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「ここはシリコンバレー」とあるGoogle社員が感じた影
ここはシリコンバレー、その響きからどのようなイメージを持たれるだろうか?
日本企業も多く進出するこの地域は、世界中からトップレベルのエリート人材が集まり、GAFAに代表されるような、世界的な企業がひしめきあう、テクノロジーとイノベーションの中心地。
一年の約300日が青空のカリフォルニアの好気候の元、ゴルフ、サーフィン、ビーチバレーを楽しみ、人生を謳歌する人々。
解放的な雰囲気の中で、仕事も遊びもとても充実している。
何もかもが恵まれている、まるで楽園のような場所のイメージがあるかもしれない。しかし、その裏には、住んでみて初めて気付く部分もある。
日本ではあまり知られていないシリコンバレーの影
以下に紹介するのは、現職のGoogle社員が自身の生活から感じた、シリコンバレーの影とも言うべき部分をまとめた手記である。
ここはシリコンバレー (原題: This Is Silicon Valley) by Gloria Liou
シリコンバレーに住んでいることはとても恵まれていると感じます。私はここで生まれ育ち、現在はGoogleでプロダクトマネージャーとして働いています。天候は良いし、治安も良い、そして教育予算もしっかりと組まれています。大人にとっては、待遇の良い仕事が多く、子供にもたくさんのおもちゃが与えられます。ランチに$15のブリトーを食べ、$6のBlue Bottle Coffeeを飲みます。路上はTeslaや自動運転カーでいっぱいです。
ここにはたくさんのチャンスがあります。私を含め、大学を出たばかりの新卒者の年収は1,000万を超え、加えてストックオプションやボーナス、福利厚生も付与されます。私の場合は、オフィスでの食事や飲み物、スナックも無料。そして、ランドリーや美容院、そしてボーリング場も完備されています。
ここはシリコンバレー。誰もが住みたいと思う場所。
私が中学2年の半年の期間だけで、近くの学校で4人の生徒が電車に飛び込んで自殺をしました。高校の2年の時には同級生が命を絶ちました。3年になる頃には、同級生全員が大学進路相談のカウンセラーを付けていました。中には、一時間に$400も払って作文を手伝ってもらったり、作文全部をやってもらったりしてた生徒もいました。
テストでA-しか取れなくて泣いた生徒や、プロフィール写真へのLike数が100以下で泣いた子や、ハーバードに入れなくて泣いた子もいます。(私もそうです). 学校の授業や課外活動を乗り切るために連日徹夜したり、人気者になるために親のお金をくすめてブランド品の服を買ったりしたことで、精神障害を患い、今でも苦しんでいる子もいます。
ここはシリコンバレー。
高校の4年間、1,300中で黒人の生徒はわずか3人、ラテン系は12人ぐらいしかいませんでした。今の会社、そう、ダイバーシティーやインクルージョンにものすごく注力しているGoogleでも、私が働くフロアでは黒人やラテン系のエンジニアはいません。2017年全体で見ても、テクノロジー系の職種で採用された中で黒人はわずか2%で、ラテン系は3%、そして女性は25%しかいません。これが上級職になると、その割合はより偏りがちで、シリコンバレー全体だともっと悪くなります。
このダイバーシティーの低さは仕事に限ったことではありません。みんながパタゴニアかノースフェイスの服を着て、耳にはAirPodsを付け、週末には揃ってレイクタホに遊びに行きます。そしていつもスタートアップ、ブロックチェーン、AIなどの話ばかりをしています。
ここはシリコンバレー。
一般教養を学んでいた学生の頃は、イギリス文学から政治、哲学や社会における格差など、様々な話題で盛り上がることができました。これが、現在の職場において新卒の子と話す内容は、常にテクノロジー界隈に関してのトピックに限定されます。新しい投資家に関する噂や、どのようにして22ヶ月で2階級出世を達成するか、木曜の夜のエンジェル投資家との飲み会の話など。(そう。シリコンバレーにはアルコールやドラッグに関する問題もあります)
社会問題に関する話をしようとしても、つまらない顔をされてしまい、すぐに遮られてしまいます。例えば、最近起こった北カルフォルニアの山火事によって大気汚染が発生した事。それなのにGoogleではその原因となるプラスチック製のストローやコップを未だに使っている。会社のチャリティー制度を活用して、環境を改善する団体に寄付するべきだという事を同僚と熱く語っても、沈黙しか得られませんでした。
