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【イノベーター診断】偉大なイノベータが持つ5つの発見力
偉大なイノベータは誰?と聞かれて誰を思い浮かべるだろうか。アップル創立者のスティーブ・ジョブズ、テスラモーターズCEOのイーロン・マスクは紛れもなくその一人だ。
では、ジョブズやマスクは私達より何が秀でているのか。社会を動かすほどのイノベーションを起こした要因は何なのか。それは私達にも真似できるようなことなのであろうか。
ハーバードビジネススクールの看板教授であり、イノベーションの権威である、クリステンセン教授らは、共著書「The Innovator’s DNA 」において偉大なイノベータに共通する能力は「5つの発見力」であると結論付けた上で、これは後天的に手に入れることができる力であると主張する。
あなたは以下で説明する5つの能力のうちいくつあてはまるだろうか?そしてそれを身に着けるためにあなたはどういう努力をすべきなのか。
これらの発見力を身に着けることができたなら、次に偉大なイノベーションを起こすのはあなたかもしれない。
偉大なイノベータが持つ5つの発見力
発見力 ①:関連付け思考(Associating)
一見関係のないと思われている質問や問題、違う分野同士のアイディアを関連付けることのできる思考力のことを関連付け思考力(Associatiing)と呼ぶ。この関連付け思想はこれから先紹介する発見力を結束させる核になる力であり、これを身に着けることで残りの4つの発見力の質は飛躍的に向上する。
「メディチエフェクト」と呼ばれる様々な分野がつながりあう交差点で革新的なアイディアが生まれるという現象もこの関連付け思考がベースとなっている。
例えばスティーブ・ジョブズは会社にエンジニアやデザイナーだけでなく、哲学者や詩人なども雇い意見を交わした。さまざまな視点のアイディアがぶつかり合ったことが独創的なアイディアを創出した大きな要因であるとジョブズ自身が主張している。
自分の分野とは一見すると違う分野の情報に対しても積極的に触れることで、全く新しい視点から今までやっていたことを見ることができる。
発見力 ②:質問力(Questioning)
重要なことは正しい答えを見つけることではなく、正しい質問を見つけることである (The important and difficult job is never to find the right answers, it is to find the right question
これは「マネジメント」の発明者であるピータードラッカーが50年以上前に刺激的な質問の力について言葉だ。抱いた疑問が本質でなければ、当然それによる解も本質ではないことが多い。しかし核心を突いた疑問を持つことができたなら、その疑問を解決したときその答えがイノベーションの種となる可能性をもっている。
例えば、米フォーブス誌が選ぶ、「世界で最も革新的な企業」において4年間連続でランキング1位を取り続けているSalesforce.comの起源となったのは、「なぜ私たちはソフトウェアのアップロードやアップグレードをインターネットでするようにならないのか?」という基本的な質問からであるという。
この疑問からSalesforce.comは業務アプリケーションをウェブサービスとして提供するというコンセプトのもとで会社を設立した。その結果SaaS(Software as a service)タイプの本格的なクラウドコンピューティング・サ-ビスを提供を先駆けて行った。
なぜそうなるのか?もしそうしたらどうなるのか?と考えるということは一見難しいように思えるが、子供の時、身のまわりのいろんなことが不思議で疑問を持っていたことはあなたにもないだろうか?大人になってもその童心を忘れず、様々なものに興味を持っておきたいものだ。
発見力 ③:観察力(Observing)
優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む (Good artists copy. Great artists steal)
スティーブ・ジョブズが引用したことで広く知られている、有名画家ピカソの名言だ。
ただ真似をするのでは、オリジナル以上のものを作ることはできない。観察を重ねることで、他人の能力を自分自身に吸収し自分の能力と組み合わせることで、オリジナルを超える可能性を手に入れることができる。
ビジネスにおいても、革新的なアイディアを創出する能力を持つ人間は、実際に人を観察したり、直接質問をすることで、その能力やニーズを自分自身のものとして思考することができる。つまり他人を観察することで客観性を自らにとりいれるのである。
観察力はデスクワークばかりをしていては身につくものではない。様々なところに目を向けたとき、今まで見落としていた発見ができるかもしれない。
例えばヴァージン・グループ創設者である、リチャード・ブランソンは、ビジネスプランを創出する際、何時間もオフィスにいても意味がないといってそれを嫌っている。ヴァージングループが成長している最中ですら、ブランソンは生活も仕事も自身のの中でクルーザーで行い、会議は子守をしながら行ったという。
発見力 ④:実験力(Experimenting)
私はまだ失敗していない。ただうまくいかない方法を1万通り発見しただけである(I haven’t failed. I’ve simply found 10,000 ways that do not work.)
