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2019年に消滅したスタートアップとその理由
毎年恒例、その年に無くなってしまったスタートアップ特集。その失敗理由などから学ぶことで、今後の役に立てようというのが目的。こちらアメリカでは失敗することが必ずしも悪いことではなく、そこから得るものがあれば成功へのプロセスの1つとして捉えることも可能になる。
特に新陳代謝の激しいスタートアップ業界では、派手な成功ストーリーの裏では、連日新しい企業が生まれては消えている。IBM Institute for Business Value and Oxford Economicsの調査によると、実にその90%は5年以内に無くなると言われている。その失敗理由やサービス内容を知るだけでも今後の大きな学びになる。
無くなってしまったスタートアップ達
2019年12月25日現在までで、確認されているだけで553のスタートアップが消滅し、その合計資金調達金額は$19億ドルにのぼる。そんな中でも、今回はその資金調達額と、期待値の規模ベースにいくつかをピックアップしてみた。
Layer
カスタマーサービス向けのチャットボットシステムを提供し、インドのフードデリバリー大手のSwiggyなどにも採用されたが、競合の存在や、成長速度の鈍化などが理由で、2019年10月末にサービスを停止した。なお、現在Layer.comは25万ドルで売り出し中。
事業エリア: チャットボット
資金調達額合計: 4400万ドル
失敗理由: 投資家からのプレッシャー
主な原因: 会社の成長スピードに対しての投資家からのプレッシャーに対し、Intercomなどの競合の存在もあり、より大きなマーケット獲得をすることができなかった。
Stimwave
神経系の症状に対して、ワイヤレステクノロジーを活用した医療デバイスを開発するStimwaveは、これまで入院を余儀なくされていた患者に対して、より自由なライフスタイルを送れるようなソリューションを提供していた。
事業エリア: ヘルスケア
資金調達額合計: 5470万ドル
失敗理由: 市場ニーズに合っていなかった
主な原因: 同社のソリューションの効果に相反するような裁判所による判例もあり、当初想定している効果が得られにくいと考えられた。
Anki
カーネギーメロン大学の卒業生によって2010年に創立されたAnkiは、2016年にAIを実装した家庭用ロボット、Cozmoをリリース。その後、2018年には最新モデルであるCozmoをグラウドファンディングでリリースし、190万ドルを集めた。Fast Companyが選ぶ、2018年度の”The Word’s Most Innovative Companies” のロボティックスカテゴリーで1位を獲得するなど、絶好調に見えたが、あえなく終了してしまった。
事業エリア: ロボティクス
資金調達額合計: 1.82億ドル
失敗理由: 資金が尽きた
主な原因: 150万ユニットのプロダクトを販売したものの、ハードウェアビジネスにおけるコストは非常に高く、利益を出すのが難しいと判断した。
Laurel & Wolf
2014年より、インテリアデザイナーと顧客をマッチングさせるプラットフォームを提供していたLaurel & Wolf。その期待値の高さから、eBay、Dropbox、 Twitter、 Uberなどにも投資を行ったVCであるBenchmarkからの投資も獲得。2017年にはHome Depotとのパートナーシップも発表し、順風満帆のように見えていたが、2019年の初頭にサービス停止に追い込まれた。
事業エリア: インテリアマーケットプレイス
資金調達額合計: 3580万ドル
失敗理由: 運営コストとサービスの質の低さ
主な原因: それまでは比較的好評だったサービスが、2018年の夏頃からネガティブな口コミが書かれ始めた。ユーザーとサービス提供側とのトラブルが続出していた。
Call9
高齢者をターゲットに、老人ホームや介護施設と医師をつなげることで、緊急時に必要とされるオンデマンド型救急医師派遣プラットフォームを提供していた。
事業エリア: ヘルスケア
資金調達額合計: 3400万ドル
失敗理由: 市場ニーズが追いついていない
主な原因: 加えて、投資家との折り合いがつかず、サービス終了に追い込まれた。
Aria Insights
石油採掘場、軍用、警備用などのシーンにて、ドローンを活用することで、人間では危険だと思われる場所からデータを集めるソリューションンを提供していたが、既存のニーズに合っていなかったという理由で終了した。
事業エリア: ドローン
資金調達額合計: 3900万ドル
失敗理由: プロダクトが時代よりも先進的すぎた
主な原因: 将来起こるであろう課題にフォーカスしすぎたため、現代ではまだ必要とされていないプロダクトを作ってしまった。
Arivale
ユーザーの遺伝子、血液、そしてマイクロバイオームデータから、それぞれに最適な情報を提供することで、ウェルネスの達成と病気予防と提供したが、2019年の5月にサービスをクローズした。
事業エリア: ヘルスケア
資金調達額合計: 5260万ドル
失敗理由: サービスのコスト高
主な原因: 医療データにおけるテスト、分析にかかるコストが高く、ユーザーへのチャージ金額との折り合いがつかなかった。
Kahuna
最新の機械学習テクノロジーを活用し、よりパーソナライズな体験を提供するマーケティングオートメーションサービスの提供を目指していたが、2019年の前半にサービスを停止し、5月にはサイトも消滅した。
事業エリア: マーケティングオートメーション
資金調達額合計: 5800万ドル
失敗理由: 未発表
主な原因: いきなりサービスが停止され、具体的な説明も無い。
Nomiku
元々ニューヨークに住んでいたカップルがサンフランシスコに引っ越し、ハードウェアアクセレレーターに参加。その後Samsungからの投資も獲得し、真空調理法を実現するスマートデバイスを開発した。2017年には、真空調理法で作られた料理のサブスクリプション型デリバリーサービスにピボットした。ちなみに社名は日本語の”飲み食い”が由来。
事業エリア: スマート調理デバイス
資金調達額合計: 3580万ドル
失敗理由: 競合の多さとハードウェアコスト高
主な原因: 当初はクラウドファンディングで130万ドルを集めるほどの人気であったが、類似製品を提供する競合が増えたことでデリバリーサービスにピボットを余儀なくされたが、ユーザー獲得に苦戦した。
Oryx Vision
自動運転用のLiDARセンサーテクノロジーを提供していたイスラエルベースのスタートアップ、Oryx Visionであるが、シリーズCへの資金調達にてこずり、2019年8月にサービスを停止した。
事業エリア: 自動運転
資金調達額合計: 6700万ドル
失敗理由: 資金調達がうまくいかなかった
主な原因: シリーズCの資金調達を成功させ、1.7億ドルを集めたライバルのInnoviz Technologiesに対して出遅れてしまった。また、思ったよりも自動運転車両の実用化に時間がかかってしまっているのも原因と1つとされている。
DriverUp
DriverUpは、投資家向けのマーケットプレイス。ローンを投資商材とすることで、自動車ローンを組みたい人と、投資家を結ぶ今までにないプラットフォームを提供していたが、突如とサービスが終了し、サイトも消滅した。
事業エリア: P2Pファイナンス
資金調達額合計: 7000万ドル
失敗理由: 謎
主な原因: 多くの資金を調達しておきながらも、具体的な説明も無く、夜逃げをするかのようにサービスが無くなった。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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