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イノベーションにはマインドセット変革!シリコンバレーが最適な理由
多くの日本企業が、日本国内市場の頭打ち、GAFA (Google、 Apple、 Facebook、 Amazon) の参入、技術トレンドの変遷により、危機感を持つようになって久しい。
そしてその多くは、危機脱出のため、イノベーション創出のため、技術調査やスタートアップおよびGAFAとのコネクションを求めて、ここ、サンフランシスコ/シリコンバレーに出張者や駐在員を送る。
イノベーション創出に必要なのは技術調査・コネクションよりもマインドセットというアセット
技術調査やコネクションは、直接的に新規事業の開発に活用できるものではあるが、会社の危機を救うイノベーティブな新規事業に繋げるのはなかなか難しい。
なぜなら技術調査を行っても、それを活用する方法を見いだすのが難しく、スタートアップとコネクションができても、上手く協業していくのが難しいからだ。
ゆえにイノベーション創出を目指すなら、技術調査やコネクション以上に重要なアセットがサンフランシスコにあると筆者は確信している。それが「マインドセット」だ。
筆者はサンフランシスコに住んで5年、btraxで日本企業のイノベーション創出を支援してきた。
その支援というのは、日本の大手企業からサンフランシスコへ送り出されたエースに対して、短期集中でデザイン思考、リーンスタートアップ、UXデザインの考え方・手法を活用し、新規サービス開発を行うイノベーショントレーニングを実施するというものだ。
筆者はそのトレーニングのファシリテーターとして、短いものでは1週間、長いものでは2ヶ月半の間、毎日参加者と顔を付き合わし、濃密な議論をし、新規サービスを作り上げてきた。
トレーニング参加者の数は累計200にも登る。そして、このトレーニングを通して参加者の多くが大企業のオペレーション人材から、イノベーションを起こすイントレプレナーへと、目の色を変えて卒業していく姿を目にしてきた。
これらの経験から、日本企業がサンフランシスコ/シリコンバレーから得られる、で実は最も価値があるものは、「マインドセットの変革」であると確信している。
マインドセットは一見、新規事業には間接的な影響と思うかもしれないが、日本企業のイノベーション創出に必要なのはまずはマインドセット変革であり、それを行うのにサンフランシスコは最適な場所なのだ。
そこで今回はこの経験を通じて、なぜサンフランシスコという地が日本企業の社員のマインドセットを変えるのか、サンフランシスコならではの特徴と事例を交えて紹介したい。
サンフランシスコでのイノベーショントレーニングによってマインドセットが変化する理由
- 「失敗から学ぶ」マインドセットを会得することができる
- Whyを深掘ることの大切さを見て学ぶことができる
- ユーザー視点の大切さを見て学ぶことができる
1.「失敗から学ぶ」マインドセットを会得することができる
イノベーションの「しくじり先生」がたくさんいる
Uber, Twitter, Facebook, Airbnbなど、サンフランシスコからは多くの人気サービスが誕生しているが、多くの起業家は人気のサービスを生む前に失敗を経験している。
例えばLinkedInのファウンダーであるReid Hoffmanは、LinkedInの前にSocialNetというソーシャルメディアを立ち上げて失敗しているし、GoProのファウンダーであるNick Woodmanは、GoProの前にFunBugというゲームおよびマーケティングのプラットフォームを立ち上げて、失敗している。現在の成功者でも、必ずと言って良いほど過去に「しくじった」経験があるのだ。
失敗を公開する文化がある
UberやAirbnbのように、人々の「体験」に対する価値観を大きく変えるようなイノベーティブなサービスを生み出すことは当たり前だが、実際に行うとなると非常に難しい。
メディアでは成功したスタートアップが取りざたされるので、スタートアップというと華やかなイメージがあるが、実際には90%のスタートアップが失敗に終わっている。しかし、前述のしくじり先生方のように、成功するものはそこから学ぶことで成功に繋げているのである。
実際にサンフランシスコでは彼らの失敗ぶりを垣間見ることができる。例えば、サンフランシスコで定期的に開催されているFuck up nightsというイベント。ここでは、多くの人が自分のFuckrd up (失敗した) 経験をさらけだしあい、そこからの学びを共有する。
また、先日筆者が訪れたイベントでは、GoogleのプロダクトマネージャーがGmailの自動返信作成機能を作るに当たっての「ボツ案」を公開し、そこからの学びを会場に共有していた。日本だと大手の企業がカジュアルにイベントで商品のボツネタを公開することはあまり見ないのではないだろうか?
