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  • Mao Kawashima

    Mao Kawashima

    Growth Hacker

    Growth Hacker at btrax. His work focuses on data analysis, UI/ UX design and front-end development. He also serves a key role in organizing major btrax events such as JapanNight 7.

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  • Feb 15, 2015

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数字として結果に繋がらないデザインに価値はないのか?

求められる結果に対して最良のプロセスを導きだすのがデザイン、及びデザイナーの仕事だとすると、数字として結果に繋がらないデザインに価値は無いのであろうか? どんなに見た目が良いデザインでも売り上げに繋がらなければ、優れたデザインとは見なされないのか? 逆にどんなに美しく無くても、クリック数やコンバージョンの高いページや広告は素晴らしいのであろうか?

このような議論はデザイナーの間では普遍的にかわされている。場合によっては「見た目のクオリティーを犠牲にしても良いのでとりあえず問い合わせ数のアップするページをデザインして下さい」等の依頼がクライアントから来るケースも少なくは無い。クライアントの目的を果たしたいと思うと同時に、素晴らしいデザインを世の中に生み出したいと感じているデザイナーの立場からすると常につきまとうジレンマである。

そもそも優れたデザインを施す必要性がどこにあるかを考えた時に、端的かつ明確に説明する事は意外と難しい。そんな中でも世界有数のデザイン会社、ピニンファリーナの創始者であるバッティスタ・ファリーナはその昔、デザインの重要性をこう語る。

  1. 優れたデザインは人間が本能的に魅力を感じるので必要である
  2. 優れたデザインを施した商品は売れる

フェラーリを初めとして多くの人々の心を惹き付け、手がけた商品の売り上げに大きく貢献している同社の創始者の言葉を借りると、1は感性的に、2はデータとして、優れたデザインの存在価値を定めている。

デザイン的直感 VS データ

それではあらゆるもののデータ化が進んだ現代では、数値としての結果に表す事の出来ないデザインの存在価値はいかなるものであろうか。逆に、数値として結果は出るが感性的に魅力がないデザインの価値は高いのだろうか?「デザイン的直感」と「データ」の特徴を比べつつ、考えてみたいと思う。

デザインにおけるデータの果たす役割

正しく価値を数値化する「データ」

データの強みは人間の直感的感覚を超えて、実際のデータを測定することでどちらのデザインがより良い結果をもたらすか具体的な数値を持って示すことが出来ること。そしてこのデータの数値は常に正しく、解釈を間違えることはあってもデータ自体が間違っているということは起こりえない。これにより、いくつかのデザイン案を考案し、どのデザインを用いるかを実際にテストをして最もデータが良かったものを使う事が出来る。そうすることでそのデザインがどれだけビジネスに影響するかをある程度、数値化することが可能。

データだけに依存しすぎる危険

しかしながら、データにも欠点があるのもまた事実。以下の2つのCheck out ボタンを比べて見て欲しい。
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左のCheckout ボタンはシンプルすぎるゆえに、クリック率が低くなりがちである。しかし最大限クリック率をあげるように限界までデザインを施していくとそもそもデザインとしてださくなり、誰が見ても良くないデザインになってしまう。いくらクリック率があがるとしても右のようにデザインを変えることは良い施策と言えるだろうか?データは1つのコンバージョンのみをトラッキングするがゆえに、全体としてのデザインやブランディング、エクスペリエンスを気づかぬうちに壊しかねない。上の例は行き過ぎた例であるが、例えばボタンの色は赤い方がコンバージョンがあがるという考え方があるが、もしウェブが他の色を中心に作られており、赤いボタン自体が全体のブランディングを壊してしまうようでは本当に良い施策と言えるのかはわからない。データだけに頼り、決定をしていくことが常に正しいとは限らない。

デザインのきっかけ作りと検証に有効

ではどのようにデータを使えば良いのだろうか?

データはユーザーの実際の動きを数値化することでデザインプロセスにおいて重要な役割を果たす。特に、何か弱いポイントを探すときにデータを用いる。例えば、ここに何か欠陥がある、とか、なぜたくさんのユーザーをここで失っているのかなど。それは新たなデザインを生み出すインスピレーションになる。またデザインの効果を検証する際にも有効である。

参考記事: デザインがビジネスに与える影響 〜収益週200ドルのAirbnbが急成長した秘訣とは〜

デザイン的直感の生まれ

一方で、簡単に数値化することが出来るデータとは真逆で一朝一夕に身に付かないのがデザイン的感性。では、デザイナーはどのようにして直感と呼ばれるものを身につけているのだろうか?

デザインは天性の才能ではない

googleやFacebookといった世界的にも有名な企業で働いているデザイナーというのは天才的感性を持っていて、その才能で多くの決定を行っているのかと思いがちだが、実はそんなこともないのかもしれない。Google +でLead UX DesignerをつとめるBrynnはこう語る。

“私は自分のデザインの多くは、第六感とも言える直感が元になっていると思っていたわ。でも実際に元になっていたのは今まで取り組んできた多くのリサーチから来るものでした。”

生まれながらに、ユーザーが求めているものをデザインする能力や今までにないものをデザインする感性を持っているわけでは決してなく、自然に生活している過程で、自分を取りまく日常の環境へ最大限の注意を払うことで細かなポイントに気づく。人によって得意不得意はあるこそあるものの人間が本来持つパターン認識能力により、意識することで新たなデザインやデータに出会うたびに気づきや経験の積み重ねで感性というものがだんだんと研かれていく。こうした経験の積み重ねによって作り上げられた感性や直感は、時にしてデータからでは造り出せないようなクリエイティブなデザインを生み出しているようにも感じる。

ピカソが絵にかける時間は?

