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世界のアパレル企業の共創マーケティング4事例
ファッション業界とデジタルとの親和性が高いことは近年のECビジネスの拡大を見ても明らかだろう。しかし、国内のマーケティングの分野においてはデジタルとファッションの持つ可能性を上手く活かしきれていないように思う。
一方で、世界のアパレル企業はいったいどのようにしてデジタルを活用しているのだろうか。4つの事例を元に最新のアパレル業界におけるデジタルマーケティングトレンドを見てみよう。
ファッションンブランドの新たなプロモーション手法: Co-Creation
「Co-Creation」デジタルが主流になった現在のプロモーションにおいてキーワードになっている言葉だ。
デスクトップからスマートフォンへの移行が進み、いつでもどこでもインターネットに接続することが出来るいまの時代において、ただただオンライン広告を作ってただ載せるだけの一方向的なものでは周りとの差は全くつけられない。
そこで注目されているのが “Co-Creation =共創” だ。消費者をプロモーションを受け取る存在、受動者として捉えるのではなく、巻き込んで共に価値を創り上げていく共創者として捉える。
そうすることで一方的なプロモーションでは生まれ得ない、特別な体験を消費者に与えることができる。そしてその体験はただ情報を与えられるよりもずっと深く消費者にインパクトを残す事ができるだろう。ではどのようにプロモーションを共創していくのか。
世界のファッションブランドの共創プロモ事例
今回はデジタルを活用してユニークな共創マーケティングを行っているファッションブランドを、中国、日本、スウェーデン、イギリスの4カ国からピックアップして紹介する。彼らがどのようにデジタルを活用し、消費者を巻き込んでプロモーションを行ってきたのか検証してみよう。
[中国]Me & City
キーワード: 街中をランウェイに
ファッションショーと聞くと限られた人達だけが見れるといったことをイメージするのではないだろうか。おしゃれでVIPな人達だけに許された空間。しかしデジタルの技術を駆使し、学生や家族で賑わう街の大通りをランウェイへと変えてみせたブランドもある。中国の若者をターゲットにしたファッションブランド、Me&Cityは上海の街を彼らのランウェイへと変えた。
方法は実に単純だ。Tecent Street Viewと呼ばれる中国版グーグルマップとも言うべき地図アプリと協力し、新作の服を着たモデル達をまるで歩行者かのように通りに散りばめてたのだ。待ち合わせをしている人、写真を撮っている人、デートを楽しんでいる人。
利用者たちはまるで彼らが本当にそこにいるかのように感じることが出来る。日常にありふれた光景にモデル達が溶け込むことで、ユーザーはその服を街で着ている自分を想像しやすくなるだろう。もちろん彼らの着ている服をその場で購入することも可能だ。
上海ファッションウィークに行われたこのキャンペーンはランウェイの来場者の約800倍である、2000万回以上の閲覧回数を記録し、ファッションへの感度の高い若者達の間でMe&Cityの知名度を高めることに成功した。
[日本>海外]UNIQLO
キーワード: More Tweets, Lower Price
日系の会社でデジタルメディアを使ってマーケティングしていると言えば真っ先に思い浮かぶのがUNIQLOだろう。彼らは日本国内というよりもむしろ海外進出の際にデジタルマーケティングを上手く利用してきた。
そんな様々なプロモーションの中でも、とりわけ上手くSNSを活用したキャンペーンがある。Twitterを利用し、今までイギリスと韓国のUNIQLOで行われた “Lucky Counter” だ。
サイトへジャンプするとダウンジャケットからデニムまで10種類のアイテムが表示される。(上記画像参照)この商品たちが割引対象だ。その中でもし値下げして欲しい商品があったら、その商品の写真をクリックしてみよう。
するとそのアイテムの情報とハッシュタグ#luckycounterが埋め込まれたツイート画面が出現する。これを使ってつぶやきを投稿するとその商品が安くなるという仕組み。あなたの投稿を見て、協力してくれる人も現れるだろう。
もちろんツイートし続ければ無料になるなんてことはなくて、ちゃんとMAXの割引率は決まっている。ということは、もしかしたらUNIQLOはもともとこの価格まで割引して売ろうと考えていたかもしれない。
もしそうならほとんど無料でプロモーションを行えたことになる。ユーザーは仲間と協力して商品を安く買えた体験を出来たし、UNIQLO側からしたら商品をより多くの人に知ってもらうことが出来た。これ以上のプロモーションが他にあるだろうか?
