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サービスをデザインする際に重要な「7つの大罪」とは
- ヒットしているサービスには共通する「秘密」がある
- サービス例とそれぞれの秘密を紹介
- ユーザーの心をくすぐるデザインのコツ
- キーワードは「探索」「学習」「表現」「承認」
「7つの大罪」という言葉を聞いたことがあるだろうか? キリスト教において罪の根源とされる7種類の悪しき感情、欲望などを指す語のことを指す。いくつかの説やバリエーションがあるが、下記の7つが現在一般的に広く知られており、映画の「Se7en」でも採用されているリストは以下だ。
- 憤怒 (Wrath)
- 強欲 (Greed)
- 傲慢 (Pride/Ego)
- 嫉妬 (Envy)
- 怠惰 (Sloth/Laughter)
- 暴食 (Gluttony)
- 色欲 (Lust)
シリコンバレーでは常識とされる成功法則
これらが実はプロダクトやサービス、すなわちビジネスをデザインする際に重要なヒントになる。日本ではまだあまり知られていないかもしれないが、シリコンバレーのスタートアップ界隈では一つの常識とされ始めている。
LinkedInの創設者であり、現在は多くのスタートアップを成功に導いたカリスマ投資家のリード・ホフマンによって提唱されたのが起源とされる。彼は以前のインタビューにおいて、ヒットするサービスのポイントを、下記のように語っている。
僕的には人間が持つ “7つの大罪 (Seven deadly sins)” をくすぐるサービスが良いよね。これらは人間が本能的に感じる欲求であり、ビジネス的にもユーザー心理に訴え易い。
ヒットサービスの裏に7つの大罪あり
これは、すなわち人間の根本にある欲望をくすぐることができれば、ヒットするビジネスを創り出しやすいということである。では、現在ヒットしているサービスはどのような欲望をくすぐっているのかを検証してみよう。
- 憤怒 (Wrath): Twitter
- 強欲 (Greed): Amazon
- 傲慢 (Pride/Ego): Facebook
- 嫉妬 (Envy): Instagram
- 怠惰 (Sloth/Laughter): YouTube
- 暴食 (Gluttony): UberEats
- 色欲 (Lust): Pornhub
ユーザーの心をくすぐるサービスデザインのコツ
では、現実的にはどのような方法でユーザーの心をくすぐり、使い続けてもらえるサービスをデザインすれば良いのだろうか。そのヒントは、アメリカの心理学者、ハリー・ハーロウが行った研究に隠されていると考えられる。
彼は愛情は測定・分析できるはずだと信じ、赤ちゃんザルが母親に模した布にしがみつく有名な「代理母実験」をはじめ、数々の実験を繰り出した。
その結果、人間の行動心理学についての様々な発見が生み出された。
彼の被験者であるサルが報酬である食べ物がなくても、機械的なパズルで遊び続けることに気づいた。この結果は、モチベーションを上げるには報酬が必要である、という従来の常識を大きく覆した。その研究は、その後、心理学者のエドワード・デシとリチャード・ライアンによって続けられた。
この結果を彼らは後の論文にて下記の通り示している。
行動を起こすためのモチベーションの根源には「新規性や挑戦を求め、自分の能力を拡張し、行使し、探求し、学ぶ」という自発的な傾向を指す。
これが人間の場合は、運動、ゲーム、旅行、読書、テレビを見ることなどで満足を得ていることにつながる。その意味では、エベレストを登ることも、Netflixで面白い動画を探すのも、本質的には同じモチベーションであるということである。
キーワードは「探索」「学習」「表現」「承認」
人間は多くの場合、周囲の環境を求め、学び、探求し、操作しているときに最も幸せを感じる。人を惹きつけるサービスや中毒性のあるプロダクトを作りたいのであれば、人間の探究欲求と感情的な承認欲求を満たすことが重要である。
探索し、自分自身を表現し、入力に対して肯定的なフィードバックを与えれば、自ずとユーザーはそのプロダクトにハマりやすくなる。多くのソーシャルメディアサービスはこの仕組みを上手に組み込み、人々の本能に訴求している。
モチベーションの根源を理解してデザインする
サービスデザインを行う際には、このユーザー心理をしっかりと理解し、モチベーションの根源に響く導線設計が不可欠となる。このことを念頭に置くことで、サービス/ビジネス/UXデザイナーは、ブラウズ、検索、ポスト、フィードバックなどの様々な方法を通じて「中毒要素」をプロダクトの機能として実装することができる。
ビートラックスが提供するサービスデザイン手法
上記で紹介したようなテクニックは、我々ビートラックスでクライアントと共にサービスをデザインする際にも活用している。デジタルメディアが普及した現代では、人間の行動心理学を意識して体験設計をする必要が出てくる。
同じサービスを作るにしても、そのデザインの仕方ひとつで、速攻アンインストールされるか、使い続けてもらえるかの結果に大きな違いが出てくる。
より詳しいデザイン方法や、実際のプロダクト作りご興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせを。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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