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【金融テック最新トレンド】 AR/VR活用事例7選
先日アメリカ・ラスベガスでは、世界最大級の家電見本市として知られるCES(Consumer Electronics Show)が行われた。メディアはイベントで発表された商品やテクノロジーを取り上げ、CESの話題で持ちきりだった。
特にXRと呼ばれる、VR、AR、MR(複合現実)を総称した分野は近年注目度が上がっており、フットコントローラー付きのPlayStation VRのようなエンターテインメント製品をはじめ、8K高画質のVR/AR用ヘッドセットなどの最新技術を用いた製品も多数発表された。
ゴールドマンサックスの調査によると、XR業界は2025年までに80兆円規模の市場価値を生み出すと予測されており、様々な投資家からの注目が集まっている。
そんな中、より積極的な投資を行っている業界の1つが金融だ。Citibankをはじめ、各国の大手銀行たちがXR技術を業界に取り入れていこうとしている。そこで今回は、金融業界で導入され始めているXR技術活用のトレンドを実例と共に紹介していく。
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<投資 x XR事例>
1. MR株式取引システムCiti HoloLens Holographic Workstation(Citibank)
Citibankで有名なCitiグループは、Microsoftが提供しているMR用ヘッドセットのHoloLensを利用した株式取引システムを発表している。ユーザーはヘッドセットを装着することで、そこに浮かび上がる最新の株価情報や取引データなどを閲覧することができる。さらに声やジェスチャーで株式取引も可能だ。
株式取引にMR技術を利用する利点としてまず挙げられるのが、タブレットやPCなどのスクリーンの範囲に限定せず大量のデータを一度に表示することが可能な点だ。また、画面覗き見による金融取引の内容を第三者に見られる心配がないということも重要な利点の1つとなっているようだ。
(HoloLensを使ったホログラムのワークステーションの様子)
2. 投資バーチャルエージェントCora(Fidelity Labs)
アメリカ・ボストンに拠点を置き、金融分野でのイノベーションを牽引する製品開発に取り組むFidelity Labsは、株式バーチャルエージェントのCoraを開発している。CoraはVR/AR/3D開発用のAmazonAWSの新サービスAmazon Sumerianを利用して開発されている。
ユーザーはVRで表示されるバーチャルエージェントのCoraに対して、投資に関する質問や相談を音声で行うことができる。現状、この製品はコンセプト検証中のプロトタイプ段階にあるそうだが、実用化されればトレーダーが投資判断する際の強力なサポーターとなり、株式データのオーバーロードを回避できるようなメリットもあると言われている。
3. AR不動産投資サポート(Commonwealth bank of Australia)
Commonwealth bank of Australiaはアメリカ、アジア、イギリスでも金融サービスを提供するオーストラリアの銀行だ。同社は不動産購入を検討していたり、不動産投資を行う層向けにARを用いた不動産投資サポートアプリケーションを提供している。
このアプリ起動し、街で見かけた住宅に携帯をかざすと、住宅の価格変動や購買履歴などの情報が画面を通して見られるようになる。資本成長傾向やその他の金融メトリックスを確認することも可能になるため、ユーザーの不動産売買の判断を手軽な形でサポートしている。
<決済 x XR事例>
1. オンラインショッピング決済(Mastercard, Alibaba, and Payscout)
決済までのオンラインショッピング体験を提供できるVRシステムの開発が進められていることが、MastercardやAlibaba、Payscoutなど各社から発表され始めている。
Alibabaは、ヘッドセットを装着して仮想現実の店舗へ入り込み、気に入った商品をピックアップしてそのまま購入することができるVRシステムの開発を、2016年後半に発表した。あまり詳細は明らかにされていないが、Amazonも同様のサービスを開発し始めていると報告されている。
VRと決済技術の分野においては、ゲーム業界が大きな注目を集めている。ユーザーがVRの世界でゲームを楽しんでいる際に、現実世界に戻らずシームレスにゲーム内課金を促せるためだ。GoogleCardboardヘッドセットを装着して遊ぶVRゲームのPayscoutは、まさにその1つで、VR内での支払い機能をすでに実装させている。
2. 実店舗ショッピングのVR決済(Worldpay)
VRを用いた支払いはオンラインに限らず、実店舗に向けたものも開発され始めている。ペイメントテクノロジー企業のWorldpayは、店舗でのクレジットカード支払いのためのPIN入力をVRで行うことができるAirPinの技術を開発している。
AirPinのVRによる決済は、ユーザーがVRヘッドセットを装着して決済処理に必要なPINの入力を行う。VR空間で、使用するカード情報を選択しランダムに並んだ数字から視線を使ってPINを入力する仕組みだ。ヘッドセットを使った操作なので、他人からカード情報やPIN入力を覗かれてしまう心配がなく、防犯性に優れている。
3. ARによるクレジットカード情報管理(Yepper)
あらゆる業界におけるARの利用実現に取り組むインドのスタートアップYepperでは、クレジットカードの情報管理をARで行える仕組みを開発中だ。クレジットカードをスマートフォンカメラでスキャンすると、そのクレジットカードの使用履歴や利用可能残高などがARとして表示されるというものだ。クレジットカードの利用管理を手軽にできるようなることが期待される。
<銀行 x XR事例>
銀行ATMサーチサービス(National Bank Of Oman & Royal Bank of Canada)
National Bank Of OmanやRoyal Bank of Canadaといった銀行では、自社ATMの所在地をARで表示することができるというサービスを展開している。
National Bank Of Omanのアプリでは、NBOの口座を持たないユーザーもアプリを利用できる仕組みになっており、ATM所在地の表示以外に、ショッピングモール等でのお買い得情報もARを介してユーザーに知らせてくれる機能も持ち合わせている。これによって新たなユーザーの取り込みも期待されている。
まとめ:金融 x XRの今後
以上のように、投資、日常の買い物にまつわる決済、銀行利用など様々なシーンでXR利用が始まっている。金融業界でのXR利用はアメリカに限らず、インドやオーストラリア、オマーンなど世界各地で活発に進められており、その投資もどんどん加速している。
また、XR導入により金融業界がこれから急速に変化していくと言われてる。身近なところでは、銀行実店舗が2009年の不況以降減り続けているが(2017年6月までの1年間で1700の銀行店舗が閉鎖)、今後銀行がVRを用いたバーチャル店舗体験に注力し、新たな価値を提供していくだろうと期待されている。ますます金融xXRの動向から目が離せなくなりそうだ。
参考記事
・Worldpay Demonstrates The Future Of Virtual Reality Payments
・Future of the brunch
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