[スウェーデン]H&M
キーワード: スナップチャットを使って宝物探し
H&Mは今若者の間で一番流行っているSNSであるSnapchatに目をつけた。そして企画したのが店の中での宝探しゲームしてもらおうというもの。
これはポーランドのH&Mが世界中で大人気の招待制のクラブイベントBoiler Roomと共同で行ったキャンペーン。そう宝物はポーランドで初めて開催されるそのイベントへの招待券だ。H&Mは自身のSnapchatのアカウントを通じてフォロワー達に店の中に隠されているチケットのあかりを示すヒントを送る。そしてそのヒントを手がかりに参加者たちはチケットを探すのだ。
Snapchatという最新のアプリと宝探しゲームという昔ながらのゲームを組み合わせたこの企画は、943人もの新たなフォロワーを獲得するのに成功しただけではなく、Boiler Roomという招待客しか入れない“イケてる”イベントとタッグを組むことによって、H&Mの若者達へのブランドイメージを上げることに成功した。
[イギリス]Burberry
キーワード: さぁ世界からキスを届けよう
近年のデジタルマーケティングを語る上でBurberryは欠かせない。彼らはデジタルに力を入れることによってかつての力を取り戻した。当時デジタル化へと舵を切ったCEOのアーレンツ氏がAppleの販売部門へ引き抜かれたことを見ても彼らのデジタル戦略が成功だったことは明らかだろう。 “Burberry Kisses”もそんな彼らが生み出したデジタルコンテンツの一つだ。
Googleと共同で発表されたこのコンテンツでは、キスマークをメッセージと共に相手のGmailアドレスへと送ることが出来る。キスマークはスマートフォンの画面やデスクトップのカメラへキスをすることで記録され、Burberry Beautyから発売されているリップを使ってメイクアップすることが可能だ。
ただ送るだけではない。そのメールが相手に届くまでの様子をGoogle Earthを使った3Dアニメーションで見届ける事もできる。例えばあなたがいまサンフランシスコに住んでいて、ロンドンにいる大切な人へキスを届けたいとしよう。
その時の画面には手紙がゴールデンゲートブリッジを通り、海を渡って、ビッグベンを舞い、相手へと手紙が届けられるアニメーションが流れるはずだ。またサイトでは利用者達の送るメールが世界中を飛び交う様子をリアルタイムで見ることも出来る。
このキャンペーンを通して合計で約200カ国、13,000ヶ所からキスマークが送られ、地球約4周分の距離をキスマークが世界中を飛び交った。
デートの日はいつもより丁寧にメイクアップしてしまうのと同じように、大切な人にキスマークを送るのだから入念にリップのカラーを選んだに違いない。その体験はきっと今まで以上にBurberryを意識させるだろう。
まとめ
プロモーションとはもはや従来のような「場所取り合戦」ではない。デジタル化によって舞台は私たちのパソコンやスマートフォンになった。それはつまり誰にでも場所は平等に与えられていることを意味する。そして場所で差別化出来なくなった今、プロモーションの成功を左右するのはコンテンツの充実なのだ。
そのコンテンツを充実させる一つの手段として今回は “Co-Creation=共創” をテーマに4つの会社のプロモーションを取り上げた。これらはすべてユーザー無しには成り立たない。彼らの存在無しには未完成。しかし言い換えれば、だからこそ特別な体験を共にクリエイトすることが出来る。そしてその特別な体験こそが最高のプロモーションになるのだ。
さぁ、あなたならどんな体験をクリエイトしますか?
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