
- Reflect(内省)
企業に必要なのは創造性を引き出すしくみ
そのためには、企業は今まで以上に右脳を活性化させるための取り組みをしなければならない。もしかしたら、こういった”人間的な能力”を上手く発揮できない企業は、将来生き残っていけないかもしれない。
だからこそ、今一度原点に戻り、創造性を育む精神、マインドセットを理解し、クリエイティビティを最大限引き出す仕組みを、正しく理解してもらいたいのだ。
日本の社会は真面目さ、堅実さを求めすぎている
日本の鉄道は世界で一番正確だと言われており、世界的に見てもダイヤの乱れは少ない。一説によると、山手線の1日の誤差を10日間記録してみると、なんと累計の誤差が15秒しかなかったという。
「東京圏の電車の発着時刻は10秒単位、駅での停車時間は5秒単位で計画され、運転士たちは駅の通過時刻を1秒単位で認識している」(出典元)
これは日本が世界に誇れることであると同時に、日本では少しの時間のミスも許されないといった社会通念を体現しているのかもしれない。
一方で、いくら正確性を追求し続けても、最終的に機械やAIには勝てない。そもそも、人間に正確性を求めるには限界がある。
どのようにクリエイティビティを生み出すのか?
クリエイティブな能力を最大発揮するためには職場環境と企業カルチャー両方の変革が必要になってくる。
求められる企業カルチャーの切り替え
しかしそれ以上に、今日本の大企業に必要とされるのは、企業カルチャー自体の切り替えである。それは何故か?端的に言うと、時代が求めているものと、従来の日本企業における企業風土や価値観との間に乖離があるからである。
下記はこれまでの企業に求められていたような価値観と、これからの時代に必要とされるカルチャーの違いである。
- 機能より体験
- 安定よりスピード
- 理論より感覚
- 数字よりストーリー
- 実直より遊び心
左側に位置している言葉はそれぞれ、堅実で真面目な雰囲気を感じさせる。対して、右側に位置している言葉は伸び伸びとした創造性を感じさせる。
これはまるで、左が日本の企業体質を、右はシリコンバレーやアメリカ西海岸の企業をイメージさせるようだ。
正確性よりも創造性
これまでの日本企業に多く見られた正確性や、失敗に対する減点方式が、新しいものに挑戦するカルチャーの妨げになっている。クリエイティブな企業になるためには、このような価値観は捨てなければならない。
そして、クリエイティビティ、イノベーションは失敗と表裏一体なのである。挑戦と失敗の繰り返し無くして新しいものが生まれることは非常に難しく、それは我々の歴史から見ても明らかだ。
失敗を恐れない仕組み
では、どのような環境が、優秀な人材が失敗を恐れずに絶えず挑戦させることを可能にさせるのだろうか。
失敗を恐れずにチャレンジする人材を育てたいのであれば、まずは、人事評価制度をそれに適応させるべきである。ミスの数がマイナス評価に繋がるようではイノベーションを起こす職場環境には程遠い。
最後に: クリエイティブ人材は最もユニークな経営資産
クリエイティビティを生み出す仕組みを作るには、正しいマインドセットを持って職場環境を変えていく必要がある。イノベーションを生む為の職場環境や、社員に挑戦的な失敗をさせる評価制度など、企業風土から一新していく必要性を強く感じて頂きたい。
我々、btraxは企業風土を上手くシフトチェンジさせていくことや、開発チームにイノベーティブな手法を導入するためのサポートを行っている。詳しい内容はお問い合わせから。
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