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ついついFacebookを開いてしまう科学的理由
仕事や勉強をしなければならないのに、気づいたらいつのまにか閉じたはずのFacebookを見てしまっている。そんな経験は無いだろうか?特に理由も無く、次から次へと流れてくる友達の写真を見たり、見ない様にしていてもどうしてもメッセージが来てしまったり。
そんなFacebookの魔力に引き寄せられるユーザーも少なく無いはずである。実は頻繁にFacebookを開いてしまうのは偶然ではなく必然的にそうしてしまう心理学的な理由があった。
なぜユーザーはFacebookにとりつかれるのか。その理由を科学的に解明してみたいと思う。
Facebookは脳の快感細胞を刺激する
最近の調査によると、ユーザーがFacebookにアクセスすると、”そくざかく (側坐核)”と呼ばれる前脳に存在する神経細胞が刺激されるとの事が分かった。この細胞は、報酬や快楽等のポジティブな刺激に反応する。これにより、Facebookを見るたびに脳細胞がポジティブに刺激される。
また、Facebookの画面を見ると、目の瞳孔が拡張するケースも報告されている。これは、新しい能力を取得した際や、プロジェクトが完了した際などにみられる”フロー”と呼ばれるハッピーな精神状態に起るのと同じ現象だという。
Facebookには、まさに心身ともにユーザーを虜にする秘密があったのだ。
なぜユーザーは”いいね”を押すのか
Facebook上で最も頻繁に行われている動作が、”いいね”, 英語だとLike. 本来は友達がポストした内容に対してポジティブな感想を表現するボタンであるが、なぜ人々は”いいね”してしまうのか。
米国の研究機関、 Pew Research Centerの調査によると、アメリカでのFacebookユーザーの平均44%が一日に最低でも一回友達のポストに”いいね”し、29%は一日に数回以上も”いいね”ボタンを押しているという。では、なぜユーザーはそこまでいいね”したがるのだろうか。
1. 手っ取り早く賛同出来る
やはり一番の理由は、文章に書かなくても相手のポストに対してポジティブな表現や、賛同の意思を伝えられる事。逆にいいねボタンが無いと、なにかしらの文章で表現しなければならなくなる為,自分の気持ちを伝えるのにはかなり手間がかかってしまう。
2. ささやかなる自己表現
無意識のうちに行っているユーザーも多いのだが、”いいね”する事によって自分自身の趣味や嗜好を表現しているケースも多い。米国のFacebookユーザー5万8千人を対象に行った調査では、何に対して”いいね”したかのデータを元に分析する事で、95%の確率で白人か黒人かの判別が可能。同性愛の男性かどうかは88%, 性別は93%の確率で判定するシステムの構築が可能だという。
3. 友達への仲間意識を高める
ユーザー内でも特定の人々のポストに対し”いいね”する事により,同調の意を表す事で、仲間意識を高める効果がある。Psychology Todayの調査によると、ソーシャルメディアやメッセージ機能を多く利用するユーザーは、ネット上でも実生活でも友達との同調性が高い事が実証されている。
4. 具体的なメリットがあるから
他のユーザーのポストだけではなく、企業やブランドのページをLikeする場合は、割引コードやプレゼント等がもらえる等、実益を期待しているケースが多い。一方で,Likeしないユーザーは、企業ページからの過度な情報を得たく無いというのが理由。
なぜコメントするのか
“いいね”の次はコメント機能。言いたい事があるからコメントする。当然である。一方で、受け取ったユーザー視点で考えた場合、”いいね”を押されたときよりも、コメントを残してもらったときの方が、喜びが大きい事がMoira Burke氏による調査で分かった。
同調査によると、コメントは寂しさを和らげる効果があり、メッセージを直接もらうよりも、他のユーザーが見ている可能性のある、公共の場でメッセージ交換をする方が、寂しさが減少するという。
また、Facebookが持つアルゴリズムからみても、安易に”いいね”するよりも、本当に気になる内容にコメントを残した方が、そのユーザにとってより好みに合うコンテンツが表示されるようになるという。
加えて、コメントは、より正確な自己表現だけではなく相手への喜びも大きい。
何故ポストやステータス更新を行うのか
意外な事に、友達のポストや写真に対して”いいね”したり、コメントを残すユーザーが多いのに対し、自分自身のステータスを変更しないユーザーが多い事がPew Researchの調査によって分かった。
- 自分のFacebookページに毎日ポストするユーザーは全体の10%
- 一日に数回以上ステータスを更新するユーザーはわずか4%
- 25%のユーザーは自分のページを更新しない