ボタンの色を緑から青に変える事でお金が生み出される
シリコンバレーの会社の中には、寄付などを通じて貧困問題に取り組む企業もあると言われています。Googleでも従業員一人につき$400を認定された機関に寄付することができるようになっています。しかし、貧しい人のために寄付をしている人たちが、同時にホームレスのテントが美観を損ねると文句も言っているのです。過去10年間でサンフランシスコのHydeストリートだけで、ホームレスに関する苦情が2,200件寄せられ、ホームレスの人たちを追い出すために、嫌がらせをしたという報告もあります。
ここはシリコンバレー。
ここは私の全てです。両親が住んでる場所であり、高校の同級生が里帰りしてくる場所。大学の友達が引っ越してきた所。初恋をした場所で、初めての失恋をした場所です。
ここは同級生が私の宿題をパクリ、テストでカンニングをした場所。ここで親が生徒にB-を与えた先生に対して詰め寄り、先生がチューターセンター(塾の事)が過去問を配っているのを(止めるように)脅したのを目撃しました。友人の中には、自傷行為をしたり、ドラッグをしたり、自殺までする人もいたし、私の交友関係や成績やキャリアの邪魔をする人もいました。
ここではネットワークが全てです。ここはみんながあなたから何かを得ようとし、より良いものを得るために、いつ誰から裏切られるかわかりません。
ここは私の全てです。でも、シリコンバレーはもうホームではないのです
もうシリコンバレーはホームではなくなってしまいました。自分自身もテクノロジーバブルに影響を受けてしまっていると感じます。自分の意識が、地域や世界の恵まれない人を助けるよりも、どうしても、お金や出世に対しての方にシフトしてしまっているのを感じます。それはまるで自分が機械の一部になってしまったような感じがします。
高校時代を思い返してみても、悲しみと怒りばかりでした。シリコンバレーの高校生の精神衛生状態は悪くなるばかりです。私を含め、ソーシャルメディアが原因で精神が病んでいた高校の時の友達が、現在Facebookで働いているのは皮肉です。
何か嫌な状況に直面した時には3つの選択肢があると聞きました。それを無視するか、改善しようとするか、逃げるか。無視することはできますが、状況は改善されません。もし改善できる期待があるなら、改善するのも良いでしょう。改善ができなくて、どうしようもない時は逃げるのもありです。
私はどうしたら良いかわかりません。4年間のブランクの後、ここに戻ってきてからというもの、裏切りや嘘、非人道的な言動、自己満足、ステータス最優先、といった人として理解できない”友人”や知り合に失望し、精神的に病んでしまっています。
なので一旦逃げます。でもいつか戻ってきたいと思っています。
今とは違ったシリコンバレーに戻ってこれることを期待しています。学生たちのメンタルをケアできる場所。ダイバーシティーに対して宣言するだけではなく、人種、性別だけではなく、異なるライフスタイルや会話の内容、興味を許容してくれる場所。自分が理想的な暮らしができているのは、他の人々のおかげであると認識できる場所。傷つけてしまった人たちを助けてあげられるような場所。
そして、もっとも重要なのは、人々が、世界を本当の意味で良くすることに対しての真剣に取り組む、シリコンバレーでという場所であること。たとえそれがクリック数を増やすことにつながらなかったとしても…。
上記の記事は原文: “This is Silicon Valley”の筆者、Gloria Liouからの許可を得て日本語訳したものである。
こんな感じで、ある意味シリコンバレーの影の部分を語っている。その一方では「シリコンバレーは一攫千金を狙ったドロップアウト達のステージ【対談】大前研一 × Brandon K. Hill」でも紹介されているような、光の部分ももちろんある。感じ方はそれぞれだし、どんな場所にも良いところも、そうでないところもあるだろう。
また、これがサンフランシスコ市内になると、アートや音楽、デザインや社会活動なども盛んなので、シリコンバレーと比べて、雰囲気がまた少し違う。この辺は、ぜひ一度実際に来てみて感じていただきたいと思う。
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■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
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