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  • Brandon K. Hill

    Brandon K. Hill

    CEO of btrax, Inc

    CEO of btrax, Inc - Design Mentor to Startup Weekend - Contributor to TechCrunch Japan - Guest Speaker at UC Berkeley Asia Business Conference - Guest Speaker at Social Media Week Tokyo - Guest Speaker at 500Startups Japan Day

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アメリカでWeb制作会社が存在出来ない5つの理由

恐らくWeb制作会社として続けていたら、とっくに潰れていただろう。

昨日、アメリカでのWeb制作会社、及びWebマーケティング会社の事情について聞かれた。昨今の市場と自社の状況をふまえ、思わず上記の通り答えてしまった。我がbtrax社は今年で10年目に入ったが、2004年の創立当初は”ごく普通”のWeb制作会社として業務をスタートした。

それから数年はサンフランシスコのオフィスでアメリカの会社に対してサイトを作る、ただそれだけの会社であった。その後、市場の変化を中心に、様々なファクターが理由で、気がつけば現在のクロスボーダーを特徴としたサービスデザインやブランディングをサービスの中心にする様になった。

恐らく日本ではいまだビジネスとして成り立っている、Web制作・システム開発・Webマーケティング業務であるが、残念ながらここアメリカでは一つの企業としてそのようなサービス”だけ”で生き残って行くのはかなり不可能に近いと思っている。その理由として下記が挙げられる:

1. 多くの企業はWebに関する機能を社内に持つ

皮肉にも日本に比べWebサイトや、オンラインマーケティング等に関する重要性を大きく捉えているアメリカの市場においては、大企業を中心にWebに関連する部署、もしくはスタッフを社内に抱えているケースが一般的である。そして多くの企業の”マーケティング部署”内にWebデザイナーや,オンラインマーケティングに関するスタッフを配属している。従って、よほど特殊な案件内容や一時的なリソース不足が無い限り、大手企業はWeb制作関連の仕事を外注する事は稀である。

2. 外注コストの低下

上記のようなWebに関する人材を社内にまかなう事が難しい中小企業の場合、Web制作やシステム開発等を外注する事になる。国土の広いアメリカでは、ビジネス上の取引において一度も会わずに仕事を進める事も少なくは無い。特に最近はクラウドの環境やネットを活用したビデオ会議等の普及で、実際に会わなくとも、仕事を進める事が可能だ。そしてここに一つ落とし穴がある。

英語を公用語とするアメリカでは、別に国内でなくても英語が通じる他の国及びそこに住んでいる人々に仕事を発注する事も珍しくは無い。特にアメリカと比べ生活コストの低い東南アジアや南米に発注する事で、外注コストを大幅に抑える事が可能になる。実際、15年程も前からElanceやoDeskに代表されるようなクラウドソーシングサービスを利用してWebサイトの作成、SEO, SEM等のある程度パターン化した業務を海外に発注する事が一般的となっている。従って、生活コストの高いサンフランシスコに存在するWeb制作会社は彼らとは勝負にならない。特に最近ではWeb制作、システム開発、オンラインマーケティング等のサービスはコモディティ化が進み、コストの安い国外に発注する事が一般的になりつつある。

3. フリーランサーの存在

もう一つのファクターとして、フリーランサーの存在がある。日本だとフリーで仕事をしている人達は非正規雇用という事で、謎の社会的プレッシャーを感じ、いつかは就職を希望している方々も少なくは無いと聞く。また、いち企業が重要な仕事を企業ではなく、フリーの人に発注する不安もあるだろう。一方で、アメリカではフリーで働く事は一つの憧れでもあり、特にデザイナーは自身の実力一つで有名企業の仕事を請負う事がステータスにもなっている。また、企業側から見てもフリーランサーを契約社員として雇う事は非常に一般的なケースである。

実際、サンフランシスコ界隈にも特定のデザイン会社に属する事無く、優れた技術を売りにプロジェクト毎に大きな報酬を得る凄腕エキスパートデザイナー,英語で言うところのRockstarデザイナーも多く存在している。

そして、企業にとっても、必要な時に必要な能力やスタイルを持ったデザイナーやデベロッパーを起用するケースが一般的であり、そのような技術者を従業員として抱えるよりもコストやリスクの面でベターなオプションである場合も少なく無い。加えてフリーランサーや事業主が多いアメリカでは、おのずと保険や労災、年金など、彼らをサポートする制度やサービスも充実している。従って、一つの企業としてオフィスと従業員を抱えている会社がフリーランサーでも提供可能なサービスにおいて、コスト面で彼らと勝負しても勝てる見込みは少ないだろう。

4. 凄いデザイン会社を作った際の落とし穴

そんな中でも、特殊な技術を売りにエッジを立てて勝負する小規模なデザイン会社、俗にデザインスタジオと呼ばれる会社も存在しないわけではない。彼らはものすごいデザイン力や開発能力、動画作成やアプリ開発等、まだまだコモディティ化していない技術の提供を特徴とする。

そのような凄いデザイン会社の多くは、単純に凄い技術者がいるので、凄い会社になっているのだ。しかし、スタートアップを中心に人材獲得競争の激しいサンフランシスコやシリコンバレーエリアでは、潤沢な資本金を武器にデザイン会社や開発会社で働くそのような”すごい”技術者を平気で倍以上の給料で引き抜く事が珍しく無く、デザイン会社の存続が危うくなりやすい。

一方で、社長自らが最も優れたデザイナーである会社の場合、周りのスタッフはアシスタント的立場になるので、フリーランサー+α程度の感覚にしかならず、スケールしにくい。

5. スタートアップによるデザインスタジオの買収

最近になり、デザインの重要性に気づき始めたIT企業がこぞってデザイン会社の買収に走る自体が発生している。例えばEbayのユーザーエクスペリエンスを手がけた素晴らしいデザイン会社、Hot StudioはFacebookに買収され、モバイルUIの得意なMike & MaaikeはAndroid向けにGoogleが買収。AdobeがBehanceを、Squareが80/20を、アクセンチュアがFjordを買収した。また、グローバル規模で展開している大規模代理店のnuranがodopodを買収。

恐らく彼らは高い技術力を持ったデザイナーの必要性を感じ、人材獲得の為に、デザイン会社ごと買収していると思われる。買収されたデザイン会社からしてみると成功かもしれないが、やはりここに小さな制作会社が存在し続ける事が困難な理由がある。


 

サンフランシスコでデザイン会社を経営したこの10年間、何社も友人の会社が無くなって行ったのを目の当たりにしている。エクジットしたケースもあれば、倒産したケースもある。現在アメリカではこれといった特徴の無いWeb制作/開発/マーケティング会社が存在するのはかなり困難だと思われる。

単純に”つくる”だけでは生き残れない。なんらかのかたちでクライアントを成功に導く所までが仕事とならなければならなく、多くの制作会社は最終的には、ブランディング会社、広告代理店、PRエージェンシーなどに進化を遂げる事で生き残りを実現している。従って、技術力だけを武器に日本からアメリカに展開しようと思っている制作会社は、かなり慎重に考えた方が良いかもしれない。…. というお話を昨日した。

変化に順応出来ない種族は滅びる以外に道は無い (Adopt or Die) – チャールズ・ダーウィン

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

関連記事:
アメリカでWEB制作会社が存続できない理由とは?【覚田義明 シリコンバレー・サンフランシスコでの挑戦】

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