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非デザイナーから見たデザインの現場
初めまして、日本の大学を休学し、10月からbtraxでインターンとして働いている田制明日香と申します。
btraxの社内を大きく分けるとデザイン/制作とマーケティングの2つの部署で構成され、私はマーケティングチームに加わり、社内外のプロジェクトのアシスタントとして働いています。
btraxは企業の海外向けブランディングや、スタートアップ向けのUI/UXデザイン、プロモーショナルマーケティング向けデザインなどのプロジェクトを手掛け、Webデザインだけではなく多様なデザインサービスを提供しています。
最近ではbtraxは日本のスタートアップ企業の海外進出向けのマーケティングサービスやイベント開催等で知られていますが、btraxのメインサービスはデザイン関連であり、スタッフの約半分はデザイナーです。アメリカではこのような会社はクリエイティブ・エージェンシーと呼ばれています。
私はデザイナーではありませんが元々デザインには大変興味があり、実際にこのようなクリエイティブな環境に身を置くと毎日新鮮な刺激を受け、自分なりに”デザイン”というものを考え直す機会が数多くあります。これまでのインターンを通じて非デザイナーである私がデザインの現場で学んだ事をまとめます。
デザインのクオリティーはビジネス成果と直結
デザイン会社で働き始め、まず最初に気付くポイントは、デザインの品質がビジネスの成果に直接影響するということ。同じような商品やサービスを提供しても、パッケージ、パンフレットやサイトのデザイン等のデザインの違いが売り上げに直接影響します。また、デザインの役割はターゲットとする客層に最適なメッセージを提供し、クライアントのビジネス価値を最大限引き出す事が求められます。こ
のポイントを踏まえ、Calbeeの北米進出向けブランディングプロジェクトでは、既存の国内でのブランドイメージに捕われる事無く、自由な発想に基づいて最適なデザインを創作したサービスをアメリカ市場に提供しました。その際も、社内チームではクライアントのビジネス的結果を一番に考え、ブランディング/デザインサービスを提供したと教えて頂きました。
デザイナーは才能よりも努力
インターンとして働き始め一番驚いたことは、良い意味でデザイナーは”地味”であるということ。当初デザイナーは天性の才能と個性を生かして仕事をするものだと思っていましたが、デザインの仕事の90%程は理論に基づいて進められ,残りの10%の部分でそれぞれの個性などを出すことができるそうです。逆に言えば、デザインの才能が無いと思っている人でも努力してデザイン理論を学びさえすれば、プロとして通用する可能性もあるということです。
マーケティング部とクリエイティブ部は表裏一体
btraxでは、マーケティングチームとクリエイティブチームが密接に関わって1つのプロジェクトを進めて行きます。特にプロモーション系のキャンペーンを行う場合、マーケティングチームの企画力やメディアとのコネクションとクリエイティブチームのデザイン力を融合させ、一つのサービスを提供します。クライアントにとって最も効果的で最善のソリューションを提供するという目的を達成する為に、ロジカルなチームとクリエイティブなチームが日々意見を闘わせているのを目にします。
良いデザインを生み出す秘訣はクライアントとの信頼関係
デザイナーにとって一番のチャレンジは、クライアントから信頼を得ることです。クライアントとの信頼関係がしっかりと構築されている場合、こちらから提出するマテリアルに対して安心して了承をして頂けます。一方で、事前に信頼関係が出来ていない場合、こちらからのプロとしての意見よりもクライアントの主観が入ってしまう時がある為、結果に結びつく良いクオリティのものが出来にくくなってしまう時があります。btraxはクリエイティブ・エージェンシーとして数多くの優秀なデザイナーを抱えていることに自信がある為、安心して仕事を任せて頂けることが大変嬉しいなと感じます。
Webやモバイルサービスの成功の秘訣はUI/UX
以前に書かれたこちらの記事の通り、Web/モバイルサービスがヒットするかどうかはそのUI/UXのクオリティーに左右されます。特にアメリカのユーザーはシンプルなものを非常に好み、少しでも使いにくいと感じるとすぐに使わなくなってしまうので、細かい注意を払う必要があります。そのような文化の違いから、このサンフランシスコ周辺のスタートアップや企業が提供するアプリのUI/UXにおけるデザインクオリティーは非常に高く競争率も激しいです。実際にbtraxが日本のアプリを海外向けにローカリゼーションする際もUI/UXの改善から行うケースも少なくありません。
良いUI/UXを構成するのはビジネス+システム+デザインの融合
インターフェースやユーザーエクスペリエンスはデザインに密接に関わってる為、デザイナーから提案をするものだと思っていました。しかし実際は、デザインという観点だけではなくビジネスとシステムという観点も必須であり、そのビジネスとシステムとデザインとのバランスが非常に難しく重要です。
ユーザーに対して望むアクションを起こしてもらう、コンバージョン率や複雑なシステムをどのようにして直感的な使い易さに変換して行くか等、それぞれの分野の知識やインプットが最適なバランスで融合された時にやっと優れたUI/UXを作ることができます。単純に綺麗な画面やスムーズな動きを作ることだけでは成功することは厳しいと感じます。
もの造りはプロセスが重要
最終的に出来上がったデザインだけを見ると、誰にでも作ることができるシンプルなものだと思うときがあります。しかしながら、それに至るまでの背景や哲学等のプロセスが非常に複雑且つ重要です。単純に同じようなものをデザインしたとしてもその裏に明確なビジョンがない場合、その良さは伝えることはできず結果にも結びつけることは難しいと思います。単純に見えるデザインでも奥が深く、大変興味深いポイントです。
良いデザインはシンプル
良いデザイナーは削るのが上手く、そして良いデザインは究極なまでにシンプルになっています。例えば、企業のロゴを一つとっても長い間愛されているものはやはりシンプルであり、飽きがこないものが多いと思います。単純にデザインというと、”誰も真似ができないような独特なもの”を想像してしまいがちですが、プロのデザイナー達が創り出す作品はシンプルに洗練されているものです。
シンプルなものほど造るのが難しい
そして、シンプルなデザインは作るのに多くの労働力と時間を要します。完成されたものだけを見ると短時間で作ることができるように見えますが、そこに行き着くまでには多くの議論と実証を繰り返しています。クライアントの方に満足して頂く為に背景にある情報をしっかりとコンセプトとして説明することもデザイナー達の仕事になります。
良いデザインは言語の壁を超える
最後にデザインのチカラで言語の壁が超えることができるということを強く感じます。品質の良いデザインは少ない説明のみでメッセージがクリアに伝えることができ、無意識に消費者の心をくすぐります。これは万国共通であり、例え母国語でさえも多くの人はあまり多くの文章を読むことを好まない為、btraxがアメリカやアジアの企業向けにローカリゼーションを行う際にも文字で伝えるのではなくデザインで”魅せる”方法を取っています。
インターンを始めて2ヶ月程が経過しましたが、毎日非常に密度の濃い勉強をさせて頂いてます。様々なものが溢れている時代の中これからはどのような仕事をするにしてもデザインの観点は重要視され、それが大きくビジネスに影響することは明らかです。また長年使用される作品は世界中のあらゆる所で通用し普遍的なものであり、マーケティングセンスだけではなくそれと同じ程にデザインを洗練させることが激しい競争を生き残る為に必要不可欠になっています。
筆者: 田制 明日香 @asuponnne
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