このように、サンフランシスコでは「失敗から学ぶ」ことが当たり前のように捉え捕らえられているため、失敗を公開して、みんなで学び合うことをする。
ユーザーや企業も「失敗から学ぶこと」に価値を感じ、サポートする
間違いなくサンフランシスコの大きな価値であるのは、「失敗から学ぶ」サービス開発の文化がサービスを作る側だけではなく、サービスを使う側にも根付いていることだ。
サンフランシスコのユーザーは多少バグのあるようなサービスでも、自分の問題を解決してくれそうなサービスであればまずは使ってみる。そしてそのサービスをよくするために積極的にフィードバックを与える。
実際にサンフランシスコでは、起業家たちが自分たちのサービスアイデアをプレゼンする「ピッチ」と呼ばれる形式のイベントが多く開催される。そこで発表されるアイデアは、まだビジネスモデルがきちんと煮詰まっていないもの、プロトタイプもまだバグだらけのものもある。
それでもアイデアを聞いたオーディエンスは積極的にフィードバックを共有してくれる。彼らは新しいサービスを試すことに抵抗が少ないのと、失敗でも改善をすれば良いと思っているからこそ与えてくれるフィードバックなのだと思う。
btraxのイノベーショントレーニングでも、トレーニングの終盤に参加者のアイデアをサンフランシスコのオーディエンスに向けてピッチしてもらうことがある。
毎回オーディエンスが彼らのアイデアを自分ごとにして考え、質の良いフィードバックをたくさんくれることに驚く人が多い。新規サービスやスタートアップを行う人にとって非常に協力的な環境があると言える。
失敗に対する日本の価値観とのギャップが大きい。ゆえにマインドセット変革が起きる
このようなサンフランシスコの「失敗から学ぶ」ことに対する価値観は日本企業の若手のマインドセットを大きく変える。
その大きな理由は、日本での価値観とのギャップである。日本は事業にしても、キャリアにしても、一度失敗するとそれを覆すのが難しく、「失敗から学ぶ」というマインドセットを構築するのが非常に難しい地である。
特に「優秀」と呼ばれる人ほど失敗への抵抗感が大きく、企業側、起業家、ユーザーといった社会全体として「いかに失敗しないか」が評価の基準とすることが多い。
しかし、新しいものを作り出すのに失敗はしない方がおかしい。
失敗を失敗と捉えず、「改善のためのアイディア」と捉えるマインドが必要だ。そのマインドがサンフランシスコには根付いている。だからこそ、短期間でこのマインドが身につき、帰国後のイノベーション創出に繋がるのである。
2. Why?を深掘りすることの大事さを見て学ぶことができる
サンフランシスコにはデザイン思考が根付いている
イノベーティブと呼ばれる多くの企業やサービスが開発において取り入れているデザイン思考はWhyを考えることを重視している。ユーザーの潜在的な問題に迫ることを重要視する上で、ユーザーの行動や発言に対して、Whyを知ることが重要になるためだ。
例えば「人はなぜ無駄が嫌なのか?」「どうでもいい選択ほどできないのはなぜか?」など、従来のマーケティング手法で行うニーズ調査よりもかなり深掘りしてニーズより深い「価値」の追求をする。
サンフランシスコには、デザイン思考の考え方が根付いており、多くのサービスがこのようなWhyの深掘りから生まれている。
もともと日本の場合、機械的・効率重視だったのでWhy脳、ユーザー中心から離れていた
日本の大企業は、既存事業の維持や拡大が重視されることが多いため、効率的なオペレーションが重要視されることが多く、そもそも落ち着いてWhyを考えることが少ない。
それを突き詰めて考えることは、普段のHowやWhatを考える脳と全く違う脳の使い方であるため、このような考え方をすること自体が、大きなマインドセット変革に繋がるのである。
btraxのイノベーショントレーニングでは、参加者が夜遅くまでこのような哲学に近い議論を行う。時差ボケも残る中、連日内容の濃いディスカッションが続き、参加者はさぞ疲弊しているだろうと思いきや「普段の機械的な会議とは全く違って楽しい!」と言う人が多い。
このようにマインドを変えた人は、帰国後も「言われたことをやる」のではなく、「Why?を理解することで価値を出す」ことができるようになる人材となるのだ。
3.ユーザー視点の大切さを見て学ぶことができる
ユーザー視点で作られたサービスを日常で体感できる
サンフランシスコには成功したスタートアップが多くいるが、その成功する理由の一つに、ユーザー視点で作られていることが挙げられる。
