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外資系ブランドの日本サイトに潜むUX課題:ウェブサイトAuditプロジェクトから見えたこと
翻訳だけして終わりのサイトが多い、、?
btraxに相談いただくクライアントの多くが抱える課題のひとつに、「本国サイトとは別で日本市場向けのWebサイトはあるものの、果たして本当にローカルユーザーにとって適切かどうかわからない」というものがある。
特に外資系企業では、日本語がわかるスタッフが社内にいないケースも珍しくない。結果として、「本国サイトを翻訳しただけの状態」で日本市場に展開してしまい、ユーザー体験に違和感が残るということがある。
例えばエルメスをはじめとする多くのラグジュアリーブランドは、ブランドストーリーやビジュアルでは世界観をしっかり伝えられている一方で、ローカルユーザーが日常的に使うサイト体験としては不自然さが目立つことがある。

エルメスのサイトの場合:「視線をつかまえて」という直訳感のある表現や、「まなざしを捉えて」というテキストがクリックできるようになっているが、クリックした先で何が見られるのか想像ができない。
今回ご依頼いただいたのも、ヨーロッパ発でグローバル展開しているラグジュアリーバッグブランド。
彼らは「日本サイトとして本当に機能しているのか」を検証するため、btraxに監査を依頼された。このようにサイトをUX観点で監査することをWebsite Audit(ウェブサイトオーディット)と呼ばれている。
どのようにウェブサイトのAuditを進めたのか?
今回のAuditでは、btrax独自のRubrikを用いて各項目をスコア化した。RubrikはUX全体を網羅的に評価できる仕組みで、他のブランドにも応用可能となっている。
単なるUIチェックに留まらず、「ユーザーにとって本当に自然で快適な体験かどうか」を客観的且つスピーディーに測定できるのが特徴だ。
外資系企業の日本市場向けサイトで特に重要になってくるローカライゼーションの観点は、Cultural Fitという項目で評価を行った。

見えてきたポイント
良かった点
今回のクライアントはデザインのクオリティは非常に高く、日本のユーザーにも好まれるトーンになっていた。
全体的にとても洗練されており、ブランドの世界観も一貫して伝わる仕上がりになっていた。また、SEOについても最適化されており、流入も十分にある結果となった。

改善すべき点
一方で、今回一番課題に残ることとして、全体的にテキスト関連が挙げられた。具体的には、大きく3つに分けられる。
1 テキストが翻訳調であったり不自然な表現が多い、あるいは言葉選びに一貫性がない
これについては言葉通り、日本語が機械翻訳っぽかったり、日本語ネイティブでは使わない表現であったりと、読んでいて違和感がある箇所が多く見受けられた。
また同じ元の英単語がページによって訳し方が異なっており、わかりにくいということがあった。
例えば新商品を知らせる”NEW”という単語が「新商品」と表記されていたり「新シーズン到来」となっていた。違和感のある日本語表現は、結果的にブランドへの信頼感を損ねるリスクにもなりかねない。

2 元サイトの英文フォントから和文フォントへ変換したことによるデザイン崩れ
同じフォントサイズであっても、英文フォントと比較すると和文フォントの方が大きく見えることが多く、英文フォントのサイズと行間設定のまま日本語にしてしまうとバランスが崩れてしまう。
せっかく他のデザインが綺麗でもテキスト部分のレイアウトが整っていないのはもったいない。関連して、改行の場所も中途半端なところで行われている場合も、クライアント側に日本語がわかるスタッフがいないとよく起こる。

3 翻訳がされただけで、内容としては親切さに欠ける
これも外資系のウェブサイトにはよくあるパターンである。
具体的に今回の場合では、問い合わせページの内容が本社(ヨーロッパ)についての案内になっており、ユーザーが問い合わせをした際に日本語で対応してもらえるのか?
そもそもこちらはどちらの言語で問い合わせるべきなのか?などが不明瞭なため、ユーザーは不安に感じて、問い合わせのハードルが一気に高くなってしまう。
このように、一応翻訳はされているものの、内容がその地域に側していないとあまり意味が成さないケースもある。

また、デザイン面自体のローカライズも重要である。
世界中で売買ができる米国のオンラインオークション・マーケットプレイスのebayが日本に進出を試みた際に、UIがシンプルすぎて情報が少なく、日本人にとって「信頼できるのか分からない」とされ一度離脱している。
アメリカでは「クリーンでモダン」なデザインであるとされていたものが、日本ユーザーからは「商品説明が簡潔すぎる」「画面の余白が広すぎて“情報が抜けているように見える”」という印象だった。
そのため、情報が充実していたヤフオクの方が圧倒的に利用者が多かった。
楽天のウェブサイトなどもそうだが、日本人は日頃から文字情報が多い環境に慣れており、その方が安心できる傾向にある。
必ずしも「ミニマル=良いデザイン」にはならないのは日本マーケットの独特な特徴であり、企業がとにかく多く売ることを目的としているのか、ブランディングを目的としているのか、ゴールに応じてデザインを適用させていく必要がある。

提案と学び
今回のAuditを通して改めて実感したのは、外資系ブランドの多くが「翻訳版の本国サイト」で日本市場をカバーしているという現状だ。
btraxとして今回テキスト周りの改善を優先度高く推奨した。
一見すると「翻訳があれば問題ない」と思われがちだが、実際にはちょっとした違和感や不自然さが積み重なり、ユーザー体験に大きな影響を与える。
ブランドにとっては信頼低下や機会損失につながることもあり得る。
Btraxには日米の両方にスタッフがいて、どちらの言語と文化もわかっているからこその、ニュアンスを汲み取った翻訳を実現できる。
さらに、マーケティング施策においてもローカルに合わせる工夫が必要。
たとえば、今回のクライアントはニュースレター登録をWhatsApp経由で促していましたが、日本ではLINEのほうがはるかに浸透している。
このように、ユーザーが慣れ親しんだプラットフォームを活用することでよりエンゲージメントを高められる。
外資系企業が日本市場で成功するには、「翻訳」だけでなく「体験の最適化」が不可欠である。
btraxは、ブランドがより多くの人に知られ、愛されるために、ローカライズを含むUX改善の提案とサポートを行っているので、ぜひ一度ご相談いただきたい。
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