こんな話を聞いたことがある。ピカソが絵を書いて欲しいと頼まれたときのストーリー。たった5分でささっと絵を書いてしまい、「お代はいくらか?」と値段を尋ねるとなんと、5000ドル。たった5分じゃないか、と尋ねるとピカソはこう答えた。「5分じゃない、5分+この絵をかけるまでに生まれてからの数十年かかっているんだ。」と。あのピカソですら、長い時間をかけて感性を身につけている。

ではデータとデザインどちらを採用すべき?

データと直感どちらも異なった強みを持つが、デザイン性を最高のレベルに保ちながら、データも用いて結果を出すことは簡単ではない。時にはどちらかを犠牲にしなければいけない決断をしなければならないがどちらを優先すべきだろうか?

google venturesのDesign PartenerであるBraden Kowitzによると、

“80以上のチームと仕事をした経験のある私からすると、データは重要であるが、今までの失敗を含めた全ての経験の積み重ねとも言えるデザイン的直感を覆すものではない、エンジニアリングとデザインがより近づいた今となっては、最も大きなチャレンジはデータと直感のバランスを取りながら決定をしていくことである。”

状況によって最終的な判断をデザイン的直感によって行うのか、データによって行うのかバランスを判断していくことが重要である。一概にどういう場合にはどちらを使った方が良いと簡単に言う事は出来ないが、以下が目安にすべきポイントになるのではないかと思う。

1. ユーザー行動の分析をしたいとき: データ

ウェブやモバイル上におけるユーザーの動きを分析する際に頼るべきはデータ。人間の95%の動きは無意識で行われており、データを用いることでこれらの行動を分析することができる。また例え消費者がレインボー色のサスペンダーを絶対付けないと言っても、誰もが見ていないところで人がなにしているのかわからない。そんな誰も見ていないところまでもトラッキングする事が出来るのが、ウェブ上のデータであり、これを有効的に使う事で普段見えていない事実まで見えてくる可能性がある。

2. プロダクトのクオリティに関する決定を行うとき: 直感

プロダクト全体のクオリティに関する決定を行うときはデザイナーの直感を頼るべき。例えばボタンを3pixel左にずらすことでデータがどうこう変わるということにはならない。しかし、これらの小さな細かいところのが集合体が、全体のクオリティを生み出す。そしてこの全体としてのクオリティはデータで測れるものではなく、デザイナーの勘が最も頼れる指標になってくる。

3. 小さなオプションに関する決定を行うとき: データ

ホームページ上のヘッダーのキャッチコピーや、小さなデザインなど、全体のブランディングに大きな影響を与えない部分での変更はA/Bテストなどのデータを信頼して決定を行うべきである。いくつかの候補を用意し、テストすることで最も効果的なオプションを選択する事が出来る。

4. 長期間のブランド形成に関わるとき: 直感

ブランディングはA/Bテストやデータによって簡単に計ることは出来ない。しかし、デザインを研ぎすませ、長時間かけて少しずつ評判を積み重ねていくことでブランドが形成されていく。データに基づき、そのときのコンバージョンのみに捉われた決定のみを行っていくとブランディングは形成されにくい。常に直感的なデザイン性を優先し、データを優先した決定を行うときはブランディングが損なわれないかどうか常に気を配っておく必要がある。

デザインは問題解決のための手段

原点に立ち返ってみると、デザインとは目的を果たす為の手段であり、デザインはこうあるべきという考え方は成立しないのかもしれない。例えば、ださくても良いからとにかくクリック数だけをあげたいという目的に対してデータドリブンで進めていくのも1つのデザイン。反対に、数字の結果はいらないからとにかくかっこいいものを作りたいという場合には、データを無視して直感主導で進めていくのもまた1つのデザインである。最悪なのは、目的やゴールなく、何となくデザインを進めていくこと。

高級レストランの看板とドンキホーテの値札のデザインを考えてみるとわかりやすい。この2つは明らかに目指しているゴールが異なる。高級レストランの看板は高そうで豪華そうにデザインを必要としており、ドンキホーテの値札は値段が安く見えるようなデザインが欲しいわけである。一見ドンキホーテの値札のデザインは、デザイン性という面では良いデザインとは言えないかもしれないが、売っているものを安く見せたいという目的を達成するための手段としての役割をデザインは果たしている。この2つの間でどちらの方がコンバージョンが高いか、どちらの方がデザイン性が高いかという議論は存在しない。目的を達成するための手段としてデザインがなされるわけであり、目的が違うところでデザインの優劣は付けられない。

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ドンキホーテの値札(左)とエルメスのディスプレイ(右)

逆に、理由なく説得力のあるデータだけに頼ってしまったり、コンバージョンをあげたいのに自己満足のためにかっこいいだけのデザインを行ってしまうと、目指す目的を失い、だんだんとゴールからかけ離れていってしまう。

大切なことは、時に数字、またはデザイン性のどちらを犠牲にしなければいけないことを理解しつつ、自分のゴールを達成するためにデザイン性とデータのバランスを正しくとりながら、デザインを実行していくことなのではないだろうか。

筆者: Mao Kawashima/ btrax, Inc

photos by Steve wilson
参考記事: http://www.gv.com/lib/design-instinct-vs-data

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