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テクノロジー×フード – THE MELTが提供する次世代のユーザーエクスペリエンス
みなさんは「サンフランシスコ」という言葉を聞くと何を思い浮かべるだろうか?ゴールデンゲートブリッジ、ヒッピーの町、霧の町など様々なイメージ。その中の一つに必ずあがるのが「テクノロジー」や「スタートアップ」であろう。
事実、サンフランシスコ周辺にはシリコンバレーもありテクノロジー系のイベントが頻繁に行われている。そんなテクノロジー、スタートアップの町であるサンフランシスコで近年現れた流れが、食品とITを融合させた「テクノロジー×フード」であり、そのうちの一つがFast Casual Restaurantと銘打っているサンドイッチチェーン、THE MELT である。
THE MELT とは?
THE MELTはサンフランシスコを拠点とする、「カジュアルなファーストフードレストラン」で、現在カリフォルニア州内に23店舗展開している。その理念は”Grilled Cheese Happiness”。その通り、定番メニュー(The Classic)を見てみると、こんがり焼いたパンにチェダーチーズを挟んだという、とてもシンプルなサンドウィッチである。ではなぜこのTHE MELTがテクノロジーと関わってくるのかみていこうと思う。
テクノロジー × チーズ?
実はTHE MELTのファウンダー Jonathan Kaplan はもともと飲食業界の人物ではないのだ。Kaplan氏は元々アメリカで人気を博した携帯型ビデオカメラ、「フリップビデオ」を開発したピュアデジタル社(後にシスコ社が買収)のファウンダーである。彼のキャリアはまさに脱サラならぬ脱テクノロジー。そんな彼がグリルチーズレストランを始めた理由として彼はこう答えている。
Because grilled cheese makes people happy,” Mr. Kaplan said. “Software technology that I sell to Burger King doesn’t make anyone happy except the I.T. guy. What fun is that?
「Grilled Cheeseは人を幸せにする。私がバーガーキングに売ったソフトウェアテクノロジーはIT関連の人々しか幸せにできない。それのどこが楽しんだ?」 ~ Jonathan Kaplan
この考え方がのちの理念である”Grilled Cheese Happiness”を生んだのであろう。きっかけはとてもシンプル、しかしながらその経営手法はシリコンバレーで培ってきたノウハウを思う存分活用している。チームのメンバーはどれも各分野で活躍してきた人ばかりだ。
ミシュランの星を獲得した経歴を持つMichael Mina、JC PenneyのCEOも務めた事のある、Ron Johnson 、Sequoia Capital のMichael Moritz、そして Benchmark CapitalのBruce Dunlevie。このように各方面で活躍している人々を集め、THE MELTはスタートしたのだ。
そしてTHE MELTの特筆すべき点としては、その統一したブランディングと、まるでスタートアップのプロダクトに見られるような卓越したユーザーエクスペリエンスである。チーム、プロダクト、ユーザーエクスペリエンス、それぞれが素晴らしい。それでは次にTHE MELTが提供する顧客体験のいくつかを紹介しよう。
THE MELTが提供する卓越したエクスペリエンス
1.画期的なオーダー方法とメニュー
THE MELTの一つの特徴がそのオーダー方法だ。THE MELTではiPhone appやホームページで事前に注文をしておき、あとはピックアップするサービスも行われており、とても効率的でスマートといえるだろう。普通にお店で注文する際にもそのスマートさを体験する事ができる。
注文する際に自分のイニシャルを聞かれ、出来上がるまで店内にあるモニターで自分のオーダーの進捗状況を知る事ができる。そしてFast Grilled Cheese Restaurantと銘打っているように、注文したものが出てくるスピードも速い。
飲食店でよくあるミス、例えば自分の注文を忘れられていて待ちぼうけ。なんということもなく、自分のオーダーが出来上がるまできちんとモニターをみながら待つ事ができる。他にも、オンラインで9回オーダーすると10回目に無料で食べられるというサービスも行われている。
そして肝心のメニューだが、基本的に焼きたてのパンを挟んだだけのサンドイッチというスタイルは貫いており、実にシンプルである。メニューにおいて最も注目すべき点は、すべて自然食品という点。「ファーストフードレストラン」という名前だけ聞くと不健康に聞こえるがTHE MELTは食材まで こだわり抜いているのである。ホームページにはこのような成分表をみる事ができ、食品に関して自信がある事が伺える。