偉大な発明家でありゼネラル・エレクトロニックの創業者であるトーマス・エジソンが遺したこの名言は有名だ。エジソンは何度も何度も試作品を作り、動かなければ違うやり方を試した。実験を重ねることで得られることが大きな成功への礎となっている。
実際にサンフランシスコでも、プロトタイプを作成し、ユーザーの反応をうかがい、検証し、そこから得られた反省点から次なる仮説をたて、プロトタイプを再度作成する、という流れを繰り返す開発手法が多く取り入れられている。イノベーターにとってこの世界市場こそが研究所であり、プロトタイプを通して観察、修正していくのである。
発見力 ⑤:ネットワーキング力(Networking)
多様な背景を持つ人々とのネットワークを通して、アイディアを見つけたり、アイディアを説明してフィードバックをもらうことに時間や労力を使うことで劇的に違う見方を身に着けることができる。
イノベーティブな企業家は自分たちを売り込む多くの役員とは違って、違った種類のアイディアや視点を持った人間と触れ合うことで、自分の知識やドメインを広げようとするのである。
サンフランシスコではネットワークの重要性の認識がすすんでおり、毎晩、どこかの企業がネットワークイベントを開催している。私自身サンフランシスコに来てから、仕事終わりにイベントに足を運ぶことが多い。
イベントには必ずネットワーキングの時間が設けられており、そこで他人と会話をする中でフィードバックをもらう。後日、会社に訪問して、話をする約束が交わされるシーンに遭遇することもよくある。
実際にbtraxでも先月行ったイノベーションプログラムでも、そうしたつながりで出会った人々がメンターとして参加し彼らの専門分野を生かしたフィードバックを日本企業に提供した。日本国内では得ることのできないような先進的な知識や知見を基にしたアイディアを得ることができたことで、参加した日本企業の方々は価値を感じていただいたようだ。
心が変われば行動が変わる
これで、5つの発見力についてすべて紹介したが、イノベーションを起こすために重要なのは、単なる知識ではなく、知識を得るための行動である。ということは理解していただけただろうか?
5つの発見力を身に着けるためには自ら行動を起こす必要がある。
アメリカを代表する心理学者であるウィリアムズ・ジェームズの”心が変われば行動が変わる”という言葉は私も昔憧れたプロ野球選手である松井秀喜が座右の銘としていることで有名だ。つまり、行動を変えるためには、自分自身の心の持ちようを変える必要がある。
いくら他人に「こうするべきだ」と言われても、自分自身が他人の主張を理解し、共感できなければ行動を変えることは難しい。逆にいうと、その理由を理解していれば、自分がどうするべきかは自ずと理解できるのではないだろうか。
まとめ: イノベーションを生み出す第一歩はマインドセットから
今回紹介した5つの発見力をもう一度まとめると、
- 関連付け思考力
- 質問力
- 観察力
- 実験力
- ネットワーキング力
である。これらの力は自分自身が行動することで後天的に身に着けることができる力であり、自らの行動を変えるためには自身の心持ち、つまりマインドセットを変える必要がある。
マインドセットはすぐに変えるのは難しいものだ。まずは、身の回りの様々なことになぜ?という疑問を投げかけることを心がけるだけでも新しい発見が生まれるかもしれない。
btraxが提供するイノベーションプログラムでも、サンフランシスコのイノベーターのマインドセットに直接現地で触れ、
共感し、日本に持ち帰ってほしいという思いをこめてプログラムを構築をしている。
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