では、その中でもどういう時にどのようなモチベーション、目的でポストを行うのだろうか?Facebookへのポストに関する科学的な理由を紹介する。
ポストする事で”つながり”を感じる事が出来る
アリゾナ大学が同校の学生を対象に行った調査でも、コメントと同じく、ステータス更新を行うユーザーの方が寂しさを感じにくい事が分かった。実は他のユーザーから”いいね”やコメントがもらえなかった場合でも結果は同じであった。これは、ポストを行う事自体で世の中とのつながりを感じる事が出来るのが理由だと考えられる。
その一方で,他の友達よりも自分のポストの方が”いいね”やコメント数が少ない場合は、”つながり”の意識が減少してしまう事も分かった。
ポストを行わないその理由
では、逆にポストをしないその理由を解明してみる。Facebook社のリサーチチームが17日間にわたり、380万人のユーザーのポスト内容を調査したところ、71%のユーザーが期間中、最低でも1つのポストを書いても、最終的に一般公開していない事が判明した。
その理由として、誰に向けて届けようとしているコンテンツかを選定出来なかった場合、ポストしないのではないかと考えられている。
特に多くの異なる友達と繋がっているユーザーの場合、友達全員向けのポストを行うのは難しく、ポストを躊躇しがち。一方で、他のユーザーのポストにコメントを残す方が、対象ユーザーが選定しやすい。
むやみやたらにFacebook上での友達が多いと、逆にポスト内容が気になってしまい、心理的にステータス更新が出来にくくなる恐れもあるという事である。
シェアする動機
数年前にニューヨークタイムスが、シェアをする動機に関しての調査を行った。現在でもこの調査は正確な内容として認識されている。それによると、シェアする理由は下記の5つに分けられる。
1. 面白く価値のあるコンテンツを他のユーザーにも届けたい
49%の人達が自分が好きな商品やサービスを友達も知らせる為にシェアをすると回答
2. 自己表現の為
68%がシェアする内容を通じて、親しい人達に自分自身を表現していると回答
3. 交友関係の向上
78%の回答者は普段あまり関わる事の少ないFacebook上の友人のポストをシェアする事で、交友関係の向上を実現していると回答
4. 自己満足のため
69%が世界と繋がっているという実感を得るためにコンテンツをシェアすると回答
5. 社会貢献のため
84%の回答者が世の中における活動等の情報をシェアし、サポートを促す事で社会貢献に寄与したいと回答
よりエンゲージを得る方法
これらの情報をふまえ、マーケティング面から、よりユーザーからの”いいね”やコメント、シェアなどのエンゲージメントを得る方法を幾つか考えてみる。
- 面白い内容や有益な情報を提供し、ユーザーがそれをシェアする事で彼らの商品欲求を満たす
- かっこ良いブランドや、画像、動画コンテンツを提供し、ユーザーの自己表現に利用してもらう
- ユーザー同士の会話のきっかけやコミュニケーションを促進するような内容をポストする
海外ユーザーは日本国内よりも全体的なシェア率が高い
また、世界的のFacebookユーザーを調査した結果のおける統計は下記の通りであるが、日本国内のデータを見ると、シェアする率自体が低く、世界平均とかなり異なる事が興味深い。
世界平均:
- 興味深いコンテンツをシェアする: 61%
- 重要な内容をシェアする: 43%
- おもしろコンテンツをシェアする: 43%
- 自分の考えや本当の自分を伝えるため: 37%
- 商品、サービス、映画、本等をオススメするため: 30%
- 社会的活動や団体、思想をサポートするため: 29%
- 珍しい内容をシェアする: 26%
- 今何をしているかを伝えるため: 22%
- 会話に参加するため: 20%
- 知っているという事を示すため: 10%
日本国内平均:
- 興味深いコンテンツをシェアする: 48%
- 重要な内容をシェアする: 15%
- おもしろコンテンツをシェアする: 35%
- 自分の考えや本当の自分を伝えるため: 19%
- 商品、サービス、映画、本等をオススメするため: 16%
- 社会的活動や団体、思想をサポートするため: 6%
- 珍しい内容をシェアする: 13%
- 今何をしているかを伝えるため: 31%
- 会話に参加するため: 9%
- 知っているという事を示すため: 11%
これでも分かる通り、Facebookを通じたマーケティングやブランディング施策は日本国内向けに行うよりも高い効果が見込まれる。
そのため、米国や海外ではFacebookを利用したマーケティングが、オンライン広告などの他のマーケティングキャンペーンよりも注目されている。より詳しい内容にご興味のある方は、ビートラックスまでお気軽にお問い合わせ下さい。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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