「AIを使ってサービスを作ろう」と技術起点で考えられたのではなく、日常のちょっとした不満、イライラするシーンなどを目の当たりにし、それを解決できないか?とユーザーを深掘りすることで、多くのイノベーティブなサービスが生まれているのだ。
例えば「カンファレンスや大きなイベントが開催されるとホテルが足りなくなる」という問題を解決したAirbnbや、「忙しい人ほど良質なコーヒーが必要なのに、良質なコーヒーを飲むには並ばないといけない」という問題を解決したCAFE Xなど。
サンフランシスコでは、これらのサービスを日常的に体感し、真にユーザー視点で作られたサービスの価値をユーザー側として実感することができる。ユーザー視点で作られたサービスの「お手本」を見ることができるのだ。
誰もがサービスアイデアを考える文化がある
また、ユーザーとして新しいサービスを体験できるだけでなく、実際に作り手側としてユーザー視点のサービスを考えることのハードルもむちゃくちゃ低い。
日常のちょっとした不満を解決するサービスが生まれる様子を人々が間近で見ているため、自らも日常の問題に注目し、こんなアプリ作ったらどうか?を考えている。
誰もがサービスを使う側でもあるのだから、ユーザー視点でサービスを考えることは難しいわけではないよくデザイン思考を「専門家が使うメソッド」と捉える人がいるが、そうではない。
デザイン思考は考え方であり、視点をユーザー側に持ってくることで共感をし、サービス開発を行うというマインドセットである。自分は作り手でありながらユーザーに視点を置くマインドセットだからこそ実践が難しいのだ。
しかしながらイノベーティブと呼ばれるサービスやスタートアップはこのユーザー視点に立つということをうまく行っている。
ユーザーの欲しいものと本当に必要なものは違うという事実に気づくこと
では、なぜサンフランシスコにあるこの要素が日本企業の若手のマインドセットを変えるのか?
1つは「お客様至上主義」と「ユーザー視点」の違いにある。
日本企業はそのおもてなし精神とヒエラルキー文化により、「お客様の言うことは絶対」と言うマインドが染み付いている。「ユーザーが欲しいと言ったことを何としてでも実現するのが良いサービス提供者である」と言う考え方が強い。
一方、ユーザー視点の考え方は、「ユーザーのことを徹底的に考え抜くため、ユーザーよりもユーザーのことを理解している」と言う立場をとる。そのため、ユーザーの欲しい(want)と言ったものをそのまま作るのではなく、ユーザーに必要なもの(need)を作るのだ。
結果として、ユーザーが「使わざるを得ない」ほど価値のあるサービスを生むことができるのである。
この大きな違いを学ぶことは視点の違いでもあるが、実に「視座」の違いでもある。だからこそ、日本企業の社員のマインドを大きく変える要素なのである。
もう1つ重要な点として、サービス開発は専門家やMBAホルダーのみがやることではないという気づきだ。日本の大企業では「サービス開発は専門家がするもの」と言う考え方がある。
また、新規事業を生み出すにあたって、従来のビジネスの考え方であれば、短期的な収益性が重要視されるため、確実に利益を生み出すビジネスモデルが必要とされる。
そのため、MBAなどビジネスを体系的に勉強した人ではないと、新規事業のアイディアは生み出せないと考える人が多い。しかし、サンフランシスコでは、新しいビジネスアイディアを考えるのにその分野の専門家やMBAは必須ではないのだ。
まとめ
このように、サンフランシスコには、日本企業のエース社員の根本的なマインドセットから変える力がある。
だからこそ、btraxのイノベーショントレーニングの参加者はこのトレーニングで目の色を変えて帰国し、日本企業のイノベーションに貢献しているのである。参加者の多くは、帰国後に「別人のようだ」と周囲から言われることが多いのものその証拠だ。
イノベーションを起こしたい日本企業は、まずはこのような考え方をできる人材を育ててほしい。そして、それを達成するために、ぜひサンフランシスコにエースを送って欲しい。
その際にはぜひ、サンフランシスコに根ざしたbtraxによるイノベーショントレーニングをご検討いただきたい。btraxにはそのノウハウと実績がある。マインド変革・イノベーション創出をぜひ一緒に起こしましょう。お問い合わせはこちらから。
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