2.社会貢献
THE MELTは社会貢献活動も盛んである。THE MELTはfeelgoodという、アメリカの大学をベースに、Grilled Cheese Sandwich を提供する代わりに、募金を募り世界の飢餓をなくす活動をしている団体と提携し、“Round-It-Up”という活動をしている。
例えば、 THE MELTでオーダーをし、切りが悪い値段になった場合に四捨五入で切り上げをし、その切り上げた分をfeelgoodを通しfeelgoodからアメリカの支部のある大学に送られ、飢餓で苦しんでいる人々に送られる。
ただ単に募金をするというだけでなく、feelgoodをいう団体を支援しつつ、そこから間接的に飢餓で苦しむ人々も助ける活動もしているのだ。さらには、驚くべき事に、THE MELTで使われているコップなどはすべてリサイクルまたは堆肥できるようになっており、店内にはゴミ箱が見当たらない。(店員がすべて回収する仕組みになっている。)客にはもちろん、環境や社会にも配慮しているのだ。
3.効率的な運営
THE MELTは店舗を構えるだけではなく、ほかにもトラックでも運営している。実際にTHE MELTのホームページにいってみると、トラックを予約する事ができるページが出てくる。その点についてKaplan氏は、こう述べている。
客が来る時間帯はその人々の地域の特色によってかわる。だったらなぜ自分たちが時と場所にあわせて向かえばいいではないか。~ Jonathan Kaplan
実際にサンフランシスコのダウンタウンにあるTHE MELTは平日には21:00には閉じ、日曜日は閉店している。なぜならその辺り周辺は平日夜遅くまで歩いている人はおらず、ましてや週末にはもっと人が少なくなるからである。このように、THE MELTの店舗運営は、「店側が待つ」のではなく、店舗運営時間や場所などを客のニーズにあわせながら、「店が客を出迎える」形をとっているのだ。
4.きれいに統一されたデザイン
THE MELTを訪れる際に、最も視覚的、感覚的に目に入ってくるものはそのデザインであろう。店内はもちろん外観も’’THE MELT”という綺麗なオレンジで統一されたロゴが至る所にみられ、そのこだわりが伺える。
この一貫性のある、洗練されたデザインが客のユーザーエクスペリエンスをさらに心地の良いものにしているのだ。このデザイン性の高さはファウンダーのテクノロジー系のバックグラウンド+サンフランシスコらしさといってもいいのかもしれない。こちらの記事ではそのデザインに関してこのように述べている。
”They’ve packaged their lovely product perfectly. Everything is orange, down to the straws and the branded binder clip that holds your bag and receipt together.” ~ msrachelyoung
ちなみにTHE MELTと同じく、「サンフランシスコ発」で「テクノロジー×フード」という点、さらにはそのデザイン性の高さからあげられるのがTCHOである。 TCHOもまたサンフランシスコ発祥で、その理念は”New American Chocolate”である。
THE MELTが「テクノロジー × チーズ」に対して、TCHOは「テクノロジー × チョコレート」であり、カカオ豆の生産者を社会的にサポートしつつ、サンフランシスコならではの革新的な技術を味の開発の分野などにおいて取り入れている。またTHE MELT と同じように、デザイン性も高く、思わずお土産として日本に持ってかえりたくなるような商品ばかりである。
いずれにしても、THE MELTもTCHOのデザインも、サンフランシスコらしいオレンジ色を使用し、客のUXをより質の高いものへと導いてくれている。
テクノロジー×フード
今回のTHE MELTのファウンダーのように、他にも「脱テク」を果たし、近年新たな事業に挑戦する人が増えてきている。THE MELTは見事に「テクノロジー×フード」という、ファウンダーにとって新たな分野であるフードを自分の分野であるテクノロジーと組み合わせ、今までにないUXを一般の人にも届ける事に成功しているといえるだろう。
近年では各専門分野が深化し、その専門分野以外の一般人には手の届かないほど遠くにそのUXは位置している場合もある。しかしながらこのように日常生活に密接している「食べ物」と組合わさる事によって、一般人にまでそのUXが届くことに成功した THE MELT はシリコンバレーなどIT, テクノロジーの分野において第一線で活躍している人々に刺激を与えてくれるだろう。あなたもテクノロジー×フードを実際に体験しにTHE MELTを訪れてみてはいかがだろうか?
Written by: Ayano Nakaine
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